【R-18】ヒトリノ海

右折坊太郎

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海辺での出会い編

2、独り

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 そして、日が経ち、三人は予定していた通り、夏の海に来た。

 日差しは強く、夏特有のじっとりとした暑さで、場は満ちている。
 そんな中、ビーチは海水浴に来た大勢の人々で、賑わっていた。

 水着に着替えた三人は、少し浜辺で砂遊びやビーチボールをした後、ビーチパラソルの下で休むこととなる。

 今は明里が飲み物を買いに席を立ち、男二人がその場に残されていた。

 今しかないと思った海は、智樹に声をかける。

「そしたら、俺ひとりでブラついてくるから……明里と上手くやれよ」
「ちょっと待てって! どうして、そうなんだよ?」

 突然の海の発言に、智樹は動揺している。

 海は、こう続ける。
「折角の海だろ? 恋人になったんだから、二人っきりの思い出くらい作らないと、勿体ないと思わないか? 俺はもう遊んだから、充分満足した」

「で、でもよぉ……」

「俺のことを気遣ってくれるのは嬉しいけど、それでお前らが我慢するのは、見てらんないんだよ。俺はナンパにでも行ってくる。じゃあな!」
 智樹の返事も待たず、海は立ち上がると、傘の陰から抜け出し、一人走り去っていく。

「アイツ……ナンパなんか、絶対しない癖に……」
 取り残された智樹は、快晴の空を見上げながら、明里が戻ってくるのをじっと待つのだった――。



 あれから一人、海はナンパをするでもなく、浜辺を歩いていた。

 周囲には、仲の良い男友達同士のグループや、はしゃいでいる女性達。
 寄り添うように並んで歩く、カップル達の姿があった。

 そんな群れの中を歩く海は、酷く寂しい気分になった。

(これでいいんだ。アイツらには、幸せになって欲しいからな……)

 足取りは重く、ビーチの喧噪から逃げるように、人気のない方へ歩いていく。

(どっか、落ち着ける場所は――)
 しばらく砂浜を歩き、岩場を越え、すれ違う人も随分といなくなった。

 そして、歩みを進めていく内に――人影が目に入った。

 人のいない砂浜に座り、物憂げに、じっと海を見つめる一人の女性。
 黒い長髪が海風に流され、なびいている。

 右手には缶ビールを持ち、時折口に運んでは、チビチビと飲んでいる。

 プロポーションに自信があるのか、布面積の少ないビキニを着て、彼女は黄昏ていた。
 年齢は、海の少し上ぐらいだろうか。
 大人らしい、色香を纏っているその女性から、海は目を離せず、見惚れてしまっていた。

 すると、彼女は海の視線に気づいたのか、彼へと振り向く。

 ――そして、『どうかしたのかい、少年?』と笑った。



 そして、時間は現在に至る――。

「いえ、その……邪魔してすいません」
 ふと我に返り、敬語で謝罪しながら、軽く頭を下げる。

「別にいいの。こっちこそ、楽しい海でこんなショボくれたお姉さんがいたら、迷惑よね……」
 笑った彼女だが、その表情にはどこか影があり、海は胸を痛める。

「いや、そんなことはない……です」
 こんな浜辺で、孤独を感じさせる彼女に、彼は親近感からそう言った。

「あらぁ? もしかして、少年もお姉さんと同じ、ブルーな気分だったり?」
「まぁ、……そんなとこです。あと、俺、少年じゃなくて大学生です」
「あぁ、ごめんごめん。可愛らしい顔してたから。でも、私からすれば、大学生も子どもみたいなものよ。アハハっ!」

 彼女は、楽しそうに笑った。
 一目見た時は、クールな人かと海は思ったが、そんなことはなさそうで、結構、愉快な人のようだ。

「それで、少年? 君はどうしてブルーな気分なの?」
 彼女の瞳が少しだけ、輝いて見えた。

 海は多少面倒だとは思いながらも、興味を惹かれ、彼女の側に腰を降ろす。

「実は――」
 彼は、誰かに自分の気持ちを吐き出したかったのだろう。

 一度息を大きく吐き出し、気分を落ち着けると、語りだす――。
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