巻き込まれ体質な私、転生させられ、記憶も封印され、それでも魔法使い(異種族ハーレム付き)として辺境で生きてます。

秋.水

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第8話 旅立ち

第8-3話 魔族との決闘

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それから2日ほど一緒に旅してみて、彼女がパムが良い子であることは、私もみんなも良く感じていた。しかし、私が一人もしくは、誰かとどこかに移動するとその後ろに着いてきていて、何を話すか監視しているようです。例の天使様御一行とあやしんでいることは間違いありません。もしそうだったとしても、何を知りたいのでしょうか。気持ちを察することもできるよい子なのにそこだけは察してくれていないようです。やはり誰かから命令された任務なのでしょうねえ。
モーラは、パムの頭の中を覗きたいと言い。アンジーもそれに賛同しているが、私は、どうもふん切りがつかず時間が経過しています。そもそも覗いたところで、そのことに意識がいっていないと見られないし、良い子であるパムと見張っているパムとの落差にどうも違和感があるからなのだと思います。
「何か来ます。」エルフィが何か探知したようだ。
「ほう、わしがいるのに良い度胸じゃ。」
「たぶん、気が触れている感じです。迷走しています。」
「なるほど、そういうことか。魔族の奴がこっちの様子をうかがって、そういうのを向かわせたな。」
「大きいです。かなり大きい。今回のはまずいですよ。」
「馬車止めます。アンジー森に逃げて。」
「はいはい、邪魔はしませんよ。」とんと馬車を降りてさーっと反対側の森の中へ移動する。いや、いつみても早いよね。地に足がついているように見えないよね。もしかして浮かんで移動している?
「とりあえず馬車を守る体勢になりましょう。」
「パム様これを」メアがパムに洋服を渡す。
「これは?」
「ご主人様の考案した破けない服です。着てみてください。」
「ありがとうございます。これを私に?」
「はい、大型化したら裸になるのは恥ずかしいだろうと、昨夜」
「そんな、私のためにですか。」
「はい、でもできたばかりですので、破けない保証はありません。テストしてもらう暇が無かったので」
「そんな、そんなことをしている様子もなかったのに。」
「念のため、服を縫ったのは私です。」
「ああ、ありがとうございます。」
「来ます。」エルフィが叫ぶ。
その巨大な魔獣は、4足歩行で近づいて来たものの私たちを見て2本足で立ちあがり両手を振り上げ突っ込んでくる。前回の魔獣の数倍大きい。前回のことがあったにもかかわらず、ユーリは、ためらわず最初に突っ込んでいく。メアとパムさんが両側に少し遅れてついていく。相手の右手がユーリめがけて振り下ろされる中、ユーリは、それをかわし、下から喉元に剣で突く。パムさんとの練習の成果か確実に喉笛を切り開く。しかし、相手は、狂っているのか痛みを感じないのか、かまわずユーリに向けて左手を横に薙ぐ。メアさんとパムさんが、ユーリを襲うその腕を受け止めた。しかし、勢いを殺しただけで2人を弾き飛ばし、ユーリに迫る。しかしひるまないユーリ、その腕を剣で受け止めようとした。しかし、その腕は、ユーリを襲うこと無く下に落ちる。魔獣は、なくなった腕を振っていたので、体が回転する。ユーリがその左肩を踏み台にして飛び上がり首を切り落とす。絶妙だ。寸分の狂いも無く骨と骨の間に剣が突き刺さり、あっけなく首は転がり落ちる。
「アンジー」馬車の反対側に意識を向ける。魔獣がいた。森の中に避難させたのがあだになった。魔獣がアンジーの入っているシールドの玉をゆっくり転がしながら、現れる。
我々との距離を測った後、シールドに牙を立てシールドが霧散した。
「獣人?」パムがつぶやく。
「獣人ですか。」どうやら魔獣ではなかったようです。知性がありました。
「たぶん。魔獣に隠密とか魔法のスキルを使えるものはいません。しかも殺さないでいることなどまずありません。たぶん獣人です。」
「人ならば、話し合いですね。」私は、膝をついているアンジーのそばに立つその人に話しかける。
「まずは、アンジーを殺さないでくれてありがとうございます。アンジーを殺されていたら私も何をするかわかりませんでしたから。」しばらく待ちましたが返事がありません。
「会話になりませんね、獣人というくらいですから、人にもなれるのでしょう?」
「はい、ですが、顔を見られることになるのと、能力が落ちます。攻撃力が下がることを気にしているのでは無いでしょうか。」パムさんの適切なアドバイス助かります。
「とりあえず、アンジーを殺さないでいてくれたので、話し合いをしたいのです。人になって会話してもらえませんか。」
「あなたと一対一で戦いたいそうです。」アンジーが叫ぶ。
「なるほど、そういうことですか。」
「いいでしょう。ちょっと離れましょうか。アンジーをそのまま置いて左に移動してもらえませんか?こちらも馬車から離れたいので。」私は背中を向けてスタスタと移動する。
「ちょっ・・・」パムさんがあきれているのが背中からでもわかる。
「こちらが要求していますので、信用してもらわないといけませんから。」
それを見てその獣人も静かについてくる。そして対峙する。
「改めて。アンジーに手を出さないでくれてありがとうございます。」丁寧にお辞儀をする。
「そちらの事情はわかりませんが、手を抜いてお相手したらそちらに迷惑がかかりそうですので、全力でいかせていただきます。」そうして、私は、右手をあげる。
「行きます」指をならす。その瞬間、獣人は一瞬消えたように見えた後私のすぐ前に現れる。すごい速さだ。現れると同時に私の右手など気にせず喉笛にかみつこうとした、その攻撃をかろうじてかわし、体勢を入れ替える。しかし相手との距離はかなり縮まった。次に攻撃されたら喉笛にかみつかれるだろう。ちょっと反応が遅れれば死ぬかと思うと冷や汗が出る。それでも降ろしていた震える手を前に出す。指を鳴らす。今度は自分の目の前にシールドを出現させる。相手の行く手を阻むように立てたシールドの向こうには、何もいない。その獣人は、私の真後ろに現れた。読まれていたのか?いや、相手はとっさにシールドの手前で飛び上がり私の背後に降り立ったのだろう。すごい反応速度だ。シールドの生成されるのを目視してそこからスピードを殺し飛び上がり、着地する。速すぎる。その反応速度に合わせて攻撃するとか私には到底無理ですよ。しかもシールドが私の移動を阻みます。背中にシールド、目の前に獣人。こりゃまいった。とりあえず距離を取るためシールドを前に放ち獣人の進行を止める。後ろのシールドを壊して・・・ああ、また回り込まれちゃった。しかも距離が詰まっている。次は指を鳴らそうとしたら食いちぎられそうです。
「次は手を食いちぎりますよね。」そう言いながら手を前に出す。手が震えます。そりゃあ震えますよ。初めての恐怖です。食い殺されるかもしれません。
「ひとつだけ、確認なんですが、獣人さんて再生能力が高いと思うんですがどうですか?」もちろん答えはないです。まあ、私も次の動作のための時間稼ぎなんですがね。
「答えないのであれば、信じます。えい。」私は指を鳴らします。そう、手を伸ばした右手の他に脇まであげていた左手も同時に。
「ガッ」噛もうとしてかみ切れない物を噛んだときの擬音がする。そして、肉を突き刺す音。私の腕にシールドを張り、それを噛ませて、さらに動けなくなった体に地面から数本の槍を出現させその体に突き刺し、身動きを取れなくした。私の腕を噛んだままでなお、その前足で私の顔を薙ごうとしてきました。しかし、さらにそれをすべて串刺しにする。
「すいません。私も必死ですので、痛かったでしょう?でも、」パチリと指を鳴らしすべての槍を取り除き、槍の抜ける勢いで地面に倒れて瀕死になっているその人に薬草を塗る。血はとりあえず止まったようだ。
「どこかで見ているんでしょう?この人は、殺意も無く私を攻撃しました。どうやら脅されてというところでしょうか。倒しましたので、彼はお役御免という所でしょう。ここで一度引きませんか?」
私は、大声で周囲に向かって叫びます。
「ああわかったよ。そいつは、確かにお前を試すためだ。だが、俺たちが無理矢理戦わせたわけじゃねえ。それは、勘違いするな。」
「わかりました。傷は直しますから、後はよろしく。」
「わかった。」
私は大声を出しながらも、獣化が解けて獣人に戻った彼の治療を開始していました。といっても、持っている薬草を傷口に当てるだけなのですが。
触ったのが痛かったのか、その獣人が目を覚ます。私がそばにいて薬草を当てているのを見て、何かされていると思ったのか、尋ねてきた。
「何をしている。」
「傷を治しています。」
「なぜそんなことをする。」
「まあ、なりゆきですね。」
私の周りにはみんなは来ない。目を覚まされて、あのスピードで他の人を攻撃されたら防ぎきれないから離れて待ってもらっています。メアさんとモーラあたりはもしかしたら大丈夫でしょうけど。
「今回のは、あなたが自ら戦いにきたというのは本当ですか?」
「それは本当だ。だが、もうしない。強い者には手を出さない。それは知っている。」
「どういう事情か知りませんが、魔族に与しますか。」
「俺たちの村が、人間から突然襲われた。その時に彼らに助けられた。なので恩返ししたかった。」
「そうですか。人間が、私が、憎いですか?」
「ああ、だが助けられた。だからお前やお前達は憎めないだろう。」
「人間にも魔族にもそれぞれいい人と悪い人がいます。それを憶えていてください。ですから。むしろ悪い人間には容赦しなくても良いですよ。見極めなければならないですが。」
「おまえ、変わっている。普通の人間は、そんなこと言わない。」
「だから人だっていろいろです。あなた達もそれぞれでしょう?」
「・・・・」
「魔族だっていろいろです。まあ、あなたのリーダーさんはいい人そうなので大丈夫ですが、少なくとも恩返しで死んではいけませんよ。」
「そうなのか?」
「ええ、そういうものです。むしろ、せっかく助けた命に簡単に死んでもらっては助けたかいがない。むなしいでしょう。」
「そういう考えもあるのか。」
「少なくとも私はそう思いますよ。それではお戻りなさい。あのリーダーならちゃんと迎えてくれるでしょう。」
「あなたは、不思議な人だ。傷を治してくれたこと礼を言う。」
「それより、回復力すごいですね。あっという間に直りましたよ。」
「それが、われら一族のいや獣人の体質だ。」
「魔力を持っていますよね。」
「ああ、だがほとんど使う必要がない。」
「ですけどその回復力は、魔力を使っているのです。」
「そうなのか?」
「ああ、なるほど、ただ、体の代謝を上げて細胞活性化をしているわけではないと。」
「おまえは何を言っているのだ。」
「ああ、ごめんなさい。独り言です。そうですか。では、あなたとはもう戦いたくありませんので、リーダーの方にそうお伝えください。」
「ああ、おまえは俺を殺さなかったのだから。俺もお前を殺す理由は無い。たとえ魔族に対する恩返しだとしても。」
「でも、人質を取られたりして、戦わされたら、戦いの最中に相談してくださいね。全部を救うとは言いませんが、救えるように頑張ります。」
「はは、おまえは本当にお人好しだな。そんなことまで心配しているのか。」
「ええ、一度助けた命、そうそう死なれては困ります。」
「このことをリーダーに言っても良いのか」
「かまいませんよ。」
「おまえ、変な人間だな」
「よく言われます。」
そうして、名も無い獣人との戦いは終わった。私は馬車に戻る。

「何を長々と話しておったんじゃ。」
「ええ、獣人の回復力は、その身体機能の他に魔力も使っているということですね。」
「ほう、そんなことを・・・話すわけ無いじゃろう」
「はい、していません。それは私の独り言です。」
「さっさと言わんか。」
「彼の一族は、人間に襲われたそうですよ。それを魔族に助けられたと」
「おいおい、どういうことだ。そもそも身体能力が高い彼らを人が襲うとか絶対的な物量でも無い限り、到底無理じゃろう。」
「人間が襲撃することなどあるものですかねえ。」
 それから私たちは、その場から移動し、夕暮れになった頃、夕食の準備を始める。魔族達の監視は相変わらずついてきている。
その夜のこと、パムさんが私の所に来ました。
「あの時、獣人を殺しませんでしたね、なぜですか」火を囲みながらパムが尋ねてきた。
「どうして殺さなければならないのですか」
「あなたは少なくとも殺されかけています。最初の攻撃は確実に喉笛を狙っていました。」
「殺意はありませんでしたよ。」
「相手は殺す気はなくても真剣に戦っていました。しかもその延長上にあなたの死も見えていたと思いますが。」
「確かに真剣に戦っていましたね。でも、戦った結果、戦意をなくした者を殺してどうなります?敵側の人達に対して反感を植え付けるだけでしょう。」
「そこまで考えていましたか」
「いいえ、そこまでは考えていませんでした。彼は何か理由があって私と戦っているということくらいしか。」
「そうですか。そこまで考えているのですか。」
「まあ、後付けですけれど、殺しても憎しみが増えるだけですよ。もっとも私の家族が殺されたり傷を負ったりしたら別ですけど。」
「そう・・ですか。家族が」
「あなたももう家族のようなものですけれどね」
「何を言いますか、旅の途中で一緒になっただけの私に」
「この人はねそういう人なの、わかりづらいけどね」アンジーが私の隣に来てそう言いました。
「そうですか。私も家族ですか。」
しばらくの沈黙の後、パムさんは私にこう言いました。
「私の素性が気になりませんか?」
「気にならないと言えば嘘になりますが、話したくないことを無理に聞きだしても良いことはありませんし、そう言う事は、話す気になったら話してくれると思いますので。」
「私が暗殺者ではないかとか思わないのですか?」
「あなたが暗殺者なら、こんなに近くに居ても殺気を感じさせない凄腕の暗殺者ですね。きっと」
「そういうことですか。私には殺気がないと。」
「はい、こうして一緒に旅してみれば、あなたが悪い人でないことはよくわかります。」
「はあ」
「そういえば、あの襲ってきた獣人さんも事情がありましたしね、あの獣人さんだってきっとこうやって食事をしてみれば仲間になっていたかもしれません。さらには、あの魔族さんもね。」
「あなたにとっては、そういうものですか。」
「はい、すべての人が悪意で生きているわけではないですよ。善意で生きている人も少なからずいます。」
「そういう考え方、いいですね」
「そういう風に生きていこうと思えばできますよ。わたしはそこまでできませんけど。」
「そうですか。」そうしてパムさんは考え込んだようだったので、アンジーに促されて私は、たき火の場所を離れました。パムさんはそのまま火の番をしてくれていました。
その夜は、全員寝不足だったみたいです。

第2波
谷に入りました。上からの落石の攻撃は無いと思いましたが、休憩中にパムに向かって巨大な氷が落ちてきて一緒にいた私にも額に傷がつきました。痛いです。
すでに相手は、谷の中に陣取っていました。
 私は馬を止めさせ、私ひとり馬車を降りて相手に向かって大声で言いました。
「繰り返しますが、彼女は何もしていないと言っていますが。」
「もうそんなことはどうでも良いんだ。さっさとそのドワーフを渡せ」
「嫌です。」
「殺されてもか」
「はい、無実の罪の者を守ることは一緒にいる仲間として当然です。」
「ほんの少し前に一緒になっただけでも仲間か」
「はい、二度一緒に戦ったのです。それだけでも仲間です。」
「良い心がけだな。だが、殺されても泣くなよ。」
「はい、後悔はしません。」
「待ってください。私が・・・」パムさんが馬車を降りてきて相手のところに行こうとしています。
「話の腰を折ってすいませんが、本当にそう思っていますか?」
私はパムの目を見ながら尋ねる。
「それは、」
「私たちのことを考えて言っていませんか?」
「・・・・」視線を外してパムはうつむく。
「残念ですが、私は自己犠牲が一番嫌いなのです。」
「あーあ、だめですよ。この人に火をつけるようなことを言っちゃあ。」
降りてきたアンジーがあきれている。さらに続ける
「でも、ひとつだけ、あなたは、私が行けば問題が解決すると言ったけど、本当に念のため聞くけど、何もしていないのね」アンジーが詰め寄る。
「は、はい」
「この人はね、愚直に信じる人なの。もちろんやっぱり嘘でしたって後から言っても良いけど、本当にそれはないのね。今、実は、嘘をついていたって言ってもきっとこの人は味方になってくれるの。だから嘘なら嘘って言って欲しいの。そうしないと今度は、相手に対してお詫びをしようとするの。だからやっかいなの。どう?」
「それは、本当です、本当に何もしていないのです。」
アンジーがモーラを見る。モーラもうなずいている。
「嘘はついてないようです。大丈夫ですよ、攻撃してきたら反撃しましょう。」アンジーがOKを出してくれました。
「はい、では思う存分行きます。念のため警告しますが、ここで引いてくれるとお互い被害が少なくてすむと思うんですよね。それでもやりますか?」
「いいんだよやろうぜ、」
「どうしてこう、魔族の方達は好戦的なんでしょうかね」
「いや、魔族が好戦的なんじゃなくて、俺たちが好戦的なんだよ。強い者が弱い者を倒す。それは、自然の摂理だ。」
「違いますよ、食べるために殺すのならしようがありませんが、それ以上の殺戮は傲慢です。そして弱肉強食の皮を被った快楽主義でしか無いです。」
「だからどうした。弱ければ手も足も出ないだろう」
「そうですね、私もこの力が、魔力が無ければただの人間でしかなくて、あなたと渡り合うことはできなかったでしょう。だからこそ、この力は使いすぎてはいけないと思っていますよ。あなたは、そう考えられないんですか。自分より弱い者をいじめて遊ぶ幼児ですか?」
「はあ、おまえがそうなら、こんなことはしない、でも違うだろう?この前の獣人との戦いを見ていたよ、あれはすごかった。敵の俺が見ても惚れ惚れしてしまったよ。俺は、強い奴が好きだ。憧れる。だからこそ、その強い奴を倒せればそれはさらに快感さ、わかるだろう?わからないか。ちっ、語っちまった。ごたくはここまでだ。さっさとやろうぜ。」
そう言ってその魔族は、すこしずつ前に来て止まった。
「わかりました、さきほどの氷の一撃分はとりあえず返しましょう。」私は、歩きながらパチリと指を鳴らし相手の頭上にさきほどドワーフの上に現れたような氷柱を発生させる。しかも数倍大きい。
「なんだと」とっさによけた魔族の額をかすめて落下して倒れる。そして霧散する。
「やはり見ただけでは、精度が荒いですね、もう少しとがらせたかったんですが。」
「なるほど、俺の真似をしたのか。それはすごいな。だが、これは目では追えまい。」そう言って魔族は氷のつぶてを上下左右から降らせる。しかし、私は右手を振って風を起こしてそれらを巻き上げ、手を振り下ろして相手に投げ返す。その魔族はかわしたが、後ろに居た仲間達は巻き添えになって周りの魔族が倒れていく。
「すごいねえ。でも、これなら」そう言って術式構築を始める。
「良いのですか?周囲の魔族は逃げてしまいましたよ。」
「え?くそお。びびって逃げたか。まあいい」そう言うと氷のシールドを張って中で詠唱を再開する。
「モーラさんどうしましょう。こういう負けず嫌いな人好きなんですよ。なんとか殺さないで負けを認めさせられませんか。」
「こういう輩は、最後まで負けを認めないからのう。術式を途中で止めて魔法を暴走させられてもたまらんからなあ。受けきるのが良いのではないか?」
「それだと、受けきらなかったら負けですよね。」
「まあそうじゃが」
「痛いのは嫌なので。そうですね、彼の上にさらに大きい氷のシールドを作りましょう。その中で勝手に振らせてもらいましょうか。自滅してもらいます。」
「なるほどな。」
「では、真似して詠唱を始めます。」
「おいおいおい、俺の術式を真似してさらにでかいシールドを作って俺を囲むだと。」
「はい、でないと発動した巨大な氷柱が私たちに降ってきますから。」
「はあ、わかった。負けを認める。詠唱後でノーガードの自分に自分の攻撃が降り注いだらどうなるかよくわかる。たとえ自分のシールドがあってもな」
「ありがとうございます。負けを認めたついでにお願いもあるのですが。」
「ああ?そのドワーフのことか?そんなことは、もういいぜ。あんなのは口実だ」
「ではなくて、今回のこの戦いは引き分けという事にしてもらえませんか?」
「あ、ああ、いいが。どうしてだ?」
「こちらの事情で、あまり強いという評判が立つと困るので。」
「なるほどな、いいぜ、たいしたことなかったって言っておく。まあ俺も負けを認めたくはないし、再戦の機会を与えてもらったと思うことにするわ。すまんな。」
「ありがとうございます。逃げていった魔族さん達にもその旨お伝えください。私たちは、発動した魔法に恐れをなして退散したと。そんな弱い奴は、追いかけるほどの価値はないと」
「わかった、わかった。なるほど、そういうからくりか。うまくやっているなあ。」視線が一瞬だけ少し横に向く。誰を見たのでしょうか。
「それでは、この辺で失礼します。」
「次会う時を楽しみにしているぜ。必ず倒してやる。いや、良い勝負までもっていってやる。」
「勘弁してください。では、」
「ああ、気をつけてな。他の奴に倒されるなよ。また遊んでくれ。」
そうして、また魔族の襲撃をなんとかかわした。
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