蒼の十字架と裏切りのアリシア

クロハ

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入隊 

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そこは軍隊を育てるための環境と言われれば「違うだろ!」と誰もが口にするに違いない。
「半年で誰よりも強い一人前の兵士になれる」
その言葉に心打たれた私はすぐに入隊したのだがそこは地獄とも思えるような日々の連続だった。
いきなり遠征を繰り返しては模擬の戦闘訓練を行わされる無茶苦茶なプログラム。
しかも、周りは貴族の地位から蹴落とされた理由で入隊した者、犯罪を犯した者
戦闘に興奮を覚える者 彼らのほとんどがまっとうとは言いがたい人生を送ってきたものばかりだ。
まぁ私も、彼らのことを言えた義理ではないのだけど…。
今私がいるのは五度目の遠征先、国の西部に位置する森林地帯へと向かう途中。
その地帯へと飛行船で移動する退屈な時間の最中そんなことを考えていると、まもなく到着するという機内のアナウンスとともに高度を下げ始めたkとを知らせるくぐもった気圧音が同時に聞こえる。
「おい金髪、あと十分で着くんだ。ぼけっとしてないでさっさと支度をしろ。」
横に座る短い銀髪の女から声を掛けられる。
長身でスラリとしたプロモーションにクールな目つきをした美しい女と周囲から評判のサリア。
しかし、そんな好印象を彼女は一瞬でなかったことにしてしまう。
彼女の口から出る人を見下す態度と上官に歯向かう無駄な反抗心は入隊から二人一組のバディを組まされている私にとって連帯責任という形で散々な目に合わされる。
「やれやれ…。」
私はこれから始まるだろう一日とサリアに向けてそう呟くと軍服のヨレを直しつつ外へと飛び出した。

遠方から放たれる狙いすまされた一発の銃弾が私めがけて飛んでくる。
もちろん模擬戦なので、本物ではないが当たるとある程度の痛みはある。
この戦闘は先に弾丸が当たったほうが敗者という極めてシンプルなものだ。
しかし、それだけに二人一組での力が試される場でもあるのだ。
「よっと!!」
緑生い茂る森林のなかどこからでもなく襲い掛かるそれに上半身をひねることでそれを難なくかわし、的を失ったそれは虚しげに私の横を通り過ぎる。
が、そんなこともつかの間私を倒そうと目の前で対峙した男が放つ瞬発力のこもった拳に私は両腕で受け取るが。
まずい…。
直前まで急激な運動をしていただけにぐらりと体勢を崩してしまう。
このままでは数秒のしないうちに銃で格好の的にされる。
そう思った矢先ふっと自分に掛かる体重が軽くなり、サリアが一気に間合いを詰め思い切り蹴りで吹き飛ばしたのを目視する。
森林であるという環境を利用し気配を隠したまま急接近したのだ。
私はすぐに携帯した銃で相手の胴体目掛け引き金を引き、一人を続行不能にする。
残りはあと一人…。
相手は気配を隠しているつもりだろうが、私には遠方から放たれる弾丸の軌跡が読めていた。
一気に間合いを詰めようと走り出した矢先、私は自分から失態を招いたことに気が付く。
「おいっ!アリシアよせ!」
その途端私たちのいた場所から突然爆発したように広がる白い煙幕のようなもので視界が奪われた。
刹那
「きたぞっ!」
煙を突き破るようにしてやってきたのは無数の銃弾の雨。
サリアが私を抱え一気に跳躍することでそれから逃れた。
一度距離を取り体勢を整える。
「こんな初歩的な魔法に引っかかるなんて。」
「ごめん…。」
「まあいい…それより相手はどこに?」
「おそらく相手は三百メートルほど離れた場所に身を隠してる。ここから行くとすぐに狙い撃ちされる」
「さっき倒した奴はおとりだった訳だ。それでどうする?相手は遠距離型でこちらは近距離型二人だ」
「このまま大人しく前に出れば、狙い撃ちされるぞ。」
「いい考えがある、試したことはないけど…。」
私はその案を彼女に話すとクスりと笑みを浮かべた。
「なるほど…模擬戦の戦いだからこそか。やっぱりお前は少し間抜けだが面白い奴だ。」
「はいはい。どうせ間抜けですよ、それでどうする?やるかやらないか。」
「もちろんやるに決まっているだろ、準備はいいか。」
「いつでも。」
私たちは呼吸を合わせた後、一気に相手の方へ全力疾走した。
やってくる一発の銃弾を私は携帯していたナイフで切り落としていく。
そして距離を縮めた後、あえて敵の接地した罠に引っかかる。
今だ!!
私は爆発するような音に紛れて敵の方目掛けて数発の銃弾を放つ。
すると、少し距離を置いていたサリアはそれを目視すると同時にを手を振りかざす。
すぐに罠に連動して仕掛けられた銃弾の雨を跳躍してやり過ごすと、勝ったという確証があった。
私の放った弾は飛距離が伸びるにつれて弾速が落ちるのでなく、逆に速さを増して一直線に飛び続け
相手へと着弾させたのだ。
「成功だな。」
「あぁ。」
私たちはハイタッチを交わす
こうして模擬戦が終了した。
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