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本編
56.孤立無援、たった一人でいて、だれも助けてくれる人がいないこと。
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エゼルの問にリエルとイオネスが選んだもの、それは…
教室の右斜め後側にある太く、何の変哲もない大理石の柱。
「それが一番価値のあるものだと…?」
眉を顰めながら言葉にする教師を前に二人はキョトンとした表情を浮かべたが、自分が出した答えを疑いはしなかった。
「…何故それを一番だと?後ろの絵画も有っただろう。」
数分無言が続いたあと、ボソッとエゼルがその疑問を声に出した。
その言葉に「後ろの絵は贋作、というより複製画ですし…其処まで価値は高くないかと…」「えぇ、価値で言えばあちらの鳥の彫刻のほうが高いかと…」そう、リエルとイオネスは何方ともなく当たり前のように呟いた。
だがその二人の言葉を聞いてもエゼルの眉間のシワが無くなるどころかそのシワは深くなるばかりだった。「では何故その柱を選んだ、他の柱もあっただろう」
尚も問うてくるエゼルにリエルは何も臆することなく答えた。
「ルナスーヴェルク学園。
今の王の28代前の女王のために作られた学園で、その当時の女王は美しい物だけを好み、それはそれは学園内に自分専用の美術室を作る程だったのだとか。」
「リエル・シュルテンヴェル…君は一体何を、それは柱を選んだ理由では…」
唐突に学園の説明を始めるリエルに戸惑いを隠せなかったエゼル。
リエルに声をかけようとしたエゼルはイオネスの口元に人差し指を当てる姿を見てため息を付きながらも近くの椅子に腰を下ろし、聞く体制を取った。
「時は今から14星紀前、王家に新たな王が誕生しました。
国で王政が始まって以来王が生まれるのは後にも先にも初めてのことだった。
その王は王家の厳しい女尊男卑の中、孤立しながらも成長していった。が、ここで問題が発生したのです。
そう、学園の不足。今よりももっと女尊男卑が激しかった当時、国には女学院しか存在していなかったのです。
王家は其処で考えました。"王族たるもの正しい知識を身に着けなければならぬ"と、直ぐに王家は国で一番大きな学園を共学にし、王族の男子がそこへ通えるようにした。
しかし其処でまた問題が発生した。学園で王へのいじめが発生したのだ。それも教師が加担した…極めて悪質なものが、」
「っ……」「酷過ぎますわ…」
リエルの言葉を聞いていた二人の顔が歪む。
「ある曇の日、いじめに耐え兼ねた王は先々代女王が大事にしていたという美術室に火を放ちました。」
「なっ…そんな事が許されたのですか」
「それはないだろう。幾ら王家といえど許される訳がない。」
「えぇ、その通り。火が鎮静された2日後、王の姉は王に処刑を言い渡すために学園に向かいました。」
「処けっ…何てこと…」「昔はそう珍しいことではなかった。特に男子はな、」
「女王が向かった先にあったのは崩れ落ち、見る影もなくなった美術室。割れた陶器、焼け落ちた絵画、そこら中に散乱した絵具…
そして…人の形をした黒い炭。近くには王家が持つというトパーズのブレスレットがあったとか…」
「ヒッ…」「……それで?」
「そしてその時、殆どのものが焼け落ちた際に唯一残っていたのが西の大樹に一番近かった、女王が文字を刻んだ大理石の柱。
そして修復工事がされた後も唯一変わらず残っているのはこの教室の右斜め後側あるあの柱。
故に私はこの場で一番価値が高いと思うのですがどうでしょう?」
リエルはニコリと笑みを浮かべて教師を見た。そんなリエルにエゼルは
「其処まで説明しろとは言っていない。 が、満点だ。」と、満足げに。
イオネスは「そんな事があっただなんて…私女王のお名前だけで判断して…」と、顔を青くしながら言葉を漏らした。
顔色を悪くしたイオネスに先に声をかけたのは以外にもエゼルで…
「知らなくても問題ない。寧ろ先程の話は王家、又は王家に近い家にしか伝わっていないはずのものだ。シュルテンヴェルとはいえ娘に言う筈が…」
「私、学問に関しては執事長から手解きを受けておりますので…」
首を傾げた眼の前の教師にリエルは何とも無いように答えた。
「執事長…?名前は…」
「ハーヴェン・アールレイ、ですが…」「アールレイか…、其れなら可笑しくはないな…」
「可笑しく…?」二人で話しているうちにイオネスの調子が段々と戻ってきたようだ。
「以前…何十年も前に一人だけお前たちと同じ問題を解いて、同じ回答をした生徒がいた。アールレイはその生徒だ、学園について何か言われなかったのか?」
「特には聞いておりませんが…(確かに…、推薦書にハーヴェンの名前は載っていたわ…)」
エゼルは少し安心したように息を吐いてから視線を少しずらし、目の前の少女に視線を向けた。
目の前の少女の知識量に驚くとともに、己の教え子の主人だと知って何処か深く納得する自分がいた。
そしてそれと同時に目の前にいない筈の教え子の姿を思い出し、無意識のうちにふっと息を吐いていた。
どうやら自分は気づかないうちに緊張していたらしい。
「此れは…予想が出来なかったな…」
(きっと先生にとって予想のできない一年になりますよ、)そう言って学園に推薦書を持って来た生徒の姿を思い浮かべながら(食えない奴だ…)と苦笑を浮かべた。
一方リエルはそんな視線を向けられていることなどいず知らず、つい先週見たばかりの推薦書の欄を思い出しながらエゼルの言葉に納得していた。
「リ、リエル様…私辞退したほうが…」「そんなことないわ。イオの審美眼は目を見張る者があるもの、」「でもっ、先程…」
「…まぁいい、二人共席に付きなさい。授業を始める、」
お互いの主張を曲げようとしない二人にエゼルは教卓に手を付きながら言葉をかけた。
授業が始まる
_____________
いつも多くの女神様に見て頂くことが出来て、とても嬉しく思っております!
何時もありがとうございます。
今日は…メンタルが死んだ日…
何でこんなにもグループワークが多いの…
ゲームのデータ飛ぶし…セーブ忘れるし…あつ〇の株価3日連続で減りっぱなしだし…
本日は…謎解きチームの数学担当と、動物と仲良しなヒーロー見習いと、映画好きな暗殺者のbirthday!
謎解きチーム…小学生の時滅茶はまってたなぁ…
魔天使と一緒にずっと部屋で読み込んでた、、、そのせいで友達に怒られたのはヤバイ思い出…
本日お誕生日の方の誕生花は…ウメ・マーガレット・サクラソウ…意味は 「高潔」・「恋占い」「真実の愛」・「初恋」「憧れ」…女王様もいらっしゃる…
明日は……スノードロップ 「希望」「慰め」と、パンジーの「もの思い」「私を思って」……
うちの弟さん明日お誕生日でお受験…わかった!明日は授業中ずっと貴方のことを思っていれば良いのね!?(違うそうじゃない)
「鬼退治…これって…どこの時間が歪んでるの?」イベントのときに毎回同じことを思っちゃう系審神者
「調べてみるよ!」by.社理の優男
「3.141592…」by.クールな数男子
教室の右斜め後側にある太く、何の変哲もない大理石の柱。
「それが一番価値のあるものだと…?」
眉を顰めながら言葉にする教師を前に二人はキョトンとした表情を浮かべたが、自分が出した答えを疑いはしなかった。
「…何故それを一番だと?後ろの絵画も有っただろう。」
数分無言が続いたあと、ボソッとエゼルがその疑問を声に出した。
その言葉に「後ろの絵は贋作、というより複製画ですし…其処まで価値は高くないかと…」「えぇ、価値で言えばあちらの鳥の彫刻のほうが高いかと…」そう、リエルとイオネスは何方ともなく当たり前のように呟いた。
だがその二人の言葉を聞いてもエゼルの眉間のシワが無くなるどころかそのシワは深くなるばかりだった。「では何故その柱を選んだ、他の柱もあっただろう」
尚も問うてくるエゼルにリエルは何も臆することなく答えた。
「ルナスーヴェルク学園。
今の王の28代前の女王のために作られた学園で、その当時の女王は美しい物だけを好み、それはそれは学園内に自分専用の美術室を作る程だったのだとか。」
「リエル・シュルテンヴェル…君は一体何を、それは柱を選んだ理由では…」
唐突に学園の説明を始めるリエルに戸惑いを隠せなかったエゼル。
リエルに声をかけようとしたエゼルはイオネスの口元に人差し指を当てる姿を見てため息を付きながらも近くの椅子に腰を下ろし、聞く体制を取った。
「時は今から14星紀前、王家に新たな王が誕生しました。
国で王政が始まって以来王が生まれるのは後にも先にも初めてのことだった。
その王は王家の厳しい女尊男卑の中、孤立しながらも成長していった。が、ここで問題が発生したのです。
そう、学園の不足。今よりももっと女尊男卑が激しかった当時、国には女学院しか存在していなかったのです。
王家は其処で考えました。"王族たるもの正しい知識を身に着けなければならぬ"と、直ぐに王家は国で一番大きな学園を共学にし、王族の男子がそこへ通えるようにした。
しかし其処でまた問題が発生した。学園で王へのいじめが発生したのだ。それも教師が加担した…極めて悪質なものが、」
「っ……」「酷過ぎますわ…」
リエルの言葉を聞いていた二人の顔が歪む。
「ある曇の日、いじめに耐え兼ねた王は先々代女王が大事にしていたという美術室に火を放ちました。」
「なっ…そんな事が許されたのですか」
「それはないだろう。幾ら王家といえど許される訳がない。」
「えぇ、その通り。火が鎮静された2日後、王の姉は王に処刑を言い渡すために学園に向かいました。」
「処けっ…何てこと…」「昔はそう珍しいことではなかった。特に男子はな、」
「女王が向かった先にあったのは崩れ落ち、見る影もなくなった美術室。割れた陶器、焼け落ちた絵画、そこら中に散乱した絵具…
そして…人の形をした黒い炭。近くには王家が持つというトパーズのブレスレットがあったとか…」
「ヒッ…」「……それで?」
「そしてその時、殆どのものが焼け落ちた際に唯一残っていたのが西の大樹に一番近かった、女王が文字を刻んだ大理石の柱。
そして修復工事がされた後も唯一変わらず残っているのはこの教室の右斜め後側あるあの柱。
故に私はこの場で一番価値が高いと思うのですがどうでしょう?」
リエルはニコリと笑みを浮かべて教師を見た。そんなリエルにエゼルは
「其処まで説明しろとは言っていない。 が、満点だ。」と、満足げに。
イオネスは「そんな事があっただなんて…私女王のお名前だけで判断して…」と、顔を青くしながら言葉を漏らした。
顔色を悪くしたイオネスに先に声をかけたのは以外にもエゼルで…
「知らなくても問題ない。寧ろ先程の話は王家、又は王家に近い家にしか伝わっていないはずのものだ。シュルテンヴェルとはいえ娘に言う筈が…」
「私、学問に関しては執事長から手解きを受けておりますので…」
首を傾げた眼の前の教師にリエルは何とも無いように答えた。
「執事長…?名前は…」
「ハーヴェン・アールレイ、ですが…」「アールレイか…、其れなら可笑しくはないな…」
「可笑しく…?」二人で話しているうちにイオネスの調子が段々と戻ってきたようだ。
「以前…何十年も前に一人だけお前たちと同じ問題を解いて、同じ回答をした生徒がいた。アールレイはその生徒だ、学園について何か言われなかったのか?」
「特には聞いておりませんが…(確かに…、推薦書にハーヴェンの名前は載っていたわ…)」
エゼルは少し安心したように息を吐いてから視線を少しずらし、目の前の少女に視線を向けた。
目の前の少女の知識量に驚くとともに、己の教え子の主人だと知って何処か深く納得する自分がいた。
そしてそれと同時に目の前にいない筈の教え子の姿を思い出し、無意識のうちにふっと息を吐いていた。
どうやら自分は気づかないうちに緊張していたらしい。
「此れは…予想が出来なかったな…」
(きっと先生にとって予想のできない一年になりますよ、)そう言って学園に推薦書を持って来た生徒の姿を思い浮かべながら(食えない奴だ…)と苦笑を浮かべた。
一方リエルはそんな視線を向けられていることなどいず知らず、つい先週見たばかりの推薦書の欄を思い出しながらエゼルの言葉に納得していた。
「リ、リエル様…私辞退したほうが…」「そんなことないわ。イオの審美眼は目を見張る者があるもの、」「でもっ、先程…」
「…まぁいい、二人共席に付きなさい。授業を始める、」
お互いの主張を曲げようとしない二人にエゼルは教卓に手を付きながら言葉をかけた。
授業が始まる
_____________
いつも多くの女神様に見て頂くことが出来て、とても嬉しく思っております!
何時もありがとうございます。
今日は…メンタルが死んだ日…
何でこんなにもグループワークが多いの…
ゲームのデータ飛ぶし…セーブ忘れるし…あつ〇の株価3日連続で減りっぱなしだし…
本日は…謎解きチームの数学担当と、動物と仲良しなヒーロー見習いと、映画好きな暗殺者のbirthday!
謎解きチーム…小学生の時滅茶はまってたなぁ…
魔天使と一緒にずっと部屋で読み込んでた、、、そのせいで友達に怒られたのはヤバイ思い出…
本日お誕生日の方の誕生花は…ウメ・マーガレット・サクラソウ…意味は 「高潔」・「恋占い」「真実の愛」・「初恋」「憧れ」…女王様もいらっしゃる…
明日は……スノードロップ 「希望」「慰め」と、パンジーの「もの思い」「私を思って」……
うちの弟さん明日お誕生日でお受験…わかった!明日は授業中ずっと貴方のことを思っていれば良いのね!?(違うそうじゃない)
「鬼退治…これって…どこの時間が歪んでるの?」イベントのときに毎回同じことを思っちゃう系審神者
「調べてみるよ!」by.社理の優男
「3.141592…」by.クールな数男子
応援ありがとうございます!
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