石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!

寿明結未(旧・うどん五段)

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05 お爺ちゃんのフォエアリードラゴンはとても物知りで、ついに違う国へと向かう日が来る。

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 こうして二匹の魔物を従魔にする事になり、ホムラは抱っこされたまま、タキは頭に乗ったまま外に出てダンさんの元へと向かう。
 二匹も連れて来たので驚かれたが、事情を説明すると「外に出たかったのか」と言われ、「ユリは優しいな」と微笑むと一緒にまた倉庫まで歩いて帰った。
 そして倉庫に帰るとダンさんは帰って行ったので、ホムラとタキに自由に過ごしていいよと伝えるとホムラはパタパタとその辺りを飛び回り、タキは私の頭の上から動かなかった。


「アルジ ココデ オシゴト?」
「ん、今日で終わりなの。明日からは違う国に移動するよ」
「ソウナンダ」
「は――外はええのう。ユリよ、タキの餌は何でも食べるぞ。まぁワシも何でも食べるがな」
「雑食?」
「ユリが自ら用意したものが一番望ましいが、此処では無理じゃろう? だから手渡しで貰えるものなら何でも嬉しいと言う奴じゃ」
「あら、可愛い。お爺ちゃんとタキちゃんには手渡しで何か食べさせるね? そう言えばお腹空いてる?」
「マダー」
「ワシもまだじゃな。しかしどこの国に行くんじゃ?」
「ダイヤ王国。今この国戦争中で負け戦なんですって」
「ほほう~。金の国の奴等は欲深いからな。特に王家はそれが顕著じゃ」
「ダイヤノ クニハー?」
「ダイヤの国は知識としてある感じでは、穏やかな気候じゃな。そこで良い出会いが待っているとええのう。まぁ護衛はワシとタキに任せるといい」
「ありがとうお爺ちゃんにタキちゃん」


 そう言ってアイテム生成していると、タキちゃんは隣のケースに移動して「ユリヲ ターゲットニ モノマネー」と言うと私と同じように魔法陣が出て来てプラチナ鉱石を出し始めた。


「え? え?」
「ユリ、一度ワシらをしっかりと鑑定するんじゃ」
「そ、そうね」


 その言葉にまずはお爺ちゃん、ホムラから鑑定すると――。
【ホムラ(レジェンドフェアリードラゴン):スキル・言語理解・鑑定・攻撃魔法10・危険察知10・悪意察知10・雄叫び(相手を怯ませる)・威圧(特定の相手に威圧をぶつけることが出来る)・殺気(特定の相手に殺気をぶつけることが出来る)・器用さ10・素早さ10・引っ掻き10】
 そう出て来て驚いた。
 余り護衛には役立たないけど連れ歩いてるってお姉さん言ってましたけど!?

 じゃあタキちゃんは!?
【タキ(レジェンドスライム):スキル・言語理解・鑑定・回復魔法10・治療魔法10・製薬10・結界10・分裂・生活魔法10・危険察知10・悪意察知10・生活魔法・ものまね(相手のスキルを真似る事が出来る)・切断10・器用さ10・素早さ10・叩き10】


「ンンンンンンン!?」
「ほっほっほ! レジェンドとはそう言うものじゃ」
「な、なるほど?」
「ボク オヤクニ タッテル?」
「たってるよ~! ありがとね~? でも他の人が来たら即止めてね?」
「ハーイ」
「そうじゃな、こんな便利機能知られたらどうなるやら」
「怖すぎます」
「まぁワシらは察知能力が高い。安心するといい」


 こうして私とタキちゃんとでプラチナ鉱石をドンドン出しまくり、ダンさんが来る時間帯になるとタキちゃんは私の頭の上に乗って「シーッテ シトクネ」と言って黙り込んだ。
 無論お爺ちゃんもだ。
 さっきまで喋っていただけに静かになると寂しいが、ドアが開きダンさんが入ってきた。


「ユリ……おお、沢山出来たな!!」
「今日は二匹を家族に迎えられたので頑張りました!」
「うんうん、お爺ちゃんドラゴンにベビースライム。ユリの優しさを感じる」
「ははは……」
「個数を数えたら明日の早朝金を用意しておく。それと護衛者だが都合がつかなくなった……すまん」
「いえいえ、その代わりお爺ちゃんとタキちゃんがいますから」
「うーん……まぁ、従魔がいれば多少は牽制になるか。とにかく気を付けてくれ」
「はい」
「明日の朝、馬車が来る。その前に早朝お金を貰いに来てくれ。かなり作ってくれたから相当な金額になってるぞ」
「わぁ! 楽しみです!!」
「それと、もし良かったらダイヤ王国の首都ダリルシェイドの冒険者ギルドでも鉱石をだしてやってくれ。俺から連絡をしておく」
「はい」
「あと、これがアルメリアさんのいる【ガーネット】への推薦状だ」


 そう言ってギルドマスターの印が付いた手紙を受け取ると、お礼を言って鞄に仕舞いこんだ。本当にこれで就職できればいいが……。


「三日間世話になったな。もし【ガーネット】に行くことがあったら寄るからな」
「ありがとう御座います」
「アルメリアさんも着ものを好んで着ていた女性なんだ……。今どうされているやら」
「話が合いそうですね」
「明日からの移動は大変だろうが、食事は休憩時間に各自で用意して個別で食べることになってるが大丈夫か?」
「あー……それは知りませんでした。そう言えばこの世界ってアイテムボックス持ってる人っているんですか?」
「俺も持ってるぞ。量はそんなに入らないが」
「それなら何とか出来そうです」
「そうか、気を付けて移動しろよ」
「はい」


 こうしてダンさんは出て行き、ササッと水浴びして身体を洗い、椅子に座ると二匹は机の上に座った。
 そしてお取り寄せでタブレットを呼び出すと、多めに肉や野菜、各種調味料を購入して台所用品も多く購入していく。
 台所用品は一式と言った感じだろうか。
 それに外で使う卓上ガスコンロを三つ購入してガスも購入。
 移動中は沢山の野菜とお肉でスープを食べよう。
 それにアイテムボックスは時が止まるらしいので、出来立てで食べたい。
 今の内に作ってしまおうと言う事で、ポトフを作り始めた。
 無論パンも購入して沢山入れてある。


「ほう、明日から暫く馬車移動だから今の内に作ってアイテムボックスに入れて置くのか」
「そうですね」
「【お取り寄せ】なんぞ見せられんからな」
「ええ」
「料理用の机も用意しておいた方が無難じゃぞ? もしも他の者が食べたいと言い出したら大変じゃからな」
「あ――。それならキャンプ用の机と椅子買っておこうかな」
「ボク ゴミナラ ナンデモ トカスヨ?」
「本当? タキちゃんにお任せしていい?」
「イイヨ」


 そう言って生ごみ等もタキちゃんにお任せしつつ一時間半くらいに出来上がり、久々に手作りを三人で食べることになった。無論パンは手渡しだ。
 うん、我ながら美味しい。
 お爺ちゃんもタキちゃんも目を輝かせて食べている。
 ホッとしつつ食べ終わると、もっと食べたそうにしていたが「これは移動の為の食事です。就職出来たら沢山食べさせます」と言うと我慢してくれることになった。
 その代わり、食後のデザートにとチョコレートを二匹に上げると喜んでいた。


「は――!! こりゃうまいのう!」
「アマーイ!」
「夜足りない時はそれで我慢してくれる?」
「イイヨ!」
「うむ、フェアリードラゴンは甘い物が好きでな」
「そうなのね、ハチミツとか?」
「そうじゃな、ハチミツはたまらんなぁ」


 こうしてお布団に入り、今日は早めに眠りについた。
 傍に二匹がいると安心出来てグッスリ眠り、早朝起きると身支度をし、ショルダーバックを肩にかけ、草履だったのを靴下履いてブーツにし冒険者ギルドへと入って行く。
 従魔がいるからか視線が痛かったが、受付で「ダンさんにご連絡を」と伝えると奥の応接室へと案内された。
 するとそこには幾つかの袋が並んでいて――。


「おお、来たか」
「おはようございます。お金を受け取りに来ました」
「おう、この袋がそうだな。この世界は金貨が一番上なもんで数が増えるのは許してくれ。金払いが苦手な人は宝石とかで片付ける人もいるけどな! 豪快なもんだよなぁ」
「金塊でも払えるんですか?」
「払えるな。寧ろ高い金を払う時は金塊で払うって人の方が多いぞ」
「へぇ」


 良い事を聞いた。
 家を建てる時はそうしよう。
 こうして三日間の合計で2万6500金貨を受け取り、それをアイテムボックスに入れていく。


「確かに頂きました。ありがとう御座います」
「それだけの大金があればダイヤの国なら四人家族が三か月は自由に暮らせるぞ」
「三か月かー」
「ま、ユリの事だ。もっともっと稼げるだろうけどな。っと、そろそろ馬車が来るぞ」
「あ、馬車は何処ですか?」
「とっ、これも持って行け」


 そう言うと冒険者カードを受け取り、「手をかざせ」と言われたのでかざすと、私の冒険者ギルド用カードが出来上がった。身分証明書だ。


「再発行は金が掛かるからな? 気を付けろよ」
「ありがとう御座います!」
「よし、馬車まで案内する!」


 こうしてバタバタとギルマスと走り馬車まで向かうと、人数はそこまで多くなかったが乗る事が出来た。
 お爺ちゃんは膝の上に、タキちゃんは頭の上だ。


「ダンさん色々ありがとう御座います」
「おう、気を付けてな」
「はい!」
「この馬車は魔物避けがされてある。魔物に会う事は無いが気を付けろ」
「分かりました」
「では改めて。良い旅を!」
「ありがとう御座います!」


 こうして馬車は動き出し、私たちは【金の国シャース王国】から、隣の国にある【宝石の国ダイヤ王国の王都ダリルシェイド】を目指す。
 その五日間の旅は結構あっと言う間で――。


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