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第六章 魔神討伐・神々の業
105 波乱の入学試験
しおりを挟むステファンとマリーさんとの念話で、準備が整ったことを聞いた。コルドヴァでののんびりとした日常を寂しく思いながら、西にあるバルドリード公国へとアリアの転移で移動する。
『公国』とは貴族が支配・統治・君臨する国家のことだ。世襲制による王国より自由度の高い政治体制となる。というのも公国においては、複数の貴族の家系が代わる代わる国を治めることも可能だからだ。血の繋がりを重要視する『皇国』や『王国』と比べると、どの貴族にも国を治めるチャンスがあるという意味で『自由』だと言えるが、この国はバルドリード家による統治が続いているらしい。貴族が治めている貴族国家のため、世界中から貴族・王族の子息がそのノブレス・オブリージュの精神や、魔法や剣の英才教育を受けに来るというちょっとした特別機関がアリア商会によって設立されている。表向きは公国の運営だが、資金援助などは商会がサポートしている。
まあぶっちゃけ国の成り立ちとかはどうでもいい。ここで魔神による事件が起こっている。それを阻止するのが俺達の役目で任務だ。
ファンタジーな造りの学院の門を抜けると、中世の巨大な宮殿の様な造りをした校舎の建物が出迎えてくれる。校庭には芝生のピッチや屋外鍛練場、豪華な中庭にカフェまである。お貴族様は贅沢でございますな。英国のパブリックスクールをイメージして貰うと分かり易いかも知れない。
王族貴族なら、ここで教育を受けるのが義務付けられているという、ここ半世紀での常識。学ばなければ増長する輩が出て来るしね。親が貴族だからって無駄に調子に乗る奴らもいるだろう。そういうのは即刻資格剥奪だが、先ずは学べということだ。貴族による国家がそんなにないし、この世界には爵位とかもない。横一列だ。
魔物の討伐や新しい土地を開墾すれば、英雄にもなれるし国家を作ることもできる。その道のりは険しいが、人によっては人生を懸ける価値があるのかも知れないな。俺にはよくわからんけど。
校舎の入り口に受付窓口があったので、そこで貴族カード(任務用の偽装)を提示し、案内して貰う。
「カラー姉妹様でございますね。クラーチ王とリチェスター都市長からお話は伺っております。学院長室へとご案内致しますね」
受付のお姉さんは今日来ることを知らされていたのだろう。テキパキと校長室へと案内される。都市長と残念王の名前を使ったのか、なるほどステファンやるなあ。王族からの紹介となれば迂闊な奴らは寄って来ないだろうし。舐められることもないだろう。まあ何処に行っても妬みややっかみはあるだろうけどね。絡まれたりもありそうだし気を付けるか。
長い廊下を渡って、学院長室へと案内される。さすがに広い。内部の造りも綺麗で豪華だ。こんな所にいると自分が偉くなったと錯覚しがちだ。さっさと任務を終わらせるに限るな。
「アヤ、アリア、何か気配は感じるか?」
「ううん、何だか靄が掛かったみたいで探知が上手く機能しないね。千里眼とか鷹の目はまだまともだけど、建物内だと使いにくいし」
「私もそうですね……。何かあるのは間違いないですが、靄が掛かった様な感覚です。間違いなくヤツの権能でしょう」
「二人共そうか。こっちも似た様なもんだ。何かあるのは間違いないけど」
「どうかされましたか?」
受付のお姉さんに怪訝な顔をされてしまった。こういう話は念話でした方がいいな。誰が聞いているかわからないし。
「あ、いえいえ何でもないです」
「はぁ、そうですか。何かあったらいつでも仰ってくださいね」
(こういう会話は念話でしよう。今みたいに怪しまれる)
(そうだね。これなら遠くにいても会話できるし)
(今のはカーズのミスですよー)
(わかってるよ、うるさいな)
アリアにツッコミされるとは……、俺もまだまだだな。そしてそんなやり取りをしている内に豪華な扉の校長室に着いた。受付のお姉さんがノックする。
「本日入学予定のカラー様方がいらっしゃいました。学院長、いらっしゃいますか?」
「ああ、いるよ。入ってくれ、メリム君」
「では失礼致します」
「「「失礼しまーす」」」
扉を開けて中に入ると、奥の大きなデスクと椅子に座っている壮年の男性が出迎えてくれた。左目にだけ眼鏡をかけた黒髪の渋いオッサンだ。俺の中身とそう違わない年齢か上くらいかな。鑑定、52歳か、かなり上じゃん。この世界の人は若く見えるな。種族は魔族と人間のハーフか。レベル900……、一般人にしてはやたら高いな。
Sランク冒険者並だ。ここを仕切ってるんだしそれなりに実力者ってことだな。
「では私はここで。何かありましたらお呼び下さい」
「うむ、ありがとうメリム君」
「あ、ありがとうございました」
「いえいえ、これからも何かあれば仰ってくださいね」
一礼すると受付のメリムさんね、彼女は出て行った。
「ふぅ、ではお掛け下さい。アリア様に、カーズ殿、アヤ姫」
「上手く猫を被っていますねー、マーティン。あの悪ガキが立派になりましたね」
学院長のデスクの前に設置してあるふかふかのソファーに向き合って座ると、アリアがそんなことを言った。
「ははは、いやいやこれもアリア様の御陰でございます。今回は此方の事件を解決して頂けるとか、感謝でございます」
「おい、アリアこの人も……?」
「私はマーティン・アストラリア。アリア様の神格を頂いた者です」
「なるほど、道理ですんなりと入れた訳だね。学院長、またお世話になります」
この人もエルザさんと同じ様な感じなのか。だったら回りくどいことをしなくても良かったのに。
「アヤ姫もご立派になられましたな。懐かしゅうございます」
「そっか、王族時代に通ってるんだもんな。でも学院長がアリアの眷属なら回りくどいことをしなくても直通で入れたんじゃないか?」
「いやいや、周りの目を欺かないといけないですし、知り合いだとバレると色々と注目されて動きにくくなりますからね。敢えてギルドを通したんです。マーティンの一存で決められるかもですけど、怪しいと思われるでしょー?」
「なるほどな、学院長の推薦とか逆に悪目立ちするし、事情を知らない人も沢山いるわけだし。やるじゃん、アリアのくせに」
「またバカにしてー。そうですよ、悪目立ちしない様に敢えて面倒な手続きを取ったんです。それに学院生活とか楽しそうじゃないですか」
「絶対そっちが本音だろ? 隠しきれてないぞ。まあ確かにこの世界の学院とか興味はあるけどさ」
「カーズは教師をしてたんだしね。興味はあるんじゃない? でも地球のとはかなり違うと思うけど」
「なるほど、カーズ殿は前世では教師を……。それは下手な授業はさせられませんな」
「いや、そんなにハードル上げなくて大丈夫です。それに文化体系が全然違うからやることも全然違うでしょうし。折角なので此方の文化を楽しみに学ばせて貰います。任務とは言え、ただの学生として入るわけですから。基本的にどういうことを指導しているんですか?」
この世界の常識を学ぶにはいい機会だし。
「騎士を目指す者や、宮廷魔導士を目指す者も多い。その為に剣と魔法の稽古や実技に、言葉遣いや作法なども指導しています。経済や世界の歴史なども学習内容に含まれていますね」
「かなり本格的ですね。楽しみになってきた」
「任務も忘れない様にしないとだけどね」
「ああ、そうそうマーティン。事件の詳しい情報を教えて下さい」
「ええ、わかりました……」
彼の話によると、ここ一月で七人の女生徒が数日行方不明になった後、妊婦状態で発見され、直ぐに出産が始まったとのことだ。そして産まれて来るのは動物や魔物。危険なので直ちに処置はしたらしいが、ショック状態の女生徒達は学院の医療機関で眠ったまま昏睡状態が続いているらしい。この後は直ぐ試験があるので、その後に彼女達の意識を回復させる必要がある。これは俺達の仕事だな。
「対象の生徒は1年が一人、2年、3年から三人ずつ。未だに意識は戻りません。衰弱しているので親元に帰すという訳にもいかず……。魔神が関わっているとなると、我々では太刀打ちできません。どうか犯人を斃して貰いたいものです……」
悲痛な表情で学院長が教えてくれた。前代未聞の出来事だろうしな。
「完全にあのローズルキー、ロキの仕業だろうな。産まれて来る子供が魔物や動物というのはあいつの特性だ。しかし、なぜこんな所でそんなことをしているんだ。同じ事件が起これば足がつく。あのずる賢さで有名なロキがそんな悪手を打つもんかな……? 若い女性から生命エネルギーでも吸っているんだろうか?」
「カーズ、悪魔のサキュバスなどが用いる魔術に性魔術というものがあります。性行為を利用して精気を奪う。そうやって自らの失った力を取り戻しているのでしょう」
「性魔術ね……。厄介極まりないな。それにヤツは女性にも変身できる。このままだと次は男子生徒も餌食になる可能性がある。それにロキが産んだらとんでもない怪物が生まれる可能性もある。スレイプニルにヘルなんていう化け物も確かロキが生み出したものだ。両方に気を配っていく必要がある。俺達はタイマンならまず負けない、仕掛けて来たときがチャンスだ。ひっ捕らえてやろう」
「周囲にもかなり気を配らないとマズいね。男女両方になれるのは厄介だけど……。学院長ここ最近でこの学院に配属された人とか、入学した生徒はいますか?」
アヤの質問に苦い顔をするマーティン学院長。
「いや、ここはアリア商会が人員を派遣して成り立っている。少なくとも最近で入って来たものはいない。今日到着のクラーチの騎士が二名程、えーとギグスにヘラルドですか。彼らも今日からの任務の援護ですしね」
あのコンビが派遣されて来るのか……、これはこれでちょっと厄介だな。
「ふむふむ、では職員は私が権能で確認しておきましょう。であれば生徒ですね」
「ええ、ですが生徒もここ最近では今回のアリア様達以外では入って来た者はおりません」
「一番厄介な奴だな……。生徒に成り代わっている可能性が一番高い」
「学院長、今の生徒数は?」
「各学年、1~3年までは100名ずつ。19、20歳の専門生は合わせて50名程度です」
「合計で350ですか……、一人ずつ確認するには骨が折れますね……」
アヤの言う通りだ、千里眼と鷹の目で一人ずつ確認していくにしても時間がかかる。現場を押さえるのが一番良いだろうな。さすがに何かが起これば探知に引っ掛かるはずだ。
「まあ、小難しいことは後で作戦会議しましょう。じゃあマーティン、試験よろしくお願いしますねー」
「はい、準備は整っております。ここからは偽名でお呼びしますね」
「はーい、アヤナ、カリナ、アストリア・カラーでお願いしますねー」
「よし、じゃあ言葉遣い、言葉遣い……。あ、あた、あたしはカリナ・カラーです。よーし……」
「噛んでるよ、カリナー。アハハ」
「大丈夫、本番は大丈夫!」
「ホントかなー?」
・
・
・
先ずはペーパーテスト。空いた教室で他の教員が見守る中で1時間のテストだ。語学や魔法、剣術の型、経済や歴史、道徳的な一般教養。大学の講義室の様な造りをした教室で三人離れた場所に座って筆記試験を受けた。前以てカンペを渡されて暗記していたのでまあ問題なし。ていうか、それがないと俺にはさっぱりだった。
だって数ヶ月前まで別の文化体系の中にいたんだからわかるはずがない。語学は言語理解のスキルで何とかなるけどね。二人は余裕で解いてたけど、なんか悔しい。まあ受からないと話にならないから仕方ない。そういうことにしておく。
次に校庭に出て、魔法と剣技の試験だ。魔法は校庭の一角に的がセットされた鍛練場みたいな場所で試験。離れた場所から的を魔法で射抜けば合格だ。ギルドの試験を思い出すな。あの時は普通の人の魔法がわからなくて派手にやらかしたもんな。的から20m程離れたラインの上から魔法を撃てばいいだけだ。
周囲のスタンドみたいな場所から生徒達が沢山集まって来ている。今日は休日らしいから、何処からか聞きつけた生徒達が見物に来たんだろう。学生だと転入生とか気になるもんだしね。今の恰好はいつもの冒険者服。俺は女性形態になったバトルドレスだ。これスカートだから足がスースーするんだよな。
バシュッ! ドンッ!
的に向けてほいっとファイアボールを指先から放つ。的を貫通して後ろの壁に魔法が撃ち込まれた。二人も無難に初級魔法を撃っていた。
「すげえ、見たかあの威力?!」
「しかも無詠唱なのに的を貫通したぞ!?」
「三人共超美人だし! 実力もとんでもないねー」
「それに撃つ前の溜めが全くなかったよ。いきなり魔法が発射された様に見えたわ」
学生達の声が聞こえる。しまった、いつも通り過ぎて詠唱とか忘れてた。アヤとアリアも『しまった』って顔をしている。まあいい、次に行こう。
そのままその場で剣術試験になった。そして木剣を渡される。上手く作ってあるなあ。初めて本物を握った。これなら軽く振るう分には大怪我させることはないだろう。相手はこの国の騎士団が務めるらしい。あんまり一方的にやるのは目立つ。適度に撃ち合って1本取ればいいかな?
バキィン!
「1本! 勝負アリ! 勝者アヤナ・カラー!」
「「「「「おおおおおおー!!!!!」」」」」
「何だあれ? すげえ動きだったぞ!」
「この国の騎士を倒しちゃうなんて……!?」
アヤのやつは手加減を忘れているな。斬りかかって来た相手をくるりと躱して背中に一撃。テンペスト・カウンターだよあれじゃあ。国の騎士を斬り伏せる16歳(設定)の少女とかエグすぎるだろ。
適当に撃ち合ってたら止めてくれるみたいなのになあ。アヤの負けず嫌いが爆発したな。
ガィーン! ドゴーン!
「1本! それまで! 勝者アストリア・カラー!」
「「「「「うおおおおおおっ!!!!!」
「マジかよ!?」
「とんでもない子達が入って来た!」
まあアリアはそういうやつだ。手加減とかできない。すれ違いざまに胴を鎧ごと薙ぎ払った。騎士様は吹っ飛んで気を失っている。やり過ぎじゃね? 木剣だよ?
こうなると絶対最後の俺が注目されるんだよなあ……。二人共任務とか忘れてるだろ?
「次、カリナ・カラー!」
「はーい」
訓練場の真ん中まで歩く。さて、対戦相手はっと。どう見ても今迄の二人より格上の豪華な鎧を纏ったデカいおっちゃんがいる。これって隊長格じゃねーの?
「まさか入学試験如きで騎士団が3連敗する訳にはいかん。お前達は強過ぎる。冒険者としてもかなりのランクだろう。ここで負けたら騎士団の名折れ。お前の相手はバルドリード公国騎士団長の俺がしてやろう。善戦すれば合格だ」
「ええー、大人げない……」
「どっちがだ!? Aランク冒険者並の実力はあるだろう?!」
まあSSランクですけどね……。でも学生設定のこっちにそれは酷くない?
「はー、わかりました。じゃあそれでいいですよ」
「では公国騎士団長ランス・プレイン! 参る!」
本気の構えを取る騎士団長。うわー面倒くさい。仕方ないな、こういう時の為の構えを取るか。左手に木剣を持ち、だらりと両手を下げる無行の位。レベルは120か、クラーチの噛ませ犬といい勝負だ。さて、出方を見ますか。
「『あたし』はカリナ・カラーです。いつでもどうぞ」
「何だその構えは?! やる気がないのならこのままいくぞ、ランス・アターーーック!」
すげー大振りのジャンプから撃ち下ろしが迫って来る。名前もダセえな。軽く刀身を合わせ、ぬるっと勢いを滑らせて衝撃を受け流す。これはファーレがやっていた技術だ。やられっぱなしじゃ終わらないんだよ。
その後も連続で撃ち込んで来るランスの攻撃をくるくるとダンスを舞う様に受け流す。アストラリア流・ソードダンス、これを出したらそうそう俺の身体に触れることは不可能だ。スタンドから歓声が上がる。あんまり目立ちたくなかったのに、騎士団長相手だとさすがに言い訳はできないか……。
スパアーン!
大振りして隙ができた瞬間に軸にしている足を木剣で払った。転倒したランスの眼前に剣先を突き付ける。
「見世物はここまででよろしいでしょうか? 騎士団長殿」
「くっ、ここまでレベルの差があるとは……。ガーハッハッハ! 凄まじい使い手だ! 是非騎士団に欲しいものだな」
「遠慮しておきます。縛られるのは嫌いなもので」
「気に入った! 勝者、カリナ・カラー!」
「「「「「おおおおおおおおおーーー!!!!!」」」」」
起き上がった巨体に片手を掴まれてグイッと上に上げられる。エリックみたいなノリだなあ。そしてギャラリーがうるせえ……。
「すげえ姉妹が入って来たなー!」
「しかも全員美人!」
「私絶対に友達になろうっと!」
「俺は嫁に欲しい!」
恐ろしい発言が聞こえた。これだから思春期は……。そそくさと二人の元に避難する。
「カリナよ、騎士団はいつでも待っておるぞ! ガハハハハハ! 行くぞ、お前達!」
豪快な笑いを発しながら試験の為に来た騎士団は帰って行った。入れ違いに二人が近づいて来る。ギグスとヘラルドか、到着したんだな。
「よう、相変わらずだな嬢ちゃん」
「久しいな、また同じ任務とは嬉しい限りだ」
「おう、二人共生きてたか。ほー、結構腕を上げたな。100超えてる」
「クレア団長がどんどん腕を上げてるからな。俺達も負けてられないのさ。そしてこの任務に選ばれたのも理由があるんだぜ」
「へえー、ただ顔見知りだから派遣されて来たのかと思ったけど」
「それもあるが、俺達は副団長に任命されたんだ。姫様、力不足かもしれませんが協力させて頂きます」
ヘラルドにギグスがアヤに跪く。おい、こんな目立つ場所でやるな。
「二人共、ありがたいですが、人の目があります。後で落ち合いましょう」
「「ハッ! 失礼致します!」」
敬礼して去って行く二人。確かに装備が少々豪華になっているな。あの雑魚騎士が必死で努力したんだな。何だか嬉しくなる。
「さて、アヤナとーアストリアは長いからアリアでいいな。二人共試験官ぶっ飛ばすなよ。そのせいでこっちに変な団長まで来たぞ」
「アハハ、ごめんね。以前の入学試験じゃ手も足も出なかったから……」
「私は手加減しましたよー」
「いや、まあもういいよ。しかしいきなり目立っちまったぞ。どうすんだこれ?」
スタンドの観客席からは在学生からの歓声やらがやたらと飛んで来る。これはもう絶対に目立たず行動とか無理だな。見に来ていた中にローズルキーがいたらアウトかも知れない。探知を働かせたが、怪しい奴はいないか……。
試験は無事通過。だがこうして俺達の波乱の学院生活が始まることになったのだった。結局こうなるのか……。
余計な軋轢が生まれませんように……。
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