7 / 8
取引
しおりを挟む
私が軍隊に入ってようやく知りえたこと
それは二つある
一つは自分のペアがどうしようもなく(やはりというべきか…)アホだということ
「ぐあっ!」
「何をすんだてめぇー!!」
私とペアを組むサリアは目を離すとすぐにこれだ。
何かと喧嘩を起こすのが得意なようで、気が付いたときには殴り合いをしているし
それが終わったあとには必ず身体のどこかにスリ傷を負っている
まぁ、おかげで私は彼女がどんな動きを得意としてどんな時、どんな魔法を使うかを知ることができる
そういえば、魔法についての説明もしなければいけない。
魔法というのは簡単に話すと、投与された薬の副作用で手に入れた異能のこと
私は以前どこかで投与されたことがあるらしく、ある物体を自由に動かすことができる。
そして、サリアはというと…
「オラァ!!」
女性の細い腕から発せられるとは思えない剛力で相手を投げ飛ばすことができる。
とはいっても、彼女は自分の力の使い方をあまり理解していないらしくいつも相手を投げ飛ばしているだけだ
おかげで相手を倒すことには繋がらず、取っ組み合いはいつまでも終わらないままだ。
見た目はとても美しいのに、中身は脳筋
現実は酷なもので、悲しい限りである
「何をしているのだ貴様らぁ!!」
そうしていると、どこからか我らが教官の怒声が響き渡る。
いつまでも終わることのない醜い争いは、教官の一喝によって毎回幕を閉じるのだった。
「すまねぇな、いつも…。」
「まったくだよ…。」
相方の暴走を放置した責任として、私は彼女とともにランニング20週を言い渡されていた。
「チッ…。サリアめ…。」
そして、私の横目には先ほどサリアと喧嘩を繰り広げていた(正確にはぶん投げられていた)長身の男、ドミーが愚痴を吐いていた。
「おいおい、あんまり私のペアを虐めないでくれないか?私まで罰をもらうんでな…。」
「あっ、ああ。それはすまねぇな。だがサリアがよ…。」
どうやら両者言いたいことはあるみたいだが、あいにく私は微塵も興味がない。
自分なりの説明をし始めた彼を置いて、走ろうと距離を出そうとしたその時
「…あれは?」
どうやら、ここから見える城門の内側で、誰かが物々の交換をしている。だがこんな時間に何をしているんだ?
「いってみるか?」
ドミーが面白そうな口ぶりでそそのかす。
「いや、やめておく…関わりたくないしな。」
ようやく私が知りえたことの二つ目…
自分がどうしようもなく、周りに流されやすいことだ。
軍の誰かと何者かがある一定の日ごとに取引を行っているのは知っていたが間近で見ようとは。
「酒とか食い物かな…?」
「いいや、あれはどう見ても違う。あんな場所でこそこそしているのはきっと違う何かの取引じゃないかな。」
「一度見てみるか?」
「私も興味がある。」
「こんな時だけ、仲が良いんだから…まったく。」
気付くと、サリアが傍にいて興味深々な様子で彼らの方を除いていた。
彼らに流されて、私は近くまでよってみることになった。
今更ながら私も場の雰囲気に流されやすい、仕方のないやつだったことがいけなかったのかもしれない。
「なあ、何してんだ?」
!!
突然何が起きたのか理解できなかった。
「冗談だろ?」
私たちを囲むようにして兵士たちが手持ちの銃をこちらに向けてきたからだ。
「何だ、お前らか…。」
ホッと息を撫で下ろすも銃を構えたままの同期たち。
彼等のこちらをいぶかしむ視線を浴びながらも、私は横に置かれた荷物を間近で確認する。
それはどうやら、何かの薬品のようだった。
「こんなこと教官にばれたら、間違いなく独房行きだぞ。分かってんのか?」
「なら、取引をしよう。ドミー、お前も悔しいだろ?」
「取引だと…?」
「ああ、こいつを使えば俺たちも強くなれるのさ…魔法を自在に操ることのできるそいつらみたいにな…。」
同期の男の一人がこちらを妬むように睨み付ける。
その視線には、様々な感情がうごめいてみえるようだった。
「俺らもこれを使えば、こいつらみらいになれるかもしれねぇ…。だから俺らはこの人たちと取引してたんだ。」
彼らの視線の先を見ると、研究服を着た一人の女がいる。
「私は頼まれただけですけどね…。」
「俺は反対だね。」
「なっ。」
「薬を使えば強くなれる?魔法を使って?冗談じゃない。俺はそんなことのために軍に入ったわけじゃないんだ。このことはちゃんと教官に報告させてもらう。」
ドミーがそう言葉を放った瞬間
バンッ!
銃声が響くとともにドミーが倒れこむ。
「ぐっ…てめぇ…。」
「取引は失敗だな。お前らには死んでもらう。死体の処分は任せておけ。」
「やばいな…こりゃ…。」
「また厄介ごとか。」
私は溜息をつきながらも、サリアと視線を交えつつナイフを取り出す。
すでにそこには血の匂いがまじっていた。
それは二つある
一つは自分のペアがどうしようもなく(やはりというべきか…)アホだということ
「ぐあっ!」
「何をすんだてめぇー!!」
私とペアを組むサリアは目を離すとすぐにこれだ。
何かと喧嘩を起こすのが得意なようで、気が付いたときには殴り合いをしているし
それが終わったあとには必ず身体のどこかにスリ傷を負っている
まぁ、おかげで私は彼女がどんな動きを得意としてどんな時、どんな魔法を使うかを知ることができる
そういえば、魔法についての説明もしなければいけない。
魔法というのは簡単に話すと、投与された薬の副作用で手に入れた異能のこと
私は以前どこかで投与されたことがあるらしく、ある物体を自由に動かすことができる。
そして、サリアはというと…
「オラァ!!」
女性の細い腕から発せられるとは思えない剛力で相手を投げ飛ばすことができる。
とはいっても、彼女は自分の力の使い方をあまり理解していないらしくいつも相手を投げ飛ばしているだけだ
おかげで相手を倒すことには繋がらず、取っ組み合いはいつまでも終わらないままだ。
見た目はとても美しいのに、中身は脳筋
現実は酷なもので、悲しい限りである
「何をしているのだ貴様らぁ!!」
そうしていると、どこからか我らが教官の怒声が響き渡る。
いつまでも終わることのない醜い争いは、教官の一喝によって毎回幕を閉じるのだった。
「すまねぇな、いつも…。」
「まったくだよ…。」
相方の暴走を放置した責任として、私は彼女とともにランニング20週を言い渡されていた。
「チッ…。サリアめ…。」
そして、私の横目には先ほどサリアと喧嘩を繰り広げていた(正確にはぶん投げられていた)長身の男、ドミーが愚痴を吐いていた。
「おいおい、あんまり私のペアを虐めないでくれないか?私まで罰をもらうんでな…。」
「あっ、ああ。それはすまねぇな。だがサリアがよ…。」
どうやら両者言いたいことはあるみたいだが、あいにく私は微塵も興味がない。
自分なりの説明をし始めた彼を置いて、走ろうと距離を出そうとしたその時
「…あれは?」
どうやら、ここから見える城門の内側で、誰かが物々の交換をしている。だがこんな時間に何をしているんだ?
「いってみるか?」
ドミーが面白そうな口ぶりでそそのかす。
「いや、やめておく…関わりたくないしな。」
ようやく私が知りえたことの二つ目…
自分がどうしようもなく、周りに流されやすいことだ。
軍の誰かと何者かがある一定の日ごとに取引を行っているのは知っていたが間近で見ようとは。
「酒とか食い物かな…?」
「いいや、あれはどう見ても違う。あんな場所でこそこそしているのはきっと違う何かの取引じゃないかな。」
「一度見てみるか?」
「私も興味がある。」
「こんな時だけ、仲が良いんだから…まったく。」
気付くと、サリアが傍にいて興味深々な様子で彼らの方を除いていた。
彼らに流されて、私は近くまでよってみることになった。
今更ながら私も場の雰囲気に流されやすい、仕方のないやつだったことがいけなかったのかもしれない。
「なあ、何してんだ?」
!!
突然何が起きたのか理解できなかった。
「冗談だろ?」
私たちを囲むようにして兵士たちが手持ちの銃をこちらに向けてきたからだ。
「何だ、お前らか…。」
ホッと息を撫で下ろすも銃を構えたままの同期たち。
彼等のこちらをいぶかしむ視線を浴びながらも、私は横に置かれた荷物を間近で確認する。
それはどうやら、何かの薬品のようだった。
「こんなこと教官にばれたら、間違いなく独房行きだぞ。分かってんのか?」
「なら、取引をしよう。ドミー、お前も悔しいだろ?」
「取引だと…?」
「ああ、こいつを使えば俺たちも強くなれるのさ…魔法を自在に操ることのできるそいつらみたいにな…。」
同期の男の一人がこちらを妬むように睨み付ける。
その視線には、様々な感情がうごめいてみえるようだった。
「俺らもこれを使えば、こいつらみらいになれるかもしれねぇ…。だから俺らはこの人たちと取引してたんだ。」
彼らの視線の先を見ると、研究服を着た一人の女がいる。
「私は頼まれただけですけどね…。」
「俺は反対だね。」
「なっ。」
「薬を使えば強くなれる?魔法を使って?冗談じゃない。俺はそんなことのために軍に入ったわけじゃないんだ。このことはちゃんと教官に報告させてもらう。」
ドミーがそう言葉を放った瞬間
バンッ!
銃声が響くとともにドミーが倒れこむ。
「ぐっ…てめぇ…。」
「取引は失敗だな。お前らには死んでもらう。死体の処分は任せておけ。」
「やばいな…こりゃ…。」
「また厄介ごとか。」
私は溜息をつきながらも、サリアと視線を交えつつナイフを取り出す。
すでにそこには血の匂いがまじっていた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる