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従順そうな妹が良いとおっしゃいますが、本当にその子で大丈夫ですか?
虚偽報告
しおりを挟む区切りの関係で短めです
―――――
書版に視線を落としていたコルトが視線を再度私の方へ向ける。
「では、こちらが本命の質問なのですが、昨日、お嬢様の報告から少ししたところで、グレイさまの家から書面が届きました」
あの時、グレイから報告しておくと言っていたので、それに関するものでしょう。ただ、他家に送る書面をこれほど早く送ることはあまりないので、緊急性が高い内容だったのかもしれません。何やら嫌な予感がしますね。
「内容を掻い摘んで言うと、『息子であるグレイがそちらの娘であるレインから不当な扱いを受け、日ごろから多くの者の前で恥をさらされている、と報告を受けた。それについて直接会って話がしたい。ただ、こちらとしては息子の主張に確証があるわけでもない。しかし、息子の意見を尊重し、グレイとレインの婚約を破棄する方向で話を進めたい所存である』といったところです」
「そう」
予想通り、というか、ここまでわかり易いことをするなんて、昔から上辺を取り繕うことしか出来ない人なのよね、グレイって。
こんな嘘というか、自分にとって都合のいいところだけを報告している事なんて調べればすぐにわかるようなものでしょうに。今回に限ってはこんなにも早く書面が届いているので、調べるような時間はなかったみたいですが。
「先ほどした質問と似たようなものになってしまいますがこれについての回答を求めます」
「求めます、って。まあ、グレイ視点から見ればそうなのかもしれないわね。ただ、さきに答えたように私はグレイが他の女性を侍らせていることを指摘したり、不適切な行動を注意したりしているだけです」
「恥をさらされている、という部分については?」
「それはグレイの自業自得と言うか、私が注意したことに対して大声で反論や言い訳をしているから変に目立っているだけですね。それを私の所為にして、あちらの家が優位になるような婚約破棄に繋げようとしているだけでしょう」
もしかしたら、普段から私の所為だと思っているのかもしれませんけれど。
本当に毎回毎回、勢いや声の大きさで誤魔化そうとしているのが丸わかりなのですよ。まあ、誤魔化そうとしているということは、自分の行動が良くないことだと認識しているということでもあるのですが。一向に直そうとしない時点で自覚していないのと同義ですけどね。
「……なるほど、とりあえずおよその状況は把握しました。それで、これは既に決定していたことですが、私とあちらの方の家の者が今日から数日間、学園内でお二方の動向を陰ながら確認しますので、私たちのことは気にせず、普段通りの生活をしてください」
「え、あ、はい。わかりました」
確かに当人同士の主張を鵜呑みにすることは出来ないからそうするのもわからなくはないけど、この事って私に言っていいことなのかしら? ちょっと疑問ね。
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