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魔獣事変
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魔龍動乱と呼ばれる東部での事件から暫くして。
ノシュキルの町の外れ。
その森の中にある魔女の家に彼はいた。
「『爆裂《ジ・エクスプロージョン》』!」
レオンの詠唱と共に、手を置いていた岩が爆発する。
一つ息を吐いて、レオンは額を滴る汗をその腕で拭った。
「安定して出来るようになってきたな……これなら」
レオンがひとり呟いていると、背後から一つの足音と拍手の音が聞こえてきた。
振り返ると、そこには連邦ギルド長である白髪の青年がいた。
「シタンさん」
「やあレオン君、久しぶり。魔龍動乱以来だね。それにしても驚いたよ。まさかこの短期間で魔法が使えるようになってたとは」
シタンからの純粋な誉め言葉に、レオンはどこか申し訳なさげに頭を掻いた。
「いやぁ、実はこれ、やってるのは俺だけど俺じゃないっていうか……」
「……? それはつまり……」
「俺がやっている。わかるだろ? ギルド長」
そう答えるレオンの瞳はいつの間にか赤く染まっていた。
「……なるほどね。君には魔法の才能があったってことか、〈魔獣王〉君?」
もう一人のレオンが涼しげな笑顔で言うシタンを一瞥する。
「喰えない奴だ」
呟くと、レオンの目を支配していた鮮烈な赤はあっけなく引いていった。
「ま、そういうことなんです」
軽く笑ってみせるレオンに、もう一人の気配はもうなかった。
「よくわかったよ。共存することにしたんだね? 君たち」
「共存というか協力というか……目的の一致ってとこですかね。ところで、今日はどうしたんですか?」
「ああ、そうだ。君たちに依頼したいことがあってね」
「依頼……ですか」
依頼。
その言葉にレオンは生唾を飲み込む。
前回レオン達がシタンから受けた依頼は暴走した魔龍の対応という過酷なものであった。
ならばシタンが直接出向いてくる今回の依頼が簡単であるはずがない。
「わかりました。それじゃあ、こちらへ」
そう言ってレオンは、シタンを家へと案内した。
「急な訪問ですね」
家の住人、そして訪問者が終結した食堂にて、家の主であるシンピは開口一番にシタンへと言い放った。
「はは。申し訳ない。なにぶん機密事項なものでね、文書を送るのにもリスクを伴うんだよ。迷惑だったかい?」
「まさか。ただ、歓迎する準備が出来ていなかったので心苦しいという話です……それで、そこまで重要な依頼というのは?」
シンピの問いに、シタンは小さな間をおいて答える。
その間はシタンの胸中にある躊躇いを示しているようだった。
「……そうだね。単刀直入に言おうか」
シタンが穏やかな瞳で、その場にいる一人ひとりを見やる。
覚悟を問うような、そんな視線で。
「今回僕が依頼したいのは……ノシュキルの町の防衛。そして敵の首謀者、ウルフ・ハルベルトの殺害だ」
ノシュキルの町の外れ。
その森の中にある魔女の家に彼はいた。
「『爆裂《ジ・エクスプロージョン》』!」
レオンの詠唱と共に、手を置いていた岩が爆発する。
一つ息を吐いて、レオンは額を滴る汗をその腕で拭った。
「安定して出来るようになってきたな……これなら」
レオンがひとり呟いていると、背後から一つの足音と拍手の音が聞こえてきた。
振り返ると、そこには連邦ギルド長である白髪の青年がいた。
「シタンさん」
「やあレオン君、久しぶり。魔龍動乱以来だね。それにしても驚いたよ。まさかこの短期間で魔法が使えるようになってたとは」
シタンからの純粋な誉め言葉に、レオンはどこか申し訳なさげに頭を掻いた。
「いやぁ、実はこれ、やってるのは俺だけど俺じゃないっていうか……」
「……? それはつまり……」
「俺がやっている。わかるだろ? ギルド長」
そう答えるレオンの瞳はいつの間にか赤く染まっていた。
「……なるほどね。君には魔法の才能があったってことか、〈魔獣王〉君?」
もう一人のレオンが涼しげな笑顔で言うシタンを一瞥する。
「喰えない奴だ」
呟くと、レオンの目を支配していた鮮烈な赤はあっけなく引いていった。
「ま、そういうことなんです」
軽く笑ってみせるレオンに、もう一人の気配はもうなかった。
「よくわかったよ。共存することにしたんだね? 君たち」
「共存というか協力というか……目的の一致ってとこですかね。ところで、今日はどうしたんですか?」
「ああ、そうだ。君たちに依頼したいことがあってね」
「依頼……ですか」
依頼。
その言葉にレオンは生唾を飲み込む。
前回レオン達がシタンから受けた依頼は暴走した魔龍の対応という過酷なものであった。
ならばシタンが直接出向いてくる今回の依頼が簡単であるはずがない。
「わかりました。それじゃあ、こちらへ」
そう言ってレオンは、シタンを家へと案内した。
「急な訪問ですね」
家の住人、そして訪問者が終結した食堂にて、家の主であるシンピは開口一番にシタンへと言い放った。
「はは。申し訳ない。なにぶん機密事項なものでね、文書を送るのにもリスクを伴うんだよ。迷惑だったかい?」
「まさか。ただ、歓迎する準備が出来ていなかったので心苦しいという話です……それで、そこまで重要な依頼というのは?」
シンピの問いに、シタンは小さな間をおいて答える。
その間はシタンの胸中にある躊躇いを示しているようだった。
「……そうだね。単刀直入に言おうか」
シタンが穏やかな瞳で、その場にいる一人ひとりを見やる。
覚悟を問うような、そんな視線で。
「今回僕が依頼したいのは……ノシュキルの町の防衛。そして敵の首謀者、ウルフ・ハルベルトの殺害だ」
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