(完結)婚約を破棄すると言われましても、そもそも貴方の家は先日お取り潰しになっていましたよね?

にがりの少なかった豆腐

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事の顛末と少しの不安

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 あの夜会から数日。
 ジェガル伯爵、コーリーの父親に当たる人物が関わっていた不正事件の騒動は国から処分内容が正式に言い渡され、終わりを迎えました。
 
 首謀者ではなかったジェガル元伯爵の関係者でこの件に関わっていた者たちは財産をすべて没収され国外追放。ジェガル家の子息たち、コーリーを含めて全員が関わっていたため、この件で完全にジェガル家は廃爵する形となりました。
 首謀者だった貴族家は、完全に関わっていなかった者たちを除いて処刑されて、残った者たちが爵位を継ぐことになるわけですが、継ぐ予定だった爵位は侯爵から子爵まで降爵することになりました。

 しかし、関わっていなかったとはいえ、首謀者でありながら処刑されず降爵されただけなのは少々処分の甘さを感じます。おそらくできるだけ国内に存在している貴族家の数を減らさないための判断なのでしょうけれど、不正に使われた金額は結構な額だったと聞かされているので、この結果に不満や疑問を持つ方も一定数は居そうですね。

 まあ、ジェガル家もといコーリーに関する問題は全て終わりになりましたので、その心配をしなくてよくなったのはありがたいのですけれど。

「何か納得いかないことでもあったのかい?」
「いえ、そういうわけでは」

 我が家の応接室。私の正面に座っていたキレス様の問いかけにそう答える。
 今回の報告はキレス様が直接我が家に持ち込んでくださったもので、すでにお父様にこの結果が伝えられ、その後に私の元に来たという形です。

 キレス様が直接報告を持ち込んでくれるというのは少しおかしな話ではありますが、キレス様曰く、私と話がしたかったからだそうです。

「君の顔を見るとそんなことはなさそうだけどね」
「えっと」

 貴族たるものできるだけ感情を顔に出さないようにと訓練していたのですが、キレス様にわかるくらい出てしまっていたのでしょうか。

「納得いかないところや疑問に思うところがあったら教えてくれると嬉しい。僕の答えられる内容であれば答えてあげられるからね」

 無理に隠し続けてもキレス様の機嫌を損ねてしまうかもしれないので、素直に疑問に思ったことを伝えることにしました。

「今回のべリウス家の処分なのですが、少々甘いように感じてしまって」
「ああ、その部分か」

 ベリウス家は今回の件での首謀者に当たる家の家名です。そしてキレス様の元婚約者様の家でもあります。
 今回の件で私は婚約者が変わることになりましたが、それはキレス様も同じなのです。

「そうだね。今回の不正の処分に対しては確かに甘めな判断だと言える。ただ、国としてはベリウス家をなるべく完全に廃爵させたくないんだ。詳しくは言えないけど、あの家が持っている土地は国にとっても重要な場所でね」
「そうだったのですか。それは存じていませんでした」
「ああ、そのこともあってあの処分内容になっているんだ」

 重要な土地を治めていたとなれば、一時的にでもそこを治めている者が居なくなるのはよくないでしょう。後に他の貴族がその土地を治めることになったとしても、すぐにそれを決めることが出来るわけでもありませんし、できればもともと治めていた者の関係者がそのまま治め続ける方が良いこともわかります。
 このような理由があるのでしたら納得できますね。

「理解しました。ありがとうございます。あの、……もう1つ気になっていることがあるので聞いてみてもいいでしょうか」
「かまわないよ」

 少し質問することを躊躇ってしまいますが、この場で聞かなければ今後聞くことはできそうにないので、思い切って質問してみます。

「キレス様の元婚約者様、テレジア様についてなのですが……、キレス様は彼女に対してどういうお気持ちをお持ちですか」

 テレジア様は今回の不正に寄ってキレス様の婚約者ではなくなった方です。今ではベリウス家は子爵になっていますが、それはテレジア様の兄である方が引き継いだ形になっているため、現在はかなり不安定な立場にある方でもあります。

 私と同じようにキレス様とテレジア様の婚約は立ち消えになったわけですが、キレス様がテレジア様に対してどのような気持ちを持っていたのか、私は知らないのです。
 
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