絶頂快楽ランド

桜羽根ねね

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肆:ふるえるメリーゴーランド

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 シャワー室でベガにも僕と同じ羞恥を味わってもらった後、綺麗に身体を洗ってさあ早く服を着ようと思ったら。

「服が……ない……?」
「おいコラどこに隠しやがった!?」
「服の代わりにタオルが置いてあるが……これを巻けということか?」
「くそっ、ふざけやがって……!」

 いつまでも全裸でいるわけにはいかないから取り敢えずタオルを腰に巻いて、唯一なくなっていなかった靴を履く。風呂上がりの格好のようになってしまったが、何も身に着けていないよりかはマシだ。

「…………で?次はどうすんだよ。どっちもやばそうなニオイしかしねぇけど」
「そうだな……。先にあのメリーゴーランドを終わらせてしまうか」
「……あれか」
「そんな渋い顔をするな。乗るのは僕一人で充分だ」
「はぁ!?何言ってんだお前!」
「なんだ、お前も乗るつもりでいたのか?……だが、一度も後ろに挿れられた経験のないお前に、アレは辛すぎると思うぞ」
「っ……、……けど、お前だけに辛ェ思いさせるわけにはいかねぇだろ」
「……さっきは僕の痴態を見て楽しんでいた癖にな」
「だ、だから、悪かったって謝ってんだろーが!」

 そんなことを騒ぎながら、目的地へと歩いていく。
 ……ここに閉じ込められてから、一番始めに見つけたアトラクション。
 『絶頂バイブゴーランド』という名のそれを改めて目にした時、僕は固めた決意がぐらりと揺らぐのを感じた。

 今は馬の動きも鞍に刺さった玩具の動きも止まっているが、……止まっているからこそ、その凶器を余計に生々しく感じてしまう。
 大きさも色々、形も色々、イボがついている物まである。

「……ほんとに、大丈夫か?」
「ああ。……だが、その、いきなり挿入するのは怖いから…………、ベガが慣らしてくれないと、無理かもしれない」
「っ……、そのくらい、こっちから進んでやってやるよ」

 カウンターに置いてあったローションを遠慮なく手に取ったベガが、僕に四つん這いになるよう指示してくる。
 これはこれで恥ずかしいが、致し方ない。……自分で慣らせたらいいのだろうが、今の僕にはまだ怖くて出来ないからな。

 タオルを捲られて尻を露出させられると、手の平で温められたローションが垂らされた。相変わらずこの感覚には慣れそうにない。
 ベガの指が後孔をなぞるように動いて、気紛れにほんの少しだけ指先を埋め込んでくる。

「っあ……♡」
「……挿れるぞ」
「……ん、おねが…………ひゃっ!」

 つぷり、と第一関節まで挿れられた指が入口を執拗に擦ってくる。後孔でも簡単に快感を拾えるようになってしまった身体は、痛みさえも快楽に変えてしまう。そのままぐっと指を埋め込まれて、ぐにぐにと腸壁を弄られる。

「ふぁっ!あ、あぁ……♡んっ、そこぉ……!」
「……はっ、可愛い反応」

 二本目、三本目と挿れられた指がバラバラに動いて僕を責め立ててくる。前立腺は避けているのか一度も当たっていない……が、気持ちいいことに変わりはない。

 身体を支えることが出来なくなってくたりと上半身の力を抜くと、腰を高く上げた浅ましい格好になってしまった。これではまるで「もっと」と望んでいるようではないか。

 ぐちゅぐちゅと後孔から響く水音が大きくなっていく。時々指でくぱりと割り開かれると、空気が入ってくるのを感じてぞくりとしてしまう。

 …………どれだけの時間、そうされていただろう。ベガの指がくちゅりと抜かれた時には、僕の後孔も思考もドロドロにとろけきっていた。……それと、後ろだけで射精してしまった。

「はぁ……、っふ、……はあ…………♡♡」
「……立てるか、シリウス」
「ん……♡」

 ベガに支えられながら、快感に酔った身体を奮い立たせる。今からが、正念場だ。

「……はは、ベガの、勃ってるな。……僕で、興奮したか?」
「っせ。……後で絶対ヤるからな」
「…………ああ」

 ムードもへったくれもない台詞だが、僕は頬を紅潮させたまま頷いた。

『──絶頂バイブゴーランドへようこそ!ネコの子は好きな馬に乗ってね!バイブが大きい程早い時間で終わるよ!だけどもしイっちゃったら罰としてタチの子にも馬に乗ってもらうよ!』
「……へぇ、上等じゃん」
「安心しろ、ベガ。さっき……し、射精したし……、これでも我慢するのは得意、だからな」
「…………んなトロットロな顔で言われても説得力ねぇっての。俺は平気だからさ、無理すんなよ」
「……分かった。行ってくる、ぞ」

 バイブが大きい程早く終わる。その言葉を信じるなら、大きいに越したことはない。

 ……この中で一番大きいバイブはすぐに見つかった。というか、馬自体が異様すぎる。初めに乗った観覧車が思い出されてしまう、スケルトン仕様。鞍から飛び出しているバイブはえげつない程太く、既にローションがかかっているのか黒く妖しく光っていた。

「っ、おい、シリウス!?無理すんなって言っただろ!」

 柵の向こう側から慌てたようなベガの声が聞こえてくる。僕が乗ろうとしている馬に気付いたのだろう。その顔は面白いくらいに蒼白だ。

 無理はしていない、と笑いかけ、僕はスケルトンの馬へと足をかける。バイブを避けて鞍に跨がろうとした瞬間、タオルがはらりと落ちてしまったが拾いに行くのも面倒だ。

 恥ずかしい気持ちをぐっと堪えて、目の前のポールにしがみつきながら腰を上げる。解れきった後孔をバイブにぴとりと当てて少しずつ飲み込ませていく。

「……っん……!」

 一番太い所までゆっくり挿入した後は、ずぷずぷと腰を落としていくことが出来た。異物感が半端ないし大きくて息が詰まるが、これからが勝負所だ。

 どれだけ気持ちよかろうが痛かろうが喘ごうが、イくのだけは絶対に駄目だ。
 汗ばんだ手でぎゅっとポールを握り直したと同時に、軽快な音楽と共にアトラクションが動き始めた。

「っふ、ああぁ……っ♡」

 奥まで入っていたバイブが水音を立てながらゆっくり抜けていく。抜けたと思ったら今度は一気に奥まで突かれ、狙ったかのように前立腺をごりっと刺激された。

「ひっ♡ん、ああああぁ!!!」

 その衝撃でとぷりと先走りが溢れてしまったが、イってはいないことにほっとする。……これがあと、何回続くんだ…………?

 とにかく、イったら終わりだというのならイかないようにしてしまえばいい。
 またぐぷぐぷと抜けていくバイブに喘ぎながら、僕は再び勃起しかけているペニスの根元を痛いくらいに握りしめた。

「う、っあ、ああぁん!!」

 ずちゅ、と奥を突いてきた雷のような刺激に、目の前がチカチカと明滅する。強く握った手を動かして、扱いて、恥も外聞もなくイってしまいたい。そんな衝動を必死に抑えて、ただひたすら無慈悲に与えられる責め苦を耐え抜く。

 ──そして。
 数回目のピストンが終わった後、ようやくアトラクションの動きが止まった。数は確かに少なめだが、あまりにも長く辛い時間だった。

 イく寸前で止まっている性器からは先走りがとめどなく溢れていて、たぷりと質量を持った袋をしとどに濡らしていた。

 バイブがぬちぬちと音を立てながら抜けていくと同時に、僕は弛緩した身体をぐったりと馬に預けた。身体中を巡る熱と、きゅうきゅう疼く後孔の所為で上手く力が入らない。

「っべ……、べ、が…………」
「シリウス!」
「……ベガぁ…………♡」

 走り寄って手を広げてくれたベガに甘えて、ゆっくり身体を預ける。
 そのまま横抱きにされてしまって、恥ずかしいと思うより先に安堵してしまった。ベガの体温をもっと感じたくて胸に擦りよると、僕を抱く手にぐっと力がこもった。

「……すぐに楽にしてやりてぇけど、悪ぃ。時間がねぇんだ」
「…………時間?」
「『最後のアトラクションは5分以内に乗らないと今まで乗った分が全部無効』……だとよ。今のお前を走らせるわけにはいかねぇし、このまま急ぐぜ」

 そんなバラエティーのようなことは望んでないのに。

 最後まで鬼畜な指示を出す謎の音声を恨みながら、僕はベガの言葉に甘えて身を任せることにした。
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