巻き込まれ体質な私、転生させられ、記憶も封印され、それでも魔法使い(異種族ハーレム付き)として辺境で生きてます。

秋.水

文字の大きさ
34 / 102
第8話 旅立ち

第8-4話 しばしの別れ

しおりを挟む

「ありがとうございます。」
「いえ、今回のは、たまたま相手が私と戦いたかっただけなんですよ、だから感謝することはないのです。」
「いえ、本当にありがとうございます。しかい、なぜ、私を助けたのですか。そんなになってまで。」
「それは、まあ、なんとなく、しいていえばなりゆきですね。」
「わかりません。その考え方、私にはわかりません。」
「私にとっては一緒に旅をしている以上、仲間とかでは無く、家族なんですよ。」
「家族・・・ですか」
「そうなのよ、この人、本当にバカだから。一度家族と認識するととことん世話を焼き始めたり、面倒見たり責任まで感じ始めるから。深入りしないように気をつけないと」
「そうなんですよ~、気をつけないといつの間にか隷属したくなってしまいます~。」エルフィ、あなたはそれを言ってはいけませんよ。というか、いつの間にか隷属した人なんてこの中にはいませんよね。
「なにを言っているのですか。私は一度も強制していませんよ。そもそもアンジーとかモーラとかメアさんなんてハプニングですし、ユーリは、まあ、そうですけど、エルフィなんて私をだまして隷属しましたよねえ。」
「はいはいそうですね、いつの間にか隷属させていますよね。」
「とほほ、なんか悪者です。」
「そうなのですか、でも、解除してあげればいいのではないですか。」
「もちろん、自分で解除できるようにしてありますよ。」
「そうなのですか?ならなぜ?」
「それは、まあ、わしらにも都合があってなあ。隷属していた方が楽じゃし、便利なのじゃよ。」
「あと、誘拐されてもすぐ見つけてもらえるし、変な催眠をかけられても大丈夫なのです。アンジーさんが言っていました。これは、保護者機能だと。」一度も催眠なんてかけられたことなんてないですよね。
「もちろん僕は、あるじ様にお願いして忠誠を誓い隷属しています。」そこで無い胸を張りますかユーリ。おっと誰か来たようだ。ユーリが一瞬で私の後ろに回ってぽかぽか背中をたたきますか。やりますねユーリ。
「そうですか、あなた達の関係がよくわかりました。」
「そうですか?まだ片鱗しか見せていませんよ。」
「そうかもしれません、でも私は初めてのこの感情がどういうものなのかようやくわかったような気がします。」
「はあ。」
「実は私は間者でございます。」
「おや、ずいぶん早くデレたのう。」
「はやすぎですよまったく。」
「あのー。モーラさんの言っている意味がわかりませんが。」
「みんな薄々感じていたのよ、怪しいって」
「でもね、この人はバカだから、きっと一番感じていたのに、何か事情があると思って黙っていたのよ」
「間者なのはわかりました。いったい誰の間者ですか?」
「ドワーフ一族のです。」
「私をスパイしても何も出ませんよ。」
「はい、そうなんです。それは、出会ってからこれまでの魔族との戦いでよくわかりました。勇者では無いと。」
「まああれじゃな、噂で変な転生者が、優秀な者を次々と隷属して実績を上げている。この者達が真の勇者か調べてこいというところか。」
「はい、そのとおりです。」
「さらに懇ろになって何かあったときにドワーフ一族を守らせようというところか」
「さすがドラゴン様、すべてお見通しですね」
「わしでなくてもそのくらいみんなわかるわ。」
「さしでがましい口をききました。」
「どうして間者であることを打ち明けたのでしょうか。」
「それは、私が、私の心が苦しくなったからです。」
「あなたさまのその懐の広いお考え、慈愛に満ちた行い。どれをとっても勇者の資質でございます。ですが、」
「ですが?」
「ですが、その無欲さ、そしてゆるぎない家族愛に勇者では無いと感じました。」
「そうですね、勇者では無いというところは、そのとおりです。」
「実は、私も間者に出されるくらいには、日陰者でございます。とうにドワーフの一族とは疎遠な者であります。もちろん未練が無いわけではありませんが、たったこの数日あなた様とともにすごしてみて、あなた様とともにいたいと思う方が大きくなってしまいました。」
『あちゃー』アンジー、心の声がダダ漏れですよ。
「はあ、間者としては失格ですね。」
「はい、そうです。」
「そうですねえ、とりあえず間者をしていることがばれたことを一族に連絡してくれませんか。」
「はい、」
「そして、あなたの処遇は、生かすも殺すも私の意志次第、殺されてしまうかもしれないので、助けて欲しいとそう言ってほしいのです。」
「説得力が欲しいのう」モーラがニヤニヤ笑っている。
「はあ、そうですね」アンジーがため息を深くついた。まあ、2人の思っていることはわかる。みんなもうすうす気付いてうなずいている。
「なにをされるのですか。」
「なーに簡単じゃ、わしらの前でおぬしの真名を言い、こやつに従いますと言えばよい。」
「はぁぁぁぁ。そうですねーーーーー」アンジー露骨に嫌そうな声を出さないでください。
「そんなことで良いのですか。」
「ちょっと待ってください。いいですか、さきほど聞いたように、これまでこの人達は、そうやって」アンジーがいつになく真剣な顔で声を荒げる。
「あなた様に隷属していると。」
「わかっていてそれを言いますか。あのですね、隷属の意味を軽々しく捉えていませんか。私たちはこうやってのほほんとしていますが、この人が、死ねと命じれば、迷うこと無く従うんですよ。自分の意志にかかわらず。もちろん死ねと言われなくても、何か恥ずかしいことをしろとか命令されたら従わざるをえないんですよ。隷属というのは・・・」
「はい、理解しております。ですからむしろ願ったり叶ったりです。私は、これまでもこれからも何もありませんので。むしろ、そのような形でつくせるのであれば願ったり叶ったりです。」
「もう、これだけ言ってもわかりませんか。隷属までしなくても、この人なら何とかしてくれるかもしれないのですよ。」
「それは、私が望んでいることで、一族と袂を分かつために必要なけじめなのです。はい。」
「あああ、もう」
「アンジーもうよいか?」
「どうしてこの人にはこういうバカばかり集まってきますかね。この際だから言っておきますけど、皆さんわかっていますか。このバカが死んだらどうするんですか?」
「ああ、その話はすでにしておるじゃろう。」
「あの時は、他の世界に帰る前提でしたよ。でもね、ここまで来てしまったら。魔族からも目をつけられてしまったら。いつ死んでもおかしくないんですよ。」
「魔族にこだわるのう。」
「こだわっているわけではありませんけど」
「アンジー様のおっしゃりたいこともわかります。ですが、私のこの気持ちは、変わることはありません」アンジーがため息をつく。
「特技は皆様のようにありません、雄一誇れるとすれば、私はドワーフ一族の里の中で最強です。ですから、多少なりともお手伝いできることもあると。末席に加えてください。お願いします。」
「ちょっとまってドワーフ最強って言いましたか。」
「はい、言いました。」
「お、お、お、女の子ですよね。」
「はい、」
「ほかに屈強な男の人もいますよね、」
「はい、体格のいい者はたくさんいます。」
「なのに最強?」
「はい、残念ながらここ数十年私に勝てる者はいません。」
「これだからドワーフは、」
「どういうことですか?」
「ドワーフは、外見を変えられます。つまり」
「はい、今は服が破けるのがいやなので、さすがにしませんが、体格は倍以上になります。」
「なるほど。そういうことですか。」
「ぼ、僕の立場が危うい。」ユーリの顔に縦線が入った。
「いえ、聞けば魔法剣士であらせられるとか。私は体力バカなのです。魔法耐性はあるものの、魔法行使力・魔力量がありません。ですので、物理的には最強でも魔法戦闘においては魔法耐性を活用して盾になるくらいしかないのです。」
『タンカーきたー』いや、アンジーその叫びはおかしいでしょう。どこのネトゲーですか
「追われていたときに見せた素早さは?」
「あれは、この体の時には、速さに配分しているだけです。体格を変化させるとそのぶん筋力がそちらに振り分けられて体が大きくなり速度は遅くなります。」
「なるほど。モーラさん魔力量を測ってください。」
「うむ、ちょっとおでこをくっつけようか。」
「はい」
「なるほど、こやつも特化型じゃな。魔力の流れによって筋肉や骨変形を行うが、そもそもの魔力量はさすがに少ないのう。まあ、近距離での通話くらいは、ぬしをバイパスすれば可能じゃがな。ユーリ大丈夫じゃ、ぬしの剣技と魔力量・魔法力なら引けを取らぬわ。むしろ、互いに戦えば、練習にもなるし、戦いの幅も広がるし、二人で組めば物理最強じゃな。」
「よ、よかったー」無い胸をなで下ろすユーリ。あ、睨まれた。聞かれていましたか。
「あるじ様嫌い」横を向かれてしまいました。とほほ
「何を言っているのですか?」さすがに頭の中で会話しているのでわかるわけはないですね。
「まあ、その辺はおいおいな。さて、お主、覚悟は決まったか?」モーラはなぜかアンジーを見る。
「いいですか、これ以上の戦力強化は、目立ちすぎるんですよ。」
「わしらが黙っていればわかるまい。あと、騒動をおこさなければもあるがな」
「そうなんですけど。」
「アンジー様、お嫌でしょうか。」
「そうじゃない、そうじゃないのよ。もう、わかりました。わかりました。」
「アンジー様が懸念しているのは、たぶん勇者として見られてしまうと言う事ですよね。」メアが助け船を出す。
「そうです。噂では、私が探している人も、もしかしたら勇者の中にいるかもしれないのです、年齢的にはまだ無理でしょうけど、でも、勇者になる資質を持ち、勇者を目指していれば、私たちのような存在は、いてはならないのです。こんなメンバーを前に、勇者を名乗るなんて到底できなくなってしまいます。たぶん目指す前に気持ちが折れます。そんなことには、したくないのです。心が折れるのを見たくないのです。でも勇者になることが転生した理由なのかはわかりませんけど、可能性がある以上、守護していた者としては、それを阻害する要因に自分がなるわけにはいきません。もちろん目的を達成してもらわないと私が戻れない可能性もあるからです。それと、私たちにどんどん優秀な仲間が増えれば、勝ち続ければ、自分たちの意志にかかわらず本当に勇者に仕立て上げられてしまいます。それは本意ではありませんよ。」
「なるほどのう、守護する者が守護される者の心を折るなど本意では無いと。もしかしたら、勇者にさせるのが目的で転生させられたのに、目的を果たせなければ、主も帰られなくなるかもしれないしなあ。」
「まあ、そんなところです。でもね、私は、彼女が、パムが入ることは嫌じゃ無いのよ、けっして。」
「難しいですねー。でも、そんなの気にしていてもしようが無いですよ。だってこういうのは、縁ですからー」
「そうです。皆さんそうですよね。」アンジーを除く全員がうなずく。いや、パム、君はうなずいてはいかんでしょ。
「ですので、あなた様ぜひお願いします。」
「そういえば、正式な形ってどうやるんですかー。見たい見たい」お気楽エルフが言った。
「おお、そうじゃな。これまでは、一度たりとも正式な儀式をしておらなかった。今回の場合は、相手のところに行ってきてもらうから、特に正式にやっておくべきじゃのう」
「正式にやるとなにか違うのですか?」
「ああ、隷属した者に致命的な危害が加えられると、はね返すことができるらしい。まあ、致命的な危害が加えられた時のみらしいが、そうなったときは、魔法で体全体を包むので不死身じゃな。まあ瀕死状態で保存という事らしいが。」
「ええ?」
「もちろん、こやつの魔法力の範囲内で可能なことに限られると聞いている。」
「そんな大事なこと今頃教えないでくださいよ。」
「これまで正式に儀式を行っておらんじゃろう。だから効果があるのか、わからんかったからな。過信されてもこまるわ。」
「そういうことですか。」
「まあ、全員必要がないくらい強い者達じゃからそもそも必要なかったじゃろうがな。」
「確かに違いがあるのか、比較してみたいですねえ」
「おぬし相変わらず技術的な話になると興味津々じゃな。」
「まあ、そうなんですけど、そんな理由でやってしまったら人間としてダメですよ。」
「今回の場合は、良いのでは無いか?本来は、間者であることがばれた段階で、殺されてもしようがないのに、無事に帰されておる。つまり相手の間者に・・・おお、お主の頭の中にあるダブルスパイってやつじゃなあ。そう思われても当然じゃ、なので下手したら捕らえられて殺されるかもしれん。それを回避するためにはいいじゃろう。」
「私自身は、負けることはありません。」
「ああ、おぬしが言っているのは、一対一の正式な戦いではな。じゃが、薬を使われるとか卑怯な手を使われることまでは想定していないじゃろう。」
「それは、一族同士の争いでは、あってはならないことです。」
「それは、一族の者だと認めた場合じゃ、お主はすでに裏切り者、敵と思われているとしたらどうじゃ。」
「・・・・」
「モーラ、そんなに追い詰めないで。あくまで最悪の結果の話でしょ?」
「おまえたちが思うほど、ドワーフ族はきれい事では済まんぞ」
「そうなの?」
「まあわしが知っているのは、かなり昔の話じゃから変わっているかもしれん。しかし、こういうのはそうそう変わるものではあるまい?」
「・・・・」
「何か覚えがあるようね。聞かないけど。」
「ごほん、そういうのはいいのです。本人の気持ちが一番なのです。」
「じゃが、安易に・・・」
「目を見ればわかるのですー」
「ああ、エルフィ、そうか、そうじゃったな。すまぬ、わしも少し言いすぎた。」
「あなた様、お願いします。私に隷属の儀式を」片足を立ててひざまずいて、見上げられました。弱いんですよねえこういう、すがるような目。
私は、大きく息を吸って心を落ち着けて口を開く
「ここにいる方達は、みんな隷属をしています。それは、偶然によるもの、作為によるもの、願いによるものといろいろです。でも、皆さんそれをよしとして隷属しています。そして、隷属の魔法は、いつでもそれぞれ自身が自分で解除できるようにしています。今回初めて、正式な儀式による隷属ですので、解析ができるまで解除ができなくなるかもしれません。いいですか?」
「かまいません。みなさんと共にありたいと、あなた様に従いたいと願っております。」
「わかりました。では、モーラさん。方法を教えてください。」
「お主なら簡単じゃ。魔力を高め、それを手に集中し、この者の頭に当て、次の言の葉をわしについて唱えるが良い。」
「はい、ではいきます。」私の体から光があふれます。そしてその流れが手に集中すると渦を巻き始めました。
「その者、聖なる魔法の前でその真名をさらし、我に生涯付き従うか、選べ」
「その者、聖なる魔法の前でその真名をさらし、我に生涯付き従うか、選べ」言葉を発することで、魔力の質が、色が変わる。ああ、そうなのか。こういうことか。
「我が名は、バルミリア・エイス・ドゥーワディス、あなた様に生涯付き従うと誓います。」
「ならば、この名を   と与えん」
「ならば、この名をバルミリア・エイス・ドゥーワディスと与えん」光がパムを包み静かに消える。
「そなた、パムよ、我に生涯付き従い、我と共に生き、我と共に滅されん」
「そなた、バルミリア・エイス・ドゥーワディスよ、我に生涯付き従い、我と共に生き、我と共に滅されん」
「我、バルミリア・エイス・ドゥーワディスは、あなた様に生涯付き従い、あなた様と共に生き、あなた様と共に滅されます。」
静寂に包まれる。
「さあ、立ってください。大丈夫ですか?その身に何か変化はありますか?」
「加護が、魔法による加護を感じます。それと、隷属したときに一瞬だけ見えました。あなた様につながる鎖が。」
「そうですか、私にも見えました。これが正式の儀式による隷属なんですねえ。」
「解除はできそうなのか?」
「これからです。言葉の中にかなり魔法式が編み込まれています。古代語なのでしょうか、現在使われている言葉では無いですね。解析を進めれば大丈夫かと。」
「もうそこまでわかったのか。」
「今回のは、脳の中に直接響いていましたから。」
「それにしても、パムの方も最後の言葉は、誰から聞いておったのじゃ。」
「それは、頭の中に自然に現れました。」
「そういうことか。」
「ところで、さきほど真名をおっしゃりましたが、ドゥーワディスと言われましたよね。」エルフィがめずらしく尋ねる。
「はい、言いました。お嫌でしたか?」とつぜん顔を曇らせ下を向きながらパムが言う。
「エルフィ、本人が話しづらいこともあるじゃろう、無理に聞くなよ。まあ、話すつもりがあるなら、話してみい。」
「はい、私は、ドゥーワディスと言います。以前族長だった者の孫です。だからといって、一族の転覆など考えてもいませんし、何をする気もありません。ですが・・・里はそうは考えなかったのです。」
「自分の身の潔白を証明したいなら、間者をやれと言われたというあたりですかねえ。」
「なぜ、その話を先にしなかったのじゃ。」
「それは、里から逃げるためにあなた達にすがったように見えるのが嫌だったのです。私は、私の考えであなた様に隷従し、皆さんと一緒にいたい。そう思えたのです。偏見無く私を見て欲しかったのです。」
「ああ、確かにそうじゃな。」
「パムさん、大丈夫ですよ。ここにいる皆さんは、決してそんなことはありません。話してもいいし話さなくても良いのです。それが家族です。家族にはそれぞれ秘密があったとしても家族は家族なんですよ。大丈夫です。」
「ありがとうございます。里にいたときからどうしてもそうなってしまって。」
「おやアンジーさんどうしました」アンジーが頭を抱えている
「もしかして、先代の族長の孫なのですか?あの、豪腕ゴルディーニの」
「そうです。その豪腕ゴルディーニの孫です。その名前よくごぞんじでしたね。」
「そんなにすごい人なんですか?」
「ああ、そういえば、町で遊んでいた子ども達の知っている童話の中に出てくるのじゃ。伝説級のドワーフじゃよ。その強さ神のごとしとね、しかも清廉潔白で、人間も助けるようなお人好し。人間界にも伝説として童話になって残るほどのな。」
「人間界でそんなに知られているとは知りませんでした。お恥ずかしい限りです。」
「それじゃあ、里の一番も当然ね。でも、世代交代するにはまだ早かったと思うけど。」
「私の祖父は、人間や魔族との共存を願っていました。当然里の意見とは違いましたので、」
「なるほど、そういうことか。」
「それなら失脚させて終わりよね。でも、屈強で長命なはずのドワーフが若くして死んだのはなぜ?」
「わかりません、狩りの途中で死んだとしか聞かされていないのです。それからは、族長が交代して、私が生まれた頃には里の端の方で生活していました。」
「ご家族は、里にいらっしゃるのでしょう?」
「いいえ、原因不明の病気が流行り、里でもかなりの人が死にました。その時に2人とも死んでいます。」
「そうですか。」
「これも縁かのう。どうやら、本当に勇者パーティーになりかけておる。」
「ですよねー」アンジーがまた頭を抱えた。

 谷を抜けた時にパムが故郷へ旅立った。
「私は、里に戻って事の次第を話し、袂を分かってきます。」
「それがいいでしょう。一緒に行きますか?」
「いえ、エルフの里同様秘密になっておりますので。」
「そうですか。気をつけて。」
「いつ頃戻ってこられるのでしょうか」
「そうですね、季節がひと巡りするくらいは。」
「そんなに?」
「途中、何かと物入りだったので、働いたりしましたので、」
「では、このお金を持っていってください。」そう言って一袋のお金を渡しました。
「こんなにですか。」
「その代わり、なるべく早く里に行ってきてください。ですが、旅の道中によく考えてください。ひとつは、一族に戻れるなら戻ることをもう一度考えること。ひとつは、私たちと本当に一緒に暮らしていくのかどうかを考えること。もちろん途中で考えが変わってもかまいません。私の所に戻って来た時に、明るい顔であなたの答えをあなたの気持ちを言って欲しいのです。」
「私の気持ちですか。」
「はい、あなたの気持ちです。一族に籍を残したまま私たちと暮らすでも良いのです。自分なりの結論を出してください。」
「わかりました。考えてみます。今までそんなことを考えたこともありませんでした。」
「お願いしますね。」
「お主、里との関わりを切りたいだけなら、隷属する必要はないぞ。自由にして良いんじゃよ。」
「それについても考えてみます。」
そうしてパムは私たちの元を離れました。ええ、別れたでも帰ったでもなく離れたのです。
 馬にゆられながら私は思いました。
「うまく誤解を解いてほしいものです。」
「お主は、性善説の信奉者じゃのう」
「そうありたいと思っていますよ。たぶん、昔何かあったのかもしれませんね」
「記憶は相変わらず戻らんのか」
「ええ、まあ」
「昔何かあったとしても、この世界でのお主は、いい人じゃ安心せい、過去に何があったとしても、たとえ殺人鬼だったとしてもとうに罪は許されていると思うがな。」
「ありがとうございます。私の過去を気にしてはいないのです。(昔からこれだけの力を持っていたら、こうありたかったという願いをこの世界で成就しているのかもしれませんね。)」

「さて、旅は続きますよー。」手綱を持ったエルフィがそう声を出した。


  第8巻に続く




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!

しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません! 神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜 と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます! 3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。 ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです! ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 非常に申し訳ない… と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか? 色々手違いがあって… と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ? 代わりにといってはなんだけど… と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン? 私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。 なんの謝罪だっけ? そして、最後に言われた言葉 どうか、幸せになって(くれ) んん? 弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。 ※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします 完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

処理中です...