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魔龍動乱
作戦開始
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シンピとビーディーが里に転移してくると、レオン達はなにやら上空を見上げていた。
「リンネ、状況はどうだ」
「! 師匠……来てます……!」
リンネの指差した方を見ると、まだ距離こそ遠いものの、里に迫ってくるドラクルの姿が目視できた。
「確定だな。やるぞ、シンピ」
ビーディーが拳を握りしめる。
それに応えるように、シンピは曇りのない眼でかつての仲間を見据えた。
「……ああ。ただ問題は彼が飛んでいるということだ。私の転移魔法で全員を巻き込み飛び移ることも出来るが、振り落とされた時が怖い」
「じゃあ少数精鋭であいつを墜とすとこからだな。シンピ、行くぞ」
「ちょっと待った!」
シンピと二人で転移しようとするビーディーを止めるように声を上げたのは、ドラゴンライダーの少年オーバだった。
「あ? 誰だお前」
「オーバ。この里のドラゴンライダーだ。俺がこいつ、レオンを乗せて飛ぶ」
「ほう、ドラゴンライダーか」
シンピが感心してオーバを見やる。
その隣には、青い龍が控えていた。
「そういうことなら助かる。君はレオンを乗せて援護してくれ。くれぐれも撃墜されないようにな」
「当然! ドラゴンライダーをナメんなよ?」
威勢のいい答えにシンピは少し安堵する。
この様子なら安心して弟子の身を任せられそうだと。
「リンネとララは住民の避難誘導。その後はドラクルが墜ちた時に備えておいてくれ。なるべく里から離れた場所に墜とせるよう努力はする」
「はい!」
ハキハキと返事をするリンネとは対照的に、ララは暗い表情で飛来するドラクルをぼんやりと眺めていた。
「ララ、どうした」
シンピが訊ねると、ララは沈んだ表情のままで口を開いた。
「あれって、おじいちゃんだよね? この前会った……戦わなきゃいけないの?」
その不安気な声色に、シンピは先程までの自分を重ねる。
――もう、私の番なのか
シンピは、一つ頷いた。
「そうだ。あれはお前がこの前会ったドラクルだ。彼は今、悪いものに操られ苦しんでいる……私たちの手で助けてあげよう」
「……うん」
ララが小さく頷く。
助ける、その意味が分からない程、ララはもう子供ではなかった。
「みんながママを助けてくれた時と、同じだね」
「……そうだな」
答えて、シンピは少し悲しい気持ちになった。
だけど――
「ビーディー、行くぞ」
「おう」
「レオン、援護の方法はお前に任せる。が、無理はするな。私達だけでもなんとかしてみせる」
「……わかりました」
シンピが空を見る。
青の中に浮かぶ点のように見えていたドラクルの姿は、先程よりも少し大きくなっていた。
「作戦開始だ……全てを助けよう」
――否、だからこそ、この気高い心の炎は消えない
「リンネ、状況はどうだ」
「! 師匠……来てます……!」
リンネの指差した方を見ると、まだ距離こそ遠いものの、里に迫ってくるドラクルの姿が目視できた。
「確定だな。やるぞ、シンピ」
ビーディーが拳を握りしめる。
それに応えるように、シンピは曇りのない眼でかつての仲間を見据えた。
「……ああ。ただ問題は彼が飛んでいるということだ。私の転移魔法で全員を巻き込み飛び移ることも出来るが、振り落とされた時が怖い」
「じゃあ少数精鋭であいつを墜とすとこからだな。シンピ、行くぞ」
「ちょっと待った!」
シンピと二人で転移しようとするビーディーを止めるように声を上げたのは、ドラゴンライダーの少年オーバだった。
「あ? 誰だお前」
「オーバ。この里のドラゴンライダーだ。俺がこいつ、レオンを乗せて飛ぶ」
「ほう、ドラゴンライダーか」
シンピが感心してオーバを見やる。
その隣には、青い龍が控えていた。
「そういうことなら助かる。君はレオンを乗せて援護してくれ。くれぐれも撃墜されないようにな」
「当然! ドラゴンライダーをナメんなよ?」
威勢のいい答えにシンピは少し安堵する。
この様子なら安心して弟子の身を任せられそうだと。
「リンネとララは住民の避難誘導。その後はドラクルが墜ちた時に備えておいてくれ。なるべく里から離れた場所に墜とせるよう努力はする」
「はい!」
ハキハキと返事をするリンネとは対照的に、ララは暗い表情で飛来するドラクルをぼんやりと眺めていた。
「ララ、どうした」
シンピが訊ねると、ララは沈んだ表情のままで口を開いた。
「あれって、おじいちゃんだよね? この前会った……戦わなきゃいけないの?」
その不安気な声色に、シンピは先程までの自分を重ねる。
――もう、私の番なのか
シンピは、一つ頷いた。
「そうだ。あれはお前がこの前会ったドラクルだ。彼は今、悪いものに操られ苦しんでいる……私たちの手で助けてあげよう」
「……うん」
ララが小さく頷く。
助ける、その意味が分からない程、ララはもう子供ではなかった。
「みんながママを助けてくれた時と、同じだね」
「……そうだな」
答えて、シンピは少し悲しい気持ちになった。
だけど――
「ビーディー、行くぞ」
「おう」
「レオン、援護の方法はお前に任せる。が、無理はするな。私達だけでもなんとかしてみせる」
「……わかりました」
シンピが空を見る。
青の中に浮かぶ点のように見えていたドラクルの姿は、先程よりも少し大きくなっていた。
「作戦開始だ……全てを助けよう」
――否、だからこそ、この気高い心の炎は消えない
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