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第16話 魔族の子
第16-1話 魔族の子
しおりを挟む「レイちゃんよろしく~、やっぱり~獣人さん増えた~うれしー」そう言ってエルフィは、獣人姿のレイを胸に埋もれさせてなでなでし始め、レイは苦しくなって獣化したが、さらにもふもふがとまらず。嫌がってその腕から逃れた。
「あ~逃げられた~」寂しそうですが、それは犬猫に一番嫌われる触り方ですよエルフィ。
「レイの部屋ですが、やはり2階になりますね。客室が一部屋減りましたので、増築しておきますか。」
「以前、話していた。寄宿舎みたいな建物にしておけば良かったかのう、寮長、門限は何時じゃ」
「だから勝手に私の頭のイメージを話さないでください。」もう見られるのはあきらめましたから。
「確かにお主のイメージの建物の方が効率的じゃな」
「味気ないですけどね」
「人が増えたときに増築しやすいじゃろう。」
「もうこれ以上増やさないでくださいね。」アンジーの目が厳しい
「さすがにこれ以上増えないでしょう。」
「あーでもー、魔族さんが足りませんよ、魔族さん」エルフィが言った。この人は予言者かと言うほど的確に物事を捉えている。
「もう、フラグ立てないでください。」アンジーが叫んだ。
「フラグってなんですか~」首をかしげるエルフィ。ここにきて存在感出てきましたね。
などと言っていると、ドアがたたかれる。お客様だ。
「すまんが魔法使いさん。町まで来てもらえないか」
「はあ、何かありましたか?」
「急いでいるんで町に戻りながら話します。」そう言って私は町に向かった。エルフィの予言をすっかり忘れて。
そこには、町長さんと若い衆、そして、家に残してきたエルフィとアンジーを除いてメア、ユーリ、パムがすでに広場にいた。縄で縛られた小さい子を囲んで。
「どうしたんですか。こんな子を縛って。何かしたんですか?」人影が左右に分かれその子の全貌が見える。おお、エルフィの予言大当たり。そこには、神妙な顔をしてうなだれている子どもが座っている。人間の子どもとちがう所は、耳・・・ああ、エルフィさんも耳の形は違いますね。羽根・・・アンジーさんはいつもしまっていますね。そして角・・・ああ、あるんですねえ。さらに尻尾・・・おおこれはすごい。何か動いていますよ。
「おお、すまぬな。このようなことで呼んでしまって。」全然このようなことって感じでは無いでしょう。魔族ですよねえ、魔族。しかも縛られておとなしくしている。どうなっているんですかこれは、
「魔族ですよねえ、この子」
「そうじゃ魔族じゃ。」
「普通縛られたままでいませんよねえ。」
「ああ、普通はな。あばれたらわしらなど一発で殺されてしまう。」
「なぜ逃げないんですか?」
「実は、果物屋の所からリンゴを取ってな。お金を払わなかったんじゃ」
「トラブルになったのですね。」
「はい私が通りかかりまして、間に入ったのですが、その、おなかが空いてどうしようもなく手に取ったと。」メアさんが助け船を出す。
「なるほど」
「それで、ここにある物は、お金を払って買うもので黙って取ることはいけないと話したのです。」
「すると?」
「すると、ごめんなさいと謝って、どうしたらいいかと言うのです。」
「魔族とは思えませんねえ。」
「そもそもここが人間の町だとわからずに来たみたいです。」
「なるほど。縄を掛けたのは?」
「私がかけました。周りの人にとって魔族とは危険な存在と思われているので、申し訳ないが縄を掛けさせてくれと。」
「了解したのですか。」
「はい、納得して縄を掛けさせてくれました。それで」
「それで?」
「町長と相談の上、ご主人様をお呼びしました。」
「なるほど。」
「お主ならこの者をどうしたらよいか良い案があるじゃろう」モーラがそう言って笑う。
私は、モーラを睨む。ニヤニヤしているモーラ。私はため息を一つついてこう言った。
「わかりました。私に一任してもらえますか?」周囲に徐々にできた群衆は、おおっと声を上げ拍手まで起きている。そうですか、モーラが何かあおっていましたね。再びじろりとモーラを睨むと、視線を外し口笛を吹く真似をしています。まったく、根回し済ですか。やりましたね。
私は縄をときながら、その子に
「恐かったでしょう、もう大丈夫ですよ」と声を掛けると、
「こわかったよーお父ちゃん」と抱きついてきた。周囲から「おおっ」と声があがる。
「みなさん違いますからね。私は魔法使い、子どもなんて作っていませんからね。」
「えーっ」と残念そうな声で周囲がため息をつく。まったくここまでがモーラの入れ知恵ですね。
「すまないが、この子は良い子のようじゃ。じゃがさすがに魔族の子をここに住まわせるわけにはいかん。さいわいあなたの家は、町の外じゃし、いろいろな種族の方が同居しておる。この子も安心するじゃろう。すまないが事情を調べて対応してくれんか。」
「わかりました。メアさん」微笑みながら近づいてきてお辞儀をする。
「はいなんでしょうか」
「買い物は終わりましたか?」
「はい、お待ちしている間に速やかに」
「この子の服とかも」
「下着から寝具まですべてです。」確かにパムの背中には荷物がたくさん背負われている。やれやれそこまで織り込み済みですか。
「では、ユーリ、パム、メアさん帰りますか。」
「はい」
「一緒においで、おいしいご飯もあるよ」
「本当?」
「ああ、温かい寝床もある。」
「寝床?」
「寝る場所だよ。」
「一緒にいてくれる?」
「ああ、君が寝るまでそばにいてあげる。だから安心して」
「うん」
「では帰りましょうか。」
「わしは呼んではくれんのか。」
「ええ?誰ですか?人を陥れて笑っているような人はうちにはいませんよ。」
「そんなつもりでは、」
「しばらく町で反省していなさい。」
「悪かった、悪かったから一緒に帰らせてくれ」
「少し離れてついてきてくださいね。じゃあ帰ろうか」
「うん」つないだ手をぶらぶらさせて、歌を教えながら家まで帰りました。
「いいなあ」ユーリの声にその子の反対の手をつなぎ一緒に歌を歌って帰りました。
その後ろをとぼとぼとついてくるモーラでした。本当に幼女化していますね。
家に到着して扉に手を掛け開けると
「ついに地元のトラブルバスターですかね。」アンジーがため息をつく。
「わしらくらいしか魔族にチャンネルを持っておらんじゃろう」
「それが、町に知られるのも問題なんですけどね。」アンジーがジロリとモーラを睨む。
「さすがに町長の判断は賢明だったかと。」ユーリがうなずいている。
「先日ここであった魔法使いの襲撃のおりにご主人様が撃退しているのは記憶に新しいところですから。」
「ですよねえ」
「でも、どうするんですか、この子、ええと」
「名前はユーリが聞いている。例のあれをやっといたほうが良いのではないか」
「今はその時ではないでしょう。」
「そうか、しなければいつ暴れられるか不安で、あの町の者達が納得せぬじゃろう。」
「本人の意思を無視してはできません。」
「まあ、それはそうだな。」
「それに隷属の魔法についてですが、魔族は入っていないんですよ。実際掛けてみたときにどんなことが起こるかわからないのです。」
「そういうものか、ドラゴンも隷属できたのにか」
「あれは、アンジーが術を発動したのですよ。なので、神代魔法の属性です」
「そういえばそうだったな。」
「魔族とドラゴンの魔法式は、似た古代語を元にして違う変遷をしているようなのですし、アンジーの神代魔法の言語は、それともまた違う法則なのです。もしかしたら、ドラゴンの・・・(魔法式よりも複雑なのかも知れません。)」
「明日、私の方でルシフェル様にどういう状況なのか聞いてみます。だからモーラ、そうあわてないで」アンジーが私の話が長くなりそうだったのでカットしたようです。さすがです。
「とりあえず食事にしましょう。」メアさんが厨房から顔を出した。
「おなかが空くと悪いことばかり考えますからねえ。」
ユーリがかいがいしく魔族の子を世話している。それにしても、礼儀も食事の作法もちゃんとしている。
「魔族って食事の作法とか厳しいんですか?」
「あやつの育った環境なのだろうな。しつけの厳しい親だったようだ」
食事も終わり、話を聞くことにした。
「名前を教えてもらえませんか」
「すいません、ユーリさんから名乗らない方が良いと言われました。」
「そうですね。それは後にしましょう。今、わかっていることを話してもらえませんか。」
「はい、その日、私は、両親がそわそわしているので何があるのか気になっていました、昼を過ぎたあたりで外が騒がしくなり、ドアがたたかれ、父母が対応して、何か大声と大きな物音がしました。どうなっているのか気になって自分の部屋を出ると両親が倒れていました。」
「死んでいたのですか?」
「いえ、私が駆けつけた時にはまだ生きていました。何かを私に言おうとしていましたが、何を言っているのか聞こえませんでした。そうこうしているうちに私に何かを握らせ、父はそこで倒れました。何か光ったと思ったら、あの町の入り口に立っていました。ふらふらと町の中に入り、露天の商品である果物を手に取りました。そこで我に返って物を盗んだことを自覚しました。」
「ひどいことを聞きますが死んだと思いますか」
「はい、たぶん」
「殺した人を探して復讐したいですか」
「いえ、両親からは、恨んでも憎んでも誰も帰ってこない。ならば、人を恨むのでは無く、前を向いて自分の道を生きて行きなさいと、常日頃から言われていました。」
「そうですか。でも、本当にそれでいいですか。」
「今はそれでいいと思っています。」
「そうですか、つらい経験をしましたね。」私はぎゅっと抱きしめました。無表情に語っていたその子の顔は一気に泣き顔に変わりおんおんと鳴き声を上げた。泣き疲れ寝息を立てている。そのまま抱きかかえ自分の部屋に行こうとすると、ユーリが私を誘導してユーリの部屋に連れていかれた。
「僕が面倒を見ます。かまいませんか。」
「むしろお願いできますか。」
「では、」そう言って寝間着に着替え始める。私は背を向け衣擦れの音を聞きながら、この子の顔を見る。この天使の笑顔を泣かせた者に怒りがわいた。ユーリが私の袖を引っ張る。振り向くとベッドの毛布の中へすべりこみ毛布を上げて待っている。服をぬがせるべきなのだろうけど、起こしたくなかったのでそのまま寝かせる。私の指をつかんでいる手をゆっくりと優しくはなして、ユーリの手を握らせる。ユーリとその子のおでこにキスをして部屋を出る。あれ?私っていつもこんなことしていたっけ。まあいいか。
居間に戻ると先ほどよりもさらに雰囲気が固くなっている。
「寝たのか」
「ええ、寝ました。とりあえずユーリにお願いしたいと思います。」
「自分に重なるものがあるのかのう。」
「ああ、そうかもしれませんね。」
「わしもちょっとエリスの所に行って来るわ」
「夜が近いです。子どもの一人歩きはトラブルの元です。メアさん、モーラと一緒に行ってきてください。」
「わかりました。」
「わしなら大丈夫じゃが」
「あなたではなく、あなたを誘拐しようとする方を心配しています。」
「あはは、そうか、そうじゃな、では行って来る」町から帰ってきた時の明るさがありません。どうしたのでしょうか。
「お茶をいれますね~」エルフィが席を立つ
「ああ、私がやりますよ。」
「たまにやらないと忘れますから~」
「そうですか、ではお願いします。」そういえば、レイはどこに行ったのでしょうか。あちこち探しましたが、探すとユーリの部屋にいて、獣化して毛布の上で一緒に寝ていた。獣化して寝るのはやめなさいと言いたいところですが、今回は特別ですよ。
「ぬし様これからいかがなされますか。」パムが私に尋ねる。
「モーラとアンジーからの情報によりますかねえ。」
「お茶入りましたよ~」
「ありがとう。アンジーは明日の朝ですか」
「ええ、連絡の取れる時間は決まっているからね。今回のは、そうね、私たち家族の危機とかではないので。」
「そうでしょうねえ。何か知っていてくれればいいのですが」
「これだけの大事、じゃない、魔族が町に突然現れるなんて、あまり起こることではないですからね。でもきっと何があったのか知っているとは思うけど。」
「明日まで待ちますね。」どうも会話が途切れがちになっています。まあ、魔族が町に
「ただいま帰りました」メアさんがドアを開け、モーラが入っていくる。
「お帰りなさい。どうでしたか」
「ああ、何も知らないとさ。それで調査を依頼したいと言ったら、うまくはぐらかされた。やりたくないのかやる暇がないのかわからんが、あやつに頼むのは無理そうだ。」
「そうですか。」
突然、家中に絶叫が響き渡る。あの子だろう。部屋に行ってみると眠りながら泣きながら絶叫していた。ユーリが必死で抱きしめなだめている。ほどなく寝息を立て始める。
「僕も・・・こうだったのかもしれませんね。」
「そうですか。」私には何も答えられなかった。
「僕は大丈夫です。この子と一緒にいてあげたい。」
「そうですか。ありがとうユーリ。お願いしますね。」ユーリの頭をなで、その子の頭をなで部屋を出る。
「今日はもう寝ようではないか。」
「そうですね、私もそばにいてやりたいのですが、いいですか。」
「ああ、そのほうがユーリも安心じゃろう。」
「はい、そうします。」
それから、泣き叫ぶ間隔は長くなったものの朝まで続いた。
朝に目を覚ました時に、その子は笑顔で「おはようございます」と言ったのです。困惑してしまい、「おはようございます」と返すのがやっとでした。夜中の絶叫を憶えていないのですね。
「私これから連絡取ってくるわ」朝食も早々にアンジーが外に出た。
「お願いします。」毎晩このようなことが続いてはユーリの方も心配だ。なんらか方向性を話せれば、もしかしたら、少しは睡眠も改善されるのかもしれない。
「あまり期待しないでね。」つらそうにアンジーが出て行った。
ユーリとレイがその子と外で遊んでいる。アとウンも付き合っている。明るい笑顔が聞こえてくる。
「物怖じしないのう。」
「え?あの子がですか」
「いや、アとウンじゃよ。魔族の子と遊んでやれる馬なんぞ本来はおらんじゃろ。普通は緊張して固まるぞ。」そういえば、そばで走っていて、たまにエリアの外に出ようとするとうまく誘導してくれている。
「そういえばそうですねえ。」
「むしろ気を使っているようにみえますね」隣のパムが不思議そうに眺めています。
「あの2頭は優秀ですよ~だってドラゴン乗せても平気ですから。」エルフィがニコニコ笑って付け加える。
「そうですね。これまで魔獣に襲われた時にも逃げ出すことなくおとなしく待機していました。我々と一緒だという覚悟が、信頼がありますね。」
「それはモーラ様のおかげですね。」
「あやつらが優秀なだけじゃ。」照れていますねえ。
昼近くにアンジーが戻ってくる。
「だいたいの事はわかりました。概略だけ簡単に説明します。」そういってみんなでテーブルの定位置に座る。ユーリの横にその子が座る。
「はい。お願いします」
「まず、魔族領に魔族と他種族が混在する里がありました。この子はそこにいました。」
「その里は、魔族領になりますので、出入りは魔族に管理され、出るのはいつでも出られますが、入るのは、領地を管理する魔族の了解をもらわないと入られないようになっています。しかし、今回、「人族」に襲撃を受けました。」
「はあ?人族は勝手に入れないのに人族が襲撃ですか。」
「はい、何らかの手引きした者がいると思われます。」
「生存者はいるのですか?」
「わかりません。とりあえずわかっているのは、魔族、獣人、人族の死体があったことだけです。」
「そして、この子の両親は。」
「わかりません。」
「わからないとはどういうことですか。」
「死体がなかったのです。ですから生死不明です。」
「もしかしたら生きているかもしれないという事ですか。」
「・・・そうなりますね。」
「探さなければなりませんね」
「待ってください。それについては、我々にはどうにもできません、魔族領ですので我々は入れませんから」
「もしかしたら、あの子と同じようにどこか違う土地に来ているかもしれません。」
「だからと言ってどこをどう探すというのですか。少し落ち着いてください」
「ああ、確かにそうですね。」
「で、この子は、どうしたらよいのじゃ。わしらが預かっていていいのか」
「それについては、残念ながらルシフェル様と連絡が取れていないので確認できていません。」
「確認できない?直接話せていないのか」
「はいそうです。」
「話したのは側近か」
「ええ、そうです。なので、そちらで好きにしていいと」
「隷属させてもよいのか。」
「それについては、その側近は判断できないと。いいともだめとも聞けず、こっちでは判断できないからそっちで勝手にしてくれという感じです。」
「そうか、そう言わざるを得ないというところかのう。」
「どうも腑に落ちませんねえ」
「その里のことを聞かせてもらってもいいですか?」
「知っている範囲なら」
「その里ってなにか襲撃される理由があるのですか。」
「あります。」
「どんな理由ですか」
「言えません。」
「そうですか。でもそれが原因でこの子の両親は行方不明になっているのですね。」
「そうだと思います。」
「その理由を教えてもらえませんか」
「・・・・」
「場所はどこにあるのですか」
「・・・・」
「あの子とその両親は・・・」
「・・・・」
「アンジーいいじゃろう、もう隠しきれんじゃろうあきらめろ」
「なにを隠しているのですか。昨日の夜から皆さんどうも様子がおかしいと思っていましたが、やっぱり私に何か隠しているんですね。」
「隠したくて隠していたわけじゃないのよ。でもね、知ったところでどうにもならないのよ。あなたの決断は変わらないの。むしろあなたの背中を押すことになるわ。でもね、それはさせたくないのよ。わかってよ。いえ、わかってください。知らない方が良いこともあるのよ。」
「わしらのように感情がリンクする家族では隠し事は無理じゃ。話してしまおう。」
「そうね、もう薄々気付いているでしょうけど、その子は元魔王の子よ。」
「ああ、そういうことですか、それと、場所を濁すという事は、襲われた里というのは、宝石を届けるためにあの時通った時の里ですか。」
「ええ、そうよ。そのとおり。ご明察。」
「では、あの時会ったあの人達も死んでいるかもしれないという事ですか。」
「そうね、そうかもしれない。でも、あなたは動いてはいけないのよ。わかる。」
「どうして動いてはいけないのですか。一緒に食事をして楽しく会話をしたのに。心配してはいけないのですか。」
「心配していてもここにいて。それは、この子がここにいてあなたが保護しているからよ。」
「それはこの子のせいではないでしょう。この子の両親を私が探さないで誰が探すというのですか」
「他の人にお願いするしかないのよ。あなたはこの子を守って静かにしていて。」
「そう・・ですか」
「だからあなたには、知らないままでいて欲しかったのよ。この子を守り、どこかへ預けるまでの間で良いから。」
「それは・・・どうしてですか」
「あなたにはね、仮にだけれどもこの子がここにいることが知られて、敵が攻めてきて、この子を奪いに来た敵の口からこの事実を聞いて欲しかったのよ。もっともそれは私たちのわがままだけどね。」
「ああ、そういうことでしたか。ありがとうございます。でも、」
「まあ、あなたが出て行く必要はないわね。」扉の方から声がした。一斉にみんなが扉を見る。開いていて見慣れた人が立っている。2人も
「エリスさん。どうやって結界を破ってきたのですか。」
「あれが結界?張ってあったことはわかったけど、あなたにしては稚拙なものだったわよ」
「そうですか。何か用事ですか。今は立て込んでいるので。」
「モーラに用事があるのよ。モーラ、あの話受けるわ。」
「お主、昨日の夜あんなに渋っていたのにどういう風の吹き回しじゃ。」
「風向きが変わったのよ。」
「それについては、私の方からもお話ししますね。」もうひとりの方が口を開く。
「おや、ミカさんじゃないですか。ヒメツキさんのお使いですか。」
「そうなりますね、手が離せないと言っていましたので。」
「で、同じ件ですか」
「そうですが、この方が先ですのでまずお話しをどうぞ。」
「とりあえず中にお入りください」
「そうさせてもらうわ」
「失礼しまーす」ミカさんは相変わらず軽い調子である。
「とりあえずお願いに来たのは、私が今回の件を調査するにあたって条件として、パムさんをお借りしたいのよ。」
「それはダメです。彼女は、やっと里から自由になれて、私の家族になってもらえて、私たちと一緒に平穏な生活になじんできているのです。ここでしばらくの間みんなで暮らして欲しいのです。こんなにすぐにどこかに出て行ったり、そこでまた何かあったらと思うとちょっと無理です。家族は一緒に暮らしてこその家族です」
「そう、それでは仕方ないわね」
「ならば私が同行します。目的は同じですので。」ミカさんが涼しげに言った。
「ミカ、お主はダメじゃろう」
「いや、同行するだけですし、相手が攻撃してきたら守れば良いだけですし。」
「干渉することになるぞ。」
「それを、親代わりであるあなたがいいますか。私は血のつながりはなくてもあなたとは、名付け親とその子です。私はルールブロークンの子ですよ。でも、あくまで見ているだけです。手は出しませんよ。」
「それとこれとは別じゃろう。わしのルールブロークンは里の掟とかだけじゃろうが」
「そうですね。でも、他にもいろいろありますから参考にさせてもらっています。モーラ様私の親代わりとして許可をください。」
「それは助かるのだけれど。危ない橋も渡ることになるのよ」
「なるほどな、カンウから何か指示されてきたな。それで、名付け親たるわしに許可を取りに来たのか」
「ご明察です。さすが我が師。」
「して、今回の件に重なって何かあるんじゃな」
「それは言えません。」
「里が動いたのか、今回の件どこまで深いのじゃ。そうかそういう事か。」
「だから私が来るのは嫌だったんですよ、忙しいから来られないのは本当なんですけど、一緒に来て欲しいと言ったのに逃げられたんですよ。」
「このドラゴンの洞察力は計り知れないからでしょ?」エリスさんが助け船を出す。
「はい、何を言ってもその言葉、動作、物言いから、その本質を突くという。さいはての賢者だと噂されて、あ、しまった言っちゃった。」
「なるほど、それが里でのわしの二つ名か、しかもわざとばれるように言えとヒメツキに言われたな。」
「もう、そのとおりです。ああもう、どうにでもしてください。」
「にしても今の演技はバレバレであろう。事後承諾も甚だしい。わしの二つ名などそれでよいわ。好きにせい。」
「ここまでの会話まで、すべてモーラが思っていたとおりなのでしょう?」
「ああ、ここまで言わせたかったのじゃよ。あえて乗ったまでじゃ。」
「やさしいわね。でも、里の者にとってもあんたは、本当に扱いづらそうね。」
「いいじゃろう、あっちの意を汲んで、わしが自ら里から出てきてやったのじゃから。」
「モーラ様、そういうときには口をつぐめば良いのではありませんか」
「それができるような性分ならここにはおらんわ」
「さて、ここに来た理由の一つは断られたけども、同行者もできたし」
「ぬし様、やはり私が行きましょう。いえ、行きます。私は昨日から考えておりました。これは、家族の絆を深めるために私と共に暮らす事に時間をさいている事態ではありません。」
「パムさん、やはり行ってしまいますか。」
「行ってしまうのではなく、報告をしに戻ってきます。必ず。いえ、言葉遊びはやめましょう。この案件を無事に終了するために事実を調査しに行ってきます。」
「パムさん、決して無理はしないようにお願いします。できればこの子の両親が無事で生きていることを突き止めてください。この子の涙をもう見なくて良いように。」
「はい、必ず」
「あの、親方様、私も一緒に行って良いですか?」
「レイまでもですか。」
「孤狼族は、家族を大事にします。一族を捨てた私にとっては、家族は皆さんです。私もできることをしたいのです。親方様の気持ちは痛いほどわかります。でも、皆さんのお役に立てるのが無上の喜びなのです。わかってください。孤狼族とは獣人とはそういうものです。」
「わかりました。ならばせめて旅支度だけでも。メアさんあれを」
「はい」そう言って一度席を外すと2着の服を持ってくる。
「これは、」
「私の世界ではつなぎという作業服です。ですが、伸縮性に富む素材で作ってあります。破けません。体型が変わってもフィットするようにできています。獣化にも対応します。」
「私の分もあるのですか。」
「はい、パムには、耐魔法防御強化と耐物理強化と身体強化をつけて、レイには、魔法による手足の強化をするような服になっています。」
「親方様、出会って間もない僕の分まで。もしかして、獣化した時にいろいろなところをさわっていたのは。」
「ごめんなさい。単に趣味で触っていたわけではないのです。」
「ありがとうございます。あの時は、親方様けっこう変態さんですかとか思ってすいません。」
「いや、趣味も半分ありましたから。もとい、もちろん他の皆さんにも用意しましたが、そんなことになって欲しくないと思っています。でも、パム、レイ、でかけるなら、この服を持って行ってください。」
「気をつけてください。無理をすると破けるかもしれませんので、念のため替えの服は持って行ってください。」
「あの時の服は、大変助かりました。肌の出ているところの細かい擦り傷以外は、ほとんど気にせず全力で走られましたから」パムとレイがうれしそうにしているが、他のみんなが不満そうだ。ええ、感情がバリバリ伝わってきます。
「えーと、すいません、真剣な話の途中で。でも、他の家族も何か不満げですので、皆さんの分もちゃんと用意してありますよ。ユーリもアンジーも体型の変化がありますので、皆さんに合うようにと考えてあります。アンジーは、物理耐性、耐闇属性をメインにユーリは、魔法強化と耐物理を、エルフィは、魔法強化を付与して作ってありますから。」
「わしのはないのか。」
「モーラには替えのお洋服だけですね。」
「どうしてじゃ」
「いや、必要ないでしょう。この世界の頂点、最強の生物なんですから。」
「なんかくやしいのう。」
「モーラ様、ご主人様はそんなことしませんよ、本当は作ってあります。モーラの気配を消すことができる魔法の服です。」
「メアさん甘やかさないでください。」
「なんじゃ作っているのか。まあよい、エリスこの者達を頼んだ。」
「どちらかというと私が守られる側だと思うのですけど」
「物理的にはな。じゃが魔法的にはこやつらは無力じゃ。」
「そうね。わかったわ」
「では、行ってきます。」
「あの~旅の支度はしましょ~」
「あ、そうですね」
「はい、」
「私はどうしましょう。」ミカさんが所在なげだ。
「旅の支度が調うまで少し待て。同行は許可する。しかし連絡を絶やすな。」
「はい」
「お茶です」
「ありがとう。メア、あなたも大変ね、服飾までしているの?」
「大変なことは何も。ご主人様は、私のためには専用のメイド服を考えていただきました。それは、とてもうれしいことです。」
「あなたが喜ぶなんて、それは、どんなものなの?」
「ご主人様お話ししてもよろしいですね?実は、魔力のリチャージシステムです」
「リチャージシステム?」
「はい、つまり戦闘時に体を動かして、放出したり物理に変換したりした魔力のうち使われなかった魔力を回収して体内に吸収させることができます。簡単に言うと、魔力量の効率活用ができるということです。」
「そんなことができるの?」エリスさん目を見開いてびっくりしていますが、そんな顔でも美人ですね。
「はい、メアさんの場合肌の露出が少なくて、肌がほとんど服で包まれていますので、腕を動かした時とか蹴りを出したり走ったりした時の動きをトレースして風の流れを感知してその動きで魔力を励起して体内に回収するようにしました。」
「そんなことができるの?」
「ご主人様は試作段階と言っておりますが、ユーリとの戦闘訓練では15%の回帰率です。」
「あなたそれは自分で考えたのよね。」
「いえ、風力発電とモーターの発電を魔法に組み合わせたものですから技術転用ですね。」
「まったく末恐ろしいわ。これが本格的に実用化されれば魔力の低い者でも普通に魔力消費の激しい高難度の魔法を繰り返し使うことも可能かもしれないという事じゃない。」
「ああ、そうですねえ、気付きませんでした。よかった、パムに今度使ってもらいましょう。」
「こやつ本当に技術バカじゃなあ」
「本当にそうね。本当に殺しておかなくていいのかしら」
「まあ、以前のレールガン以外は、普通に魔法の改良でしかないから、いつか誰かが気付いて実用化できるからなあ。」
「よく考えたらそうね。そういう発想がまだ魔法使いにないというだけね。」
「さて、先ほど、言い損ねた2つめをきこうじゃないか。」
「そういえばそうね。一つ目は、かなったからまあいいのだけれど、2番目のはね。これからあなたたちはどうするのかということよ。」
「ああ、そうか。」
「まあ、うちの里もね、それを気にしているのよ。結論は必要ないけど方向性を聞いてこいと。まあ、あの子を守ることにするんでしょうけど。このままだとここは襲撃を受け続けることになるから。」
「それは、どういうことですか。」
「それは、私から話しましょう。私たちは今大変まずい立場にあります。元魔王の子を守っています。そして、それが魔族側に知られると、元魔王夫婦が行方不明なこともあって、元魔王派である共存派と魔族絶対主義派のどちらからも狙われることになります。」
「方や擁立するために方や殺すためにか」
「いいえ、擁立派も絶対主義派もどちらも殺そうとするでしょう。」
「どうしてそうなる。あ、そうなるのか。」
「はい、元魔王の子どもだからといって共存派とは限りませんから、殺して絶対主義派のせいにしようとしてきます。なので、どちらの手に落ちても殺す一託になります。死んだ子は何も語れませんから」
「でも同族殺しは呪いがあるのですよねえ。」
「最近、誰が殺したかわからない方法で殺せば大丈夫ということがまことしやかに流れてきました。あとは、拉致して獣人や人に殺させるというのも可能ですよね」
「確かにな」
「なので、この子がここにいることは誰にも知られてはいけないのです。」
「私が動けない理由は何かありますか?」
「あなたが元魔王夫婦を探すために動きだせば、元魔王の子がここにいると知れてしまうからです。」
「普段からそういうことに無関心なあなたが動き出しただけで、勘のいい人達は、いいえ、勘の悪い人達だって何かあると思うに決まっているじゃないですか。なぜ動いているか理由を探りに来ますよ。」
「確かにそうじゃな」
「でも、ここには、エリスさんもミカさんも来ているじゃないですか。」
「エリスさんは今回の件を調査するためにパムさんを借りに来ただけだし、私だってモーラに二つ名を告げに来ただけですので、勘ぐられることは、何もないでしょう。」
「話の内容が濃すぎてついて行けない人達がいますけど。」メアさんの指摘に2人を見るとユーリと元魔王の子はぽかんとしている。あ、レイもでした。
「さて、あなたにも状況が理解できたのなら、そこで待っているパムとレイさん?を連れて出発したいのだけれど。」
「はい」
「パムさん」
「はい」
「気をつけて。それとこれを」小さい丸い玉のようなものを渡す。
「これは、使う時は必ず連れ帰りたい人と体を触れていてください。接触しているものはすべて連れて帰ることはできます。ですから、レイとついでにエリスさんをお願いします。」
「わかりました。触っていれば大丈夫ですね。」
「はい、薄く魔法がつながっていればいいのです。」
「わかりました。使う状況が来ないことを祈っていてください。」
「レイ」
「はい、」
「あなたは旅慣れていません。正直不安です。でも、あなたにしかできないことが必ずあります。パムの言う事を聞いてください。パムの指示ならひとりだけで逃げてください。この2人はひとりずつでも必ず生き残れます。あなたもきっと生き残れるでしょう。ですが、その後、ここに戻ってくるまでの旅に不安が残ります。」
「ありがとうございます。独りになったらまっすぐ帰ってきます。行ってきます。」
「3人とも気をつけて。」
「ミカ、ちょっと耳を貸せ」
「なんでしょう。」
「とりあえずな、あの子を里に預かれるか聞いてこい。」
「ええ?そんなの無理に決まっているでしょう。一族でもないのに」
「いいか、とりあえず預かれるか聞け、もしダメだと言われたら、長にこう言え。例外的に里で預かったことがあるだろう。知らないとはいわせない。」と言ってやれ。話すのは預かれるか聞いてからだぞ」
「そこに順番があるんですか。」
「そうじゃ」
「その結果がどうあれ、ヒメツキにその話をしろ。」
「逆じゃあダメなんですか。」
「だめじゃ。絶対に順番を違えてはいかんぞ」
「わかりました。それなら自分で行けば良いじゃないですか」
「よいか、ここはわしの領地、ここで魔族や獣人が暴れればわしの顔を潰すことになる。じゃがわしが不在なら知らぬ存ぜぬでうやむやにできるのじゃ。今は動けん。頼んだぞ。」
「はーい。結果報告にきます。」
「いらぬ」
「結果は見えていると」
「まあな、わしも少しはこの子のためにできることをしてあげたいのじゃ。一縷の可能性にかけてな。ひょっとしたら叶うかも知れんからな」
「ではその用事を先にしてからエリスさん達に合流します。」
「頼んだぞ」
そうして、準備のできたレイとパムとともにエリスさんは旅だった。あと、ミカさんも出て行った。私は、玄関から出て見えなくなるまで見送った。
続く
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