【完結】辺境の魔法使い この世界に翻弄される

秋.水

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第33話 魔法使いの死後のいくつか

第33-3話 それぞれの暮らし2

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○エーネの生活
 里のみんなをモーラ様の縄張りに移動させて、少し落ち着いてきた。多分、里のみんなが気を遣ってくれている。母の死、父の離反、そして父の幽閉。そんな中、私は、みんなをまとめて里の再構築をしなければならなかった。もちろん自分だけで出来る訳では無い。ディガードさんとパンシアさん。獣人のお2人が中心になって、みんなが手助けしてくれたからできている。今もそうだ。
「あちらの家に移ってもらえませんか」魔族の方が私に言った。
「私はまだ狙われているのです。家を固定すると、襲われる可能性があります。その周囲に暮らす人たちに迷惑がかかります」
「しかし」
「今は、この里が安定的に運営されるのが一番の優先事項なのです」
 私はそう言って、皆さんの家より一回り小さい家に住んでいます。エルフィさんが作ってくれた家で、ディー様が最初に作った家と同じ作りの家に住んでいるのです。
 家族の皆さんとは、結構距離が離れているのに、魔力量の多いエルフィさんやアンジー様とリンクして、同じ時間に料理を始めたり、洗濯をしたりしている事があるのです。それがなんともうれしかったり恥ずかしかったり。でも、他の人たちには伝わらないらしいのです。それが少し残念です。でも、知られるのも恥ずかしいかもしれません。隷属恐るべしです。
 夜に眠る時には、両側から挟むように添い寝をしてくれた父母のことを思い出します。
 私は、本当に人を許していいのか?父のように恨むべきなのか?確かに殺した人は憎いのです。でも、彼らも操られていたといい、私の怒りの行き場が無くなっているのも事実なのです。
 父は、だまされたとは言え、最初から人は里を滅ぼすことに協力している。そして、その残虐さは騙されたものでは無く本性だと父は見抜いていました。確かにそうなのです。でも、ディー様はそうではないのだといいます。すべての人や魔族が悪いわけでは無い。人それぞれなのだと。だからこそ、そういう者達には容赦無く対処する必要があるのだと言っておられました。
 自分の中で未だに答えは出ていません。魔族や獣人や人が普通に一緒に暮らして何が悪いのでしょうか。実際、里では暮らせていますし、ファーンやベリアル、ビギナギルでは、すでに暮らし始めています。それを疎ましく思っている人族や他の種族もあるのでしょうが、それぞれがそれぞれで生きていけば良いのです。どうしてその境界を越えて侵略してくるのでしょうか。
 隷属してみてよくわかりました。人と人の心がつながるということは、こんなにも理解が早いのだと。言葉の裏にある隠された感情。そこを理解して納得した上で対応ができるのです。一方的な悪意を向けられるわけでは無く、お互いの気持ちがわかると言う事は、怖いけれども正直なのです。お互い本音で話しているのと同じように感じます。
 そんな事を考え、悩みながら日々を暮らしています。さすがに表だって動けるわけでもありませんし、その考えを伝え歩くことができるわけでもないのですが。
 そうやって平穏な時間が過ぎていきます。私は、今のところ誰からも狙われてはいない。もっとも今の魔族には、そんな余裕がないとも聞いていますが。
 モーラ様の縄張りの端の方に集落を置き、増え始めた魔族は、戸数が増えるごとに小さな集落を増やしていくようにしています。魔族は、単一種族ではなく、その中には、獣型、は虫類型、鳥類型などと人族型と吸血鬼や鬼族などがいます。そのためにできるだけ小さい集落に分けて性格の合う者、合わない者を試行錯誤しながら集落を作ってきました。魔族領との境界線に沿って増やしていったので、いつの間にかビギナギルを越えるところまで増えていました。そこの集落は、モーラ様の縄張りではなくカンウ様の縄張りにまで到達し、チューゲント・フェルバーン自治区の境界まで迫っていました。
 鳥類の魔族が飛んできた。
「パム様からお話があるそうです」
 その魔族の足には書状が付けられていました。できるだけ通信機を使わないようにしているのです。ディー様のお声を心待ちにしている皆さんが、関係のない声を聞くと落胆しているのまで感じてしまうのです。急がない用事は、書簡なりでやり取りするようにしています。
 しかし、私も魔族なので文章を書くのが苦手です。そんな私にキャロルが先生になって丁寧に教えてくれました。非常にわかりやすかったのですが、キャロルからは、ディー様にこうやって教えてもらったのだと嬉しそうに言っていました。それがちょっとだけうらやましかったのです。
「わかりました。ユーリ様のところに向かいます」
 私は夜に翼を広げて低空飛行を続けて、ユーリの家に到着しました。
「どうなされましたか」私の気配に気付いてユーリ、パム、キャロルが家から出てきていた。
「遠いところをわざわざありがとう」ユーリ様が頭を下げる。
「いいえ、かえってうれしかったです。皆様にも久しぶりにお会いできて」
 私はそこで一粒涙が落ちた。気付いた時にはぽろぽろと涙をこぼしていた。キャロルがが飛ぶように近づいてきて抱きしめられた。私はキャロルの胸にすがって泣いた。
「もう・・・おねえ・・・エーネは寂しかったのね」
「キャロル。お姉ちゃんって言ってもいいから泣かせてー」
 キャロルは、私が落ち着くまでしばらくはそのまま抱きしめてくれていた。
「こちらからお願いに上がらなければならなかったのですが、途中で騒動を起こすわけにも行かないので、来てもらいました」
 ユーリさんがすまなさそうにそう言った。
「お願いですか?」
「それについては、中に入って座って話しましょう」
 パムさんがそう言って、キャロルの代わりに肩を抱いてくれてみんなで一緒に家の中に入った。
 そこで聞いた話は、魔族領との境界線に沿って新しい道を作り、そこを生活道路にしていくつもりだと。
「そうなんですね。魔族の集落のためにも是非協力させてください」
 私はそう言った。

○それは過去の事
「チューゲント卿!お逃げください。この地はあなたとの約定を守り切れませんでした」
 燃え始めた館の中で男が叫んだ。
「だが、そなた達はどうするのだ」
 相手の魔族がそう尋ねる。
「私たちの考えは早すぎたのです。私は王としてここで死ななければなりません」
 優しく微笑んで男はそう答えた。
「であれば私も一緒に残ろうか」
「それはなりません。あなたは長命ですから、この地がまた共存を願う者達が住むようになった時に、あなたに橋渡しをしていただかなければなりません。それをお願いしたい」
 男はその魔族の目を見つめて言った。
「やっと私の願いが少しではあるが進んだと思ったのになあ」
 魔族は悲しそうにそう言った。
「むしろ進みすぎたのです」
「本当に逃げないのか」
「隣国とようやく和平にこぎつけていたので安心していましたが、やはり私が甘すぎました」
「ならば約定は破棄して、その者達を相手に私達と共に戦おうか・・」
「魔族が人を襲う事はおやめください。再びここで共生できる事になった時に支障になりましょう。魔獣はやむを得ませんが、魔族が人と争ってはいけません」
「そうか。しばらくは様子を見ようか」
「私はあなたという知己を得て、妻をめとり、娘にも恵まれました。幸せでした。さあお早く里へお戻りください」
 男をそこに残して、魔族は闇へと消えた。
 そして現在へと戻る

○再会
 エーネは、チューゲント・フェルバーン自治区の中に作った小さな里に来ていた。
「私はチューゲントと申します。見てのとおり魔族です。ユーリ殿にお会いしたいのですが、仲介をお願いします」
 エーネはその声を聞いて、思い出していた。あの里のことを
「その声はケイ様じゃあありませんか。どうしてここに」
「わかっていたが、あえて名乗ったのですよ。今ここに立っているのは、ケイではなく、チューゲント郷と呼ばれていた男なのです」
「ああ、ミーさんも一緒ですか」
「はい。お久しぶりです」
「今、ユーリさんとお会いしたいとおっしゃられましたが、どのようなご用事ですか?」
「渡したいものがあります」
「でしたらすぐにでも向かいましょう。まだキャロルもいるかもしれません」
「あの時お会いした女性ですね」
「はい」
 そうして、すぐにユーリの住んでいる家に向かった。
「ユーリさん。いらっしゃいますか?」
「その声はエーネですね。どうしましたか?」
「実はユーリさんにお会いしたい人をお連れしました。かまいませんか?」
「お待ちください」
「だから言ったでしょう。お客さんが来ることもあるから食器くらいはちゃんと一揃え置いておくようにと!」
 エーネは聞き慣れた声を聞いた。キャロルも一緒にいたようだ。
「すぐに帰りますからそのようなお気遣いは不要ですとお伝えください」
 チューゲント郷からエーネはそう言われた。
「ユーリさん、キャロル。すぐお帰りになるそうですので気遣い不要とお客様は言っておられます」
「とりあえずお入りください」
 ユーリが扉を開けた。ユーリは魔族のチューゲント郷を見て、涙を流している。
「どうしたのでしょうか。うれし涙が流れています。私としたことが失礼しました」
 ユーリは服の袖で涙を拭っている。
「ではこれをお使いください」
「これは?」
「私のハンカチと、それに・・・」
「それに?」
「あなたのお母様のハンカチです」
「母の?ハンカチですか?」
「はい」
「チューゲント郷。それはあまりに唐突です。しかも卿も泣いているではありませんか」
 ついてきたミーさんがそう言ってため息をついて、自分のハンカチをチューゲント郷に渡した。
「ユーリさん。とりあえず皆さんに中に入ってもらってください」
 キャロルが扉の後ろから顔を出してそう言った。

 テーブルの上にはコップとお椀が並べられていて、お茶が入っている。椅子は4脚しかなく、キャロルは、横に置いてあった木箱を縦に並べて座っている。
「突然押しかけましてすいません。私は近くの集落に住むチューゲントとと申す者です。ご用件は2つあります」
「ひとつは、あなたにそのハンカチをお渡しする事、ひとつは、あなたのご両親とこの国の事をお話しする事です」
「そうでしたか。母の事はほとんど覚えていないのですが、このハンカチについている香りは懐かしく感じます」
「それはよかった。多分形見と思えるものは何もお持ちになっていないと思いましたので、差し出がましいとは思いましたが、お持ちしました」
 そう言って、チューゲント郷はユーリをジッと見た。
「チューゲント郷。あなたのその気配は、3国の戦争の時に何度か感じていました。その時に私を見守っていませんでしたか?」
「さすがですね」
「なにかとても暖かい視線でした。お会いできて嬉しいです」
「私にとっては、未練でしかありませんが、そのお姿を遠くからではなく、近くで見たいと思ってここに来てしまいました」
「ハンカチの匂いを嗅いだところ、その時のイメージが浮かん来ました。そうですか私の事も抱いたことがあるのですね」
「おわかりになりますか」
「ありがとうございます。大切にします」
「この国の成り立ちをお話しておきたいと思いまして。そしてこれからの事も」
「なんでしょうか」
「この国はあなたの父上が建国されました。その時にこの国はチューゲント・フェルバーン公国となりました」
「そのお名前からチューゲント様が一緒に建国されたのですね」
「はい。公式の場には、私は出て行きませんでしたが、人と魔族が共存する国だったのです」
「そうでしたか」
「再び自治領となったとお聞きしました。ぜひとも共存の道を開いていただきたいのです」
「そういう事でしたか。しかしこの国は、名目上自治領となっていますが、今はまだ属国のままです。経済的にはすでに国から独立していますが、未だ独立するだけの国力がありません。それに」
「それに?」
「国を興すために宣言をすれば本国が黙っていません。戦争になれば自治領に住まう人たちが犠牲になります。今はこのままにするしかありません。ですが」
「ですが?」
「経済的な交流や人的な交流は可能だと思います。実際、ハイランディスを越えて魔族の集落は道沿いに増えていっています。もちろん人と魔族との交流も頻繁に行われています」
 ユーリはエーネを見る。エーネは頷いた。
「わかりました。ぜひ私の里もその中に入れていただきたいのですが」
「ああ、魔族の方が自治領内に入る事には問題ありません。決してお互いを傷つけない。問題が起きた時には第3者を交えて話し合いをする。お互いを擁護する者を立てる。そのくらいの約束ですね」
「そうですか」
「そして、教育を必ずして欲しいのです」
「教育ですか」
「騙されないためには必要ですよ。互いの文字、計算などは必須になりますね。それはこれから覚えていってもらえればいいです」
「それは、あの魔法使いのお考えですか」
「はい。これまでお互いが騙したり騙されたりしているのは、お互いをよく知らなかったり、計算ができていないで損を被ったりしているからなのだとあるじ様は言っています。騙されないためには知識や経験が必要なのだと」
「普通は互いを信用する。ではないのですか」
「それなら人と魔族はここまでこじれていませんよ。と、あるじ様は言われました」
「わかりました。では、これからの事を里の者に話をしてきます」
「これからの事はエーネにお願いしても良いですか?」
「はい。ここまで魔族の里も伸びてきていますので、何かありましても対応できると思います」
「チューゲント様、母の形見ありがとうございます」
「あなたのご両親はとても素晴らしい方達でした。お救いできなかった事が心残りです」
「両親は自分の志に殉じたと、今なら思えます。それを教えていただいて感謝しています」
「私がご両親と最後に会った時には、すでにあなたは城を抜け出した後だったようです。そしてあなたの事は私には何も言いませんでした。たぶん国王の子孫である事を伏せて、自由に生きて欲しいと思っていたのではないかと思います。男子と偽ったのも国威発揚と言ってはいましたが、この結末を予測してあえてそうしたのではないかと今では思います」
 そう言い残して、チューゲント郷とミーさんは帰っていった。
「ユーリさんと私は似ているのですね」エーネが言った。
「ああ、言われてみればその通りですね。言われるまで気付いていませんでした」
「私を匿った時にも気づいていなかったのですか」
「そうですね。私はあなたが両親から離れてしまい、もしかしたら死んでいるかもしれないのに、元気に振る舞うけなげないい子だとしか思っていませんでしたからね。性別も息子と言われていたと聞いても女の子じゃないのか?なら違う人なのかもくらいの感じでしたからね」
「あの時はありがとうございました」
「もう言いっこなしですよ。今は一緒にいるのです。でも運命というのはわからないものですね。ああ、あるじ様風に言えば、縁と言うのでしたか」
「さて、ご足労いただきありがとうございました。これからどうしますか?」
「アンジー様のところに突然行って驚かしましょうか」
「それはいいですね」

 追記
「さて、城塞都市を造りますか」
 ユーリは、パムとキャロルがいた時に色々と町を守る方法を考えていたが、結局は、逃げ込める城塞都市を作るのが一番だという結論になり、みんなでその作業に入った。費用は、内緒で傭兵としてビギナギルやファーンに行って稼いできた。
 見かねたビギナギルの領主様から、資材と資金の提供があり、意外に早く基礎ができていった。
「私達にすれば、ハイランディスを直接経由せずに隣国に物資を運ぶためのルートを作りたかったのですよ」
「ですが、ここはハイランディスの領地となっていますよ。税だってかかると思います」
「この自治区を治める領主との話し合いになりますが、あくまで領地外のところに魔族の集落を作ってそこに道を通します。ここに作る城塞都市は、緊急避難先にしますので、物流は直接入りません。まあ、領主との調整でうまく税が逃れられれば、中に入りますけどね」
「住民に迷惑をかけないようにしてくださいね」
「それはもちろんです。ですが、最終的にその領主と話して、うまく小国にできればそれが一番なのですけどね」
 それぞれの思惑が一致して城塞都市の建築は続けられた。

○モーラの生活
「戻って仕事をなさい」ヒメツキがわしに言った。少々怒り気味だ。
「いや無理じゃ。他種族が大量に入り込んでなあ。監視状態なのじゃよ」
「でも、結界を3人の魔女にやらせているから盤石なんでしょ?」
「外敵の侵入や例の光の柱みたいのには、対応できるが、中での騒ぎには対応できぬのじゃ」
 わしとしては、言い訳も言い切ってしまえば無理も通る。
「そんなこと言って、隷属は外れたんだから、今度こそ、縄張りを見守りながら里でも働いてもらいますからね」
「実は、あやつが死んだ時に隷属していた者達を勝手にわしに隷属させていていきおってなあ。その他に隷属させているものが2人おって。そやつらが心配なのじゃよ」
「ドラゴンが人を隷属させている?隷属しているじゃなくて?もっとも隷属したりさせたりは、本来ドラゴンはしないわよね。どういうことなのかしらねえ」
 ヒメツキが突っ込んでくる。
「仕方ないのじゃ。英雄と元魔王の娘じゃ。保護しないわけにはいかないじゃろう」
「なるほどね、あの男が死んだから代わりに守っていると」
「ああ、さすがにずっとではないが、しばらくの間は面倒見ないわけにいかぬじゃろう?」
「そうね、隷属したままここに来たら、その2人も来ることになりそうだものねえ。それは、里の位置を知られるという事で、里を守る者にとっては致命的だものねえ」
「と言うことで、しばらくは無理じゃ。もう少ししたら、魔族も落ち着くじゃろう。それまで我慢して貰えんかな」
「仕方ないわねえ」
 そう言ってドラゴンの里から逃げ帰ったモーラだったが、縄張りには、問題が山積みだった。

○アンジーひとりになる
「アンジー様、しばらく留守にします。よろしいでしょうか」
 メアが私にすまなさそうにそう尋ねた。
「ああ、セリカリナに行ってくるのね。気をつけて」
 私はそう返事をする。あんたあいつにべったりだから、こういうタイミングでもないと自分から言い出さないわよねえ。
「様子を見てくるだけですので、すぐ戻ります」
「いいからしばらくあっちに居なさい。親子になって戻って来なさい」
「アンジー様が自立なさっていたらそうできますが、不安ですので」
 メアが私を心配そうな目で見ている。まあ、私は生活破綻者だからそう言われるのも仕方がないか。
「食事や寝る場所は、孤児院と教会でなんとかなるから。それと、カイを連れていってちょうだい。さすがに私には世話ができないから」
「大丈夫ですか?」
「薬草の収穫時期までに帰ってきてくれれば大丈夫よ。ちょうど収穫が終わったところでしょ?」
 それだってやろうと思えばできるのだが、生来のずぼらがここで出てしまう。本当なら気にせず親のところに行きなさいと言わなきゃいけないのだけれど。
「はい。それでは明日出発します」
「さて、私も羽を伸ばそうかしらねえ」
 私は腕を上げて伸びをして言った。
「それは、無理かと思います」
 メアが確信を持ってそう言った。根拠はまあ私にもわかるくらいはあるのよねえ。
「まあ、なんとかなるでしょう」
 そうして翌日、メアはカイのひく荷馬車に乗って旅立ち、アンジーは孤児院に移動した。
「アンジー様、この日程で祭祀を行います。せっかくですので参加ください」
「孤児達の様子をしばらく見てくださいね」
 一段落して町中を歩いていると、町の事務所から迎えが来た。
「DT様が手伝ってくれた経理状況のチェックの一部をお願いできませんか」
 孤児院にいることが、瞬く間に町中に知れ渡り、色々な用事が私に降りかかってきた。
「あいつはこんなことまでやっていたのね!!」
 その手伝いは多岐にわたっていて、エルフや獣人ドワーフ長命人族などとの調整も含まれている。それらは、パムやエルフィなどにタスクを振り分けて整理を依頼した。
「あいつが、セリカリナから帰ってきた後に忙しかったのは、このせいだったのね」
 今更ながら、あの時あいつに「家にいろ!」と叱りつけた事を思い出す。ああ、またあいつの事を思い出してしまった。
「あ、町長さんじゃない。お久しぶり。この事務量は何?」
 事務所に戻ってきた町長に書類の束を指さしながら声をかける。
「それは、しばらくたまっていた分じゃなあ。DTがいなくなって誰も手が出せなくなったのじゃ。まあ、DTは、7日分を数時間で終わらせて帰って行っていたが、町の者にやらせてみたら一つも終わらなかったので誰も手を付けていなかったのでなあ」
「それを私に?」
「できなければ無理せんでもいいですよ」
 そう言いながらもやらせる気満々よねえ。
「まあやってみるわ」そう言いながらも半日とちょっとで終わらせたアンジー。
「確かに慣れてくると意外に簡単かもしれないわねえ。町長さん。明日、頭のいい子を数人連れてきてくれないかしら。私が要領を教えるわ」
「ぜひお願いします」
「さて、孤児院に帰ろうかしら」
「おや、孤児院泊まりかい?居酒屋においで、おごってやるから」孤児院に向かおうとしているところを居酒屋の女将さんに声を掛けられる。
「女将さん。それは見え透いているわよ。売り上げに貢献しろと言うんでしょ?1割までとは言わないから多少は寄付してくれるならいいわよ」
「足元を見られているわねえ。まあいいわ。天使様にお布施しないとね」
「いや、これってただのバイトだし。お金は孤児院にお願いね」
 そうしてアンジーは、その夜居酒屋を手伝っていた。手伝いが終わると孤児院に帰らず、つい今住んでいる自分の家に・・・いや、みんなと住んでいた家に戻っていく。
「なんでか、あっちに向かって歩いてしまうわね」
 私はトボトボと独りで歩いて行く。家の前まで着くと扉を開ける。
「まったく、無線機が鍵になっているとか。あいつは本当に日常特化型魔法使いだわね」
 最後の方の声が涙でくぐもっていく。
「ばかぁ」テーブルのいつもの位置に座り、顔を突っ伏して肩が震える。
「早く帰ってきなさいよ、ばかぁ」テーブルを握った手で力なく叩く。数回叩いてむなしくなってやめる。
「わかってるでしょう。私が一番寂しいのよ。あんたと一番長く過ごした私が一番寂しいってわかるでしょ。だったら早く帰ってきなさいよ」
 今度は椅子の背もたれに背中をあて顔を天井に向けて涙を流し続ける。
「みんな泣いているわよ。ばか」
 そして、2階のDTの部屋に向かったが、ベッドが広すぎて、独りで寝るのが寂しくなって地下室にむかう。そこのベッドも広いのだが、ベッドにしわを見つけて、冷静になる。
「あいつたまに帰ってきているわね。しかたないか」
 そう言ってアンジーは、そのしわになった毛布の中に入り、DTの匂いのついた毛布をかぶって、その日は眠った。

○メアの帰省
 メアは不安だった。
「あのままアンジー様を置いて来て良かったのでしょうか」
 カイを走らせながら、ついつい考えてしまっている。私がアンジー様のそばから離れていられる時間は、薬草採集の期間まで1ヶ月ほど。移動に片道1週間かかる。つまり2週間は、自由な時間ができる。しかし、ずぼらなアンジー様のことだから、孤児院に居続けるにしても衣類などを洗濯するとは思えない。いや、着替えない可能性のほうが高い。孤児院の世話係に遠慮して頼むとは思えない。まあ、世話係の人が無理矢理脱がして着替えさえるかもしれないけれど。そう世話係の人に頼んでくれば良かっただろうか。そこまで心配した後、自分のことを考える。そういえばひとり旅は初めてに近い。親書を運んだ時は、旅ではなくて単なる移動でしかなかった。こんなにゆったりと自分のペースで旅をしたことなどなかった。それでも気になるのは、家の事、アンジー様の事、そして今はバラバラな家族の事。そして・・・ご主人様の事。
 ご主人様のことを考えると不安が胸をチクチクと刺してくる。細かく鈍い痛みだ。その痛みに慣れてきたと言えば聞こえも良いが、実はかなりのストレスになっている。最近は、補助脳の自己診断プログラムも見たくない位だ。たぶんストレスがマックスに違いない。
 カイの走行速度はけっこう速い。前を行く馬車があると、つい追い越ししているくらいに早い。それでもペースも落ちない。すごいスタミナだ。
「あまり無理しないでください」
 メアが話しかけても、残念ながらメアの言葉はカイには伝わらない。それでも手綱には従ってくれて、少しペースを落としてくれる。
「こうして独りになってみると、意外に何もできないものですね」
 きっとこれからは、このようなひとり旅もできるようになるのかもしれません。でも、私は、ひとりでは寂しすぎるのでしょう。何より人の世話をしている時の方が充実しているし、なによりうれしい。などと言うとご主人様が怒りそうです。趣味を持ちなさい、独りで何でもしなくても良いのですから。順番にみなさんにやってもらえば良いのですから。でもね、ご主人様。私は皆様に喜んでもらえるのが一番幸せなのですよ。料理を褒めてもらうのが一番幸せなのですよ。みんなが揃って暮らしていられるのが一番幸せなのですよ。
 そう思った途端。手綱を握る手に冷たい水が一滴落ちてきた。雨でもないのに、ああ、涙が落ちていたのですね。私は泣いているのですね。補助脳に抑えられていた感情は、ほぼ取り戻したはずだったのに。抑制する癖がついた感情だったのに。今は寂しくて泣いている。そう、これは全てご主人様のせいだ。私を束縛し私を自由にし、私を迷わす。好きにしていいよと私を惑わす。さらに私の前から姿を消す。なんて身勝手なご主人様。早く会って、この事を、この感情をぶつけたい。ぶつけられることがきっとうれしいはずだ。早く帰って来て、ご主人様。ひとり旅は寂しいです。隣にはご主人様が居てください。そしてみんなもいて欲しい。それはわがままな願いなのでしょうか。
 そして、いつの間にかセリカリナに到着する。もちろん途中で野営し、カイに干し草を与えて休憩し、そして道を走ってきた。それでも5日で着いてしまった。カイ早すぎます。
「おや来たわね」
 宿泊先は、セリカリナの街を見渡せる小高い丘にある魔法使いの家。今は、魔女の家。マダムパープルであり、パープル・アスターテの家である。
「連絡をしなくてすいませんでした。急にお暇をもらって、来てしまいました」
「私もしばらくここにいることにしたから。エルミラも会いに来るわよ」
「そうですか。私に会っても大丈夫なのでしょうか」
「エルミラは会いたいと言っていたわ。まあゆっくりしなさい。いつまで居られるの?」
「心配な人を残してきましたので1週間ほどでもどります」
「そうね、じゃあ少しだけ父親と私と3人で過ごしましょうか。まあ、あの人は地下室からは出られないのですけどね」
 メアは、父親と母親と一緒に暮らすことができた。そして、エルミラも後から合流して、一族でしばらく暮らした。最初はお互いぎこちなかった会話も別れる頃には抱き合って別れを惜しむ位にはなった。でもご主人様が恋しい。それは、一緒に生活している間もずっと感じていた。物足りないのではなく、足りないのだと。
 あっという間の一週間だった。
「もう帰るのですか?」エルミラが寂しそうにメアに尋ねる。
「アンジー様が気になりますので、あの方は独りにするとどうやって生活しているのか不安になります」
「皆さんのお世話をするのが楽しそうね」パープルがそう尋ねる。
「きっと私の性分に合っているのだと思います」
 そう言って手綱を取り、挨拶をしてその家を後にする。エルミラが見えなくなるまで手を振っているのを感じながら。
「さて、アンジー様はどんな暮らしをしているのでしょうか。さすがに心配ですね」
 私はカイの速度があがっていくのをしばらくは止めないでいた。

○大集合
 それでも、たまにあの家に戻ってきては近況報告をしている。居酒屋に行ってお酒を飲んだりみんなでお風呂に入ったり。
 居間のテーブルには中央の席が空いていて、湯船にも少しだけ隙間がある。あの男の定位置だ。
「あのバカ。たまに戻って来ているようだわ」
「本当ですか?」
「最近だけど、地下室のベッドにしわがあったわよ」
「なんで会ってくれないのでしょうか」
「さあねえ。あいつなりの覚悟なんでしょうけどねえ」
「ご主人様は寂しがり屋なのですが」
「そうじゃな。エルフィほどではないが、孤独をひどく怖がっている感じがするなあ」
「どちらかというと、私達がひとりで行動しているときの方が心配していますよね」
「ああ、目を離すとどこかに行ってしまうと感じるようじゃ」
「さすがみんな、よくわかっているわねえ」
「アンジーその事について、何か聞いていないか?」
「聞いてはいないけど、一つだけ心当たりがあるわよ」
「ああ、そこか」
「おふたりはダー様とおつきあいが長いですし、何か察するところがあるのでしょうか」
「パム。あなたならここまで言ったら大体察しがついているのではないかしら」
「ぬし様の過去・・・ですかね」
「あの方の過去ですか?」
「旦那様の記憶が~完全に~もどったのですか~?」
「え?」
「は?」
「ええ?」
「驚いているようじゃが、わしもそういう気がする。もっともそれがどう影響してそういう感情になるのかはわからんがな」
「誰かをひとりにした時に悲しい事が起こったとかかしらねえ」
 アンジーがそう言った。
「ほう?やけに具体的じゃなあ」
「べ、別に直感的にそうじゃないかと思っただけよ」
「成る程なあ」
「考えても無駄でしょう?戻って来たら問い詰めれば良いだけだし。そもそも記憶が戻っているかを聞かないとねえ」
「そうじゃな」
 おや、モーラは、あの時の優男との話し声は聞こえていなかったのでしょうか。


続く
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