巻き込まれ体質な私、転生させられ、記憶も封印され、それでも魔法使い(異種族ハーレム付き)として辺境で生きてます。

秋.水

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第16話 魔族の子

第16-7話 食事とお風呂

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「さて、邪魔者は追い返しました。続きを話しましょう。」
「まあ、結論は出たのじゃがな。」
「結果的に3人が死んだことにして、報告するようにしましたが、やっぱり遺体がないとだめでしょうから、本当に死んでもらいます。」
「まだやるのか。」
「ええ、あんな物ではだまされてくれません。子供だましです。」
「確かになあ」
「ということで、焼死体を作り、新しい里に運んでいくことになります。」
「死体にしたら腐らないか?」
「大丈夫です。焼死体ですから。」
「ということで、新しい里との連絡を取っていただいて、新しい里にその遺体を持ち込めるよう取り計らってください。」獣人達に言う。
「わかった。それは何とかする。」
「たぶんさっきのネクロマンサーの報告を信用せず、本当に死んでいるか探しに来ますので、元魔王様達がわざと見つかって攻撃を受けます。そこに住んでいることが判明すると、土のドラゴンの縄張りであっても、侵入してくる訳のわからない敵から何回か攻撃を受けます。あなた達には、それを苦にここから逃亡して焼身自殺をしてもらいます。まあ、そういういう線でお願いします。」
「なるほど、すぐに死んではだめか。」
「信憑性と、あと、私達に殺人の疑いがかかりますので、」
「ああ、そういうことか。」
「はい、死ぬ場所は、ここから出てドラゴンの縄張りを越えそうなギリギリの場所になります。しかも探しにきた人の目の前で焼身自殺してもらいます。」
「大丈夫なのか?」
「さあ?」
「さあって。」
「だってこんなの賭けでしかないですよ。見破られたらおしまいですから。」
「一応、魔法使いの里とドラゴンの里に助けを求め、相談したいとその人達を呼んで、直前にその人達から逃げて目の前で焼身自殺を図るというていでお願いしますね。」
「ドラゴンの里と魔法使いの里からの使者が見聞するので、信憑性が増すでしょう。」
「それまで生かしておく理由は?」
「温情じゃな。それまでの間親子3人仲良く暮らせと。」
「余計残酷ですねえ。」
「まあ、後ろに控えている敵をおびき出すための餌としておこうか。」
「敵は3人とも殺して誰かになすりつけたいのですからねえ。」
「あと、私が焼死体をつくりますので、」
「作れるのですか?」
「魔族の体を構成するものを死体をまねて作ってみます。」
「人体錬成か、すごいのう」
「そんなことできませんよ。あくまで死体に似ているものですよ。」
「では、獣人さん達にはよろしくお願いします。あと、ミカさんとエリスさんもそれぞれが、自分のできることをしてください。」
「あと、ご家族にはモーラのいた古い洞窟に滞在してください。元魔王様は、家族とともに非武装非暴力について、もう一度考えてください。その考え方はあくまで理想で、残念ですがこの世界では生きていけません。私のいた世界でも無理だったのです。ですから防衛のための力を行使願います。いいですか、無抵抗主義は、この世界では何の役にも立たないのです。過剰な攻撃を加えろと言っているのではありませんよ。ただ自分の大切な人や物を守るためには相手を止めるために傷つけること殺すことをためらってはいけません。なぜなら相手はそれを奪おうと殺意を悪意を持って向かってくるのですから。相手の善性に頼って、自分が守りたい大切な命を無くしてから後悔しても返ってきませんよ」
 獣人達は、一人がモーラの洞窟に寄ってから次の町に移動し、それ以外はバラバラに新しい里から連絡が入る予定の場所を目指して散っていった。出来るだけ早く連絡が取れるように。残ったのは、ミカとエリスである。いや残されたのだ。メアの手でお茶が配られたが口にする余裕はなさそうだ。
「さて、今回の件、貴方たちにはどう伝わっていてどうするよう言われていたのでしょうか。」
「・・・・」
「まず、ミカさん。そういえばモーラが里の長老に話しておけと言われていましたがどうなりましたか。」
「それについては、聞かなかったことにすると言われてですね。そのあとカンウさんに伝えたのですけど。カンウさんが長老達に再度お伺いを立てたのですが、それとこれとは状況が違うと言われてしまって。けんか別れのようになったようです。」
「で、それをわしに伝えに来なかったと。」
「はい、カンウさんにエリスさんへの同行のこともつい話してしまい、不許可となりまして、さらに監禁・謹慎処分になりました。今回は、カンウさんの申しつけでこちらに参った次第です。」
「で、何を申し付けられたのじゃ」
「長老達の言葉として、今回の件、ドラゴンの里はあずかり知らぬ事である。とだけ言ってこいと言われました。」
「はっ、ミカに行かせて、この話を聞かせておいてよかったわ。さすがにこちらからその事に言及すれば何も知らぬではすまんじゃろう。結局、トラブルから逃げたいだけじゃろうが。」
「さて、エリス嬢ちゃんや。」
「やめてよその呼び方、脅しに聞こえるわ」
「いや、脅しているんじゃよ。わかるな。」
「話せることなんて何もないわ。」
「いいやあるじゃろう?さあ話せ。」
「その前になぜわざわざあの隠れ里を調査することになったのですか、パムさんとともに一緒に調査したではないですか。」
「それはね、里から命令されたからよ。それだけ、パムさんを借りに来たのは、ドワーフの森の長老がパムさんの動向を気にしていたからよ。もしかしたら、崖で襲われたのはそっちの絡みがあるのかも知れないとは思ったけど証拠はないからあえて言わなかったのよ。」
「その線はないと思います。ネクロマンサーみたいな形で私を襲わせることは考えないと思います。」
「その線は薄いのじゃな。」
「はい、ですからあの時襲われたのは、やはり今回の黒幕に近い者でしょう。」
「ふむ、さて・・・話を戻そうか。」
「もう、互い直接やり合って欲しいわ。間に立たされているこっちの身にもなってほしいのよね。」
「ほう、良いのか?こやつが魔法使いの里に直接乗り込むことで何が起きるか。しかもお嬢、お主が連れ込むことになるんじゃぞ、お嬢なら簡単に想像できるじゃろう。」
「ええ、できるわよ、伝統も格式も全部無くなるわ、不文律もね。だから魔法使いの里としては、この件にもあなたにも関わりたくなかったのよ。」
「で、関わりたくないその里のお使いの人は、今回の件は魔法使いの里には関係ないと言えと言われたのか。」
「そうよ、それともう一つだけ。里は、あの玉がどうなったのかをしきりに心配していたわ。」
「転移の魔法の玉ですねえ。そういえばあれは、誰が作ったのですか。」
「それを私が簡単に言うとでも思うの。」
「まあ、普通なら言わないわな。だが、こやつはすぐにでも作れるぞ。たぶん解析済みじゃ。じゃから、こやつがたくさん作れば、この世界は混沌に飲み込まれる。それでもよいのかな。」
「まあ、そう言う交渉をしてくると思ったわよ。実際、私はあなた自身が作った転移魔法のおかげで命拾いをしていますからね。ただね、その事は里には話してはいないわ。わたしのとっておきの情報で、あなた達への交渉のカードだもの。こんなこと里に言えば、あなたと里で全面戦争になるでしょうね。」
「まあ、そうじゃな。じゃが、里の話はいいわ。わしが聞きたいのは、魔法使いの里がいつから転移魔法を作れて、なぜその事実を隠し続けていたのかじゃ。自分たちだけがその恩恵に浴しておったのじゃろう?。」
「あなたは、ドラゴンの里にほとんどいなかったから知らなかったのでしょうけど、ドラゴンの里も元魔王も魔法使いの里も転移魔法の存在については知っていたのよ。」
「なるほど、それほどまで隠すような魔法なのか?」
「そうね、まあ、話してしまいましょうか。魔法の玉を作った者は、たった10個作って死んだのよ。そして、その作り方も残していない。起動させたときにほんの一瞬だけ最初の起動式のみ見えるのよ。だから解析や複製はできないしろものなの。この世界には10個しかその玉はないのよ。」
「なるほど、で、この玉をそれぞれの長に持たせたと。」
「正解。さすが最果ての賢者ね。一つずつ各種族の長に持たせ、クーデターとかそれぞれの族長に何かあった場合にはそれを使って逃げられるよう渡していたのよ。死なれるとクーデターの真実が隠蔽されてしまって、制裁ができなくなるからよ。」
「元魔王が持っていたのは?」
「単に魔王が入れ替わった段階で一度魔法使いの里に戻すことになっていたのに返さなかったからよ。まあ、元魔王は引退したとしてもまだ狙われる可能性があったからもあるみたいだけど。あと、現魔王が持っているかどうかは知らないわ。」
「なるほどな、たった10個しかないのならその行方も気になるわな。」
「だとしたら、玉が転移する先はいつもはどこに設定されているのですか。」
「しらないわ。そういう事態が起きていないから。まあ、それぞれの国境の端あたりじゃないのかしら。」
「転移先の変更登録ができるのは、誰ですか。」
「知らないわ」
「なるほど、長老クラスか」
「さあ、それは本当に知らないわよ。」
「そのようじゃな」
「ではだいたい聞けましたので、この辺でおしまいにしましょう。今後も私たちと敵対していきますか?ミカさん」
「帰って、ヒメツキ様と話し合ってからにします。ただ、私の考えが甘かったところもありますので、ほどほどの距離感を持って付き合っていきたいと考えています。あとは、少なくともドラゴンの里とは疎遠にします。」
「そこだけはわしも悪かった。貧乏くじを引かせたのう」
「本当にそうですよ。モーラ様」
「さて、エリス様は、どうですか?」
「あんたとは、正直つきあいをやめたいのだけれど、商売上のつきあいを続けないと他の魔法使い達から突き上げが来るのよ。あの薬草のおかげでね、なので、付き合わざるをえないのよね。まあ、私が知る魔法使いの里からの情報提供は、できるだけ包み隠さず伝えるわ。話していれば、他の者が伝えに来ただろうし。」
「普通の魔法使いがこの結界を越えて玄関まで来られるものか。結局お主が来ることになるじゃろうが」
「いいえ、そんな時は絶対来ないわ魔女のだれかをよこすわよ。」
「お話しはお済みでしょうか。」メアさんが台所の戸口から声を掛ける。
「そうね、一緒に食べましょうか。」アンジーが声を掛ける。
「あんた達の感覚が理解できないわ、私たちを敵認定しておいて、一緒に食事しようとか頭おかしいんじゃない?」
「まあそう言わずに、結構な時間が経っております。おなか空いているでしょう。」
「まあ、そうね、お願いしようかしら。」
「ミカさんは」
「久しぶりにおいしい物が食べられそうですので、」
「あんたもたいがいね」
「これは、この家庭のしきたりであり、仲直りの儀式なんですよ。ねえ」
「お主は相変わらず甘いのう」
「え?」
「これは、買収じゃ。わかるな。」
「はい、それでも食べていきます。」
「ああ、買収されておけ。その方が気が楽じゃぞ」
「それでは、これからご用意します。」
 メアさんが台所へひっこむ。ユーリとパムが続く。もちろん手伝いのためだ。
そうして、食事の用意が始まった。
「そうそう、玉は所有者である、元魔王にお返ししますので、返して欲しいならそちらと交渉願います。モーラお手数ですが、住処に帰る前に所有者の元魔王様に持って行ってください。」
「ああ、わしもここには居られないか。」
「ここにいては、領地を守れませんよ。」アンジーがなだめるように言った
「しばらくは、あそこに居なければならぬか。」ため息交じりである。
「よろしくお願いします。」
「はあ・・どう報告すれば良いのか。本当の事を話すのか、元魔王がもうじき殺されると話すのか。」
「どちらでもかまいませんよ。ただし、その時が来たら必ず使者をこちらに連れてきてくださいね。」
「わかったわ。」
「わかりました。」
「ではよろしくお願いします。こちらからの連絡がつくようにしておいてくださいね。」
「おや、誰か来たようだぞ。」
「もう魔族の襲来ですか?早すぎませんか?」
「ああ、元魔王達じゃな」
「おや、何かありましたかね」
扉をノックする音に応じて扉を開ける。
「実は、お願いがありまして。この子が入っていたお風呂についてです。一度だけ見せてもらえませんか。」
「ああ、それは、かまいませんが、さきにお食事をご一緒しませんか、その後、お入りになってください。きっとお疲れでしょう。ゆっくりつかってください。メアさん。食事は追加できますか」
「ご用意できます。あと、お風呂の用意もすでにしておりますので、お入りになられます。」
「どちらが先でもかまいませんよ?どうしますか」
「お父様、先にお風呂が良いです。」食卓テーブルの状況を見て気を利かせたようだ。
「では、先にお風呂にお入りください。入り方は、その子が知っていると思いますので。」
「すいません、どうしてもお風呂と言われまして、作ってみたのですが違うと泣かれてしまいまして。」
「甘えたいのでしょうねえ。」
「誠に申し訳ありません。」
「ご家族でどうぞ。」
「あの~、ここに皆さん全員で入っていたのですよね。」奥様の方が怪訝そうな顔で尋ねる。
「ええ、さすがにその子は一人で入っていましたよ。」
「ぜひ、皆さんと一緒に入りたいと言っておりまして。実際この子が、女の子なのはすでに皆さんがご承知だと聞いております。ですので、女同士でお入りなられて欲しいのですが。」
「ふ、いつもならこやつのハーレム風呂なのだがな。よいよい、女ばかりで入ろうじゃないか。」
「いいわよ、でもやみつきになるから、注意してね」
そう言って、あの子を含む女性全員でお風呂場に向かった。さすがにミカさんとエリスさんは行かずに残った。さすがに2人とも元魔王の子どもが女の子であったことは、知らなかったようで、壮絶に驚いている。
「まさかね、女の子だったとはね」
「今回の事件で最大の驚きです。」
「知られて良いのですか?」
「ええ、それぞれの里には、生まれたときにすでに話をしております。それに死んでしまえば単なる噂で終わりましょう。」
「なるほど、これからは、ちゃんと女の子として暮らしていけますね。」
「本人は男勝りのところがあってあまり変わらないと言っておりました。ミカさん、エリスさん、いろいろとご迷惑をおかけしましたね。」
「私たちが迷惑したのは、その男の怒りが私たちに向いたことだけよ。そうよね」
「そうですね、本当に肝が冷えました。」
「はい、申し訳なく思っています。」
「この男に関わったことを後悔するわよきっと。」
「そうでしょうか。」
「きっと、敵に回らなければ大丈夫ですが、本人が敵側についたと判断したときの豹変がすごいので。」
「それはそうでしょう、ちゃんと話せないことでも話してもらわないとびっくりするじゃないですか。」
「びっくりねえ。まあ、私も里とのつきあいを少し考え直さないとダメだとは認識できたので、今回の事は良かったかも知れないわね。」
「確かに、あの古びた考え方はちょっといただけません。それに盲従してしまったのも反省ですね。」
そんな話をしていると、突然、元魔王様がテーブルに手をついて頭を下げる。
「魔法使いさん。本当にありがとうございました。」
「ええ?お風呂のことですか?」エリスとミカが椅子から崩れ落ちそうになる。
「いえ、これまでのことすべてです。」
「ああ、そのことですか。まだすべて終わったわけではありませんよ。頭を下げるならその時の方が良かったのではありませんか。まあ、頭を下げて欲しいとも思っていませんけど。」
「そうですが、その、なんと言って良いのかわかりませんが、目を覚まさせてもらったといいますか。」
「まあ、私は、いつも言いすぎますので。感情が先にあってそれを口に出している部分もありますし。」
「でも、冷たい言い回しの中に実際には真剣に考えていただいているのを感じました。」
「はあそうですか。」
「私は魔王を百年ほどやっていました。そして、子どもができその子が女の子であったため男の子と偽っておりました。」
「それが不思議なのです。どうしてですか。」
「はい、長らく子どもができていなかったこと。跡取りができたことで、体制派の意気が上がることで反体制派を押さえ込めること。混乱で政情が不安定で明るい話題が欲しかったことがありました。」
「国威発揚ですか」
「はい、恥ずかしながら自分の子どもを道具として使ってしまいました。」
「性別を偽ることにためらいはありませんでしたか。」
「先ほど話したようにうちの子には、男女の区別はあまり感心がありませんでした。あの子も男の子の服を好んでいましたので。」
「そうでしたか。」
「そのうちにうちの子どもからは、どうして他種族と争うのか、仲良くできないのかと聞かれ私の魔王としてのアイデンティティは、その時に崩されました。そして魔王でいることに疑問を持ち、それに合わせて魔力量も落ちていきました。」
「なるほど。精神の疲弊のため、能力までが落ちていったんですね」
「そのようです。もともと、人族と融和政策を取ろうとしていたところだったのですが、魔族絶対主義派を抑えられる力も無くなり、子ども言葉ひとつでこんなにも心は弱くなるのかと自身の不甲斐なさに気づき。私は魔王であることを突然やめました。そのため、一時期魔王不在のまま魔王の席の争奪戦になりかけていましたが、そこに現魔王堕天使ルシフェルが現れ。その絶対的な力の前に魔族は再び一本化されました。」
「そうですか。でも、それはあなたにとっては、良かったのですねえ」
「はい、でも今回の事がおき、子どもの安全を図るといいながら、他人の言葉を過信して子どもを危険にさらすことになりそうでしたから。」
「私のように見知らぬ人だけでなく、ドラゴンの里とか魔法使いの里とかまで信用してしまいましたからねえ。」
「はい、これまで良好な関係を持っていたとしても、あくまで魔王だった私に対してであって、今は、ただの元魔王だという事を痛感しました。厄介払いしたかったというのが両方の里の意見だったんですね。あと、細かい話ですが、事前準備の段階でちゃんとあの玉にも疑いの目を持っていれば、ここまでの事にはなっていなかったのです。」
「次は無いと思いたいですが、これからはどんな小さな事でも慎重に事を進めなければいけませんね」
「そうですね。」

「な~にお主ら辛気くさい顔をしているのじゃ、元魔王、とりあえず家族で風呂に入ってさっぱりしてこい。妻と娘が風呂場で待っておるぞ。」
「そうですか、それでは、私も入らせていただきます。本当によろしいのでしょうか。」
「お風呂で家族が待っていますから早く入ってあげてください。」
「ありがとうございます。」
「ゆっくり入ってくださいね。でものぼせないように気をつけてくださいね。」
「ありがとうございます。」

「さて、今後じゃが。」
「ええ、あの家族の護衛は、モーラさんにお任せします。」
「やっぱりか。」
「家族でお風呂に入って、精神が安定し、彼の魔力量が増えれば必要ないでしょうけど、当分は、襲ってくる者達への対応をお願いします。」
「ふむ、心を壊していたか。」
「戦わずに生きて行くには無理があり、そのジレンマが、影響しているのではないでしょうか。もちろん素人考えですが。」
「わかった、しばらくの間は、様子を見よう。」
「ありがとうございます。ここの結界もレベルを下げますので、ここにいても感じられるようにはしますので、少しだけの間、新しい洞窟で暮らしてください。」
「ご飯は食べに来ても良いかのう、あと風呂と」
「エルフィが頑張れば大丈夫じゃないですかねえ。」
「問題点があります~元魔王様達が来ていたローブですけど~。これが、魔族の気配を遮断していて~気配に気付かなかったのですよ~」
「なるほど、そういうからくりか。」
「はい~、たぶんローブを着て動かないでいると気づくことは難しいです~、動いていれば、少しはわかりますけど、それさえも注意して観測していないと難しいですね~」
「対策が必要か。」
「そうですね~」
「そうなると、罠を仕掛けるしかないですね。」
「この家の周囲に張り巡らした罠みたいなものか」
「それが一番良いですかね。ネズミを駆除するならねずみ取りですから」
「なるほど、しかし、罠に私達が引っかかる可能性もあるのだろう?」
「そこは、少しだけ注意が必要ですね。ただ、一朝一夕にはできませんので。」
「じゃあ護衛を増やす必要があるな。」
「やはり交替で見張ることになりますか。」
「とりあえずそうしますね。」
「そろそろお風呂から上がってこられるようです。食事の用意ができますので、そのままお食事を」
そうして、家族全員と元魔王一家、ミカ、エリスとの食事が始まる。

「何から何までありがとうございます。風呂というのは本当に良いものですね、感動しました。ですがお湯を生成して潤沢にお使いになる。これは、すごいことではありませんか。」
「いえ、ちゃんと薪を使ってお湯を沸かしたりもします。その方が湯冷めしづらいのですよ。」
「なるほどそういうことでしたか。普通のお湯と違ってなぜ暖かさが保つのか不思議でしたがそういう効果があるのですね。」
「はい、そうなんです」
「この者の唯一の特技でなあ、日常生活を豊かにすることにかけては右に出る者はおらんと思うぞ。ほかはからっきしじゃがなあ。」
「そうでしたか。いろいろ教えてほしいものです。」
「新しい里に落ち着いてから、ぜひどうぞ。」
「残念ながら私はそこから出るつもりはありません。ですのでお手間とは思いますが、お越しいただければと思います。」
「死んでしまうのですから、別人であれば出てもかまいませんでしょうに」
「そういえばそうですね。では、なごりおしいですが、あの洞窟に戻ります。」
「何かしら生活物資が必要であれば、モーラが訪ねていくと思いますのでその時にでもお願いしてください。」
「しばらくの間じゃ何とかしよう。」
「重ね重ねありがとうございます。それでは、おいとまさせていただきます。」
「私たちも帰るわ、本当、どう言い訳しようかしら。」
「それは、私も同じです。どうせばれると思いますしね。」

「お主は、まだ風呂に入っておらんのだろう。湯冷めしたようだからもう一度風呂に入ってから戻っても良いか。」
「かまいませんよ。では、入りますか。」
夕食の片付けをするメアさんを手伝い。いつもどおり全員で入る。湯気の中でみんなの顔を見るとなんとなく安心してしまう。
「しかしなんじゃな。こうも都合よく使われるとは思わなんだわ」
「本当よね。これ幸いと利用された感じで悔しいわねえ」
「でも、おかげで、とてもいい人と剣を交えられてうれしかったです。」
「そりゃあねえ、後の2人は力量不足だったわねえ。」
「はい、ユーリが決着がつくまで待っていて欲しいと言われなければ、瞬殺でした。残念です。」
「僕は、今回がデビュー戦だったし、この服のおかげで魔法が効かず助かったのです。でも楽しかったですよ。」
「レイ、あまり余裕を見せないように、今回は、たまたま、相手との相性が良かったから余裕だったのよ。だから、もし仮に次があったら今回のようには、いかないわよ。余りなめてかからないように。まあ、実際は、ほとんどの相手でも勝てるでしょうけどね。問題は、現魔王が、私たちを監視していて、今のところ保留なんだけど、いつ抹殺命令が出るかわからないことなのよ。そうそう、今回の、ユーリが戦った魔族が魔王軍の一翼をとか言っていたんでしょ?」
「はい、言っていました。まだ強い人がいっぱいいるんですよね。」
「魔王軍の一翼を担っているということは、本当に強い人なのよ。それと互角とか、人族の身としては、本来ありえないのよ。そう、勇者以外は。」
「そうですか。勇者ですか。私は勇者にはなれませんけれど、相応の実力があるというのなら、それはうれしいですね。」
「はいはい、確かに、その淡々としているところも勇者らしくないわ。」
「ご主人様、お願いがあります。」
「メアさんなんでしょうか。」
「実は戦闘中のスカートなのですが。短くして短パンのようにできませんでしょうか。」
「確かに、長いので行動に制限がつきますね。」
「いえ、暗器が取り出しにくいので。」
「足にけがしそうなので、ズボンタイプの方が良いのではありませんか?魔力の回収のためにも肌を隠した方が良いと思いますが。」
「なにやらご主人様から生足を出して戦って欲しくないと聞こえましたが。」
「ええ、まあ。ケガをして綺麗な足に傷がついてもと思いましたので。」
「ありがとうございます。ですが魔法により生かされている私にとっては、傷はそれほど気にしていませんよ。すぐに直ってしまいますから。」
「しかし」
「まあ、生足は、自分しか見られない方が良いといいたいのじゃろう。メア察してやれ。」
「いやっ違うんです。私が言いたいのは、傷が・・・」
「よけいな事を言いました。忘れてください。」
「あるじ様、私はおへそを出したほうが良いですか?」今度はユーリが異な事を言う。
「はあ、何を一体」
「あるじ様の頭の中にある大剣を持っているショートパンツの女性は、たいがい、おへそを出しているものですから。」
「いや、それは、私の世界のゲームの話ですから、出さなくて良いです。というか、勝手に頭の中を覗かないでください。」
「わかりました。あるじ様のお好きな格好なのかと誤解していました。」
「やれやれ。」
「お主ら今回の一連の事件でこやつのことを惚れ直したか。」
「そうです。」
「はい」
「そうですね~」
「もちろんです」
「いや、あんな恐いことを言っている私を怖がらなくてどうするんですか。」
「言葉だけ聞いていれば本当に恐いわね。」
「そうですね。でも私たちには感情も伝わってきますから。」
「この恐ろしさによって私たちも守り。」
「相手の事も守っている。そういうことですよね。」
「でも、あれでは相手には伝わりませんよ。」
「そうかもしれません。でもいつかわかるときが来ると思います。その時には、ぬし様の本当の思いが必ずや伝わるでしょう。」
「まあねえ、万人に善人であれとは、天使と言えど、言いませんからねえ。」
「私は大変わがままですが、自分の手に余る者まで守り切れないのですよ。限界があります。」
「それでも、あんたは、あの元魔王が窮地に追い込まれれば、手を貸すでしょう?」
「まあ、そうじゃな」
「旦那様はそうですね~」
「はい、あるじ様は、弱い者を見捨てません。絶対助けます。それがあるじ様です。」
「皆さんの評価が高すぎて、無理しそうになりますね。本当に私は何もしたくないだめ人間なのですが。」
「まあ、かっこがよかったのはわしも認めるぞ。ああ、さすがにのぼせたのう。さて、わしも洞窟に帰るとするか。」
「お気をつけて。」モーラは、自分の洞窟に戻った。
『モーラ、明日にはこの家の結界を通常時に戻しますので、戻って来ても構いませんよ。』
『ああ、じゃがなあ、例のローブが気になってなあ。』
『それでは、明日早々にあの洞窟の周辺に罠を仕掛けますので、大丈夫ですよ。』
『わかった。今日は、自分の洞窟を整理して過ごすとしよう。』
『気をつけてモーラ』
『ああそうする。』
さて、寝ましょうか。さすがにみんな自分の部屋で寝ています。
ベッドに横になる。興奮しているのか寝付けない。最悪のシナリオが思い出される。

続く
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