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人間界の国王が彼是やらかしに来る? 迎え撃ってやろうじゃないか!!!
第51話 欲しい女性はただ一人だけ……
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――ドワーフ王side――
『貸し借り』を作ったとしても、それが安いと感じるほどのいい女――現在の魔王のキヌと言う彼女にのめり込んで随分と経った。
今までどの女性にも心が動かなかった俺が、唯一心の動いた素晴らしい女性だ。
俺達の様な人間とは違う種族と言うのは、長い間弾圧されてきた。
それを前魔王との協議の末、守って貰えるようになったのは本当にここ数十年の間の出来事だと記憶している。
前魔王も人が良かったが、キヌは格別だ。
彼女との会話は刺激にあふれ、それでいて人間でありながら人間を酷く憎んでいる。
苦労の多い人生だったのは自ずと理解出来たし、此れだけいい女ならさぞかし男問題は大変だっただろう。
いや、男問題と言うより人間関係が大変だっただろう……。
不器用にも、周囲を守ろうと必死だっただろう。
そこがまた愛おしかった。
「魔王と酒飲み友達になれるなら借りを作るのも悪くない」
「よく言うよ。こんなことに貸し借りを作るなんてドワーフ王くらいじゃないかい?」
「俺だけでなくては困るな! エルフ王は妻に一途だし、獣人王は……まぁ、女遊びが激しいとは聞いているが、流石に魔王に言い寄るならドワーフ王国は獣人国を攻め入るだろうな」
「やだねぇ、傾国の美女でもあるまいに」
「ははは!」
だが、傾国の美女でも魔王を守れる男は自分でありたかった。
しかし、魔王の心には元夫である男が住み着いている。
それがどうしても悲しくて嫌だった。嫌だったがずっと魔王を守ってきた男だというのは嫌程理解出来て歯がゆい。
「そう言えば、人間の王国からキヌマートの出店の依頼が来たらしいな」
「ああ、突っぱねたら大勢やってきたが中に入る事も出来ずって感じだね。今頃諸々含めた審議でもしてるんじゃないかい? あくまでキヌマートは『魔王様お気に入りの店』なんだから、外にと言うのなら魔王に話が行くだろうしねぇ」
「協議に参加するのか?」
思わず固い声で問いかけると、魔王は何食わぬ顔で「参加するはずないだろう」と答えてくれてホッとした。
前魔王は不意打ちで殺されたのだ。
キヌがもしそんな目に遭ったら、人間界を蹂躙するように仕向ける所だ。
「頼むから迂闊な真似はしてくれるなよ?」
「心配性だねぇ?」
「心配位はするだろう?」
「全く、アタシは、」
「キヌ、ここは君にとって異世界なんだ。元居た世界とは違う。頼れるものは何でも頼れ」
俺の言葉にキヌは一瞬きょとんとした顔をしたが、俺が真剣な表情だったからだろう、フッと優しい笑みを見せると「困った時は頼らせて貰おうかねぇ」と言ってくれた。
今はこれでいい。
キヌの心に俺がいなくとも……。
それでも――。
「キヌが操を立てているのは知っている。それは素晴らしい事だとも思う。だがこの世界でも操を立てたいと思える男に俺は……なりたい」
「ふはは! これまた情熱的だねぇ!」
「キヌ、笑い事ではないのだぞ?」
「だが、期待はしておいてやる」
「……今はそれでいい」
「ヒヒヒ」
魔王キヌにとっては俺は取るに足らん男かも知れん。
まだまだ若造だと言われても仕方ないだろう。
だが、若造だからこその意地もあるのだ。
その後、酒を二人で飲み明かしてキヌは帰っていったが、やはり実にいい女だった。
若いからなんだというのだ。
想いならば誰にも負けないと断言できる。
「長い時間が掛かるというのなら、それもまた一興」
エルフの血を引く俺は長生きだ。
長い時間をかけてキヌを落とさねばならないのなら――それも余興として楽しもう。
ドワーフは一度執着したものを手放すことはしない。
覚悟してくれ魔王キヌ。
――俺は必ず貴女を手に入れるぞ。
『貸し借り』を作ったとしても、それが安いと感じるほどのいい女――現在の魔王のキヌと言う彼女にのめり込んで随分と経った。
今までどの女性にも心が動かなかった俺が、唯一心の動いた素晴らしい女性だ。
俺達の様な人間とは違う種族と言うのは、長い間弾圧されてきた。
それを前魔王との協議の末、守って貰えるようになったのは本当にここ数十年の間の出来事だと記憶している。
前魔王も人が良かったが、キヌは格別だ。
彼女との会話は刺激にあふれ、それでいて人間でありながら人間を酷く憎んでいる。
苦労の多い人生だったのは自ずと理解出来たし、此れだけいい女ならさぞかし男問題は大変だっただろう。
いや、男問題と言うより人間関係が大変だっただろう……。
不器用にも、周囲を守ろうと必死だっただろう。
そこがまた愛おしかった。
「魔王と酒飲み友達になれるなら借りを作るのも悪くない」
「よく言うよ。こんなことに貸し借りを作るなんてドワーフ王くらいじゃないかい?」
「俺だけでなくては困るな! エルフ王は妻に一途だし、獣人王は……まぁ、女遊びが激しいとは聞いているが、流石に魔王に言い寄るならドワーフ王国は獣人国を攻め入るだろうな」
「やだねぇ、傾国の美女でもあるまいに」
「ははは!」
だが、傾国の美女でも魔王を守れる男は自分でありたかった。
しかし、魔王の心には元夫である男が住み着いている。
それがどうしても悲しくて嫌だった。嫌だったがずっと魔王を守ってきた男だというのは嫌程理解出来て歯がゆい。
「そう言えば、人間の王国からキヌマートの出店の依頼が来たらしいな」
「ああ、突っぱねたら大勢やってきたが中に入る事も出来ずって感じだね。今頃諸々含めた審議でもしてるんじゃないかい? あくまでキヌマートは『魔王様お気に入りの店』なんだから、外にと言うのなら魔王に話が行くだろうしねぇ」
「協議に参加するのか?」
思わず固い声で問いかけると、魔王は何食わぬ顔で「参加するはずないだろう」と答えてくれてホッとした。
前魔王は不意打ちで殺されたのだ。
キヌがもしそんな目に遭ったら、人間界を蹂躙するように仕向ける所だ。
「頼むから迂闊な真似はしてくれるなよ?」
「心配性だねぇ?」
「心配位はするだろう?」
「全く、アタシは、」
「キヌ、ここは君にとって異世界なんだ。元居た世界とは違う。頼れるものは何でも頼れ」
俺の言葉にキヌは一瞬きょとんとした顔をしたが、俺が真剣な表情だったからだろう、フッと優しい笑みを見せると「困った時は頼らせて貰おうかねぇ」と言ってくれた。
今はこれでいい。
キヌの心に俺がいなくとも……。
それでも――。
「キヌが操を立てているのは知っている。それは素晴らしい事だとも思う。だがこの世界でも操を立てたいと思える男に俺は……なりたい」
「ふはは! これまた情熱的だねぇ!」
「キヌ、笑い事ではないのだぞ?」
「だが、期待はしておいてやる」
「……今はそれでいい」
「ヒヒヒ」
魔王キヌにとっては俺は取るに足らん男かも知れん。
まだまだ若造だと言われても仕方ないだろう。
だが、若造だからこその意地もあるのだ。
その後、酒を二人で飲み明かしてキヌは帰っていったが、やはり実にいい女だった。
若いからなんだというのだ。
想いならば誰にも負けないと断言できる。
「長い時間が掛かるというのなら、それもまた一興」
エルフの血を引く俺は長生きだ。
長い時間をかけてキヌを落とさねばならないのなら――それも余興として楽しもう。
ドワーフは一度執着したものを手放すことはしない。
覚悟してくれ魔王キヌ。
――俺は必ず貴女を手に入れるぞ。
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