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私と銀河鉄道
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「なら私は…。」
すべてを知った今、おのずと自分の言葉は決まっていた。
それはこの世界を終わらせることでも、繰り返させることでもどちらでもなく…。
「私は取り戻しにいきます。かつて魔法使いだった自分の力のすべてを。まだやるべきことがあるはずだから。そしてそのためには、私はこの世界から抜け出さなければいけない。」
私は月を指差す。
「あの月に届くほどの魔法の力で…。」
その言葉を聞いた途端、魔女の口が大きく開いた。
「あはは!!面白いことを言うのね。あの月にまで飛んでいくつもり…?」
まさか、私はあれを使います。
私は片隅に打ち上げられた夜空に漂うようにして浮かぶある物を指差した。
「……。」
「なるほど…ね。」
すると、彼女は納得したように頷いたあと
「いいわ。ちゃんと動かせるようにしといてあげる。けど、少し時間をもらうわ。」
「その間に貴方は旅立つ用意をしておきなさい。案内は彼女に任せましょう。」
魔女はそう言葉を放つと、手にしていた懐中時計から呪文のような言葉をささやいた。
すると、ある少女が目の前に姿を現す。
それは…
「七瀬…?」
歪んだ空間から現れたのは、不思議な格好をした七瀬星奏の姿だった。
「今まで騙していてごめんなさい…。」
彼女は現れると同時に深々と頭を下げた。
私は貴方によって作られた幻…そう、あなたが持つ友人の一人を形にしただけの仮の人間です。
突然の告白に私は仕方がないと思いつつも、今までの記憶にひびが入るようでどうも心が痛かった。
私はこのさき何があっても、今までのことを忘れない 忘れたくない。そのためにも、私は彼女の箒にまたがって空を飛びながら、崩れかけた世界を回ってみることにした。
彼女はさきほどからずっと無言だ
「まさか、こんな特技があるなんてね。空を飛ぶことが出来るなんて、早く教えてくれてもよかったのに…。」
橘さんと彼女に声をかけられる。
「どうした?」
「怒っていないんですか?私が正体を隠していたこと…。」
「別に気にしてなんかいないよ。そもそも自分の都合で作り上げた世界なんだろ?」
今もはっきりとした実感がないのは事実なのだけど…。
「私は記憶のない、白紙のようにまっさらな貴方を手助けする、いわば道化です…私は貴方の日常を演出するための道化でしかありません。」
「そんなことないさ。」
寂しそうにそう口にする彼女
私の方から、彼女の顔を見ることはできなかったがその表情が悲痛に満ちていることはすぐに理解できた。
彼女のほうきにまたがりながら、私は世界の外側を飛んでいる気分になった。
というのも、今の私たちが飛んでいるかつての街の風景はそのすべてが海に呑み込まれてしまっているようだった。
通っていた学校や通学路の途中にあった河川敷、街のすべてが青で満たされている。
まるで空の青が、世界を覆い尽くしてしまったかのように。
「あれです。そろそろ着きますよ。」
彼女は、蛍のようにぺかぺか消えたり灯ったりしている天気輪の柱を指差した。
それは近づいたときには三角標の形になっていて、だんだんはっきりとしたかと思うととうとううごかなくなり濃い鋼青の空に立ったまま動かなくなった。
すべてが海に呑まれた世界の先にたどりついたそこは、ゆるい丘になっていてその草原の平らな頂上は北の大熊星の下にぼんやりふだんよりも低く連なって見える。
彼女は何かに急かされるようにして、露の降りかかった小さな小道を飛んでいく。
「よっと。」
どこまでも広く透き通るような草原
その中の、青白く立派に光る街頭を降りるとどこかから不思議な声が銀河ステーション、銀河ステーションという声がしたかと思うといきなり目の前がぱっと明るくなった。
そして気が付いてみるとごとごとごと、自分達の乗っている小さな列車が走り続けていた。
すべてを知った今、おのずと自分の言葉は決まっていた。
それはこの世界を終わらせることでも、繰り返させることでもどちらでもなく…。
「私は取り戻しにいきます。かつて魔法使いだった自分の力のすべてを。まだやるべきことがあるはずだから。そしてそのためには、私はこの世界から抜け出さなければいけない。」
私は月を指差す。
「あの月に届くほどの魔法の力で…。」
その言葉を聞いた途端、魔女の口が大きく開いた。
「あはは!!面白いことを言うのね。あの月にまで飛んでいくつもり…?」
まさか、私はあれを使います。
私は片隅に打ち上げられた夜空に漂うようにして浮かぶある物を指差した。
「……。」
「なるほど…ね。」
すると、彼女は納得したように頷いたあと
「いいわ。ちゃんと動かせるようにしといてあげる。けど、少し時間をもらうわ。」
「その間に貴方は旅立つ用意をしておきなさい。案内は彼女に任せましょう。」
魔女はそう言葉を放つと、手にしていた懐中時計から呪文のような言葉をささやいた。
すると、ある少女が目の前に姿を現す。
それは…
「七瀬…?」
歪んだ空間から現れたのは、不思議な格好をした七瀬星奏の姿だった。
「今まで騙していてごめんなさい…。」
彼女は現れると同時に深々と頭を下げた。
私は貴方によって作られた幻…そう、あなたが持つ友人の一人を形にしただけの仮の人間です。
突然の告白に私は仕方がないと思いつつも、今までの記憶にひびが入るようでどうも心が痛かった。
私はこのさき何があっても、今までのことを忘れない 忘れたくない。そのためにも、私は彼女の箒にまたがって空を飛びながら、崩れかけた世界を回ってみることにした。
彼女はさきほどからずっと無言だ
「まさか、こんな特技があるなんてね。空を飛ぶことが出来るなんて、早く教えてくれてもよかったのに…。」
橘さんと彼女に声をかけられる。
「どうした?」
「怒っていないんですか?私が正体を隠していたこと…。」
「別に気にしてなんかいないよ。そもそも自分の都合で作り上げた世界なんだろ?」
今もはっきりとした実感がないのは事実なのだけど…。
「私は記憶のない、白紙のようにまっさらな貴方を手助けする、いわば道化です…私は貴方の日常を演出するための道化でしかありません。」
「そんなことないさ。」
寂しそうにそう口にする彼女
私の方から、彼女の顔を見ることはできなかったがその表情が悲痛に満ちていることはすぐに理解できた。
彼女のほうきにまたがりながら、私は世界の外側を飛んでいる気分になった。
というのも、今の私たちが飛んでいるかつての街の風景はそのすべてが海に呑み込まれてしまっているようだった。
通っていた学校や通学路の途中にあった河川敷、街のすべてが青で満たされている。
まるで空の青が、世界を覆い尽くしてしまったかのように。
「あれです。そろそろ着きますよ。」
彼女は、蛍のようにぺかぺか消えたり灯ったりしている天気輪の柱を指差した。
それは近づいたときには三角標の形になっていて、だんだんはっきりとしたかと思うととうとううごかなくなり濃い鋼青の空に立ったまま動かなくなった。
すべてが海に呑まれた世界の先にたどりついたそこは、ゆるい丘になっていてその草原の平らな頂上は北の大熊星の下にぼんやりふだんよりも低く連なって見える。
彼女は何かに急かされるようにして、露の降りかかった小さな小道を飛んでいく。
「よっと。」
どこまでも広く透き通るような草原
その中の、青白く立派に光る街頭を降りるとどこかから不思議な声が銀河ステーション、銀河ステーションという声がしたかと思うといきなり目の前がぱっと明るくなった。
そして気が付いてみるとごとごとごと、自分達の乗っている小さな列車が走り続けていた。
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