巻き込まれ体質な私、転生させられ、記憶も封印され、それでも魔法使い(異種族ハーレム付き)として辺境で生きてます。

秋.水

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第11話 森を救え

第11-1話 エルフの里へ

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宿屋にて

「お手紙が届いていますよ。」と、宿屋の女将さんから手紙をもらう。
「紙なんてめずらしいですね。この世界では貴重品なのに。」
「この匂いは。」エルフィがくんくん匂いを嗅いでいる。
「故郷からですね。どうせ早く婿の顔を見せろと催促の手紙でしょうが。」
「じゃあ、開けてみてください。」正直、宛名のない白い封筒で蝋付けもしていない手紙なので誰が開けても構わないでしょうけど。
エルフィが、指で風を起こして文字通り封を切る。
エルフィが読み始め、顔が青ざめている。
「何が書いてあるのじゃ?顔色が悪いぞ。」モーラが心配している。
「森が、枯れ始めたと。かなり大問題が発生したみたいです。」
そう言った後エルフィは、普段のおちゃらけた顔に戻っています。
「なるほど、それってエルフの里の存続の危機ではないのですか?」
「まあ、あんな里なくなってしまえば良いのです。」
エルフィが手紙を捨てようとして、ユーリに止められる。
「あなたのご両親とかまだご健在なんでしょう。」
「他の兄弟のようにあまり構ってもらっていませんでしたので、愛情はないですね。」
「そんなこと言わないでください。あの、ネクロマンサーの男の子のようにお互いの気持ちがすれ違っているだけかもしれませんよ」ユーリが語気を強める。
「100年も暮らしているのでそんなことはないと思いますが、確かにそうですね。この際ですから本音を聞いてきましょうね。皆さん一緒に行ってくれますよね」
「もちろんです、皆さんもそうですよね。」全員うなずいている。
「とりあえず、今日は寝て、明日迷いの森に向かって出発しましょう。」エルフィの淡々とした態度がむしろ気になりますが、まあそうしましょう。
 その日エルフィは、お風呂も断って先に寝てしまいました。

翌朝、エルフィが姿を消していました。書き置きを残して。
「やりおったか。」
「わかっていたのですか?」
「まさかとは思っていたがな。エルフの里は、誰も行くことができない。エルフでないと知らないし、入れないとされている。」
「ああ、よそ者を入れたくなかったのですかね。」
「エルフィは違うじゃろう。わしらを巻き込みたくなかったんじゃろうなあ。」
「もう、家族だというのに。」
「むしろ家族になるために断ち切りに行ったのかもしれんな。聞いてみないとわからんが。」
「私たちが直接聞きに行ってもいいんですよね。」
「ああ、その森に行き着けて、エルフの里への道を教えてくれるのなら、それは、森がそやつを認めたことになると聞いておる。」
「急ぎましょう。おっと。皆さんの意見も聞かずに行くつもりになっていました。って聞くようなことでもないですかね。」一同うなずいている。
「と言ってもどこにあるのかさえわからないのでは、探しようがないのでは?」メアさんが言った。
「こういう時こそこれまでに培った関係者にお願いするしかないでしょうねえ。」
「うむ、たぶん魔法使い達が知っておるかもしれん、ここの魔法使いに聞いてみるか。」
「そうしましょう。」

「私たちはどうしたらよろしいですか。」メアさんは、指示待ち状態になっています。
「メアさん達は、情報収集をお願いします。この城塞都市の守衛さん達にエルフが出て行ったかどうかを聞いてください。アンジーはユーリと一緒に入ってきた時の門に、残りは、メアさんにお願いします。申し訳ないですが私は、モーラと一緒に魔法使いさんのところに行ってみます。」
「私は、もうひとりでも大丈夫だから、北側の門に向かうわ。ユーリは、東の門を」
「では、私は南と西に向かいます。」
「メアは、南を先に回ってね。そして西の門で合流しましょう」
「さて、モーラ、ここの魔法使いはどこにいますかねえ。」
「ふん、調べる方法ならあるわ。」そう言って、モーラは、膝をつき私の足をつかみながら反対の手で地面に手を触れる。
「魔力をもらうぞ」はいと言い終わる前に一瞬地震が起きる。一般の人には感じられないほどの一瞬の地面の揺らぎでした。
「さて、どう対応する。」
しゅっ と風を切る音が聞こえ、足元に矢がささる。石畳なんですが刺さっていますねえ。
「ほほう、素早い反撃だ。じゃが、それでは遅いのではないか。」刺さっている矢を引き抜いて、モーラは、矢に向かって声をかける。
「おや、やはり土のドラゴン様でしたか。物騒な事は、しないでください。」矢がしゃべりました。
「わしのことを知っているのか。」
「それは、こんな事ができるドラゴンは、あなた様しかいませんでしょう。」
「そういうことか。すまんがお主に尋ねたい事がある、会って話せないか。」
「わかりました。矢についてきてください、」モーラが持っている矢が手のひらの上でくるくると回ったあと止まって方向を示す。
「いそぐのじゃ。」
「はい」矢の示す方向に向かって走る。モーラを抱えて建物があっても無視して屋根を飛び越えながら走っていく。到着したのは外壁のあたりだ、建物がそもそもない。
「なるほどな、ここに触ってみるがよい」モーラは、その壁を見ながら言ったので、私がさわってみるとそこには、建物がありました。
「ステルス?」
「いいや、カメレオンというところか。」
「なんでしょうか」声だけしか聞こえませんがそこにいるんですよね。
「エルフの里の場所がしりたいのじゃ。知っているか。」
「大体の位置なら知っています。でも我々だけでは入ることはできませんよ。」
「条件はあるのか。」
「エルフと一緒なら入れます。あと、里を守っている森に受けいれてもらえれば道が開けます。」
「受け入れられる条件は、」
「そこまでは知りません。ただ強い思いが必要とだけは聞いています。」
「ふむ、ここからどのくらいの距離がある?」
「ドラゴンさんなら、数時間です。」
「そんなにかかるのか。」
「ゆっくり飛んでですが、ここからだと北西の方向へ飛べば。」
「うむ、道を行くなら何日かかる。」
「山を越えますから馬車なら1ヶ月ですね。」
「単独のエルフの足ならどうですか。」
「そうですね、頑張り方によりますが、たぶん2週間ですか。」
「そんなに違うのか。」
「ええ、森の中をまっすぐつっきって走れますからね。」
「魔獣と遭遇するじゃろう。」
「エルフは森の中なら逃げ切れますからねえ」
「そうなんですか。」
「わかった、すまぬな、隠遁生活なのじゃろう?」
「いえ、ここで薬屋をやっているのです。家だけ秘密なのです。」
「お礼は何がいいですか」
「えー、土のドラゴン様と一緒という事は、噂の魔法使いさんですよね。」
「はい、ご存じでしたか。」
「噂だけですけど、何かいろいろな所に貸しを作っては、うまく世の中を渡っていると聞いていますが、どうなんですか。」
「巻き込まれているだけじゃよ。それが貸しになっているだけじゃ」
「そうなんですよ。で、何かありますか」
「では、この街にもあの薬草を卸してください。」
「それもご存じでしたか。」
「私もたった1つだけ売ってもらいまして、深い傷を負った時に使ってしまったんですが、その即効性にびっくりしました。組成とかに興味はありませんが、販売元の魔女さんには、何度も売れないと言われて断られてしまいまして。」
「転売とかしませんね。」
「はい、私の研究は意外と傷を負うことが多いので、あれがあると助かります。」
「では、これを」
「おい、いいのか?」
「私は、あの魔法使いさんに、本当に必要な一般の人に販売して欲しいと言っています。確かに魔女さん達には制限をかけていますが、それは、研究のために何個も欲しいと言う本来の目的ではない使い方をするからです。当然必要な人には売りたいと思います。ですが、いいですか。今後、危険な実験は極力しないと誓ってください。この薬を過信するのだけはやめてください。この薬を信用して、死なれては後味悪いですから。」
「ありがとうございます。確かにこの薬があると無理しても良い気がして欲が出てしまいますね。」
「ですから、誰かが困った時に使えるように常備薬として使ってください。あと、他の魔法使いさんに盗まれませんように」
「はい、わかりました。やっぱりこうして貸しを作って歩いているんですね」
「そうとられてしまうと困りますが、そういうつもりはありません。あと、これは、ロット番号なしなので、横流しすると、確実にばれますから気をつけてください。」
「大事にします」
「いえ、使う時に使ってください。もったいないとか思って使わないで傷が悪化して死んだら元も子もありませんよ。」
「はい、噂とは違って、やさしい、いい人なんですね。」
「ほほう、こんどは、お主が教祖様になりそうじゃのう」
「噂ではきっと鬼畜陵辱系の極悪魔法使いですよね私。」
「では、すまぬな時間が無いので、これで。」
「またお会いしたいです。」
「この件が一段落したら、エリスさんのいる街へお越しください。きっとそこで住んでいるところがわかると思いますから。」
「お伺いします。」
「失礼します。」
『ご主人様、方向がわかりました。西門から出たようです。』
『はい、やはり西門でしたか、アンジーの勘もさすがですね。ですが、長旅になりそうなので必要物資を調達しないとなりません。市場のあたりで合流して、そこから馬車で出発しますか。』
『はい、買い物は済ませておきます。』
『お金は大丈夫ですか』
『ぬかりありません』
馬車を受け取りに宿に戻った時、やはり教えを請いたいと尋ねてきた王女勇者一行の魔法使いさんには、事情を話しましたところ、あまり詳しくはないけれども大体の位置関係を書いた地図をもらいました。
「当時、エルフの里やオークの里を探すために冒険者を使って探索を行ったそうです。結果的には探し当てられず断念しましたが、大体の位置を把握した地図ができました。もちろんエルフの里がどこにあるかはわかりませんが、道があることは確認できています。あと、ドワーフの里の捜索は、うちの国からですと、隣国を越えて行くことになるためそもそも断念しています。余計な事ですが」
「良いのですか、私は余計な情報は相手に与えるなと言ったはずですが。」
「いいえ、もちろんそれは承知の上で、旅の魔法使いさんには、このことを教えて貸しを作って、信頼関係を築くのが得策と判断したのです。いけませんか。」
「わかりました。そういうことであればありがたく情報をいただきます。ありがとうございます。」
「いえ、旅の安全をお祈りしています。」
「大丈夫です私たちには天使様がついていますから」
「え?」
「こら、お主は、」
「あ、冗談ですよ冗談。」
「はい承知しています。」
出発はすでに夕方近くになってしまいました。それでも門を抜けて道を進みます。
「馬車で行けますかねえ」
「行くしかなかろう。エルフの里とは言え多少なりとも交易はしておるからエルフの里の者達の荷馬車の跡くらいはありそうじゃ。」
「そこにかけるしかありませんねえ。」
「わしは、ちょっと先に行ってヒメツキと話をしてくるわ」
「ここから飛んで大丈夫ですか?」
「まあ、しかたがない、攻撃されたらそれまでじゃ、その時は勝負を受けることにする。」
「でも、この街に来た時には手を出してこなかったという事は大丈夫なんじゃないの」
「わしが独りになるのを待っている気がするのでなあ」
「なるほど」
「では、」しばらく馬車で移動してから野営の準備に入った時にモーラは飛び立った。
「2人もいなくなるとさびしいわね」
「そうですね」しょぼくれているユーリ
「エルフィは、何か思うことがあったのでしょう。会えばそのわだかまりもきっと解けます。」
さて、モーラのご威光がなくなってしまうと、ちょっと大きい魔獣は、襲ってくる・・・はずだが、エルフィほどのレーダーではないが、私も真似してレーダーをやってみたけど、かすりもしません。
「おかしいですねえ、モーラの気配がないのですから襲ってきてもおかしくないのですが」
「でも助かります。」
「変ですねえ」
そうこうしているうちに夜になりました。食事の用意をメアさんがしていると。
「敵かもしれませんが何か近づいてきます。」ユーリが気付いたようです。
「つけられていたのですかねえ。それで魔物が寄ってこなかったんですねえ。」
「例の3人組ですよ。どうしたんですか。」アンジーが慌てている。
「ああ、魔王様からだ、今回の件、森まで護衛しろとさ。」
「ええ、私に殺されそうになったのに?」
「ああ、それについちゃ俺は納得しているぜ。しかも傷を治してもらった恩もあるしな。」
「そうですか、腕は大丈夫ですか?」
「腕も足も大丈夫だ。あと、あいつらも感謝していたぜ。」2人もうなずいている。
「一緒にご飯食べましょう。」
「いいのか?お前を殺そうとした奴・・まあ、お前に生かされたんだったな。なら、気にしていないのか。」
「そうですねえ。憎しみは何も生みませんから。お二人もどうぞ。」
そうして、戦った者同士の不思議な食事が始まった。
「森に行くことは、アンジーから聞いたのですか。」
「ああ、魔王様に報告していたよ。律儀だよなお前。」
「私は恩知らずとは言われたくないです。」
「そうか。俺は魔王様に恩はない、だがお前には恩がある。俺を仲間に入れてくれないか。」
「ごめんなさい。恩で仲間にはしませんよ。それにあなたはちゃんと魔王様に仕えていてください。そして、私のような人間もいる、魔族に対して中立で対等な人間もいると、強硬派の人などに説いて魔王様をフォローしてください。」
「俺には。俺たちには、そんな難しいことはできないな。力も無いから。」
「力はつけてください。あなたの仲間を家族を守るための力をね。もし強硬派が魔族内部の中立派を粛正しはじめたらどうしますか。それをスパイしろとは言いませんけど、力が無いなら情報戦をしかけるしかないんです。どうか魔王様のために協力してください。それが、私らが間引きされない方法なので、あなたを利用します。」
「そうか、そういうことか。ああ、利用されてやるよ。」
「無茶は禁物です。いいですか、自分と家族の安全が一番です。その時は私を売っても良いですから。」
「そんなことはできないだろう。」
「してください。一番大事な者の優先順位でブレないでください。私はいいんです。それで死ぬくらいならそれまでなのですから。その時に私は納得して死ねます。」
「あなたは本当に冷たいわね。どうしてそういう言い方をするのかな。私たちは常時一緒に過ごしているから、感情もリンクしているからわかるけど。その言葉で通じる人はいないわよ。」
「ねえ、この人はね、あなたが自分の大事な者を守るためなら、この人を売ってもいいと言っているの。なんてバカでしょう?それで悲しむ人がいることを気にしない。私たちは残されたらどうしたらいいの?復讐?あきらめ?そうならないために、みんなで協力していくんじゃないの?」
「2人ともそういう話は食後にしてください」
「はい」
「は、はは。いや笑うしかないな。」
「なによ。」
「これだけ言いたい放題な関係もおもしろいな。わかった。俺は俺のやりたいようにやる。もちろん家族も大事だ。だが、あんたに救われた命、どうつかうかも俺の勝手だ。そうなんだよな。」
「せっかく生きているんですから、もっと大事に生きてくださいね」
「そうさ、大事に生きるさ。まずは、魔王様に言われたあんた達の護衛だ。」
「それはお願いします。死なない程度に。無理なら逃げてください。」
「ああ、そうさせてもらう。あとな、おまえの事を慕っている獣人がいるんだ。そいつらと話してみることにする。少しはあんたのことを知りたいと思ったのでな。」
「いや、わかるでしょう。こんなエゴイズムの塊みたいな人」アンジー辛辣ですね。反論できないところがつらいです。
「だからこそ、どうしてこんなやつを慕うのか聞いてみたいと思ってな。」
「いや、本人から聞けば良いじゃないですか。」
「はい、そこまで、いいですか。他の方がつらそうです。」
「すいません」
食後、これからの警戒シフトを話し合った。3交代勤務と言う言葉が簡単に出てくる。
「なるほど、そういうシフトを組むのか。参考になる。」
「魔族さんて夜行性なんじゃないんですか。大丈夫ですか?」
「夜には強いが昼には弱い。」
「なら、夜だけお願いします。昼間は、馬車の中で寝ていてください。」
「馬は怯えないのか。」
「怯えているように見えますか」
「いいや、そう考えるとすごい馬だな」
「自慢の馬です。」2頭揃って「ヒン」と啼いた


○閑話 会話のできる馬の会話
「なあ、今度は魔族を乗せるんやて」
「ああ、魔族ぐらい問題ないやろ」
「せやな、今更やな」
「なのにあのわしらを見て魔族達が驚いてるで」
「あほか、わしらもっと恐いもんいっつも乗せてるわ」
「そうやで、ドラゴンやぞ、生態系の頂点やぞ、魔族ぐらいでびびるかいな」
「せやけど、ドラゴンは怒らせな静かやけど、魔族はそうはいかんかも」
「ああやばいかもしれん、生意気しとったら因縁つけられそうや」
「静かにしとこか」
「そやな」

数日後、服がボロボロになったモーラが戻ってくる。
「どうしたんですか、」
「とりあえず、勝った。しかし、通行はこの姿のままでと言うことになったわ」
「そうですか、」
「まあ、案の定不意打ちされてなあ、かわしながら条件つけたんじゃが、勝っても通行の許可だけと言われてなあ。まあ、わしもあせって余計な事を口走って、火に油をそそいでしまったわ」
「はあ」
「それで、通行許可だけになりましたか。」
「それが取れただけでももうけものじゃ。あやつは、わしが飛ぼうとした時に襲撃するつもりだったと言っていたからなあ。あの時別行動してよかったわ。」
「とりあえずお帰りなさい。着替えはこちらに。」
「ああ、すまんって馬車の中に魔族がおるぞ」
「匂いでわからなかったんですか?」
「そんな余裕なかったわ。と、おう、あの時の、どうした、魔王様に追い出されたか」
「いや、魔王様の命で私たちの護衛に来てくれました。」
「そうか、ゆっくりせい。わしがいれば、誰も寄りつかん。寝てても良いぞ。っておやすみ」
そう言って寝っ転がったモーラ。
「カンウさんには、連絡着いたんですかね」
「だめじゃった。」
「そうでしたか。」


○森の位置がわかる
「ここから帰られますか。」例の3人組に声をかける。
「ああ、大丈夫だ。あんたたちこそ頑張れよ」
「ここまでありがとうございました。くれぐれも命を大事に生きてください。」
「ああ、わかっている。」
「それと、魔王様のことよろしくお願いします。」
「殺されそうになったおまえが言うのか。」
「だって今後、ごますっておくほうがいいのでしょう?」
「はは、違いない。でも本当にここまでで良いのかい」
「はい、では、またお会いできることを楽しみにしています。」
「俺もな。では」
そうして、魔族の3人は戻っていった。
魔族の3人は「ねえ、本当によかったの?」
「しようがねえだろう。命令は必ず守れと魔王様から言われている。俺が、そのまま護衛したいと言ってもな。エルフの森には何かあるんだよ。だから魔王様も首を盾に振らなかったんだ。」
「そうなのかい」
「たぶんな。」

○エルフィのこと
エルフィは、里についた。満身創痍だ。森を抜けて、魔獣の追撃をかわし、ほとんど不眠不休で迷いの森の前まで来た。
「帰ってきちゃった。」声のトーンはいつものエルフィではない。
「でも」行くしかないと心の中でつぶやく。
「森よ私を受け入れてください。」その声に森が答えてくれるわけではない。森はただ在るだけ。受け入れてくれるかどうかは、入ろうとする本人自身の気持ちの問題だ。
ゆっくりと森の中に入っていく。風が吹き、枝が葉がざわめく。葉の間を光がきらめく。歩きながら周囲を眺める。いつもと変わらぬいつもの森、錯覚なのだろうが、いつでも同じに見えてしまう。同じ道を同じように繰り返し歩いているように見える。どこまで続くのか不安になるが、いつの間にか森の出口に着く。よかった、私はまだ受け入れてもらっている。
ツタの絡まる木の城壁が囲うエリア。間違いない。エルフの里だ。いろいろな思いが錯綜する。少しずつためらいがちに歩を進める。
「まて、ここはエルフ族の里、無断ではいることはまかり成らん」いつの間にか城壁の上にエルフがいる。
「私の名はエルフィ・ドゥ・マリエールと言います。この里の者です」
「そんな奴知らないぞ、ってええ、あのエルフィか、漆黒のエルフィ・・さんですか。」
「そうよ、だから開けて。他に誰もいないわ」
「お待ちください。長老~、来ましたよ。」
重い扉が開き、見たことのない数人の若いエルフにじろじろとなめ回すように見られ、まるで罪人のように取り囲まれて、長老の家に連れて行かれる。ああ、傷だらけだし、疲れているし、着替え位させて欲しいと歩きながら思った。あと、お風呂・・・ってここは水浴びしかないか。温かいお風呂が懐かしいな~もう入られないかもしれないな~。
里の奥の方にある、見慣れた長老の家に行く。ああ、古くて太い木の地面から少しだけ高いところにある家。一度外に出て戻ってくるといかにも陳腐だ。おかしくなって少し笑いそうになる。
中には、簡単な机と椅子が並べられていて、奥の方にいつもの長老連中が座って待っていた。私は、まるで尋問されるかのように入り口手前にぽつんと置かれた椅子に座らされる。
でも、戻ってきてこの部屋に入ると、もっと広かったような記憶がある。そうか、この部屋に入ったのは、数十年前の子ども時代の事だったのか。
中央に座った長老連の長が口を開いた。
「よく戻ってきたなエルフィ、ずいぶん傷だらけだが、かなり急いで戻ってきたのか、」
「はい、里の・・いえ森の危機だと書いてありましたので」
「良い心がけだ、しかし、おぬしの伴侶が一緒じゃないようだが。連れてこなかったのか。」
「そんなことは、私個人のことで、この里の危機とは全く関係ありません。そもそもだんな・・・あの人は勇者ではないのですから」
「なるほど、勇者ではない男とちぎったのか、相変わらず使えんなあおまえは、」
「それでかまいません、でも、森は今どういう状況なのですか。」
「ああ、それか今調査を始めたところだ、まだ時間がある。」
「では、あの手紙は一体」
「こうでもしないと、おまえは帰ってこないと思ったからな。いつまでもその転生者と暮らすような感じだったから、連れてくるよう催促したまでだ。」
「そうですか、」私は少し安心した。森はまだ大丈夫なのだ。
「それで、その男はいつ連れてくる。」
「あの手紙は、本当にそれが目的だったのですね。私は、森の危機とは関係ないと、でも、呼び出す口実としては、卑怯なやり方です。」
「いかに里が閉ざされているとはいえ、外の世界とは多少はつながっているのでな、特にそれぞれの一族の長同士は、定期的に連絡を取っているから情報は入ってくる。そのエルフの族長が、その事実を他の者から聞かされては、事実確認をしておかねばなるまい。」
「ああ、そうでしたか、なぜ、水神様が私の里のことを知っているのか不思議でしたが、そういうことでしたか。」
「だから、勇者でないにしても、その男は使えそうだから、ぜひ連れてきて欲しいのだ。いや、一族のため連れてこい。」
「他の優秀なハイエルフ達がいますよね、当然彼らなら優秀な勇者なり戦士なりを見つけているのでしょう。あいつらが、おっとあの人達が、連れてきた方々で十分じゃありませんか。」
「今のところ誰も連れ帰ってはいない。」
「そういうことですか、彼らは私に「おまえなんかが行く必要はない私たちが連れてくる」とあれだけ大口をたたいて、私のことを馬鹿にして出て行ったのに一体どうしたんですか。」
「まあいろいろとあってなあ。」目をそらす長老達。
「その辺は聞きたくありませんし、私のだん・・・あの人は、ここには連れてきません。」
「そうか、まあ、おぬしが連れてくるか、森が迎えない限りはこの森には、無理に入ることはできないからな。」
「はい、長老達がどう画策しようとこの森は、変わらないでしょう。まあ、この森のことは、私よりもご存じかと思いますので、今更でしょうけど。」
「おまえ、わざとじゃな」
「はい、わざとです。」私はにこりと笑って言った。今日初めての最高の笑顔です。
「わかった、一度家に帰れ。」長老は、私にさっさと帰れというようにしっしっと手を振った。ああ、そうだ、小さい時に呼ばれて何か会話をして、あきれたように長老は今回と同じようにしっしっと手を振ったのだ。変わらないなあと思った。
 そうして、私は長老の家を出された。中ではまだ、なにか会議が続いている。でも、長老は、何でも無いと話していたが、森の危機は、私も感じている。何かモヤモヤとした不安が私の中にくすぶっている。ぼんやりと家路をたどり、家に着いた。里の外れに大きい木があり、その中腹に私の父母が住んでいる。木の下に見覚えのある2人の影があり、すぐに両親だとわかった。駆け寄ろうと思ったが、ここを出た時の両親の表情が思い出されて駆け寄ることができない。歩いて近づいていく時も2人の顔を見てこれまでにあった軋轢やケンカを思い出して憂鬱になる。
「お父さんお母さんお久しぶりです。元気でしたか」そう声を掛けるのが精一杯だった。
それに対する母の第一声がこれだった
「どうして連れてこなかったの?勇者なんでしょ。いい男なの?さあ話して。」
横で止める父親を振り切り、私の両肩を揺さぶりながら母は言った。ああ、変わってない。いや変わるわけもない。100年ずっとこの調子なのだから。私がいなくなれば少しは変わってくれるかもしれないと思ったけれどそれは無理なのだろう。
「私のあの人は、勇者ではないのよ、母さん」
「なんだそうなの。」感心を無くした母がっくりしたように手を離す。
「まあいい、とりあえず中に入って休みなさい、傷だらけじゃないか。」父はそう言いながら、私をなめるように見る。ああ、この人も変わっていないんだ。
「私の部屋はまだ残っているのかなあ」一応聞いてみる。
「ああ、部屋は残っているよ。ただ」
「ああ、いいわ、実際見てみるから」
私はそう言って、一番高いところに作った自分の部屋に登っていく。
 その部屋は、私が作り、私が何度も直したお気に入りの部屋だ。その扉を開く。
 そこには、何も無かった。私が作ったベッドも机も棚も衣装箱も額縁もカーテンも何もかも。そうだった、私の物はみんな誰かにあげたんだね、母さん。
 ガクリと膝を突き、肘を突いて倒れる。もう涙なんか出ないと思ったのに。悲しい涙なんか流さないと思ったのに、みんなと一緒に楽しい涙しか流さなくてもいいのにと思っていたのに。なぜが涙が床に水たまりを作る。ああ、そうだった。この両親は、母親は、いつもこうだった。人に気に入られるため、家の物はすべて人にあげる。それが私の大切な物でも何でも。私がこの部屋に暮らしている時には、それをさせなかった。どうやら私の木工技術は、かなり優秀らしく、私の作った家具などは、目をつけられていたとは、思う。でも、その時は、私に聞いてくれてその大事さもわかっていてくれたはずなのに。そして、その事を諫めない父も同罪だ。母だけでここから家具などを降ろせるわけもなく数人で手伝ってここから持ち去ったのだろう。ああ、そうだ、ここには私の物は何も無い。かえってすっきりした。泣きはらした後、私はすがすがしい顔になって両親の家に行く。
「私の家具とかはどうしたの全部無いけど」
「皆さん気に入ってくれたのであげたわ。喜んでくれてるわよ」
「そう、私に了解もなくあげたのね」
「だってあなたいなかったじゃない。」
「いないからってあげていいものではないでしょ。」
「はいはいわかりました。今度から気をつけます。」
 私は、父親を睨み付けた。視線を外しあらぬ方向を見ている。一瞬だけ殺意がわいた。
「それはそうとして、なぜ、勇者様を連れてこなかったの、みんな見たがっているわよ、そのあなたの認めた人を」相変わらず自分本位な人だ頭が痛くなる。
「いままでだって紹介はしていませんよ」
「あなた里の誰とも付き合わなかったじゃない」
「小さい時に私をいじめていた奴と誰が付き合うって言うんですか。成長したら手のひらを返したようにすり寄ってきてるような奴に。」
「みんな子どもだったのよ。」
「ママだって私がいじめられていたの見て見ぬフリしていたじゃない。」つい、昔のように呼んでしまった。ああ、やっぱり変わっていない。旦那様に言われて少しは変わっているかと期待してしまっていた。そうだよ、百年単位で変わらないんだから、変わるものでもないし、かえられるものでもない。ここにはいたくない。でも、森の危機だと聞かされてきたのだけれど、何が起きているのか、それだけは確認しておかないと。
「ねえ、ママ、里の危機って聞かされてきたのだけれど。一体何が」
「それがねえ、里からかなり遠いところの森の一部が枯れ始めているのよ。しばらく様子を見ているけど原因がつかめないらしくて。」
「広がっているの?」
「それがね、枯れた後は、何も起きないの。草木が生えても来ないの」
「新芽も生えないの?」
「そうなのよ。」
「族長達は、どうしているの。」
「すでに何カ所かで同時に起きていて、その調査をしているみたい。」
 私は、理解者である叔父のところに行って、長老達の行っている調査隊から情報をもらい、単独で行動を起こした。あと、寝具も借りた。
数日して、枯れた原因を直接見に行って帰ってきたら、門のあたりで何やら騒いでいる。
あら、見慣れた荷馬車が門の前に止まっている。
そうですか。来ちゃいましたか。でも、なんでしょう、頬を温かいものが伝って落ちています。呼吸を整え頬をぬぐい気合いを入れてから近づく。
「ありゃ~来ちゃったんですか。」
「来ちゃったんですか~じゃないでしょ。もう、置き手紙なんかして。探すに決まっているじゃないですか。」
「探せないと思っていたんですよ~さすがですね~」
「ああ、門番さん、この人達は大丈夫ですよ~私の知り合いです。里の規則は知っていますよね。迷いの森を抜けてきた者は里の客人足る資格ありと。私も保障しますから入れてください~」
 そうして、ほんの短い間だけのひとりの時間は終わった。

 門の前でエルフィに会うまでは、しばらく門番と押し問答をしていました。あのままエルフィが帰ってこなかったら、門のまで野宿しなければならない状況でしたねえ。
本当にしぶしぶ門が開きました。開いた門がさっと閉じられ、回りには誰もいなくなり、ルフィと私たちだけになりました。
「さて、納得できる言い訳を聞きたいのですが。」
「え~言い訳と言っている段階で納得できると思っていませんよね~」なぜか楽しそうです。
「ほほほ、ケンカするほど仲が良いのか」
「誰ですかこの人」
「あ、うちの族長ですが」
「はあ、そうですかどうも。」軽くお辞儀をしてからエルフィに向き直る。
「さあ、どういう言い訳をするのですか」
「貴様、族長が話しているんだぞ」取り巻きが私の肩をつかむ。
「族長さんですか?私たち間の話に口を挟まないでください。邪魔です」
「なんだと」
「いいから静かにしてください。家族の話なんですから」
「家族じゃと」
「はい、ここにいるのはすべて家族です。お偉いエルフの里の族長様が、たかが一家族の話に割って入るのはやめていただきたい。」



「ここは騒がしいので場所を移しましょうどこか他の場所はないですか。」
「ありがとうございます。もうどうしていいか。うわぁーん」
「おおよしよし、えーとメアさん」
「はい」
「いやー、おんぶー」
「もう、こうなると聞かないんですから」
「はい乗ってください。」
「うん、ありがと~旦那様大好き~」
「はいはい。どこに行けば良いですか」
「あっち」そう言ってエルフィは、里の外れの大木を指さした。
「メアさん馬車をお願いします。」
「わかりました。」メアさんは馬を誘導し、他の人は私についてきます。ぞろぞろと心配そうに。それを、遠巻きにエルフの方々が見ています。ああ、そういうところなのですねえ。
 エルフィは、その大木の前で背中から降りて、その大木の少し上にある小屋に向けて声を掛ける。
「父さん、母さん、お目当ての人が来ましたよ。」話し方がいつもと違って固い感じです。
その家からご両親が顔を出しました。大人数にびっくりしたようで、
「家の中は手狭なのでお一人だけ上がってもらいなさい。」
「そうします。」
そう言ってエルフィは、私の手を取りその木を登る。途中から手を離して木に取り付けた足場をぴょんぴょんと跳びはねてその家に着く。私は、足場に気をつけながらゆっくりと登っていく。
 玄関前には、お二人並んで待っていて、家の中に誘導された。
「おじゃまします」
「樹上生活ですか、大変そうですね。」
「歳を取ると下に下がっていきます。」
「家を変えるんですか。」
「はい、若い人が上の方に住みます。」
「なるほど。」
「登れなくなることが、木の上の物が取れなくなることが、私たちの生と死の境界線ですので。」
「そうですか。」

「さきほどはエルフィを連れてきていただいて、ありがとうございました。あなたが、その旦那様と呼ばれている方なのですね。」
「はい、」
「では、本人は嫌がるとは思いますが、昔話を少しだけ聞いていただけますか。これは大事なことですので。」
母親とエルフィは何も話さずじっとしている。
「この子は、小さい頃から、魔力量、回復魔法、そして弓の技量などはずば抜けていまして、最年少でハイエルフと認められた、数少ないエルフなのです。しかし、私の祖父が人間の魔法使いであったので、人の血が少しだけ混じっているのです。ですから、生まれた時から、周囲の者からいろいろな目で見られていました。そして、同じ年頃の子ども達からは、いじめられていました。」
 下を向いているエルフィの膝に置いた手が強く握られた。
「それでも、圧倒的なその魔力量を使って相手に反撃することもしない優しい子でした。」
「私は、そんなこの子に何もしてやれないまま今まで過ごしてきました。むしろ、この母親が、周囲の人達にいろいろな物を差し出して、自分の保身を図っていることも見て見ぬ振りをしていました。」
 エルフィが顔を上げ父親の顔を見る。
「私は良いのです。父が母を愛し、そして生まれたのですから。父も母も私を守ってくれていました。そんな中、私も伴侶を得てエルフィが生まれました。」
「しかし、私の両親、エルフィの祖父母は、とある戦に巻き込まれ命を落とし、そこから少しずつ歯車がずれ始めました。そう、この里は、手のひらを返したように私たちに冷たくなりました。」
「私たちは、この里に住み続けるために、保身に走りました。そう、この子を人身御供にしたのです。守り切れなかった。今思えば、どうしてそんなことをと思いますが、その時にはただだまって回りの言いようにされていたのです。」
「ですから、私たちは、この子の親としては失格です。」
「あなた・・・」
「お前がしてきたことは、自分を守るためでこの子を守るためではないと何度も言ったよね。そして、私には、あなたに流れる人間の血が憎いとまで言ったよね。私もそれを言われると何も言えなかった。だから私も同罪だ」
 そこで、父親は沈黙する。
「ですので、エルフィが選んだあなた。お願いです。どうか、エルフィに幸せな家庭、楽しい家庭を私たちの家庭では味わえなかった時間をお願いします。」そうして、ご両親は、私に頭を下げた。
「パパ、ママ」
「ご両親、お顔をお上げください。」
「エルフィは、そのどちらも手に入れていますよ。自分の手で」
「そうなんですか。」
「はい、そうだよねエルフィ」
「は・・い・・・」泣きながらエルフィは、うなずく。
「それは、よかった。」
「では、エルフィ、私たちとの縁はこれまでだ。里を出なさい。」
「え?」
「ここを出る時には、親でも子でもない。縁を切る。」
「ご両親どうしてですか。」
「先ほど、族長から言われました。里を捨てるかエルフィを手放すかと。私どもは、エルフィの未来が聞かれたものであることが聞けたので、この里に残り、贖罪のために残ります。」
「エルフィを手放すというのですか。」
「いいえ、そうではありません。これからエルフィがここに帰ってこられるように居場所が作れるようにそれを生涯の目標として頑張らせてもらいます。」
「とりあえず、族長のところへ行ってみることにします。」
「ここは古い考えの者しかいませんので、多分大変な思いをされると思いますが、よろしいのですか?」
「誰とでも話し合いは必要ですから。」


 族長の家にて
「勇者でなければ歓迎などせぬ。」
「残念ですが、勇者ではありません。ですから歓迎の必要もありません。」
「なるほどな、混血のエルフにはふさわしい輩じゃな。」下卑た笑いですね。
「別にそれでいいですから、かまわないでください。」エルフィが言った。
「それならば、エルフィ、おぬしは、両親に後ろ足で砂を掛けるようなことをするのだなあ、感謝してもしきれない親の愛情に」
「何を言っているのですか。私に何かありましたか。」
「ああ、おぬしには黙っているよう言われていたがな、どうせ里を出て行くのだ、教えてやろう。おぬしが小さい頃に魔力の制御ができない時にこの里に甚大な被害がでたのじゃ、その負債は、誰が払っていると思う。まったく、それも知らずにいじめられたとかよく言えたものだな。」
「私の物がなくなっていたのは、そういうことだったの。」
「ああ、おぬしの作る木工作品は人気でな、欲しがる者も多くて、わしもたまに外からの注文にあり物を見繕って借金のカタにもらっておったわ」
「ゲスですねえ。」
「なんだと」
「どうせ、借金なんてもうないのでしょう?いい加減にしたらどうですか」
「あ、ああ、今回のエルフィの部屋の物で終わりとするつもりじゃったが、まだもう少し働いてもらうか。」
「パパとママをだましていたんですね」
「あやつらは、馬鹿がつくほどまじめだからな。」
「私、パパとママの所に行ってきます。」
「そうしなさい。さて、長老さん私にその事を話したのは、どうしてですか?」
「なーにどうせいなくなるのだから、手土産代わりだ。どうせこの森はおぬし達を通さなくなる。」
「そうなりますかねえ。」
「ああ、エルフを守る森だぞ、わしの意向をくみ取るだろうさ」
「そんなことを信じているとは、度し難いですねえ。わかりました。私達はこれからこの里を出ます。」
「勝手にするがいい」


 そうして、全員で森を出た。エルフィももう泣いていない。
「さて、原因をつかまないと本当にここの森まで枯れてしまいますよ。」
「モーラさん飛べますか?」エルフィは真剣な目でモーラを見る
「ああ、大丈夫じゃ。この辺は不干渉地帯らしいからな。」
「うっ」
 私は、胸に強烈な痛みを感じ、見ると服の下から血がびしゃびしゃになるほど出血している、そして意識が一瞬飛び、そのまま倒れた。
「おぬし、どうした。」
「わかりません、が、どうやらパムさんに何かあったようです。殺されかけていますね。ああ、パムさんを通して私を殺すつもりのようですね。」
「エルフィ、治癒じゃ傷口をはよう。」
「はい、」服を破き、胸元を開くと綺麗に切り開かれた内臓が見える。
「ちょっとこれは、」
「まさかとは思うが、パムが受けた傷がこちらに転移されているというのか。」
「どう・・・やら・・・そうらしいです。」
エルフィの両手から輝く光が、そしてアンジーも涙で顔をくしゃくしゃになりながら両手を傷口に当てているのが見える。
しかし、傷は、直ってもすぐ傷口がひらき、さらに別の傷がついている。
「どういうことじゃ、これは。こんなはずはないぞ。」

 隷属の呪いへ続く




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