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プロローグ
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何もかもが順調で順風満帆の日々。その生活がこれからも続くものと思っていた。
そう。あの日が来るまでは。
花屋の娘として生まれ、花のある生活が当たり前で、色とりどりの花に囲まれて育った私は、高校卒業後花屋を継ぐために大学へ進み、一通りの知識を学び卒業。
両親には、「高校卒業してすぐにウチを継いでくれていいのよ。ウチはそんなに大きいお店じゃないし。いつも手伝ってくれてるから大体のことは分かるでしょうしね」と言われていたが、もっと花のことを学びこれからに活かしたいと思い、両親を説得し無理を言って大学へ進学させてもらったのだ。
特別志が高いわけでもなかったが、純粋な気持ちで、花が好き! というのが1番だった。
だって、花って素敵じゃない。
野に咲く自然な花。花壇に植えられたバランスの良い配置の花。お見舞いの花。特別な時に贈る花。玄関を飾るちょっとした鉢植え。どの花も人生に彩を添えてくれる。そんな花が大好きなのだ。
花を買いに来てくれるお客様も、相手の事をを想い選んでる姿はとても素敵。母の日のプレゼントで、赤いカーネーションを買いに来た小さな子や、恋人の誕生日に大好きなひまわりのミニブーケをプレゼントに添えたいと来店した男性(1月だったけど)。毎月、亡くなった奥様へお花をお供えする為に真剣な顔で選び、毎回アドバイスを求めて下さるお爺様。
色んなお客様が花を求めて買いに来てくれたけど、どのお客様も素敵な顔なんだよね。
さて、明日から本格的に家の花屋で仕事をする訳だから、必要そうな備品を買いに行きますか!
そう。これが私の運命の分かれ道。
何だかんだ自分の人生を思い返していたら最後の記憶を思い出してきた。
「そうだ。確か買い物に出かけて、両手に荷物を持って信号待ちしてたんだった。それで、小さい女の子が。そうだ、女の子だ。あぁ、あぁぁぁ。私、もしかして、死んだ?」
『そうそう。思い出したかい?随分と長い間目が覚めないから失敗したかと思ったわい』
そう話すのは先程目が覚めた時にご紹介された自称カミサマ。見た目はいかにもな、ザ・カミサマ。長身で長い髭に白いローブ。う、胡散臭い。
『自称とは何だい。自称とは。それに胡散臭いとは』
「あれ? 声に出てた?」
『あのな、神ならば人間なんかの考えてる事など声に出さずと分かるわい。それにな、この姿はお主が儂と話をするのに落ち着いて理解出来るようにとお主のイメージを借りただけだ。実際は実態などないからの』
「それで、私は死んだんでしょうか? 確か信号待ちをしていたら、小学校低学年だと思うんだけど、女の子が風に帽子を飛ばされて、道路に飛び出して、咄嗟に引き戻そうとして。あれ? その後車にはねられちゃった? あ! あの女の子は!?」
『ふむ。はっきり思い出したようだな。これからお主の今の状況を話すからの。取り敢えず、お茶でもしながら話をするとしようかの』
カミサマがひらりと、手を振ると真っ白で何も無かった空間に緑で囲まれた東屋が現れた。
「うっそ。本物?」
間の抜けた顔で呟いた。
『ちなみに夢でもないからの。ホッホッホ。さぁ、行こうか』
カミサマはそう言うと私を東屋へ促した。
「先読みされた。夢でもないのか」
そう呟きながら鼓動が早くなった胸を抑え神様へ続いた。
『まずはお茶にしようかの。座っておくれ』
また何も無いところからティーセットが。素敵な東屋でティータイム! って状況でもないけど勧められるままに座りお茶を一口。うん。おいしい。
『さて、どこから話したら良いものかの。まずはそうだな、お主は死んではおらんと言うことじゃの。あの時、お主が助けた女の子も無事じゃ』
ずっと気掛かりだった女の子の無事を知りホッと息を着いた。良かった。無事だったんだ。
「あ、そしたら地球に帰してくれるんですか?」
何となく嫌な予感がしたけど聞いてみた。
『あぁ、そうだの。帰すことは可能じゃ』
「それじゃあ……」と、声を出そうとした瞬間すかさず神様が声を被せてきた。
『ただし! お主を帰すことが出来るのはこちらへ引っ張ってきたその瞬間にしか帰せない。お主を引っ張ってきたのは、女の子の腕を引き身代わりになるような形でお主が車の前に飛び出した瞬間じゃ。どういう事か分かるかの?』
それって。
「地球に戻った瞬間に車に轢かれる?」
言葉に出した瞬間スッと血の気が引いた。じゃあ、私は元の世界に戻れないって事? 戻れば……死ぬ?
『そうじゃ。残念だが。あの時、地球の神にお主を界渡りさせるよう頼んだのじゃ。界渡りとはな、文字通り(世界を渡る)つまりお主がいた世界から次の異世界へ渡ることじゃよ』
言葉にならなかった。最初は死んだものと思っていたが、実は生きていた。が、地球へ戻れば死ぬ。上げて落とすってこの事だな。なんて一人で悶々考えてたら涙が出てきた。人生これからだって時だったのに、地球的には実際死んだも同じ。残してきた両親にも悪い事した。大学にまで行かせてもらったのに。声が出ずにいると、そっと神様が話を始めた。
『気休めかもしれんがの、誰でも良かったわけじゃないんじゃ。これから話す異世界と転移者との相性があってな。お主の場合ぴったりだったんじゃよ。これから先のことを話すが、大丈夫かの?』
全然大丈夫じゃないけど、こうなったことは仕方がない。命を助けて貰った事は間違いないんだし、これから先のことをしっかり聞かないとね。
「大丈夫です。話を聞かせてください」
『それじゃ説明するとしようかの。まずこれから行く異世界の状況について説明しような。世界の名はストレリチア。魔法の世界じゃ。と、言っても魔法を使える者、使えない者といるがの。その他にも亜人種もいるの』
私はくすりと笑みがこぼれた。
「ストレリチア。素敵な名前ですね。地球にも同じ名前の花があるんですよ。花言葉は【輝かしい未来】」
『そうかそうか、嬉しいものだの。輝かしい未来か。まさにそうなってくれると期待しておるよ。花に言葉があるとは面白いの。そのストレリチアは豊かな魔素が溢れる世界なのだが、このところその魔素が膨大に溢れるようになって世界各地で魔物が溢れたり、濃すぎる魔素のせいで大地が汚染されてしまっておるのじゃ。昔はほとんどの者が魔法を使えたからの、魔素を消費できていたんじゃが、今は魔法を使える者が昔ほどいなくなってしまったからの。そのせいではないかと思っておる』
何とも困りものである。
「それで、私はその世界に行くんですよね? 魔法も使えない、特に特技もない私が。そんな世界三日と持たない自信あるんですが。そもそも何の為に私はその世界へ?」
『お主にはその体を使って世界の浄化をしてもらいたいのじゃ』
体を使って?何ですって⁉︎
そう。あの日が来るまでは。
花屋の娘として生まれ、花のある生活が当たり前で、色とりどりの花に囲まれて育った私は、高校卒業後花屋を継ぐために大学へ進み、一通りの知識を学び卒業。
両親には、「高校卒業してすぐにウチを継いでくれていいのよ。ウチはそんなに大きいお店じゃないし。いつも手伝ってくれてるから大体のことは分かるでしょうしね」と言われていたが、もっと花のことを学びこれからに活かしたいと思い、両親を説得し無理を言って大学へ進学させてもらったのだ。
特別志が高いわけでもなかったが、純粋な気持ちで、花が好き! というのが1番だった。
だって、花って素敵じゃない。
野に咲く自然な花。花壇に植えられたバランスの良い配置の花。お見舞いの花。特別な時に贈る花。玄関を飾るちょっとした鉢植え。どの花も人生に彩を添えてくれる。そんな花が大好きなのだ。
花を買いに来てくれるお客様も、相手の事をを想い選んでる姿はとても素敵。母の日のプレゼントで、赤いカーネーションを買いに来た小さな子や、恋人の誕生日に大好きなひまわりのミニブーケをプレゼントに添えたいと来店した男性(1月だったけど)。毎月、亡くなった奥様へお花をお供えする為に真剣な顔で選び、毎回アドバイスを求めて下さるお爺様。
色んなお客様が花を求めて買いに来てくれたけど、どのお客様も素敵な顔なんだよね。
さて、明日から本格的に家の花屋で仕事をする訳だから、必要そうな備品を買いに行きますか!
そう。これが私の運命の分かれ道。
何だかんだ自分の人生を思い返していたら最後の記憶を思い出してきた。
「そうだ。確か買い物に出かけて、両手に荷物を持って信号待ちしてたんだった。それで、小さい女の子が。そうだ、女の子だ。あぁ、あぁぁぁ。私、もしかして、死んだ?」
『そうそう。思い出したかい?随分と長い間目が覚めないから失敗したかと思ったわい』
そう話すのは先程目が覚めた時にご紹介された自称カミサマ。見た目はいかにもな、ザ・カミサマ。長身で長い髭に白いローブ。う、胡散臭い。
『自称とは何だい。自称とは。それに胡散臭いとは』
「あれ? 声に出てた?」
『あのな、神ならば人間なんかの考えてる事など声に出さずと分かるわい。それにな、この姿はお主が儂と話をするのに落ち着いて理解出来るようにとお主のイメージを借りただけだ。実際は実態などないからの』
「それで、私は死んだんでしょうか? 確か信号待ちをしていたら、小学校低学年だと思うんだけど、女の子が風に帽子を飛ばされて、道路に飛び出して、咄嗟に引き戻そうとして。あれ? その後車にはねられちゃった? あ! あの女の子は!?」
『ふむ。はっきり思い出したようだな。これからお主の今の状況を話すからの。取り敢えず、お茶でもしながら話をするとしようかの』
カミサマがひらりと、手を振ると真っ白で何も無かった空間に緑で囲まれた東屋が現れた。
「うっそ。本物?」
間の抜けた顔で呟いた。
『ちなみに夢でもないからの。ホッホッホ。さぁ、行こうか』
カミサマはそう言うと私を東屋へ促した。
「先読みされた。夢でもないのか」
そう呟きながら鼓動が早くなった胸を抑え神様へ続いた。
『まずはお茶にしようかの。座っておくれ』
また何も無いところからティーセットが。素敵な東屋でティータイム! って状況でもないけど勧められるままに座りお茶を一口。うん。おいしい。
『さて、どこから話したら良いものかの。まずはそうだな、お主は死んではおらんと言うことじゃの。あの時、お主が助けた女の子も無事じゃ』
ずっと気掛かりだった女の子の無事を知りホッと息を着いた。良かった。無事だったんだ。
「あ、そしたら地球に帰してくれるんですか?」
何となく嫌な予感がしたけど聞いてみた。
『あぁ、そうだの。帰すことは可能じゃ』
「それじゃあ……」と、声を出そうとした瞬間すかさず神様が声を被せてきた。
『ただし! お主を帰すことが出来るのはこちらへ引っ張ってきたその瞬間にしか帰せない。お主を引っ張ってきたのは、女の子の腕を引き身代わりになるような形でお主が車の前に飛び出した瞬間じゃ。どういう事か分かるかの?』
それって。
「地球に戻った瞬間に車に轢かれる?」
言葉に出した瞬間スッと血の気が引いた。じゃあ、私は元の世界に戻れないって事? 戻れば……死ぬ?
『そうじゃ。残念だが。あの時、地球の神にお主を界渡りさせるよう頼んだのじゃ。界渡りとはな、文字通り(世界を渡る)つまりお主がいた世界から次の異世界へ渡ることじゃよ』
言葉にならなかった。最初は死んだものと思っていたが、実は生きていた。が、地球へ戻れば死ぬ。上げて落とすってこの事だな。なんて一人で悶々考えてたら涙が出てきた。人生これからだって時だったのに、地球的には実際死んだも同じ。残してきた両親にも悪い事した。大学にまで行かせてもらったのに。声が出ずにいると、そっと神様が話を始めた。
『気休めかもしれんがの、誰でも良かったわけじゃないんじゃ。これから話す異世界と転移者との相性があってな。お主の場合ぴったりだったんじゃよ。これから先のことを話すが、大丈夫かの?』
全然大丈夫じゃないけど、こうなったことは仕方がない。命を助けて貰った事は間違いないんだし、これから先のことをしっかり聞かないとね。
「大丈夫です。話を聞かせてください」
『それじゃ説明するとしようかの。まずこれから行く異世界の状況について説明しような。世界の名はストレリチア。魔法の世界じゃ。と、言っても魔法を使える者、使えない者といるがの。その他にも亜人種もいるの』
私はくすりと笑みがこぼれた。
「ストレリチア。素敵な名前ですね。地球にも同じ名前の花があるんですよ。花言葉は【輝かしい未来】」
『そうかそうか、嬉しいものだの。輝かしい未来か。まさにそうなってくれると期待しておるよ。花に言葉があるとは面白いの。そのストレリチアは豊かな魔素が溢れる世界なのだが、このところその魔素が膨大に溢れるようになって世界各地で魔物が溢れたり、濃すぎる魔素のせいで大地が汚染されてしまっておるのじゃ。昔はほとんどの者が魔法を使えたからの、魔素を消費できていたんじゃが、今は魔法を使える者が昔ほどいなくなってしまったからの。そのせいではないかと思っておる』
何とも困りものである。
「それで、私はその世界に行くんですよね? 魔法も使えない、特に特技もない私が。そんな世界三日と持たない自信あるんですが。そもそも何の為に私はその世界へ?」
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