【R-18】ヒトリノ海

右折坊太郎

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海辺での出会い編

1、海

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『どうかしたのかい、少年?』

 海の香り。
 打ち寄せる波の音。
 ジリジリと肌を焼く、夏の日差し。

 どこまでも広がっている海を背に、彼女は長い黒髪を潮風になびかせて、大人らしい妖艶な顔で笑った。

 その大きな胸と尻を強調するような、水着の中でも露出の多いビキニを着ている。

 視線を向けられ少年と呼ばれた男、大原 海おおはら かいは呆けたように口を開け、彼女に見惚れていた。

 時は少し遡る――。



 成人を迎えた大学生、海には幼馴染が二人いる。

 小学生からの同級生である男の智樹ともきと、女の明里あかりだ。
 この三人は、何をするのも一緒で、同じ大学へ進学している今も仲が良かった。

 だが、そんな三人の関係にも変化が訪れる。

『俺たち付き合うことになったんだ――』

 夏に入って少し経った、ある日。
 智樹は恥ずかしそうに、いつも調子の良さそうな顔を照れくさい笑みに変え、明里の肩を抱いた。

「ふーん、やっと付き合う気になったんだ?」
 報告を受けた海は、呆れたようにため息をつき、肩をすくめた。

「おい、やっと……って何だよ!?」
「だって、ずっと前から明里のこと好きだったじゃん。明里もわかってただろ……?」
 いつも明るい雰囲気の明里に、ジットリとした目を向けて、同意を求める。

「本当にね。私がこの時をどれほど待ったことか……」
 彼女は遠い目をして、冗談を言う。

 ――実に幸せそうだった。

 海はいつか、こんな日が来ることを恐れていた。
 智樹と明里が、昔から両想いだったのは、彼自身よく知っている。

 だが、二人が付き合い始めれば、カップル一組と男一人。
 二人と海の距離感が一歩、遠いものになってしまうのは、避けられないだろう。

 そうなると、もうこれまでのように、三人ではいられない。

 幸い、海は二人に友情を感じてはいたものの、どちらかと恋人になりたいなどとは、思ったことはなかった。

 智樹は、おおらかで優しい性格をしていて、明里はいるだけで、雰囲気が明るくなるような人間だ。

 二人に比べ、海は心根は優しいが、少しひねくれていて、不器用なところがある。
 その為、友人も多くはなく、まして、異性との浮いた話とは縁遠かった。

 智樹は口を開く。
「それで、今度三人で海に行かないか?」

「はぁ? カップルの間に俺一人いるなんて、邪魔でしかないだろ? 明里はそれでいいのかよ?」

 海が投げかけた視線を、明里は笑って受け止めた。
「いつも通りでいいじゃない。三人でいきましょっ!」

「でもなぁ……」

 海にとっては、三人の関係は大事にしたい。
 だが、自分を気遣うあまり、優しい二人の時間を奪うのは気が引けた。

「なっ? 明里もこう言ってるんだし……」
「はぁ……、わかったよ」
 智樹に頼み込まれ、しぶしぶ海は、二人と共に夏の海へ行くこととなった。
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