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はじめての依頼
シュンラン、走る
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「……私、奥に行ってみます」
「駄目だ」
ネックレスを手に呟くシュンランに対し、レオンは断じた。
「危険すぎる。ここに仲間がいるのなら尚更だ。敵がいないわけがない」
「わかってます。それでもこのまま黙って見過ごすなんて、私にはできない!」
「ああ、だから俺が行く」
「……え?」
予想外の言葉に、シュンランは耳を疑う。
「俺が行く。シュンランはこのままリンネ達と合流してここまで連れてきてほしい。一人で森を抜けてもらうことになるが……頼んだ」
「で、でも……」
シュンランが食い下がる。
洞窟の奥を見つめる瞳には、助けに行きたい気持ちが映っていた。
「足手まといだ」
煮え切らないシュンランに、レオンははっきりと言い渡す。
事態は一刻を争う。
こんな所で足止めを食うわけにはいかない。
「……わかってくれ。何かあった時、俺の力じゃカバーしきれない」
訴えかけると、シュンランは少し考えた後、一つ頷いた。
「わかりました。すぐにリンネさん達を呼んできます」
決めた後の行動は早く、その表情には決意が伺えた。
シュンランが立ち上がり、洞窟の闇から外へと歩き出す。
「どうかみんなを……よろしくお願いします……!」
その言葉と未練をレオンに託し、彼女は森の入り口へと走り出した。
「……任せろ」
その背中を見送った後、レオンは短剣を抜くと、暗い洞窟の奥深くへと進んでいった。
――絶対に入り口まで辿り着く!
その一心でシュンランは森の中を駆けていた。
「やった……! 道に出た!」
木々が鬱蒼と茂った茂みの中から、森の中でも比較的整備された道に出る。
この道を通れば、森の入り口までそう時間はかからない。
だが――
「――ここまで来て……!」
目の前に立ちはだかるのは一体のアンデッド兵。
どうやらここで待ち構えていたようだ。
アンデッド兵がくたびれた剣を構える。
――他に敵がいる様子はない
「それなら……やるしかない……!」
先手必勝。
体勢を低くしたシュンランが一直線に相手の懐目がけ突っ込む。
しかしそれを牽制するようにアンデッド兵が剣を振るう。
それでもシュンランは前に進むことをやめない。
避けきれず、頬に剣先が掠るも、そんなことはどうでもよかった。
「走ることは……! やめないっ!!」
足払いでアンデッドの体勢を崩す。
そこから、膝を着いたアンデッド兵の顔に渾身の裏拳を入れて吹き飛ばした。
そしてシュンランはまた走り出す。
この程度の攻撃で倒しきれないことは分かっている。
もちろん、倒す必要がないことも。
「私がやるべきはリンネさん達を呼ぶこと……あんな奴に構ってる暇なんてない!」
そうしてシュンランは走り続けた。
「駄目だ」
ネックレスを手に呟くシュンランに対し、レオンは断じた。
「危険すぎる。ここに仲間がいるのなら尚更だ。敵がいないわけがない」
「わかってます。それでもこのまま黙って見過ごすなんて、私にはできない!」
「ああ、だから俺が行く」
「……え?」
予想外の言葉に、シュンランは耳を疑う。
「俺が行く。シュンランはこのままリンネ達と合流してここまで連れてきてほしい。一人で森を抜けてもらうことになるが……頼んだ」
「で、でも……」
シュンランが食い下がる。
洞窟の奥を見つめる瞳には、助けに行きたい気持ちが映っていた。
「足手まといだ」
煮え切らないシュンランに、レオンははっきりと言い渡す。
事態は一刻を争う。
こんな所で足止めを食うわけにはいかない。
「……わかってくれ。何かあった時、俺の力じゃカバーしきれない」
訴えかけると、シュンランは少し考えた後、一つ頷いた。
「わかりました。すぐにリンネさん達を呼んできます」
決めた後の行動は早く、その表情には決意が伺えた。
シュンランが立ち上がり、洞窟の闇から外へと歩き出す。
「どうかみんなを……よろしくお願いします……!」
その言葉と未練をレオンに託し、彼女は森の入り口へと走り出した。
「……任せろ」
その背中を見送った後、レオンは短剣を抜くと、暗い洞窟の奥深くへと進んでいった。
――絶対に入り口まで辿り着く!
その一心でシュンランは森の中を駆けていた。
「やった……! 道に出た!」
木々が鬱蒼と茂った茂みの中から、森の中でも比較的整備された道に出る。
この道を通れば、森の入り口までそう時間はかからない。
だが――
「――ここまで来て……!」
目の前に立ちはだかるのは一体のアンデッド兵。
どうやらここで待ち構えていたようだ。
アンデッド兵がくたびれた剣を構える。
――他に敵がいる様子はない
「それなら……やるしかない……!」
先手必勝。
体勢を低くしたシュンランが一直線に相手の懐目がけ突っ込む。
しかしそれを牽制するようにアンデッド兵が剣を振るう。
それでもシュンランは前に進むことをやめない。
避けきれず、頬に剣先が掠るも、そんなことはどうでもよかった。
「走ることは……! やめないっ!!」
足払いでアンデッドの体勢を崩す。
そこから、膝を着いたアンデッド兵の顔に渾身の裏拳を入れて吹き飛ばした。
そしてシュンランはまた走り出す。
この程度の攻撃で倒しきれないことは分かっている。
もちろん、倒す必要がないことも。
「私がやるべきはリンネさん達を呼ぶこと……あんな奴に構ってる暇なんてない!」
そうしてシュンランは走り続けた。
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