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第一部:婚姻編
⑬栗梅色スケアード
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「ぎゃあああああああ!!!無理無理無理無理!!来ないで!!お願いします来ないでください!!!ごめんなさいいいい!!!!!」
「もーっ、逃げないでよ!絶対アタシの嫁になってもらうんだから!」
場の空気というものは、ガラッと変わってしまうもので。
悲鳴をあげて逃げ惑う栗梅くんを追っているのは、ゴーストだ。足がなくて、肌も青白くうっすら透けている。だけど、その容姿はびっくりするくらい整っている。彫りが深くて外人みたいだ。声はハスキーでかっこいいのに、口調が女性みたいだからか混乱してしまう。
彼は、銅鐘くんとスケルトンの透明契りが始まってから、そう間もないうちに現れた魔族だ。真っ先に悲鳴をあげたのが栗梅くんで、幸か不幸かゴーストはそんな彼のことを気に入ってしまった。
「無理だってば!!俺みたいな臆病者より、もっと他の……っ、怖がらない奴がいいだろ!?げほっ、ほ、ほらっ、あいつとか!!」
逃げ惑いながら栗梅くんが指差したのは、なんと僕だった。走っているうちに近くに来ていたからだろうけど、いきなり指名された身としては突然すぎて言葉が出ない。
ゴーストは僕にチラリと視線を向けたけど、近寄ってくることはなかった。寧ろ……、何だろう、どこか呆れたような表情を浮かべている。
「無理よ。アタシ、死にたくないもの」
……?
馬鹿にされた……わけでもなさそうだけど、死にたくないって何なんだろう。ゴーストジョーク?
…………あ、もしかして、横にくっついて寝ている悪魔の嫁だって勘違いされてる、とか?違うけど、それならそのまま勘違いしてもらった方がよさそうだ。……ちょっと、恥ずかしいけど。
「そうじゃなくても、アタシはアンタを嫁にしたいの。それ以外の人間なんて眼中にないわ」
「ひ、ひいぃっ!っ、へぶっ!」
「あら、転んじゃって……大丈夫?怪我はない?」
「う、あ……、く、くるな、こないで……!」
転んでしまった栗梅くんが、震える身体でじりじり後ずさろうとするけど、ゴーストが詰め寄る方が早かった。あまりの恐怖にぼろぼろ泣き出してしまった栗梅くんは……、下からも、別の液体を漏らし始めてしまった。
「あ……、あぁ……、み、るな……、こんな、……っっ」
音は控えめだけど、どんどん股間が濃く染まっていって、床にじわじわと広がっていく。失禁の恥ずかしさとゴーストの怖さとで、栗梅くんは泣きながら赤くなることしか出来ないようだった。
ゴーストはそんな彼を心配そうに見つめる……わけでもなく、頬に手を当てて恍惚とした表情を浮かべていた。
「うふふ……♡思った通り、可愛い泣き顔……♡」
まるで美味しい御馳走を目の前にしたかのような表情に、思わず変な汗が出てしまう。栗梅くんはまさかそんなことを言われるとは思っていなかったようで、更に涙腺が決壊していた。上も下も洪水状態だ。
「アタシってこんな見た目でしょ?だから誰も怖がってくれないの。その影響かしら、怯えた可愛い泣き顔がたまらなく愛しいのよ」
「う、ううう……、やだ、こわい、こないで、くださ……っ」
「震えて怖がっておもらしまでしてくれるなんて、やっぱりアタシの嫁は最高ね」
「ひぐっ、う、あ、んんっ♡」
透けた指先で栗梅くんの顎をくいっと上向かせたゴーストは、その濡れた唇をそっと塞いだ。幽霊でも人に触れることは出来るんだな。というか、こんなことをされたら栗梅くんは恐怖で気絶しちゃうんじゃ……?
「んっ、う。ちゅ……、ふ、あ?……さわ、れる?」
そう思ったけど、彼は涙を湛えた瞳を瞬かせながらゴーストの手に自分の手を重ねた。びくびくと肩を震えさせながら、その感触を確かめるように何度もなぞっていく。それどころか、自分から唇を寄せて何度も軽いキスを始めてしまった。
はらはらと零れ続けていた涙が止まって、あれだけ震えていた身体も次第に落ち着きを取り戻して──、気が付けば、夢中になってゴーストにキスを仕掛ける栗梅くんがそこに居た。
「ん♡んちゅ♡ふ、んうっ♡」
「ちょ、んむ、まち、なさいっ。もう、人が変わったようにがっつきすぎよ」
今度は、離れようとするゴーストを栗梅くんが引き留める番だった。透けている髪を撫でつつ後頭部を引き寄せて、むちゅむちゅと何度も擦りつける。覚えたての遊びを繰り返す子供のように、無邪気なキスを続ける栗梅くん。泣いて逃げていたのが嘘みたいだ。
「はぅ、ん♡もっと、ちゅう♡ん♡もっとぉ♡」
「ん~……♡求めてくれるのは嬉しいけど、アタシのこと怖いんじゃなかったの?」
「こ、こわい、けど♡ちゅう、してる時は怖くない、から♡」
そう言ってふんにゃりと微笑んだ彼を前にして、ゴーストの顔から表情が消えた。美人の真顔は結構怖い。
「は?なに、その顔。泣き顔より唆るんだけど」
「んっ、ふ、あっ!?うっ、浮い、てるっ!?」
「ポルターガイストの応用よ。そんなに怯えなくても落とさないから安心なさい。ほら、ちゅーしてあげる」
「む、ぅっ♡ん♡こわく、ない♡」
「うふふ……、嬉しい誤算だわ。たっぷり愛して気持ち良く溶かしてあげる」
抱き締められてふわふわと宙に浮いた栗梅くんの様子は、ここからだと上手く見えない。
だけど、ゴーストの力で裸に剥かれるのも、両腕と両足をがっしり絡めて深いキスを始めたのも、空中で契りが始まったのも見えてしまった。……足はないけど、ゴーストのおちんちんがしっかり存在しているのも。
「(あんなの、挿れられたら……)」
うっかり想像しそうになって、慌てて首を振った。こんな僕を相手にする魔族なんて、まず居ないのに。羨ましい……なんて、少しも思ってない、うん。
「もーっ、逃げないでよ!絶対アタシの嫁になってもらうんだから!」
場の空気というものは、ガラッと変わってしまうもので。
悲鳴をあげて逃げ惑う栗梅くんを追っているのは、ゴーストだ。足がなくて、肌も青白くうっすら透けている。だけど、その容姿はびっくりするくらい整っている。彫りが深くて外人みたいだ。声はハスキーでかっこいいのに、口調が女性みたいだからか混乱してしまう。
彼は、銅鐘くんとスケルトンの透明契りが始まってから、そう間もないうちに現れた魔族だ。真っ先に悲鳴をあげたのが栗梅くんで、幸か不幸かゴーストはそんな彼のことを気に入ってしまった。
「無理だってば!!俺みたいな臆病者より、もっと他の……っ、怖がらない奴がいいだろ!?げほっ、ほ、ほらっ、あいつとか!!」
逃げ惑いながら栗梅くんが指差したのは、なんと僕だった。走っているうちに近くに来ていたからだろうけど、いきなり指名された身としては突然すぎて言葉が出ない。
ゴーストは僕にチラリと視線を向けたけど、近寄ってくることはなかった。寧ろ……、何だろう、どこか呆れたような表情を浮かべている。
「無理よ。アタシ、死にたくないもの」
……?
馬鹿にされた……わけでもなさそうだけど、死にたくないって何なんだろう。ゴーストジョーク?
…………あ、もしかして、横にくっついて寝ている悪魔の嫁だって勘違いされてる、とか?違うけど、それならそのまま勘違いしてもらった方がよさそうだ。……ちょっと、恥ずかしいけど。
「そうじゃなくても、アタシはアンタを嫁にしたいの。それ以外の人間なんて眼中にないわ」
「ひ、ひいぃっ!っ、へぶっ!」
「あら、転んじゃって……大丈夫?怪我はない?」
「う、あ……、く、くるな、こないで……!」
転んでしまった栗梅くんが、震える身体でじりじり後ずさろうとするけど、ゴーストが詰め寄る方が早かった。あまりの恐怖にぼろぼろ泣き出してしまった栗梅くんは……、下からも、別の液体を漏らし始めてしまった。
「あ……、あぁ……、み、るな……、こんな、……っっ」
音は控えめだけど、どんどん股間が濃く染まっていって、床にじわじわと広がっていく。失禁の恥ずかしさとゴーストの怖さとで、栗梅くんは泣きながら赤くなることしか出来ないようだった。
ゴーストはそんな彼を心配そうに見つめる……わけでもなく、頬に手を当てて恍惚とした表情を浮かべていた。
「うふふ……♡思った通り、可愛い泣き顔……♡」
まるで美味しい御馳走を目の前にしたかのような表情に、思わず変な汗が出てしまう。栗梅くんはまさかそんなことを言われるとは思っていなかったようで、更に涙腺が決壊していた。上も下も洪水状態だ。
「アタシってこんな見た目でしょ?だから誰も怖がってくれないの。その影響かしら、怯えた可愛い泣き顔がたまらなく愛しいのよ」
「う、ううう……、やだ、こわい、こないで、くださ……っ」
「震えて怖がっておもらしまでしてくれるなんて、やっぱりアタシの嫁は最高ね」
「ひぐっ、う、あ、んんっ♡」
透けた指先で栗梅くんの顎をくいっと上向かせたゴーストは、その濡れた唇をそっと塞いだ。幽霊でも人に触れることは出来るんだな。というか、こんなことをされたら栗梅くんは恐怖で気絶しちゃうんじゃ……?
「んっ、う。ちゅ……、ふ、あ?……さわ、れる?」
そう思ったけど、彼は涙を湛えた瞳を瞬かせながらゴーストの手に自分の手を重ねた。びくびくと肩を震えさせながら、その感触を確かめるように何度もなぞっていく。それどころか、自分から唇を寄せて何度も軽いキスを始めてしまった。
はらはらと零れ続けていた涙が止まって、あれだけ震えていた身体も次第に落ち着きを取り戻して──、気が付けば、夢中になってゴーストにキスを仕掛ける栗梅くんがそこに居た。
「ん♡んちゅ♡ふ、んうっ♡」
「ちょ、んむ、まち、なさいっ。もう、人が変わったようにがっつきすぎよ」
今度は、離れようとするゴーストを栗梅くんが引き留める番だった。透けている髪を撫でつつ後頭部を引き寄せて、むちゅむちゅと何度も擦りつける。覚えたての遊びを繰り返す子供のように、無邪気なキスを続ける栗梅くん。泣いて逃げていたのが嘘みたいだ。
「はぅ、ん♡もっと、ちゅう♡ん♡もっとぉ♡」
「ん~……♡求めてくれるのは嬉しいけど、アタシのこと怖いんじゃなかったの?」
「こ、こわい、けど♡ちゅう、してる時は怖くない、から♡」
そう言ってふんにゃりと微笑んだ彼を前にして、ゴーストの顔から表情が消えた。美人の真顔は結構怖い。
「は?なに、その顔。泣き顔より唆るんだけど」
「んっ、ふ、あっ!?うっ、浮い、てるっ!?」
「ポルターガイストの応用よ。そんなに怯えなくても落とさないから安心なさい。ほら、ちゅーしてあげる」
「む、ぅっ♡ん♡こわく、ない♡」
「うふふ……、嬉しい誤算だわ。たっぷり愛して気持ち良く溶かしてあげる」
抱き締められてふわふわと宙に浮いた栗梅くんの様子は、ここからだと上手く見えない。
だけど、ゴーストの力で裸に剥かれるのも、両腕と両足をがっしり絡めて深いキスを始めたのも、空中で契りが始まったのも見えてしまった。……足はないけど、ゴーストのおちんちんがしっかり存在しているのも。
「(あんなの、挿れられたら……)」
うっかり想像しそうになって、慌てて首を振った。こんな僕を相手にする魔族なんて、まず居ないのに。羨ましい……なんて、少しも思ってない、うん。
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