59 / 74
人間界の国王が彼是やらかしに来る? 迎え撃ってやろうじゃないか!!!

第60話  悠長に構えていた結果の身から出た錆……ついにスタンピードが起きる①

しおりを挟む
 カナデの持つ鏡で王国の連中を見ていたが、中々面白い事になっているねぇ?
 精鋭部隊は魔王ダンジョンで陥落済み。
 王国への忠誠心は綺麗に消え去ったみたいだね。
 ヒヒヒ、いい様だよ。


「だが、悠長にアタシ達に構っていたツケがきたようだねぇ?」
「全くですね。他の町や街、村では魔物の被害が甚大です。兵士を送り込んでも被害を受けた後……そこからどう復興していくというのでしょうね」
「まだスタンピードが起きていないだけ救いだわ」
「でも、そのスタンピードが起きそうな地域がありますのよね?」
「ああ、中級クラスのダンジョンだが、そこがそろそろスタンピードが起きそうで冒険者ギルドが慌てているねぇ。国に書状を出しても返事がないと慌てていたのを見たよ」
「一つの街が魔物に呑まれるのも時間の問題か」
「全く、悠長に構えているからだよ。危機感が足りないんじゃないのかい?」


 そう呆れた様子で口にすると、カナデはクスクスと笑いながら「あちらの世界でも曾婆様はテレビに向かって言ってましたね」と笑い、アタシはムスッとした顔をして「実際役に立たない野郎どもが多いだろうが」と反論した。


「上に立つ者は判断力、決断力、統制力が求められるんだよ。それができないなら責任取って辞めちまいな!!」
「金を沢山貰って責任取って辞めるクソの方があちらでは多かったと思いますが」
「あの世で地獄に堕ちればいいさ。こちらだと何に堕ちるのだろうねぇ」
「悪いことをした人間は魔物に堕ちると言われていますわ」
「それじゃあ、スタンピードも自分たち人間の所為じゃないか。ヒヒ! 元人間が人間の国を亡ぼすなんて最高だね!」


 そういって扇をパチン! と閉じると、ドアが開きモーダンが入ってきた。
 どうやら報告することがあるらしく「話を聞こう」と告げると、勇者と魔法使いが第三層に行きついたという報告だった。


「随分と時間は掛ったが、やっと第三層かい」
「お香に脳がやられるといいですわ」
「でも、勇者の力でそのお香が効かない……なんてことは無いでしょうか?」
「……可能性はあるねぇ」
「可笑しくなっているかどうかは、俺が確認してきましょう」
「頼んだよ」


 そういうとカナデは一礼して第三層へと出掛けて行った。
 その様子を見るべく鏡を使い女三人で様子を見ることになったのだが、第三層はお気に入りのサキュバスやインキュバスに彼是貢ごうとする連中で溢れていて、その中に勇者が呆然と立っているのを見つける事が出来た。
 お香には――反応がないように見えるねぇ。流石勇者と言ったところかね。


『ここが待ちに待った三層……』
『カナデくんとキヌさんを見つけないとね!!』
『ミツリもいるなら探さねぇと……今更ミツリをどうこうしようという気はサラサラねぇが、キヌ様について知っていることがあれば聞きてぇからな!!』


 ヤダねぇ。
 こんなガキに好かれても嬉しくもなんともないよ。
 だが、ステータスを見るに香が全く聞いていないという事はなさそうで、徐々に中毒性には掛かりつつあるようだ。
 それでも他の冒険者と比べるとかなり遅い。
 するとカナデがルルとハデリスを連れて歩いている所を見つけた勇者たちは一斉に走り出しカナデを捕まえたようだ。


『カナデ!! 俺達はついに三層についたぞ!! 二層と三層にはキヌ様が良く訪れると聞いた! 今どちらにおられる!!』
『キヌ様でしたら、魔王様に呼ばれて魔王城にいらっしゃいますよ』」
『くそ、今日も会えないのか……っ!』
『と、言うよりせっかく第三層に来たのに大好きな娼館にもいかないなんて……下半身死にましたか?』
『う、うるせぇ!! 今禊をしてるところなんだよ!!』
『え! そうだったの!?』
『俺は女絶ちをする!! 願掛けだ! キヌ様の傍に行くにはそれくらいしか思いつかねぇ!! 王国がどうとか知った事か!! 俺は愛に生きる!!』
『気持ち悪いですねぇ……』
『な、なんだとおお!!!!』


 まぁ、カナデが気持ち悪がる気持ちはわかる。
 アタシも若干引いた。
 勝手に愛に生きて貰っても困るんだけどねぇ……サキュバス嬢は沢山いるんだから、そっちに行ってくれないかねぇ。


『いい事をお教えしましょう。キヌ様は未亡人ではあらせられますが、亡くなった旦那様をそれはとても愛しておられます。貴方が入る隙はありませんよ』


 あの子、何を言ってるんだい。
 アタシが爺様一筋……なのは義理を通すためだよ!!


『なっ! キヌ様は結婚しておられたのか……しかも未亡人……。どれほどお辛かっただろうか……』
『そ、そんな事より! カナデ君、私って必要じゃない? きっとミツリもカナデ君の近くにいるんでしょ? 私もカナデ君の近くにいたいなーって……ダメ?』
『やめてください気持ち悪い』
『気持ち悪い……?』
『あなたの様な腐った女性こっちから願い下げですよ。好きに生きて好きに死んでください』


 そこまでハッキリ言われるとは思わなかったのだろう、ユキコとかいう名前の魔法使いは目を見開いて『え、え??』とショックを受けている様だ。
 まぁ、確かに【ギャンブル中毒症】の嫁なんていらないよねぇ。


『それに、お二人ともギャンブル中毒症でしょう? キヌ様も俺もそのタイプは大嫌いなんですよ』
『なっ!!』
『何で知ってるの!?』
『真っ当に生きている人が好きなんですよ。俺もキヌ様も。染まってしまっている人はダメなんですよね』


 思わぬ言葉だったのだろうか?
 2人は呆然として立ち尽くしており、『マジかよ』と小さく呟いていた。
 どう足掻いても自分たちではアタシの近く、カナデの近くには来れないと悟ったんだろうねぇ。
 ご愁傷様って奴だね、ヒヒヒ。


『俺達じゃ、キヌマートの面々に近寄れねぇって言いたいのかよ……』
『そ、そうよ!! ここに来るのにどれだけ頑張ったと思ってるの!?』
『あなた方は人間国の国王に言われてダンジョンの破壊命令が出ている筈では?』
『人間の国何て知った事かよ!!』
『そうよ!! 邪魔者扱いしてすぐ追い出されたんだから!!』
『なら、何故日本に帰らなかったんです?』


 真っ当な質問だね。
 実際日本に帰っていれば済むだけの話なのに、何時までも居座ったのが悪い。
 その結果がこの様だよ。
 さてさて、なんて答える気かね?


『それは……』
『日本に帰っていれば、元の当たり前の生活に戻れていたのではないんですか?』
『それはそうなんだけど……』
『何か深い理由がおありで? 邪魔者扱いされても居たくなるような何かがあったのでしょうか?』


 そう言われると二人は口を閉ざし、カナデは溜息を吐くと最後にこう締めくくった。


『悪いことは言いません。王国に戻って死にたくなければ、日本に帰りなさい。方法はあります。決心したらお声かけを』
『は? なんで王国に帰ったら死ぬんだよ』
『そうよ、私たちこれでも』
『殺されますよ。忠告はしましたからね』
『ど、どういう事だよ!!』
『カナデ君待って!!』


 それだけ言うとカナデは踵を返して歩きだす。
 勇者と魔法使いは追いかけようとしたけれど、ルル達が許す筈もなく――カナデは魔王城に瞬間移動してきた。


「全く、呑気なものですね」
「本当にねぇ……」
「勇者達って馬鹿なのかしら? 国庫を食いつぶした勇者なんて何の役に立つのよ」
「分からないからあの二人なのよ……。先の事まで考えてないの」
「さて、勇者討伐が始まったら事ですよ。どうなさいます曾婆様」
「暫く静観するさね。楽しみじゃないか」


 そうクスクス笑うと「曾婆様も人が悪い」と呆れたように笑われたけれど、実際どうなるのかは今後次第。
 さぁ、人間国が軋みを上げ始めた様だね。
 崩壊する様をじっと見てみようかね……ヒヒヒヒ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

「え、俺なんかしました?」無自覚チート《概念編集》で石ころを魔石に、なまくらを聖剣に書き換えて、国を追われた聖女様と世界を救う

黒崎隼人
ファンタジー
「え、俺なんかしました?」 ごく普通の大学生、朝霧 海(あさぎり かい)が迷い込んだのは、剣と魔法が息づく異世界エーテルディア。右も左も分からぬままモンスターに襲われた彼を救ったのは、聖なる光を操る謎の美少女、ルミナだった。 彼女は言った。『あなた、一体何者なの?』と。 カイ自身も知らない、触れたモノの”理”を書き換えるチート能力《概念編集(リアライター)》。 「ただの石」が「爆ぜる魔石」に? 「なまくらの剣」が「伝説級の聖剣」に!? 無自覚に規格外の力を振るうカイは、やがて国を追われる訳ありの少女ルミナと共に、巨大な陰謀に立ち向かう運命に巻き込まれていく。 これは、一人の平凡な青年が、大切な人を守るために世界の理すら書き換えて最強へと至る、王道異世界ファンタジー!

好き勝手スローライフしていただけなのに伝説の英雄になってしまった件~異世界転移させられた先は世界最凶の魔境だった~

狐火いりす@商業作家
ファンタジー
 事故でショボ死した主人公──星宮なぎさは神によって異世界に転移させられる。  そこは、Sランク以上の魔物が当たり前のように闊歩する世界最凶の魔境だった。 「せっかく手に入れた第二の人生、楽しみつくさねぇともったいねぇだろ!」  神様の力によって【創造】スキルと最強フィジカルを手に入れたなぎさは、自由気ままなスローライフを始める。  露天風呂付きの家を建てたり、倒した魔物でおいしい料理を作ったり、美人な悪霊を仲間にしたり、ペットを飼ってみたり。  やりたいことをやって好き勝手に生きていく。  なぜか人類未踏破ダンジョンを攻略しちゃったり、ペットが神獣と幻獣だったり、邪竜から目をつけられたりするけど、細かいことは気にしない。  人類最強の主人公がただひたすら好き放題生きていたら伝説になってしまった、そんなほのぼのギャグコメディ。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。 下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。 キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。 家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。 隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。 一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。 ハッピーエンドです。 最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。

石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!

寿明結未(ことぶき・あゆみ)
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。 皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。 この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。 召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。 確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!? 「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」 気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。 ★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします! ★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

処理中です...