聖女の証を義妹に奪われました。ただ証だけ持っていても意味はないのですけどね? など 恋愛作品集

にがりの少なかった豆腐

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貴方の言う真実の愛のお相手は誰なのでしょうか。まさか私の妹ではありませんよね?

貴賓室

 
「レイシャ、とりあえず座ってくれ」
「はい。わかりました」

 困惑してどうしていいのかわからない中、父親からの指示を受けて空いているソファに腰掛けます。

「レフリア家の者が全員揃ったので話を始めよう」

 メシャル侯爵は私がソファに腰を下ろしたことを確認すると、すぐに話を進め始めました。
 いきなり呼び出され今一状況を理解できていないのですが重要な話なのはわかるので背筋を伸ばし、聞く姿勢を整え、私を含めたレフリア家の者は静かにメシャル侯爵の言葉を待ちます。

「これまで調査していたフマ家についてだが、情報が纏め終わり処分が進んでいる」
「っ?」

 先ほどの夕食の際にはまだ詳しくは分かっていない、と話していたことが既に終わっていたと言われ、驚きのあまり声を上げそうになりそうになりました。
 寸でのところで声を上げることはありませんでしたが、私が驚いていたことはメシャル家の方達には気付いているようで少し恥ずかしいですね。

「まあ、いきなり調査は終わっていると言われれば、驚くのも無理はないだろう。結論だけ言えば、フマ家に関しては廃爵したうえで処刑する、という形になる」
「そうですか。わかりました」

 メシャル侯爵のフマ家に関しては、という言葉が少し気になるところですが、もしかしたら他の家も関わっていたということなのかもしれません。

「それとイゲリス伯爵家についてだが、こちらも廃爵が確定した。ただ、こちらは罪があった訳ではないが」
「それは、どういう事でしょうか?」

 突然、今まで関りがあったイゲリス家が無くなると聞き、お父様はメシャル侯爵に問いました。

「その理由を話すには、まず先に洗脳術について説明する必要があるな。簡単に言えば洗脳術と呼ばれるものは一切なかったという事だ」

 メシャル侯爵によると、洗脳術と呼ばれる魔法の存在は無かった。しかし、洗脳されたような言動をとる者が現れている以上、似たような物があるのは明白です。
 そのため、その原因を探っている内にある薬物の存在が浮かび上がったそうです。

 メシャル侯爵は正式名称を伏せて話していますが、その薬はこの国には存在しないものの違法薬物として管理されているものだったようで、フマ家はその薬を使って対象にした者たちを好きなように操っていたようです。

 調査員が調査対象の家にあったものを摂取するなど普通はあり得ないことですが、どうやらこの薬は気化させた状態でも摂取が可能な物らしく、気付かない内に摂取してしまい調査に行った者たちも短期間で洗脳状態になっていた、ということのようですね。

 フマ家の者に被害が無かった理由はその薬を中和するための物があるらしいので、それを事前に摂取していたということでしょうか。

 しかし、事前に中和薬を摂取していない状態でその薬の影響を受けてしまった場合、その薬の効果を抜くには相当な時間が掛かってしまうとのこと。これはフマ家によって洗脳された者たち全てに当てはまること。
 そして、イゲリス家の者たちはその薬の影響を長期間もろに受けてしまっていたらしく、すぐに治療を終えるのは困難であり、今後、貴族として過ごすことは難しいと判断されたため廃爵となったということらしいです。

 本来なら、このような状況では廃爵はせず近親の者が爵位を継ぐものですが、フマ家はイゲリス家に近付くためにその繋がりを利用していたため、そちらの者たちもその薬の影響下に置かれていたらしいです。
 そのため、正式に爵位を継げる者が居なくなってしまったことで、イゲリス家は廃爵せざるを得なくなったのということのようです。

「では、イゲリス家が収めていた領地はどうなるのでしょうか」
「その辺りはまだ決まっていない。おそらく分割された上で周辺の領地に取り込まれることになるだろう。他の可能性もあるがこれが一番可能性が高い」
「そうですか」

 領地が広がるというのは貴族にとっては税収が増えるという事を示しています。しかし、本来であれば喜ばしい事なのですが、突然領地が広がればそれだけ厄介ごとも増えるのですよね。なので、このような事態で領地が増えることを喜ぶ貴族は少ないのです。
 おそらく進んでイゲリス家の領地を貰い受ける領主は少ないでしょう。

 領地の経営に余裕がある訳でもないレフリア伯爵家にとっては、この事態は受け入れ難い事ではありますが、国の指示であれば受け入れざるを得ません。

 そんなこともあって、この決定はあまりいい事とは言えませんが、その不満を漏らすことが出来ない父であるレフリア伯爵は、それ以上その話を続けることはありませんでした。

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