妻は異世界人で異世界一位のギルドマスターで世紀末覇王!~けど、ドキドキするのは何故だろう~

寿明結未(ことぶき・あゆみ)

文字の大きさ
59 / 73
第四章 これからも世紀末覇者で心乙女な君と一緒に!

第60話 モコリーヌ、思わぬ人物との出会い、旅となる!

しおりを挟む
 ――モコリーヌside――


 馬を使い半年かけてたどり着いた【ネバリ王国】で依頼を達成し、その足で砂漠の国のシュノベザール王国へと入る。
 一神教であったテリサバース協会の暴走で、当時【賢王】と名高い【シュライ国王】が、親しかった神々の国に亡命した話はとても有名で、このシュノベザール王国にはその神々の島から来る【神なる者】に稀に会う事があるらしい。

【神なる者】と呼ばれるのは、神々の島からお越しになる【アツシ・ジュノリス国王】と呼ばれる方で、遊び感覚でお越しになるのだとか。
 神出鬼没の【アツシ・ジュノリス国王】は、とても豪快かつ愉快な方だと聞いている。
 いい男なら大歓迎だわ♡
 そんな事を思いつつ、皆へのお土産を購入している時だった。


「あら、この国には獣人が多いのね」
「ああ、暑さに強い獣人さん達だけどね、彼らは神々の国からやってきた有難い人たちだよ」
「私も初めて見たわ……」


 当たり前のように獣人達が歩き、平和そのもののシュノベザール王国。
 暑さを凌ぐために賢王が御作りになったという『かき氷』などを食べつつ、更にドライフルーツも沢山購入した。
 更にこの国ならではという燻製や生地も購入し、魔物のいない国としても有名なこのエリアが如何に平和なのかを理解する。

 そんな時だった。


「お隣ご一緒しても?」
「ええ、構わないわ……え?」


 暑さのあまり、かき氷を再度食べていると――カズマによく似た男性が笑顔で隣でかき氷を注文していた。
 後ろには護衛だろうか、数名強そうなオーラを放つ者たちがついている。


「あらあら、まぁまぁ、もしかして、アツシ・ジュノリス国王かしら?」
「如何にも。貴方はここら辺では見ない人だね」
「ええ、冒険者でネバリ王国まで用事があったからついでに神々の島に行けたらと思ったんだけど、暫く船は出ないんですって。でも、ジュノリス王に会えたのなら自慢が出来るわ! それにしても……」
「ん?」
「貴方、私の国にいる、ああ、私の国はムギーラ王国っていうんだけど、そこの王の相談役である、カズマにソックリね」
「カズマ……もしかして、今20代くらいの男性じゃないかな?」
「ええ、そうよ」


 ――何故知っているのかしら?
 これも神々の力?

 そんな事を考えつつかき氷を食べていると……彼はアイテムボックスから紙を取り出し、見た事も無い文字を書き始めた。
 そして、最後に自分の名前を書いたのだろう、それを私に手渡すと――。


「連絡アイテムを持っているだろう? 直ぐにそのカズマに届けて欲しい」
「い、良いけど」
「頼む」


 必死に頼んで頭まで下げたジュノリス王に慌てつつ、私は遠隔用の魔導具と取り出してカズマ宛に手紙を送る。
 暫くするとカズマから返事が来て、それにも見たことのない文字が書かれていて、それをジュノリス王に手渡すと――。


「……君はムギーラ王国から来た冒険者だと言ったな?」
「ええそうよ。カズマは世界第一位の冒険者ギルド【レディー・マッスル】のリーダーであるマリリンと結婚していて、もう直ぐ子供も生まれるわ」
「そうか、そうか……。俺もシュライを連れてムギーラ王国に行こう!!」
「嘘でしょ!?」
「君も乗って行くといい!!」
「ええええ!?」
「ああ、買い物があるだろうから明日、明日の朝出発しよう。俺達も用意を済ませてくる!!」
「ちょっと!」
「明朝シュノベザール城の前で待っていてくれ! えーっと名前は」
「モコリーヌよ」
「ああ、モコリーヌまたな!!」


 そう言うと慌ただしくかき氷を手に走っていったジュノリス王。
 一体何がどうなっているのかカズマに手紙を書くと、「どうやら知り合いだったようでして」と返事が来て「神々の王と知り合いってどういう事よ!!」と雄叫びを上げた。

 でも、のんびりもしてられないわ。
 急いで買えるものは買って、観光もしないと!!
 サトウキビのお砂糖なんてあるのね。これも買いましょう。
 はちみつもこの地域原産なのね。これも買いだわ。
 後は一夜干し!!

 と、私は急いで買いものを済ませ、宿に泊まって体を清めてから眠りにつき、翌朝の明朝、私はシュノベザール城の前にいた。
 ――本当に来るのかしら?
 そんな思いもあったけれど、まずは待つしかない。
 すると護衛を引きつれたジュノリス王と褐色の肌のこちらの国の人と思われる王族のターバンをつけた二人がやってきた。


「お初にお目に掛かります。俺はアツシ様の右腕として働いている、この国の元王であるシュライです」
「シュライ……元国王陛下……」


 ――賢王と名高いシュライ王じゃないの!!!
 そう叫ばなかった私を誰か褒めて欲しいわ。
 喉迄出そうになった言葉を飲み込むと、ジュノリス王と共に砂漠を移動する馬車に乗りまずはネバリ王国まで向かう。
 ここからなら馬で移動できるからだわ。
 でも、馬は借りるのかしら?

 ――そう思っていると、バンッという音と共に見た事も無い箱を出したの。
 ええ、ジュノリス王が。


「これ、キャンピングカーっていうんだけど、此れに乗って行くから馬より早いぞ」
「きゃんぴんぐ、かー?」
「乗り心地は保証します。途中宝石の国ダイヤ王国で【ユリ】という女性も連れて行きますので」
「えーっと」
「ふふ、まぁ、ちょっとカズマさんにお願いしたいことがあってですね」


 内容は秘密です。
 そう言われると流石に私が彼是聞ける問題じゃないわね。
 ふう……と溜息を吐くと、私はその『きゃんぴんぐかー』なるものに入り、中が小部屋になっているのに驚きつつ、机と椅子がある場所にシュライ様と一緒に乗った。


「ま、積もる話もあるだろうけど、朝飯と甘い物と飲み物でも置いとくから、食べながら行こうぜ。俺達の護衛にはモコリーヌと言う冒険者と」
『ニノッチ ガ イッショニ イクヨー』


 と、どこから声がするのかと思ったらジュノリス王の頭に小さいスライム?
 なんか、このスライム凄く怖いんだけど!!


「レジェンドスライムのニノッチだ」
「レジェンドスライム……って、嘘でしょ……」
「途中ユリが乗ってくるが、驚かないでくれよな!」


 そう言うとキャンピングカーは動き出し、ジュノリス王から袋を手渡されたシュライは机に何かの液体の入ったものと、袋に入った何かを沢山出してくれた。


「腹が減っては戦は出来ませんし長距離旅行も出来ませんので!」
「え、ええ……そうね」
「あ、後でユリさんに手紙を書かないと……」
「そのユリって子は一体……」
「宝石の国ダイヤで『ガーネット店』を営むオーナーのお嫁さんですね」
「はぁ……」
「俺達と繋がりがあるんです。ええ、カズマ君ともね」


 そう言って嬉しそうに微笑んだシュライ元国王に小さく頷きつつ、私はこの世のモノとは思えない美味しい食事を食べつつ、これまた美味しい飲み物を飲みながら、夢心地でムギーラ王国へと旅立ったのだった……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

清楚な執事長、常駐位置が“お嬢様の隣”に確定しました

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話・後日談12話⭐︎ 清楚で完璧、屋敷の秩序そのもの——そんな執事長ユリウスの“常駐位置”が、なぜか私の隣に確定しました。 膝掛けは標準装備、角砂糖は二つ、そして「隣にいます」が口癖に。 さらに恐ろしいことに、私が小声で“要求”すると、清楚な笑顔で「承知しました」と甘く返事をしてくるのです。 社交は上品に、恋心は必死に隠したい。 なのに執事長は、恋を“業務改善”みたいに制度化して逃がしてくれない——! むっつり令嬢の乙女心臓が限界を迎える、甘々コメディ恋愛譚。 清楚な顔の執事長が、あなたの心臓まで囲い込みにきます。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」

イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。 ある日、夢をみた。 この国の未来を。 それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。 彼は言う。 愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?

処理中です...