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06 既成事実を作ってでもモノにしようかと! 本気で思いました!!

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 ――ローザンヌside――


「なるほど、運命の相手を見つけたのだな」
「はい、お相手はライカ・フランドルフです。彼はロディの友人でもありまして、私がライカの兄であるノザンに絡まれている所を小さき身体で身を挺して守った。男としても申し分なし!! 結婚して欲しいと熱烈に言われ、私も是非に! となったのです!!」
「あのライカがお姉様にその様な事を!?」
「そうなのだ!! 顔を真っ赤に染めて目を潤ませてな!!」
「何それ、見たかった……絶対可愛い奴じゃん」


 思わずロディすらウットリした顔を見せる程に、ライカは愛らしい。
 髪が長くドレスを着ていれば間違いなくただの庇護欲を誘う美少女だ。
 そこも含めて惚れた訳だが、両親は「ふむ」と口にし、家令に何かを告げると二つの書類を持ってきた。
 中身はノザン・フランドルフの事と、ライカ・フランドルフの身辺調査が入っており、ノザンは思わず顔を歪めたくなる酷さだったが、ライカの方は何とも……優しいライカらしい内容が沢山書かれていた。


「ノザンは我が家から抗議を送ろう。だがライカ殿は素晴らしい人材のようだな」
「ええ、私の腹筋を見せてもカッコイイと頬を染めていました」
「迎えに行った時、お姉様はライカの服をひん剥いていたんです」
「「ローザンヌ……」」
「ええ、既成事実を作ってでもモノにしようかと! 本気で思いました!!」
「うむ、そこまで惚れているのならノザンへの抗議は婚約の際に行おう。しかしそこまでお前のその――、見た目にすら頬を染める相手なのか?」
「はい!!!」
「そ、そうか」
「良いではないですか。ローザンヌの身体だけでなく心まで愛してくれるなんて、ライカさんは素敵な男性ですわ」


 そう母がゆったりとした口調で口にすると、父は「確かにそうだな」とため息交じりに口にする。


「ローザンヌ、幸せになれそうか?」
「必ずや!!」
「ならば文句は言うまい。是非婚約させよう。来週また戻ってくると良い。婚約の手筈を全て整えて置くし、来週フランドルフ家にも我が家に来るように連絡はしている」
「――ありがとう御座いますお父様!!」
「あぁ……ライカが女の子だったら俺が婚約したかった」
「ははは! 残念だったなロディ。ライカはちゃんと男の子だったぞ!」
「むう」


 こうして一週間後、我がフォルデア公爵家にフランドルフ家の馬車が到着し、婚約をするべく双方の話し合いと互いに心変わりが無いか等のチェックがおこなわれる事となったのだが――母は余りにも女性らしいライカに「ドレス着せたい」と素で呟き、父は「これはまた華奢な相手で」と驚いていた。
 俺と比較しているのだろうが、頬を染めつつ俺に対して柔らかい微笑みをくれるライカに心臓は握りつぶされそうだ!!
 愛い!! 愛い過ぎるぞライカ!!
 君を物理的に食べてしまいたい!!


「初めまして、ライカ・フランドルフと申します」
「うむ、君の事はローザンヌとロディから会話を聞いている。Aランクに所属し頭もとてもいいと評判だ。その上品行方正で真面目、問題があるとすればその見た目だが……男子にとても人気があるとか」
「え! そうなんですか!?」
「君は後ろの穴に気を付けたほうがいいだろう。その為にもローザンヌとの婚約は正にうってつけな訳だが」
「私はライカの後ろの穴を守る為にも全力で君を守ると誓おう!!」
「ひゃ、ひゃい!!」


 思わず声が上ずるライカ……愛しい。実に愛しい存在だ!!
 後ろの穴を狙う不届き者は俺の拳であの世に送ってやりたいくらいだな!!


「しかし、君とローザンヌとの婚約は中々に難しいぞ?」
「「え?」」
「何せノザンと言う兄君がいるだろう? ノザンはローザンヌをとても敵視していると聞く……実に嘆かわしい事だが」
「それに付きましては、ノザンが反省しないのなら廃嫡させる……と言う事にフランドルフ家では決まっております」
「ほう?」


 それは知らなかったな。
 ノザンは廃嫡されたら一般市民になるという事だろう?
 学園生活など夢のまた夢だろうな。
 メギツネと離れるには丁度いい理由にはなるだろうが。


「それでノザンは納得するだろうか? 奴はとても狡賢い」
「同意です」
「ははは、実の弟からもそう言われるとは……フランドルフ家ではどう思われる?」
「学園と言えど親の目は光るモノ。これ以上愚かな真似をした場合は即廃嫡とします。またBランクまで上がらない場合も廃嫡とし、去勢手術の後、一般庶民へ落とす所存です」
「そこまで考えているのか。だがいい案だ」


 去勢手術までされるのか。
 ノザンよ、お前は何処までも愚かな男なのだな。
 まぁ、生前男だった俺から言わせれば、去勢されてまで放逐されるのは辛いだろうが、それもこれも公爵家に楯突いた罰として受け入れてくれ。


「では、暫く二人で会話をしてきてもいいだろうか? ライカ、共に庭でも散策しないか?」
「よ、喜んで!」


 こうしてライカを連れて男らしくエスコートすると、頬を染めて俺のごつごつとした手を取り二人庭の散策へと出かけた。
 そして――。


「フランドルフ家はノザンに着いて色々考えてくれていたのだな」
「ええ、ローザンヌ様との今後を考えれば邪魔以外の何ものでもないもの」
「はははは! 確かにそうだが、あの馬鹿がBランクまで上がると思うか?」
「無理ね。今ですらテストは赤点ばかりでこれ以上下がりようがないって言うのに、今から必死に勉強してもDランクが精々よ」
「ふむ。ならば俺の憂いも多少は晴れると言うもの。君がノザンに攻撃を受けるのではないかと気が気ではなくてな」
「ふふっ! ローザンヌ様は私に過保護だわ」
「ライカが可愛いから不安なのだ」
「ありがとう御座います。それにしてもパンツスタイルとは……魅力的ですね」
「そうか? スカートは股がスース―してな」
「あははは! 結婚したら私がドレスでローザンヌ様がスーツですか?」
「それもまた捨てがたい。そんな君をベッドで襲えると思うとドキドキするな」
「もう……」


 そんな会話をしながらエスコートし、「是非結婚を視野に」と纏まった為一旦互いの両親の所まで戻り「やはりお互いの想いは変わっておりませんでした! 寧ろ深まっております!」と伝え、婚約書にサインをし、テリサバース教会に提出する事なった。
 共に馬車に乗りテリサバース教会にて婚約書を手渡すと、光に包まれ互いに婚約の儀が済んだ事となる。


「君を一等大事にすると誓うよライカ」
「末永くよろしくお願いしますローザンヌ様」
「これからは婚約者なのだから、名で呼んでくれ」
「はい……ローザンヌ」


 甘い空気の中、互いの両親と弟のロディは微笑ましそうに見ていたが、これで公認の婚約者となり、俺はますますライカの尻の穴を守るために頑張る事を誓うのだった――。
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