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はじめての依頼
冒険者はじめました
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研究所の一件が終わり数日後、レオン達三人は冒険者となるために町のギルドを訪れていた。
他の建物よりも幾分か立派なギルドの扉をくぐると、そこには見知った少女が一人。
「レオンさん! お待ちしてました。どうぞこちらへ」
「あれ、ベルじゃないか。どうしてギルドに?」
「よくぞ聞いてくれました! 実はこの度、カモメ亭の支店をギルドと併設させることになりまして、私が支店長になったんですよ~!」
「お~! すごいじゃないか!」
「えへへ……ということで皆さん! 今後ともどうぞカモメ亭を御贔屓に!」
嬉しそうに頭を下げるベルには、先日の悲しげな表情は残っていなかった。
――立ち直れたんだな
「レオンさん達が今日来ることは聞いてたので、ギルドの方にはもう話を通してあります。冒険者免許の用意も出来てるはずなので受付の方に行ってみてください」
「色々してくれたんだ。ありがとう、ベルおばさん」
ララの言葉に、ベルはガクリと膝から崩れ落ちる。
「お、おばさん……いや、たしかに叔母なのは間違いないんですが……私まだ若いです…………」
「ベル、急にどうしたの!? 大丈夫?」
リンネが本気でベルの心配をする。
長寿であり、その生涯にわたって美しいエルフはおばさんなんて言葉では傷つかないのだ。
「リンネ、ベルは大丈夫だから。あとララ……おばさんって呼び方はやめてあげろ……」
「……? わかった」
「いい子だ。それじゃあベル、またあとでな」
「あ、はい……お待ちしてま~す……」
「はい。これで登録は完了です! それではこちら、お三方の冒険者免許となります」
ベルが話を通しておいてくれたおかげで、スムーズに登録は終わった。
最後に冒険者免許と呼ばれる首飾りが三人に手渡された。
「あれ……これって五級冒険者の証じゃ……」
リンネが呟く。
通常、登録したばかりの冒険者は赤色の宝石がついた、七級を表す首飾りを預かる。
しかし三人が手渡されたのは黄色の首飾り。
それは魔獣の討伐依頼が解禁される五級冒険者のものだった。
「ええ。特級冒険者であるシンピさんの推薦により、皆さんは五級冒険者として登録されました」
「師匠……!」
レオンとリンネが感動していると、受付嬢が言いづらそうに話を続けた。
「特級冒険者は四級までの推薦が可能なんです。なので先日の行方不明者発見の件を踏まえ、四級が妥当なのでは、とギルドとして進言したんですが……シンピさんが『五級でいい』と」
「し、師匠……」
二人が肩を落とす。
分かっていたことだが、シンピはそこまで甘い人ではなかった。
「よく分かんないけど、これ着けて魔獣を殺せばいいってことでしょ?」
そう言ってララが首飾りを着ける。
随分と血の気の多い物言いだが、ここは冒険者ギルド。
多くの荒くれものを相手にしている受付嬢が動じることはなかった。
「クエストにもよりますが……そういった内容のものは多いですね」
「それならいいじゃん。よんきゅーでもごきゅーでも関係ないでしょ、レオン」
「……ま、それもそうだな」
レオンも首飾りを着ける。
「仕方ないか……」と呟いて、リンネもそれに続いた。
「はい、これで冒険者登録は終了。皆さんは正式に五級冒険者です! クエストは階級別で右手の掲示板にまとめてありますので、確認してみてください。それではお気をつけて!」
「掲示板か……あとで確認してみるか」
「そうね。初仕事だもの。慎重に選ばなくちゃ」
「私は魔獣殺せればなんでもいいかな~」
三人は早速仕事を探そうと掲示板に向かう。
その時、一人の少女がギルドの扉を開いた。
「誰か……助けてくださいっ!!!」
他の建物よりも幾分か立派なギルドの扉をくぐると、そこには見知った少女が一人。
「レオンさん! お待ちしてました。どうぞこちらへ」
「あれ、ベルじゃないか。どうしてギルドに?」
「よくぞ聞いてくれました! 実はこの度、カモメ亭の支店をギルドと併設させることになりまして、私が支店長になったんですよ~!」
「お~! すごいじゃないか!」
「えへへ……ということで皆さん! 今後ともどうぞカモメ亭を御贔屓に!」
嬉しそうに頭を下げるベルには、先日の悲しげな表情は残っていなかった。
――立ち直れたんだな
「レオンさん達が今日来ることは聞いてたので、ギルドの方にはもう話を通してあります。冒険者免許の用意も出来てるはずなので受付の方に行ってみてください」
「色々してくれたんだ。ありがとう、ベルおばさん」
ララの言葉に、ベルはガクリと膝から崩れ落ちる。
「お、おばさん……いや、たしかに叔母なのは間違いないんですが……私まだ若いです…………」
「ベル、急にどうしたの!? 大丈夫?」
リンネが本気でベルの心配をする。
長寿であり、その生涯にわたって美しいエルフはおばさんなんて言葉では傷つかないのだ。
「リンネ、ベルは大丈夫だから。あとララ……おばさんって呼び方はやめてあげろ……」
「……? わかった」
「いい子だ。それじゃあベル、またあとでな」
「あ、はい……お待ちしてま~す……」
「はい。これで登録は完了です! それではこちら、お三方の冒険者免許となります」
ベルが話を通しておいてくれたおかげで、スムーズに登録は終わった。
最後に冒険者免許と呼ばれる首飾りが三人に手渡された。
「あれ……これって五級冒険者の証じゃ……」
リンネが呟く。
通常、登録したばかりの冒険者は赤色の宝石がついた、七級を表す首飾りを預かる。
しかし三人が手渡されたのは黄色の首飾り。
それは魔獣の討伐依頼が解禁される五級冒険者のものだった。
「ええ。特級冒険者であるシンピさんの推薦により、皆さんは五級冒険者として登録されました」
「師匠……!」
レオンとリンネが感動していると、受付嬢が言いづらそうに話を続けた。
「特級冒険者は四級までの推薦が可能なんです。なので先日の行方不明者発見の件を踏まえ、四級が妥当なのでは、とギルドとして進言したんですが……シンピさんが『五級でいい』と」
「し、師匠……」
二人が肩を落とす。
分かっていたことだが、シンピはそこまで甘い人ではなかった。
「よく分かんないけど、これ着けて魔獣を殺せばいいってことでしょ?」
そう言ってララが首飾りを着ける。
随分と血の気の多い物言いだが、ここは冒険者ギルド。
多くの荒くれものを相手にしている受付嬢が動じることはなかった。
「クエストにもよりますが……そういった内容のものは多いですね」
「それならいいじゃん。よんきゅーでもごきゅーでも関係ないでしょ、レオン」
「……ま、それもそうだな」
レオンも首飾りを着ける。
「仕方ないか……」と呟いて、リンネもそれに続いた。
「はい、これで冒険者登録は終了。皆さんは正式に五級冒険者です! クエストは階級別で右手の掲示板にまとめてありますので、確認してみてください。それではお気をつけて!」
「掲示板か……あとで確認してみるか」
「そうね。初仕事だもの。慎重に選ばなくちゃ」
「私は魔獣殺せればなんでもいいかな~」
三人は早速仕事を探そうと掲示板に向かう。
その時、一人の少女がギルドの扉を開いた。
「誰か……助けてくださいっ!!!」
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