1 / 9
私の始まり、それは屋上
しおりを挟む
時刻は午後七時。
明るかった空は夜の星座に隠されているものの、その明るさに少しだけ空の青さが滲む。
「いつもと変わらないなぁ。」
「そんなわけないでしょう…。」
呆れるようにして返事をする少女の声。
「屋上で夜まで寝ていたなんて信じられないわ。」
「昔の人は言いました。食欲なき食事は毒であるように、意欲なき勉学は身につかないと」
「ダヴィンチの言葉を出すなんて、ほんとねじ曲がっているんだから…。」
「まぁそう言わずに、星も綺麗に見えるのだし。」
「いや、それは違うじゃない。はぁ…まぁいいわ。明日はちゃんと来なさいよ?」
「はいはい。」
彼女は同じクラスメイトの友人 五鈴 詠
部員の少ない天文部員の部長で、こうしてたまに星を観察しにくる。
「さてと。」
彼女は、傍にある高そうな望遠鏡を手に何かを期待するように空を眺め始めた。
「……。」
丸い包みをのぞき込む彼女は空をのぞき込み、手探りで星を眺めようとする。
「今日はどんな星をみているんだ?」
「大三角よ。夏の大三角。」
彼女はそういって目を輝かせるわけでもなく、何かに食い入るようにして星をのぞき込む。
その小さな接眼レンズは彼女からしてみるときっと新しい世界への入り口なのだ。
そこからはどんな世界が見えるのだろうか。
私と彼女が決して行くことのできない星の世界。
その世界で、私たちはどのように映し出されているのだろうか。
おそらくそこは鏡を映し出すようにして…。
星は何かを問いかけるようにして私の頭上を飛び回り
そして消えていった。
「いつもと変わらないなぁ・・・」
自分を埋め尽くす青い空、そして白い雲。
「この後の授業とかもう受ける気もないし…学校ごと滅んだりしないかな。」
「こう、ノストラダムスの大予言的な…。」
空を見つめ形にもならない空想に浸っているとふと誰かがいるかもしれない
そう思い周りを見渡してみる
……。
けれど、代わりに出たのは自分の間の抜けた言葉だった
ここは学校の屋上。
私は気がつくと、いつもこの場所に立っている。
強い日差しが照りつける虚無の空間。
こんな場所にいる理由はもちろん、授業をサボることのできる場所であること。
ごくありふれた場所
ごくありふれた時間
そんな私を取り囲む「ありふれた」を青で塗りつぶされた空と雲が演じる。
「ずっとここにいるわけにはいかないよなぁ…。」
授業がどうも面倒に感じてしまい、当たり前のように抜けだしてしまった
「昔の人は言いました。食欲なき食事は毒であるように、意欲なき勉学は身につかないと」
レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉。
「昔の人は良いことを言うものだね。」
(いや、ダメなのだけど・・・)
鐘の音が聞こえた
それは学校のチャイムなのだけど、それは遠くから聞こえたような気がした
どこか遠くで…
「また月曜日から始まるのか…。」
そう考えるだけで、体中から倦怠感が押し寄せる。
月曜日は始まりの日
疲れを知らぬ電車や車は人々を乗せて走り、彼らに大人しく運ばれる人々と喧騒の波が私たちの日常を覆い始める。
しかし、そんなけたたましく動き始めた世界でも、私のいるこの場所だけは一定の静謐さを保ち続けていた。
まるでこの場所だけが、世界から切り離されてしまったかのような…。
再び鐘が鳴る。
今度はより近くで、よりはっきりと。
しかしそんな音でさえもこの世界にまで響くことはないような気がした。
静けさで満たされた世界。
密閉された白と青の世界
私はそんな世界をひっそりと見つめていた。
ただ一人で…。
明るかった空は夜の星座に隠されているものの、その明るさに少しだけ空の青さが滲む。
「いつもと変わらないなぁ。」
「そんなわけないでしょう…。」
呆れるようにして返事をする少女の声。
「屋上で夜まで寝ていたなんて信じられないわ。」
「昔の人は言いました。食欲なき食事は毒であるように、意欲なき勉学は身につかないと」
「ダヴィンチの言葉を出すなんて、ほんとねじ曲がっているんだから…。」
「まぁそう言わずに、星も綺麗に見えるのだし。」
「いや、それは違うじゃない。はぁ…まぁいいわ。明日はちゃんと来なさいよ?」
「はいはい。」
彼女は同じクラスメイトの友人 五鈴 詠
部員の少ない天文部員の部長で、こうしてたまに星を観察しにくる。
「さてと。」
彼女は、傍にある高そうな望遠鏡を手に何かを期待するように空を眺め始めた。
「……。」
丸い包みをのぞき込む彼女は空をのぞき込み、手探りで星を眺めようとする。
「今日はどんな星をみているんだ?」
「大三角よ。夏の大三角。」
彼女はそういって目を輝かせるわけでもなく、何かに食い入るようにして星をのぞき込む。
その小さな接眼レンズは彼女からしてみるときっと新しい世界への入り口なのだ。
そこからはどんな世界が見えるのだろうか。
私と彼女が決して行くことのできない星の世界。
その世界で、私たちはどのように映し出されているのだろうか。
おそらくそこは鏡を映し出すようにして…。
星は何かを問いかけるようにして私の頭上を飛び回り
そして消えていった。
「いつもと変わらないなぁ・・・」
自分を埋め尽くす青い空、そして白い雲。
「この後の授業とかもう受ける気もないし…学校ごと滅んだりしないかな。」
「こう、ノストラダムスの大予言的な…。」
空を見つめ形にもならない空想に浸っているとふと誰かがいるかもしれない
そう思い周りを見渡してみる
……。
けれど、代わりに出たのは自分の間の抜けた言葉だった
ここは学校の屋上。
私は気がつくと、いつもこの場所に立っている。
強い日差しが照りつける虚無の空間。
こんな場所にいる理由はもちろん、授業をサボることのできる場所であること。
ごくありふれた場所
ごくありふれた時間
そんな私を取り囲む「ありふれた」を青で塗りつぶされた空と雲が演じる。
「ずっとここにいるわけにはいかないよなぁ…。」
授業がどうも面倒に感じてしまい、当たり前のように抜けだしてしまった
「昔の人は言いました。食欲なき食事は毒であるように、意欲なき勉学は身につかないと」
レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉。
「昔の人は良いことを言うものだね。」
(いや、ダメなのだけど・・・)
鐘の音が聞こえた
それは学校のチャイムなのだけど、それは遠くから聞こえたような気がした
どこか遠くで…
「また月曜日から始まるのか…。」
そう考えるだけで、体中から倦怠感が押し寄せる。
月曜日は始まりの日
疲れを知らぬ電車や車は人々を乗せて走り、彼らに大人しく運ばれる人々と喧騒の波が私たちの日常を覆い始める。
しかし、そんなけたたましく動き始めた世界でも、私のいるこの場所だけは一定の静謐さを保ち続けていた。
まるでこの場所だけが、世界から切り離されてしまったかのような…。
再び鐘が鳴る。
今度はより近くで、よりはっきりと。
しかしそんな音でさえもこの世界にまで響くことはないような気がした。
静けさで満たされた世界。
密閉された白と青の世界
私はそんな世界をひっそりと見つめていた。
ただ一人で…。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる