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第三章 魔王様、中学時代をお過ごしになる

90 魔王様、中間テストを乗り切り、懐かしい人物に会う。

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中間テストは、それなりに良い点数を取ることが出来た。
元々勉強は苦ではないし、この世界の勉強はオル・ディールでは出来なかった新鮮さがある。
良い点数を取ればそれだけで気分も良い。
流石に我にも苦手科目と言うものはあるが、それでも平均より上だ。
それだけでもホッとする。

魔法使いとアキラもそれなりの点数は取れたようで、部活動で中間テストの勉強をしていたキャンプ部の皆もそれぞれ赤点は免れたようだ。
これでGWは半日キャンプに行くことが出来る。
後はキャンプ部顧問の許可を貰うだけだろうが、今まで顧問が来たことが無い。
部長曰く、三年生の担任で忙しい先生なのだと言う。
三年生を受け持っていていれば、受験だのなんだのと忙しいのだろう。
それでも、部長の方からGWの半日キャンプの話はしているらしく、近々顧問がやってくるらしい。

テスト開けと言う事もあり、近い内だろう。
まあ、赤点を取った生徒が居なければだが。

中学までは赤点を取っても補習はない。
高校に入れば否応なしであるだろうが、中学はその点ぬるいのだろう。
クラスではサルのような者たちは点数で悲鳴を上げていたが、授業を受けずに遊んでいたのだから仕方ない事だろう。

学校の授業は、正直塾にいけば事足りると聞いたことがある。
中学で塾に通っている生徒も多いそうだが、そう言う者たちの点数はやはりいい。
まぁ、中にはとんでもない点数の者もいるが、勉強は心持一つだろう。
どうしても苦手な科目は出てくるのは仕方のない事だが、それは誰しもの事だ。


「取り敢えず、僕も点数は良い方だったよ。魔王には負けるだろうけど」
「魔法使いさんは昔からテストの点数は良かったですからね」
「アキラも何とかみたい。今後藤たちと盛り上がってる」
「それは僥倖」
「これでGWの半日キャンプはなんとかなるかなぁ」
「そうだといいいですね」
「その後7月に1年生集めた行軍があるんだっけ?」
「今年は七月だと聞いています」
「日焼け止め買わないとな……先輩たちに色々聞いて用意しないと」
「そうですね。1年生の中を深めると言う名の軍隊行進ですからね」


そんな事を語り合いながら椅子に座り語っていると、クラスの問題児である佐藤が駆け寄ってきた。


「東! テストの点数良かったんだろ!? 俺にも教えてくれよ!」
「授業を受けていればなんとでもなりますよ」
「え――授業面倒くさいじゃん」
「私は貴方に教えるのが面倒くさいです」
「そこを何とかさ――」
「それに、部活が終わった後は私も家での仕事がありますので」
「東って硬ーい! そんなんじゃ友達出来ないぞー!」


サルのような友を持つ気はさらさらないんのだが?
――と言いそうになったのを何とか飲み込み、魔法使いがニヤニヤしながら佐藤に話しかけた。


「元はと言えば授業受けてないほうが悪いんじゃん。それを東の所為にするとか莫迦じゃないの?」
「なんだと――!!」
「子供じゃないんだからさー? 自分の始末くらい自分でつけようよ」
「なんだとー!!!」
「そう言えばそろそろ竹内たちが」
「じゃあな東!!」


こんな時に便利なケルベロス。
丁度良くケルベロス三人が入ってくると、テストの点数について語り合った。
ケルベロスである竹内たちもテストの点数は平均より少し上くらいだったようで、問題なくクリアしたようだ。


「GWは部活動に忙しいから今のうちにいい点数は取っておかないとねー」
「親から部活禁止とか言われたら泣いちゃうもんね」
「それにGWはちょっとした大会もあるし!」
「大会ですか、いい結果が出るといいですね」
「「「是非にでも!!」」」
「将来はオリンピック選手なり駅伝なりに出れるといいねー」
「目標はそこよ!」
「マリアは短距離での金メダルだしな!」
「足の速さじゃ負けないからね!」


うんうん、ケルベロス達も青春しているようで何よりだ。
我としても微笑ましく思う。
ケルベロス達も今は我が居ることで落ち着いており、クラスでも少々馴染んできた頃のようだ。
とは言え、三人は何時も三人でいる訳ではなく、マリアは女性ゆえに体育などではボッチにならない様にうごいているらしい。
元々運動神経がいいマリアならば、色々と引く手数多なのだろう。


その後ホームルームが開かれ、ちょっとした話があった後は部活へ向かう事になったのだが、部長にあうと今日は顧問の先生が来るとの事で暫くキャンプ用品について語り合いつつ待っていると――。


「いや――遅くなって悪いね」
「お、中野先生きましたか」


そう言って訪れた中野先生と呼ばれる顧問は――サキュバス軍団のリーダーをしていたルルリアだった。
思わず互いに固まると、ハッとした中野先生は笑顔で「なるほどなるほどー」と口にすると、椅子に座って我の顔をジッと見る。


「うんうん、今年の新入生は面白い子が入ってるのね」
「そうなんですよ、東君何て色々と頼り甲斐がありまして」
「だろうねー!」


だろうねーじゃない。
ルルリアは勇者に倒された一人だが、ケルベロスといいルルリアといい、魔族系が教師だのなんだのと多い気がする。
今後も増えそうな気がして頭を抱えていると――。


「次期部長として期待してるよ東君!」
「そうだね、俺達が卒業したら東君が部長だろうね」
「それはそれで大変ですが……他にやりたい人がいたらそちらに任せますよ」
「まぁそう言わず! 幽霊部員も多いキャンプ部だけど歓迎するから!」


こうして、GW中の半日キャンプについての許可を貰い、顧問であるルルリアもとい、中野先生もついてくることに決まった。


「一日半のイベントだから今から予約はとるけど、食事とかはどうするの?」
「ハーマスキャンプ場なら食材さえ持って行けば調理するところは貸して貰えるので」
「ああ、なるほどね。じゃあそうしようか」


こうして、GWはハーマスキャンプ場に決定し、中野先生は人数分の予約を取る事で合意した。
無論ハーマスキャンプ場までは自転車で向かう事になるが、そう遠い場所のキャンプ場では無いらしく、気楽に行けるところらしい。


「野菜などの買い出し部隊もそっちで決めておいてもらえる? それとも先生が買ってくる?」
「先生が買ってきてくださると助かりますね」
「一年にとっては初めてなので」
「了解~。食材は任せなさい♪」


その後もやや色々あって、中野先生はある程度決めると去って行ったが――魔法使いは汗を大量にかいていた。
どうやら殺気をモロに喰らい続けていたらしい。


「大丈夫ですか恵さん」
「あれ……ルルリアだよね?」
「ええ」
「魔王軍、この学校多すぎない?」
「どうでしょう……もう出てきて欲しくはないですが」


そんな会話がされていたのは――内緒にしたい所である。
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