純白のレゾン

雨水林檎

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子守唄うたって

02

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「無垢ー、起きなさい。学校遅刻するよ!」

 梅雨の晴れ間だ、今日はきっと洗濯物もよく乾くだろう。寝ぼけた無垢が不機嫌な顔して起きてき来る。朝食はサンドイッチ、卵と野菜の。しかし私が洗濯物を乾かし終えたらその朝食を食べ終わった無垢が、寝癖を立ててテーブルに突っ伏して二度寝をしている。

「こら、二度寝しない! 全くまた夜更かししたんだろう? 何時まで起きてたんだ」
「二時……」
「もう、そんな時間まで……夜はちゃんと寝なさい」
「……」
「起きなさいってば、無垢!」

 若いから体力が有り余って夜更かしをするんだろう。一人で何が楽しくて起きているんだか……無垢が私に添い寝をせがまなくなったのは、この家に来てからのこと。一人で黙って部屋に行く無垢を見て驚いたのは私の方だ。実家にいた頃は夜になると怯えて小学校高学年になっても私が眠るのを待っていた。さすがに十歳を過ぎれば言い出しづらかったのか、泣いてせがむことはなくなって。それでも私に向けるその視線で無垢が何を言いたのかはわかっていた。

「……もしかして無垢、まだ一人だと眠れないのか?」

 その質問の直後、私の顔にテーブルに置いてあったテレビのリモコンが飛んできた。

「痛っ、何するんだ!」
「うるせえ! 誰が! 俺いつまでもそんなガキじゃないし!」

 無垢は飛び起き私を避けて、そのまま洗面所に向かってかけて行く。去り際のその耳たぶが赤い気がする。もしかして無垢、図星だった?
 そう言えばこの前一晩中音楽かけていたっけ。無垢と一緒に寝ているとその規則的な寝息が絶えず聞こえていたのを思い出した、それだけで添い寝するこちらも眠くなったものだ。物音は何よりも雄弁である、私は今でも変わらず寂しかった無垢に気がつかなかった。
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