大好きな幼馴染みが僕に冷たい

桜羽根ねね

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後編

きゅう

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「(幻覚かな……?)」

 逆さまになっている視界で扉の方を眺めれば、長身で頭からすっぽりローブを被った魔族がいた。ミラくんと同じくらいの身長だ。隣には、やけに露出の高いドレスを着た女鬼の姿。仮面をつけていても、その青髪には、見覚えがあった。

「ほら、見たかったんでしょ、レルル様のコレクション。自分の立場も分かってないザコ淫魔にはお似合いすぎ」
「…………」
「うわ、家畜扱いされてるじゃん。家畜より役に立たないのに贅沢だよね~」
「…………」

 やだ。
 いやだ。
 こないで。

 ミラくんには、こんな姿見られたくなかった。ミラくんに、また、あんな目で見られたら。冷たい言葉を浴びせられたら。身体の前に、心が死んでしまう。

 それなのに、逃げられない。震えるおちんちんも、スライムが詰まって開きっぱなしのおまんこも全部晒したまま、動く術がない。

「ちょっと、折角パパのコネ使って同伴してあげてるんだから何か反応し……っぶぁ!?」

 一瞬、何が起こったのか分からなかった。

 ドォン、と激しく鳴り響いた音の方に視線を向ければ、女鬼が壁に叩きつけられて、鼻血を出しながら伸びていた。

 屋敷の中がざわめき出して、僕も何が何だか分からなくて……。

「………………ムム」

 ……気がついた時には、瓦礫と化した屋敷の中心で、ミラくんに抱きしめられていた。

 僕を取り込んでいたスライムは、足元で細かく千切れている。そこかしこから聞こえてくる呻き声からして、集まっていた魔族達は死んではいないようだけど、時間の問題のようにも感じた。遠くから魔警察の羽音が聞こえてくる中、僕はミラくんの匂いに浸ることしか出来ない。

「……けほっ、ミラ、くん……」
「悪かった……っ。下等なんて、低級なんて思ってない。俺の力でムムを壊してしまいそうになるのが怖かった。臆病で、ごめん。冷たい態度を取って、ごめん。権力だけはあるクソ女に目をつけられたムムが、酷い目にあうのが嫌だった。何度謝っても足りない。許してくれなくていい。すまない、ムム……っ」

 辺り一面を更地に出来てしまう程の鬼族の力があるのに、僕を抱きしめる力はすごく弱い。
 だから、涙声で謝罪を繰り返すミラくんを、僕の方から強く抱きしめた。

「僕、簡単に……壊れないよ。ミラくん、助けにきてくれてありがとう」
「……っ、ムム……!」

 ああ、すごい、夢みたいだ。
 まるで恋人みたいに頬を擦り寄せてくれるなんて。

 でも、大丈夫だよミラくん。

 僕はもう身の程を知ったし、無理強いもしないから!
 だから、低級でも下等でも……、幼馴染みとして友達に戻れたら、それだけで嬉しいんだ。
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