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ミステリー恋愛ゲームの犯人役になったけど殺人なんてしたくないので推しの主人公探偵を抱こうと目論んでいたら抱かれていた話
その①
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ハッピーエンドを目指すおはなし
ミステリー恋愛ゲームの美形主人公×ツッコミ気質なぽんこつ平凡
*****
スマホは圏外、他に外部と連絡を取れる手段もなし、外は嵐でこの洋館から出ることすら難しい、咲き誇る向日葵は頭を垂れて、密室そのものと化してしまった孤島、それがここ……乱潮島(みだれしおじま)だ。
まるで今から殺人事件でも起こりそうな舞台だが、実際に起きることを俺は知っている。
なぜならそう、ここがミステリー恋愛ゲーム『向日葵の宴』の世界だからだ。推理要素に恋愛を絡めたもので、ルートによって殺されるキャラが変わってくる。だから攻略しようとしたキャラが途中で死んでしまうこともザラにあった。
俺はプレイしていないが、兄貴がプレイしているのを見てたからな。ざっくりとした流れぐらいは分かる。そしてどうやら俺は、そんな向日葵の世界の犯人役になってしまったみたいだ。
「折角の旅行が台無しだな。娯楽室もあるようだけど、君はどうする?」
「あー、そういうお前こそどうするんだ?」
「僕は暫くここで読書でもしておくよ」
「そっか。なら俺もそうするわ」
「君が?嵐でも来そうだね。ああ、もう来てるか」
普段はクールな表情なのに、小さく苦笑するその姿に、思わず胸がギュンと高鳴る。
犯人役である俺の親友、そして対をなす探偵役、このゲームの主人公。ミステリアスな銀髪と紫の瞳に、冷静沈着な性格かつ何事もスマートにこなしてしまう星野カルム。そんなカルムと違って、俺は鈍臭くてよく怪我をしてしまう。その度に、秘薬だよと言って飲み物をくれるんだよな。美味いそれを飲むと怪我の治りが早いから、俺が知らないだけでそういう回復アイテムがゲームにあったのかもしれない。
そんな優しく妖しいカルムこそ、何を隠そう俺の推しだ。兄貴が攻略しようとしていた美少女キャラより、俺はカルムの方が気になって仕方がなかった。そのクールな顔がとろとろに溶けるところを見たい、女キャラのシャワシーンはいいからカルムの入浴スチルを見せろと常々思っていたくらいだ。
だから、犯人役とはいえ親友ポジの『隼人』として転移?転生?出来たのは僥倖でしかない。俺は殺人なんてせずに、カルムとラブラブな恋愛ルートを歩んでやる!
そうと決まれば、まずは状況整理だ。
ゲームでの俺『隼人』の殺人動機は、カルムへの嫉妬。表面上は良い親友を演じて、時にはカルムを手助けするようなこともしていたけど、心の中では推理力の高いカルムへの憎悪と嫉妬心で満ちていた。
実は『隼人』はとある名探偵の息子で、本人はそれはもう勉学からスポーツまで努力して頑張ってきたわけだ。
それなのに、世界を飛び回る隼人の親……名探偵は、隼人の頑張りを少しも見やしない。その上、外国で出会ったカルムのことを弟子にして連れ帰ってくる始末。
隼人の子供心はそれはもう荒れに荒れ狂ったと思う。それでも表面上は良き親友として同じ家で育ってきて、嫉妬心もどんどん膨らんで、ついにこの孤島でカルムへの復讐を決めたわけだ。
殺される女キャラ達は完全にとばっちりの巻き込まれ。完全犯罪をカルムに見せつけるための、言わば舞台装置でしかなかった……ってのが、このゲームの真相だ。
隼人関連のバッドエンドは複数あって、隼人がカルムを殺すもの、隼人がカルムから殺されるもの、カルムの手で殺させて殺人犯にするもの……もちろんこんなエンドになんて絶対させない。
俺はカルムとラブラブ親友エンドを目指すんだからな。あわよくば恋人がいいが、流石にそこまでは無理だろう。
美少女達には嫌悪感を抱かれないように親しく接してきた。ゲームの舞台が始まる前から交流があるとは思わなかったけどな。今はそれとなく誘導して別のところに行ってもらってる。
……よし、だいぶ読書時間も過ぎたしそろそろ頃合いなんじゃないか?
何でもない風を装って、そういえばと話しかける。
「1階に大浴場があるの知ってるか?」
「ああ。一通り部屋を確認した時に見たよ。露天風呂もあるみたいだね。嵐だからそっちは無理そうだけれど」
「そうそう。でさ、この後一緒に入りに行かないか?」
女キャラとの混浴イベントが発生する前に、俺がカルムの裸を拝んでやる。ドキドキしながら返事を待つと、何故かカルムからじっと見つめられた。なんだ……?まさか邪まな考えがバレてる?
「いいよ。僕も気になってたし」
「そ、そっか。じゃあ後でな」
別に、おかしなとこはなかったよな?親友だし、裸の付き合いくらいしても怪しまれないはず。
若干ビビったところはあれど、カルムと二人きりで温泉だ。じっくり見ないと損だよな!
*****
ミステリー恋愛ゲームの美形主人公×ツッコミ気質なぽんこつ平凡
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スマホは圏外、他に外部と連絡を取れる手段もなし、外は嵐でこの洋館から出ることすら難しい、咲き誇る向日葵は頭を垂れて、密室そのものと化してしまった孤島、それがここ……乱潮島(みだれしおじま)だ。
まるで今から殺人事件でも起こりそうな舞台だが、実際に起きることを俺は知っている。
なぜならそう、ここがミステリー恋愛ゲーム『向日葵の宴』の世界だからだ。推理要素に恋愛を絡めたもので、ルートによって殺されるキャラが変わってくる。だから攻略しようとしたキャラが途中で死んでしまうこともザラにあった。
俺はプレイしていないが、兄貴がプレイしているのを見てたからな。ざっくりとした流れぐらいは分かる。そしてどうやら俺は、そんな向日葵の世界の犯人役になってしまったみたいだ。
「折角の旅行が台無しだな。娯楽室もあるようだけど、君はどうする?」
「あー、そういうお前こそどうするんだ?」
「僕は暫くここで読書でもしておくよ」
「そっか。なら俺もそうするわ」
「君が?嵐でも来そうだね。ああ、もう来てるか」
普段はクールな表情なのに、小さく苦笑するその姿に、思わず胸がギュンと高鳴る。
犯人役である俺の親友、そして対をなす探偵役、このゲームの主人公。ミステリアスな銀髪と紫の瞳に、冷静沈着な性格かつ何事もスマートにこなしてしまう星野カルム。そんなカルムと違って、俺は鈍臭くてよく怪我をしてしまう。その度に、秘薬だよと言って飲み物をくれるんだよな。美味いそれを飲むと怪我の治りが早いから、俺が知らないだけでそういう回復アイテムがゲームにあったのかもしれない。
そんな優しく妖しいカルムこそ、何を隠そう俺の推しだ。兄貴が攻略しようとしていた美少女キャラより、俺はカルムの方が気になって仕方がなかった。そのクールな顔がとろとろに溶けるところを見たい、女キャラのシャワシーンはいいからカルムの入浴スチルを見せろと常々思っていたくらいだ。
だから、犯人役とはいえ親友ポジの『隼人』として転移?転生?出来たのは僥倖でしかない。俺は殺人なんてせずに、カルムとラブラブな恋愛ルートを歩んでやる!
そうと決まれば、まずは状況整理だ。
ゲームでの俺『隼人』の殺人動機は、カルムへの嫉妬。表面上は良い親友を演じて、時にはカルムを手助けするようなこともしていたけど、心の中では推理力の高いカルムへの憎悪と嫉妬心で満ちていた。
実は『隼人』はとある名探偵の息子で、本人はそれはもう勉学からスポーツまで努力して頑張ってきたわけだ。
それなのに、世界を飛び回る隼人の親……名探偵は、隼人の頑張りを少しも見やしない。その上、外国で出会ったカルムのことを弟子にして連れ帰ってくる始末。
隼人の子供心はそれはもう荒れに荒れ狂ったと思う。それでも表面上は良き親友として同じ家で育ってきて、嫉妬心もどんどん膨らんで、ついにこの孤島でカルムへの復讐を決めたわけだ。
殺される女キャラ達は完全にとばっちりの巻き込まれ。完全犯罪をカルムに見せつけるための、言わば舞台装置でしかなかった……ってのが、このゲームの真相だ。
隼人関連のバッドエンドは複数あって、隼人がカルムを殺すもの、隼人がカルムから殺されるもの、カルムの手で殺させて殺人犯にするもの……もちろんこんなエンドになんて絶対させない。
俺はカルムとラブラブ親友エンドを目指すんだからな。あわよくば恋人がいいが、流石にそこまでは無理だろう。
美少女達には嫌悪感を抱かれないように親しく接してきた。ゲームの舞台が始まる前から交流があるとは思わなかったけどな。今はそれとなく誘導して別のところに行ってもらってる。
……よし、だいぶ読書時間も過ぎたしそろそろ頃合いなんじゃないか?
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「ああ。一通り部屋を確認した時に見たよ。露天風呂もあるみたいだね。嵐だからそっちは無理そうだけれど」
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女キャラとの混浴イベントが発生する前に、俺がカルムの裸を拝んでやる。ドキドキしながら返事を待つと、何故かカルムからじっと見つめられた。なんだ……?まさか邪まな考えがバレてる?
「いいよ。僕も気になってたし」
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