【完結】辺境の魔法使い この世界に翻弄される

秋.水

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第25話 DT神から見放される

第24-1話 キナ臭い

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○優男扇動する
 その男はある都市の居酒屋で飲んでいた。話は都市の運営の話になり、今の国のやり方ではよくないと、前の国に治めてもらった方がずっとましだったと盛り上がった。連日その話で盛り上がり、ついには都市の独立計画ならぬ国を変える話になっていった。具体的な話になり、治安を担っている国の防衛隊も元々は前の国の兵士であり、実行は今すぐできると話が盛り上がっていた。
 別の都市でも同じような話で盛り上がり、そこでも守っている兵士を出し抜いて他国の兵士を招き入れる話が実行段階まで進んでいた。
 どちらの話も最初の口火を切った男は白い服を着た男だった。なぜならその男がその2つの都市の同時蜂起の話を持ち掛けたのだから。
 勢いのあった方は、都市を掌握し、もう一つの方は残念ながら都市を放棄して外側から攻撃を続けた。計画は膠着することが大事だったからだ。長引かせて国の疲弊を待つ。それが狙いだった。
 予想通り戦いは膠着し、散発的な戦いに終始するようになった。大国側はどちらかを収束させたいと攻撃をしても都市に籠城した方は戦わず、都市を包囲している方は攻撃されたら逃げるというゲリラ戦術で長期化させていた。
 その間に国同士の調停が行われていたが、国同士の連絡機能が働かず、戦況の確認も取れない状況になっている。
 それに同調するように魔族が散発的な攻撃を大国に仕掛けていて、大軍を両方に出せる状況になくなっている。そして、山を越えた国の動向もこの機に乗じて侵攻しようと派兵を山の裏側までしてきているという情報まで入って来て軍を動かせない状況になっていた。戦闘はなくても糧食は必要になる。簒奪に走るのは時間の問題だった。

○蠕動
 場所は土のドラゴンであるモーラの領地。縄張りの端の境界線のあたり。
「ハアハアハア」荒い息の2人連れが森の中を走っている。一人は、その体躯、堅く厚い皮膚、強く貼り出す角。どう見ても魔族である。もう一人は、狼のような顔の獣人である。2人で森を抜けて草原に出てきた。
「やった逃げ切れた。ここは安全地帯だ」2人は息を切らしながらも、そう叫んでさらに走り続ける。
「ちっ。そこから先には入ったらまずい。協定違反になるからな」後ろから追っていた影は、そこで足を止める。どうやら2人は追われていたようだ。
「本当に追ってこないんだな。もう大丈夫だ」後ろの気配が消えたのを感じて2人は速度を落とす。
「そんなわけないでしょ。ドラゴンが来る前に殺してしまえばいいのだから」その声がどこからか聞こえ、2人は立ち止まり、周囲を見渡す。回り込んで潜んでいた魔族が2人を一瞬にして殺した。
「さて、厄介なのが来るまでに逃げましょうか」そう言って死体をそのままにその2つの影は消えた。
 死体しか残っていないその場所にモーラが空から到着する。そして、獣人や魔族の死体を見つける。
「これは厄介なことになったのう」
 モーラはそうつぶやいてからその場所を去った。地面に手を当て、死体を土の中に埋めてから。
「帰ったぞ」子どもの姿に戻って扉を開けてモーラが家に入ってくる。居間には私とパムだけが座っていました。
「最近は随分と頻繁に外に出てきますねえ」私はモーラにそう聞いた。
「まあなあ、何かと縄張りを越えてくる者が多くてな。例の件のおかげで面倒なことが増えたようじゃ」
 家に戻ってきたモーラがパムと小声で話している。パムは頷くと自分の部屋に戻り、しばらくして旅支度をして居間に入ってくる。
 パムは、私の前にひざまずき顔を上げる。私は思わず椅子から立ちあがって、その前に進み出る。
「どこかに行かれますか?」私は心配になってそう尋ねる。
「たぶんロスティア周辺で戦争が起きているようで、その様子を見て参ります」パムは下を向いたままそう答える。
「戦争ですか。私としては危険ですので行かないで欲しいのですが」私の言葉にパムが顔を上げる。
「こちらまで戦火が及ぶかどうか見極めて参ります」パムは私の目をジッと見つめてそう言いました。
「私としては、戦争の起きているようなところには、行かせたくないのですが」私はきっと悲しそうな目をしていたと思います。
「私の性分もありますのでお許しください」パムはそう言ってまた下を向く。
「誰か一緒についていったらダメですか」私はそれでもリスクが下がる方法を提案する。もっともひとりで行くことを止められないとは思っていても。
「申し訳ありませんが、ユーリもレイもエルフィも問題に巻き込まれる方ですので、私ひとりの方が目立たないで動けると思います」
 確かに先日の旅では、色々と問題をいえ、成果を上げてきたようですから、パムなりに思うところがあるのでしょう。
「なるほど」
「数日もあれば戻ってこられますので。ウンをお借りします」パムはそう言った。
「ウンも了解してくれるでしょう。決して無理はしないでください。危険な時は、迷わずあのペンダントを使ってくださいね」私はそっとパムの頭にさわる。
「承知しました。私の命はぬし様のもの。必ず戻って参ります」パムは顔を上げて私を見て言った。
「そうですか」私は顔を近づけて額にキスをする。
「ぬし様何をなされますか」
 パムはびっくりして目を見開き、顔を赤く染めている。
「これは私との約束ですよ。必ず無事に戻ってくださいね」
「・・・・はい」
 パムは、私の視線を避けるよう顔を伏せて立ち上がり、耳まで真っ赤にして出て行った。
「おぬし。あんなことをしてよいのか?」モーラが立ち上がって、私と共に玄関に向かう。
「もう私には止められないんだなあと。自分自身歯がゆいのですよ。何もしてあげられなくて」モーラとは視線をあわせず。そう呟いた。
「それであれか」モーラは下から私の顔を見上げる。
「ええ、本当にそれ位しかしてあげられないのです。でも、パムが行くのはモーラあなたの指示なのでしょう?」私はモーラにようやく視線を合わせてそう言った。
「違うぞ。わしは、あやつに相談されてどうしたいのか聞いただけじゃ。おぬしとわしらの生活を出来るだけ長く幸せに暮らすために行きたいと言われてはなあ」モーラは玄関の扉を開けて外に出る。私はそれに続く。外ではすでに馬のいななく声が聞こえていた。
 私とモーラは、馬に乗って走り去るパムを見送る。一瞬だけパムが後ろを振り向いて頭を下げたような気がする。私とモーラは、玄関から中に入ってテーブルに座り直す。
「それでも何か頼んだのでしょう?もう少し話してくださいよ」
「発端は、最近わしの縄張りの境界あたりで、獣人やら魔族などが殺されているのが見つかったのだ」
「どういうことですか?」
「ああ、単に裏切り者が逃亡を図ったのか、何か悪事に荷担させられそうになって逃げてきたのかわからないが、縄張りに入った付近で殺されているのじゃ」
「ここに来れば不干渉だから逃げ切れると思ったのですかねえ」
「不干渉なエリアだろうとルールは存在する。わしは悪人をそのまま住まわせるなど考えてもおらぬ。むしろ害のある者は放逐するつもりでもいるのじゃが、わしが現場に到着した時にはすでに始末されておるので、詳しいことがわからん。そもそもここが不可侵になった話は、族長のみが知りうる話のはずなのに、一般の者達に知られているのがわからんのでなあ」
「それでパムに調べてくるよう言ったのですか」
「いや、それはついでじゃ」
「本当の目的を教えてくださいよ。戦争はロスティアあたりと言っていましたが、どことどこがやっているのですか」
「ロスティアが他の国から攻撃されているらしいのじゃよ。さすがにわしもよう知らん」
「ロスティアが攻撃されているのですか。それと魔族や獣人が逃げ込んできている事とは、何か関係があるのですか」
「そのあたりに住んでいる獣人達がここに逃げて来たので知ったのじゃが、戦争が始まっているのか始まりそうなのか、影響はどこまであるのかが不明でな。パムの目的とほとんど被るのでな。ついでにそれを探るようお願いしたのじゃよ」
「なるほど。ここまではかなり距離があります。戦火が伸びるとは思いませんけれど、現地を探る必要まであるのですか」
「確かにここまで戦火が伸びるのはかなり先のことになるじゃろう。しかしな、戦争の範囲が大きければ大きいほど、どこの国もおぬしの存在が気になってくるであろう?」
「私の存在が・・ですか?」
「わかっていてわしにあえて言わせるつもりか?おぬしという脅威は各国に知れ渡っていて、戦争ともなれば、おぬしひとりを手に入れるだけで、すでに勝ったも同然で、もしかしたら周辺国すべてを占領することも出来よう。戦争を起こしている国ならば、おぬしが欲しいであろうし、周辺国であれば侵略されぬようにおぬしを召し抱えて抑止力としたいと考えるであろう。さらに戦争が終結してからもそれは続く。各国が再びおぬしの獲得に動き出すのは間違いなかろう」
「私は核兵器ですか」
「核兵器とは何じゃ?よくわからんが、おぬしの頭の中の大量殺戮兵器に近いであろう。手に入れた者が勝利するのであろう?その後も抑止力として働くしなあ」モーラはそう言って私をジッと見る。
「はあ。嫌な時代になりましたねえ」
 しばらく互いに何も話さず沈黙していると、買い物から戻ったメアが荷物を台所に置いてから私の所に来る。
「ご主人様、お話しがあります」とメアが困った顔で言った。
「改まって何でしょう」
「実は、村長様からご主人様にこちらにお越しいただきたいとのことでございます」
「そうですか。ではすぐに行ってきましょう」
「お待ちください。この話には続きがあります」困った顔のメアが急ににこりと笑う。
「また・・・女装でしょうか」私だってモーラの話からその位は察しがつきます。
「お察しのとおりでございます」メアはそう言ってスカートの裾を持ってお辞儀をしてにこりと笑う。
「そうですか」
「では行こうかのう」モーラがうれしそうです。
「そうね行きましょう」
 なぜか、アンジーまで2階の部屋から出てきて一緒に出かけようとする。
「確かにあの格好では、子ども達と一緒でないと行けませんからねえ」アンジーの行動の早さにあきれなが私はため息をついた。
 そうして、私は前回と同じ服装をさせられました。そう、フードとスカートです。とほほ。またこんな格好をする事になるとは。
「まあ先程話したであろう。わしは予想がついているがなあ」
「私もね」
「そうでしょうねえ?」
「最近あんたは、馬小屋の整備やら結界の張り直しやらで、ほとんど家にいたじゃない?世情に疎くなっているのよ」
「確かに私自身、世情にはあまり関心がありませんから。おふたりとも何か知っているのですか」
「とりあえず村長のところに行こうじゃないか」
「はあ」
 3人で手を繋いで村までの道を歩いている。親書の件で家の周囲が壊されたあたりが、なぜか観光名所になっていて、それを見るために他の国からわざわざ来るようになりまして、そんな人通りの多くなった街道を村にむかって歩いています。やはり観光客とも村の人とも思えない怪しい人々がうろついていて、村に入ってくる人達を眺めています。やっぱり誰かを探しているようです。
 私はため息をつきながら村に入り、賑やかになった露天などを抜けて村長の家に到着します。いつにもまして村長の家にはたくさんの人がいて、前に来た時には何も乗っていなかった村長の机の上には書類がたくさん積み上げられています。私とモーラ、アンジーが中に入っていくと村長はそこにいた男達に目で合図をして、その合図を見た男達は、部屋からさっといなくなった。
 誰もいなくなった村長の部屋の中央には、場違いなほど綺麗なソファとテーブルが置いてありました。あれ?以前はシンプルな机と椅子でしたよね。やっぱり儲かっているんですねえ。
「テーブルと椅子を替えたのですね」
「ああ、ビギナギルの領主さんがこれを贈ってきたのだよ。使わないのももったいないので置いているのだ。ちょっと部屋に不相応だし、わしは邪魔なのだが、これもつきあいだと思ってあきらめているよ」
「この村は栄えてきたのですねえ」
「ああ、あんた達のおかげでな」
「いや、この村の人達が頑張っているからでしょう」
「確かにそうだな。ああすまんな。また女装させて」そう言いながらもその声は楽しんでいますよね村長さん。
「私の事でまた何か起きていますか」
「以前女装してここに来てもらった時には、魔法使いを探しにくる者がけっこういるという話をしただろう。あの後しばらくそういう奴らは、なりを潜めていたのだが、この前、おぬしの家の周囲が焼け野原になってから、また人捜しの者達が増えてきたのでなあ。気をつけるようにと忠告しようと思ったのだ。あいにく引っ越し先も使いの者がどこかわからないと帰ってきたのでこうして呼び出したというわけだ」私にそう言った村長は、たくわえた髭と長い眉毛のせいで、相変わらず目も表情もわからない。
「それは知らせていただいてありがとうございます。その人達は今も魔法使いを探しているのですか?」
「怪しい雰囲気の者達は、この村に泊まって色々周囲を調べているようだが、これまでの者達とは違う普通の格好をした者も訪ねてきていてな。その者らは魔王を探しているのだそうだ。その魔王にどうにか戦争を止めて欲しいらしい」
「戦争ですか」
「なにやら遠くの国同士で戦争しているらしい。そんなものは魔王とはいえ止められるものではないと思うのだがなあ」
「そうですよね」
「その魔王がおぬしではないのはわかりきった事だが、へたに村に出て来て、魔王に祭り上げられても困るだろう?静かにしていた方がよいのではないか?」
「わかりました。しばらく身を潜めます」私は立ち上がって一礼してから村長のところを辞した。
「パムを行かせてよかったのかのう」
 モーラは不意に心配顔になる。確かにモーラの助言で意外な方向に動いたりすることがありますから、それを気にしているのでしょうか。
「もともとパムは行きたいと言っていたのでしょう?それなら仕方が無いですよ」
「やっぱりこの村でも人ごとではなくなるかもしれないわねえ」とアンジーが言った。
「アンジー。おぬし寄るところがあるのであろう?」
「ああそうね。ちょっと孤児院の様子を見てくるわ」
 そうしてアンジーは、周囲の人達に挨拶しながら城壁の外に向かった。
「わしらはあの薬屋じゃ。なにやら用事があるらしい」
「なるほど。そういう事ですか」
「呼ばれたわけが何かは知らないが、情報収集も必要であろう」
「面倒ごとですよねえ」
「そうじゃな」
 2人で手をつないで薬屋まで来る。ノックをしようとすると、カチャリと鍵が外れた音がしたので、扉をそっと押すと静かに扉が開いた。
「おじゃまします」私は扉をそーっと開けて中に入る。
「ああ、おいでになりましたか魔王様。しかも女装して。そうそう家は落ち着いた?」店の奥のカウンターに座っているエリスに笑われてしまいました。
「さすがに早耳ですね。ですがその話は勘弁してください」
「ここにも色々な人達が訪ねて来ているわ。モーラ久しぶり。里帰りどうだったの?楽しかった?」エリスは立ち上がり、店の中央に置いてあるテーブルに座る。私達も座った。
「おぬしもすまなかったのう。親書の件、知っておったのじゃろう?」モーラはそう聞いた。
「まあ、族長会議が行われるところまでは知っていたけど、あんなデモンストレーションが用意されているとはねえ。にしても、あんたのあのシールドの作り方教えて欲しいのだけれど、教えてくれるのかしら?」エリスはそう言って私を見ている。
「もちろん教えますよ。ここの村に張ってもらいたいので」
「それはありがたいわ。さて、寄ってもらって悪いけどね、先に私からあなたにお願いがあるのよ」エリスは真面目な顔になってそう言った。
「なんでしょうか」私は当然身構える。
「実は、あなたへの依頼が山なのよ」エリスはため息をつきながら言った。
「依頼・・・というと何か仕事の依頼ですか?」
「ええ、あなたの本業の方のね」
「本業・・・ああ、薬草ですね」
「面白いわね、あなた別に本業があるの?」エリスさんは笑いながらそう言いました。
「それは・・・ありません」私はそう言って頭をかく。
「もしかして人助けが本業なの?」エリスがここぞとばかりにたたみかける。もちろん笑いながら。
「エリスいじめるな。確かにおぬしの・・・と言うか、わしらの本業がおろそかになっておるのは事実じゃな」
「そうでしたねえ。薬草の畑を焼かれてから、しばらく心が折れていましたから」
「焼かれた後も多少は採取していたじゃない。あれから収穫量は増えていないの?」エリスが探るような目で聞いてきます。
「焼かれた所はモーラのおかげで少しずつ元に戻ってきていますが、まだ無理ですね。エルフィがちょっと離れている所に何カ所かテスト栽培してくれていますが、焼かれたのが最適地だったこともあって、他の場所では収穫量も不安定で、安定供給にはまだほど遠いでしょうね」
「効果を落としてもだめなのかしら」エリスはまた真面目な顔になる。
「どういうことですか?」
「戦争が起きているのよ。まあ小競り合いが続いているというのが正解なのだけれど。それで薬が必要なのよ」
「戦争に加担するのはちょっと」
「あなたのその考えは知っているわ。私が薬草を欲しい理由は、その戦争に巻き込まれている人や獣人達の治療に使いたいからなのよ」
「避難民ですか。でも、人だけではなくて獣人も被害を被っているのですか?」
「まあ、おとなしい獣人達が家を焼かれたりして逃げ出したりしているのよ」
「なるほど。なぜ獣人なんかまで被害が及んでいるのですか」
「噂では、獣人を傭兵として雇っている国があるらしいのよ」
「なぜ獣人が?」
「まあ、相手国に迫害された恨みを晴らすためということかしらねえ」
「それなら人全体を恨むべきでしょ」
「人ではなくその国を恨んでいるのかもしれないわ」
「なるほど」
「そのおかげで何もしていない獣人達まで襲われて、住む場所を奪われているみたいなのよ」
「それはひどいですねえ。負の連鎖です。魔法使いの里は動かないのですか?」
「戦争をやめさせればいいのだけれど、国家間の争いに私たちは基本的に介入しないし、たぶん介入できないわねえ」
「スペイパルの時のようには出来ないのですか」
「残念だけれど、今回争っている国双方にしがらみが多くてね。それに今後の付き合いもあるしねえ」
「確かに片方にだけ肩入れできませんよね。モーラ。ドラゴンは、今回のように獣人まで関わっても介入できないのですか?」
「わしか?わしの縄張りならできないわけでもないが、他人の縄張りで、しかもほとんど放棄された縄張りではなあ」
「放棄された縄張りですか」
「各王国の領土を縄張りにしていたドラゴンは、その地を自分の縄張りとすることをやめたと聞いている。いや、ドラゴンが愛想を尽かしたというところか。そのドラゴンの縄張りではあるが、たとえ魔法使いの里や獣人が絡んだ事件が起きても干渉しないことにしたというのが実際らしい」
「ちなみに今回戦争しているのはどこなのですか」
「ロスティアが中心よ。ロスティアに対して、ハイランディスとマクレスタ・チェイス公国の2国が別々に戦争を起こしているわ」
「そうですか」
『まだ薬屋にいるのかしら。それならこれから薬屋に向かうわ』
「アンジーがこちらに来たいそうですよ」
「構わないわよ。まあそれで、あなたの薬草に対して需要が高まっている訳よ」
「そうでしたか」
「ちなみに私たち魔法使いは、今回の戦争に介入しないけれど、獣人を含め民間人を分け隔てなく治療することにしたわ。戦線から離脱した兵士にも分け隔てなく治療するの」
「また戦争に行くかも知れない兵士にも治療するのですか」
「兵士については、戦地に戻れないくらい大けがした人だけよ。戦場から田舎に戻されそうな人達ね」
「そういう事ですか」
「あなたはどうするの?」
「私は魔法使いの里にも属していませんしねえ。手伝う義理もありません」私は正直に気持ちを話した。
「そう言うと思ったわ。でも、そんな理由だからあなたの薬草をなんとか確保したいのよ。人でも獣人でも効果のあるあなたの薬草はを大量にね。たとえ促成栽培で効果が落ちようとも大量に必要なのよ」
「こんにちは」そう言ってアンジーが入ってくる。
「いらっしゃい」
「先日は、親書を届けてもらってありがとうございました。対価は後日お渡しします」アンジーは丁寧に頭を下げてそう言った。
「あああれね。対価は良いわ」
「いえ良くありませんよ」
「魔法使いの里で族長会議の時に長と共にあの光の柱を見たのよ。あれが見られただけで対価としては十分だわ」
「ええ、それは・・・」
「親書を届けなければ見られなかったのよ。そう考えたらねえ」
「ここにいても見られたのではありませんか?」
「ここから見上げただけではたりないわよ。だから対価はいいわ」
「事前に族長会議が開催されるのを知っていたのだから、見られたのではないのですか」
「そうね。あの時わざと匂わせておいたのにあえて食いつかなかったのはそういうことなの。意外にしたたかね」
「それはお互い様です。では対価はなしと言うことで。では違うお願いをしますね」
「何かしら」
「戦争の情報が欲しいのだけれど。持っているかしら」アンジーは立場を切り替えたらしい。口調が変わっている。
「唐突ねえ。事情を話してもらわないと」
「孤児院に子どもが増えてきてね。どうやら戦争のせいらしいのだけれど、親から離れて子どもだけここに流れてきているの。子ども達に話を聞いてみると、子どもだけを商隊の馬車に無理矢理乗せて、ここファーンを目指しなさいと言っているらしくて、もちろん親は無事に街でくらしているみたいなの。さすがに子どもに詳しく聞いてもラチが明かなくてね。子どものひとり旅なんて誘拐だって心配なのにどうしてそんなリスクの高い事をするのか知りたいのよ。そして、孤児院での食費も馬鹿にならないので、無責任な親に請求しようかと思ってね」
「なるほど。でも、パムさんがその辺の情報を持って帰ってくるのじゃないかしら」
「ほう、パムが出かけているのを知っていると」
「ええ、出発する時にここに寄って、街の魔法使いに連絡を取って欲しいと言われたのよ。そちらの情報の方が正確だと思うわよ」
「なるほどな」
「エリスさん。あともう一つお願いがあるのよ。子どもの世話をする人手が欲しいの」
「それも唐突ね。それは村長の方がいいのではなくて?」
「うちの村は、村全体がどの産業も成長期で、どこも人手が足りないのよ。だからどこか他の町から来てもらわないと人手がないのよ」
「難しいわねえ。一応、他の街にいる魔法使いには聞いてみるけどすぐには無理よ」
「それと、今回のお願いの対価はいくら払えば良いかしら」
「ああ、薬草をできるだけ早くたくさん出荷してくれればそれでちゃらにするわ」
「あんたどうなの?できるの?」アンジーが私を見て言いました。なぜか迫力がありました。
「人の生死がかかっていますから頑張ります」アンジーの迫力に負けて私はそう言いました。
「だそうよ。なのでお願いします」アンジーは座ったままお辞儀をした。
「わかったわ。薬草はいつ持ってこられるの?」
「とりあえず明日にでも、私の所にある薬草をお届けします」
「よろしくね」
 そうして私は、アンジーとモーラと手をつないで村を出た。街道には相変わらず人がうろうろしています。モーラに促されて、以前作ったダミーの家、通称遊園地のある森の中に入っていきます。その家に入り、地下道を通って以前のモーラの洞窟に出ました。
 洞窟には何人かの獣人がいて、モーラに頭を下げています。おや、モーラは獣人を匿っていたのですか。
「ほとぼりが冷めるまでだがな。長くは置いておけないとその約束はしている」
 モーラは、そこの代表らしき獣人に近づいて何かを話してから、私たちの所に戻ってきて、一緒に洞窟を出る。
「けっこうな人数でしたが」
「だから噂の出所が気になるのじゃ。あやつらは、酒場で話を又聞きしたり露店で食事をした時に横で話をしているのを聞いたりしているだけで、誰から聞いたかわからないと言っている。それだけ広い範囲にこの話が流れている事が不安でなあ」
 そうして家に戻り、獣人の食事の手配などをメアと打ち合わせをする。
「そういえば、エルフィもレイもユーリもあまり家にいませんねえ」
「レイは、わしの言いつけで毎日獣人達の様子を見に行ってもらっている。エルフィは、さてどこにいるんじゃろうなあ。どうやら森の中らしいが。ユーリは、村に行っているみたいだが」
 さすがモーラ、自分の縄張り内の状況は大体わかるのですね。感心しながらそう思っていると。
「じゃがなあ、おぬしとアンジーは、わしの知覚範囲外なのじゃよ。だから気をつけてくれ」モーラは心配そうにそう言った。
「そうなんですか?」
「大体の居場所はわかるのじゃが、二人とも魔力量を絞っていているから正確な位置が見つけづらいのじゃ」
「縄張り内に怪しい魔法使いが入ってきたとしてもわからないんですね?」
「異質な魔力ならわかるが、そこまではさすがにわからんのでなあ」
 そうしてその日は、パムのいない夕食となり意外に静かな雰囲気になりました。あれ?いつもこんなに静かでしたっけ。パムはやっぱり気遣いさんだったんですねえ。
「エルフィ、明日の午前中に急いで薬草を収穫したいのです。以前エルフィは早めに収穫して薬効が少し落ちるだけと言っていましたけど、大丈夫なものなのですか?」
「ええと~それは大丈夫です。でも急にどうしたのですか。いつもなら薬効を優先して、収穫までの期間はできるだけ長く取っていたのに。しかも収穫時期はまだ先ですよね」おやエルフィ、いつものゆったりした話し方ではなく、きちんと話していますねえ。しかも緊張しているし慌てていますがどうしましたか?
「実は戦争が起きているらしくて、巻き込まれている一般市民の治療に使いたいのだそうです。なので、薬効は多少落ちてもできるだけ大量に急いで欲しいそうです。とりあえず在庫分は収穫作業の後にエリスさんのところに持って行きたいのです」
「わかりました。その時に村まで一緒に行って良いですか?」
「え、ええ、もちろんです」
「皆さんにも明日の収穫は手伝ってもらいますが、用事がある人はいますか?」
 いつもならありませんと答えが返ってくるところですが、みんな静かに首を振る。どうも雰囲気が暗いですねえ。皆さん何かありそうですねえ。もっとも、聞き出したりはしませんけどね。その時が来たら私に打ち明けてくれると信じていますよ。
 そして入浴タイムです。みんなそれぞれ何かを考えているようで気もそぞろという雰囲気は変わらず、会話も無く風呂から上がりました。
「変ですねえ。パムがいないだけでこんなに静かなお風呂なんて」とアンジー。
「ああ変だろう?特にエルフィが静かじゃ」とモーラが言った。何かあるのでしょうねえ。
「まあ、ユーリもエルフィも何か考えていることがあるんだと思います」とメアが言った。

Appendix
厄介者達
キャロルとエーネは旅先の薬屋さんにハイランディスとロスティアが戦争になっている事を聞いた。
「ビギナギルには戦火はのびますか?」
「今のところは小競り合いですので大丈夫かと思いますが、戦争が長引けば、食料などの確保のため攻められる可能性はありますね」
「ありがとうございました」
 キャロルとエーネは薬屋を出た。
「キャロル。どうするのですか?」
「心配なのでビギナギルに戻ろうと思う」
「では私は里に帰ります」
「どうしてそうなるの?」
「だって私・・・お邪魔です」
「町とかに入るために、尻尾と羽をしまえるようになったじゃないの」
「そうですけど」
「里に帰りたいなら構わないけど」
「里には戻りたくないのです」
「それなら一緒に来なさい」
「でも・・・」
「あーもう。心配するんじゃない何とかなるから」
 そうしてキャロルとエーネはビギナギルに向かった。

続く

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高校生活初日。神社の息子の八十神は異世界に転移してしまい危機的状況に陥るが、神使の白兎と凄腕美人魔術師に救われ、あれよあれよという間にリュケイオン魔法学園へ入学することに。期待に胸を膨らますも、彼を待ち受ける「特異クラス」は厄介な問題児だらけだった...!?日本の神様の力を魔法として行使する主人公、八十神。彼はその異質な能力で様々な苦難を乗り越えながら、新たに出会う仲間とともに成長していく。学園×魔法の青春バトルファンタジーここに開幕!

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

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 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
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 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

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 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

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