18 / 43
本編
第6話 俺様のダンジョンツアーとプチ家出
しおりを挟む
ハンターギルドから出た俺様は、とりあえずギヨム商会の倉庫へと向かった。
俺様は月に1回、ネズミ退治に行かなくてはならないのだ。つい最近行った気もするけど、多くてダメな事はないしな。
ギヨム商会までたどり着くと、裏手の倉庫入り口に行ってみた。
あれ? だれも居ないぞ。まあいいか、俺様は倉庫に忍び込んだ。
夜の倉庫は静かだ。
俺様はちょっと大きめの荷物の上に隠れて、ネズミが出るのを待っているのだ。
じっとしていると、微かな音が聞こえてくる。耳をピクと音の方向に向ける。
音を立てずに飛び降りて忍び寄る。ネズミが小麦の袋をかじろうとしている。
俺様はすすすすっと近づいて、狙いを定めて飛び付く。
がっちり爪で押さえ込んで1匹目。
さて、収納にポイっと・・・出来ないぞ。ここのネズミは俺様と同じ位の大きさがあるので、ポイッと投げられるサイズじゃない。仕方が無いので、鼻先で収納画面に押し込む。
咥えて運ぶより、とっても楽ちんだ。
そんな感じで、夜が明けるまでの間に3引きのネズミを仕留めた。
倉庫のおじさん達が来るまでに入り口に並べて置いておく。
また、おじさん達がびっくりしていたけど、今日は踏んづけなかったな。
そのまま倉庫でのんびりして、お昼におじさんのお弁当を少しもらってから昼寝をしていると、商人さんがやってきて俺様に礼を言ってくれた。尻尾をちょいちょいと振って返事しておいた。
夕方になると、おじさん達の仕事が終わって帰っていった。そろそろお腹が空いてきた。
うーん、ハンターギルドに戻ってやるか。
ハンターギルドまで戻った俺様は、隣の建物の買い取り窓口へ行くのだ。
奥の解体作業場まで行くと、解体のおじさんがでかい魔物を解体していた。大きな角で強そうだな。
おじさんの足元で「にゃー」と鳴く。
「おお? みーちゃん、どこに居たんだい? みんな探してたぞ?」
それはいいから、
ごはんちょーだい。
俺様は足元にスリスリして、靴の上に寝転がる。
「待て待て。アバラの所をやるからな。もうちょっとまってろ」
おじさんは、骨から肉をそぎ取ると、包丁を両手に持って肉を細かく刻んでいく。
解体場の壁際になる竈で、フライパンで軽く炒めてお皿に載せてくれる。
「ほれ、冷めてからゆっくり食えよ」
ちょっと口をつけたら熱かったので、あわてて舌をペロペロ。
冷めるまで待つしかないか・・・お皿の前でじっとガマン。
そんなことをしていると、解体のおじさんが、茶色の女の人と臭い人を連れてやって来た。
「みーちゃん! よかった、どこに居たの?」
俺様はつーんと横を向く。
「わかったから。依頼とかしなくていいからね?」
わかってくれたか。俺様もひと安心だ。
と思ったら、臭い人がちょっと困った顔をした。
「いや~悪いんだが、できたら一緒にダンジョン行ってくれねえか? みーちゃん」
茶色の女の人はちょっと慌てて臭い人にかみついた。
「ガイルさん、またみーちゃんが家出したらどうしてくれるんですか!!」
臭い人は、ちょっとアタフタ。
「すまん、
けどよ。今回は調査だからよ、みーちゃんの索敵がありゃ余計な戦闘しなくて済むんだ。みーちゃんの察知能力はスゲーんだぜ?」
ゴブリンの時に頑張りすぎたかもな。もっと手を抜けばよかった。
茶色の女の人は「ダメです」と一言。そうだそうだダメだぞ。
「そこを何とか頼むぜ~一杯おごるからよ」
ふーんだ。俺様は酒は飲まないし~
「じゃあ魚はどうだ?」
魚かぁ。いや、ここで油断したらいけないのだ。
けど、茶色の女の人が余計な一言を・・・
「そういえば、お弁当の魚は食べてたわね。他の魚より喜んで食べてたかしら」
確かにあれは美味しかった。キラーサーモンより旨かった。
「ほう? どんな魚だ?」
「あの時のお弁当は、ホワイトレイクシャークの切り身だったわよ」
解体のおじさんが、ぼそっと一言
「あれは滅多に入荷せんな」
レイクシャークは買い取りにも時々持ち込まれるそうだ。皮や骨が素材として使えるらしいが肉は食べられない。でも、ホワイトレイクシャークの肉は食べられる。めったに入荷しないし知らない人も多いから市場にも出回らない。
解体のおじさんも「あれは旨いんだけどな」と。知る人ぞ知る食材なんだとさ。
そんな話を聞いていると食べたくなってきたな。
「にゃぁ?」
と臭い人に向かって鳴いてみた。
「・・・そのホワイトレークシャークがあれば行ってくれるのか?」
「にゃごん」
次の日の朝、ハンターギルドの掲示板に緊急依頼が貼り出された。集まってきた臭い人達が「なんだこれ?」って顔で眺めている。
--------------------------------------------------
急募! ホワイトレイクシャーク
対象ランク:全ランク対象
報酬:金貨1枚
目的:収集
品目:ホワイトレイクシャークの肉
期日:可及的速やかに
依頼人:C級ハンター ガイル
条件:食用可能な状態であること
可能であれば活魚、もしくは、新鮮な状態が望ましい
内容:みーちゃんへ依頼を出すための報酬としてホワイトレイクシャークの肉が必要となりました。肉がないと依頼が出せないので可及的速やかに入手したい。
ワイトレイクシャークの肉以外は特に必要ありません。
--------------------------------------------------
俺様は月に1回、ネズミ退治に行かなくてはならないのだ。つい最近行った気もするけど、多くてダメな事はないしな。
ギヨム商会までたどり着くと、裏手の倉庫入り口に行ってみた。
あれ? だれも居ないぞ。まあいいか、俺様は倉庫に忍び込んだ。
夜の倉庫は静かだ。
俺様はちょっと大きめの荷物の上に隠れて、ネズミが出るのを待っているのだ。
じっとしていると、微かな音が聞こえてくる。耳をピクと音の方向に向ける。
音を立てずに飛び降りて忍び寄る。ネズミが小麦の袋をかじろうとしている。
俺様はすすすすっと近づいて、狙いを定めて飛び付く。
がっちり爪で押さえ込んで1匹目。
さて、収納にポイっと・・・出来ないぞ。ここのネズミは俺様と同じ位の大きさがあるので、ポイッと投げられるサイズじゃない。仕方が無いので、鼻先で収納画面に押し込む。
咥えて運ぶより、とっても楽ちんだ。
そんな感じで、夜が明けるまでの間に3引きのネズミを仕留めた。
倉庫のおじさん達が来るまでに入り口に並べて置いておく。
また、おじさん達がびっくりしていたけど、今日は踏んづけなかったな。
そのまま倉庫でのんびりして、お昼におじさんのお弁当を少しもらってから昼寝をしていると、商人さんがやってきて俺様に礼を言ってくれた。尻尾をちょいちょいと振って返事しておいた。
夕方になると、おじさん達の仕事が終わって帰っていった。そろそろお腹が空いてきた。
うーん、ハンターギルドに戻ってやるか。
ハンターギルドまで戻った俺様は、隣の建物の買い取り窓口へ行くのだ。
奥の解体作業場まで行くと、解体のおじさんがでかい魔物を解体していた。大きな角で強そうだな。
おじさんの足元で「にゃー」と鳴く。
「おお? みーちゃん、どこに居たんだい? みんな探してたぞ?」
それはいいから、
ごはんちょーだい。
俺様は足元にスリスリして、靴の上に寝転がる。
「待て待て。アバラの所をやるからな。もうちょっとまってろ」
おじさんは、骨から肉をそぎ取ると、包丁を両手に持って肉を細かく刻んでいく。
解体場の壁際になる竈で、フライパンで軽く炒めてお皿に載せてくれる。
「ほれ、冷めてからゆっくり食えよ」
ちょっと口をつけたら熱かったので、あわてて舌をペロペロ。
冷めるまで待つしかないか・・・お皿の前でじっとガマン。
そんなことをしていると、解体のおじさんが、茶色の女の人と臭い人を連れてやって来た。
「みーちゃん! よかった、どこに居たの?」
俺様はつーんと横を向く。
「わかったから。依頼とかしなくていいからね?」
わかってくれたか。俺様もひと安心だ。
と思ったら、臭い人がちょっと困った顔をした。
「いや~悪いんだが、できたら一緒にダンジョン行ってくれねえか? みーちゃん」
茶色の女の人はちょっと慌てて臭い人にかみついた。
「ガイルさん、またみーちゃんが家出したらどうしてくれるんですか!!」
臭い人は、ちょっとアタフタ。
「すまん、
けどよ。今回は調査だからよ、みーちゃんの索敵がありゃ余計な戦闘しなくて済むんだ。みーちゃんの察知能力はスゲーんだぜ?」
ゴブリンの時に頑張りすぎたかもな。もっと手を抜けばよかった。
茶色の女の人は「ダメです」と一言。そうだそうだダメだぞ。
「そこを何とか頼むぜ~一杯おごるからよ」
ふーんだ。俺様は酒は飲まないし~
「じゃあ魚はどうだ?」
魚かぁ。いや、ここで油断したらいけないのだ。
けど、茶色の女の人が余計な一言を・・・
「そういえば、お弁当の魚は食べてたわね。他の魚より喜んで食べてたかしら」
確かにあれは美味しかった。キラーサーモンより旨かった。
「ほう? どんな魚だ?」
「あの時のお弁当は、ホワイトレイクシャークの切り身だったわよ」
解体のおじさんが、ぼそっと一言
「あれは滅多に入荷せんな」
レイクシャークは買い取りにも時々持ち込まれるそうだ。皮や骨が素材として使えるらしいが肉は食べられない。でも、ホワイトレイクシャークの肉は食べられる。めったに入荷しないし知らない人も多いから市場にも出回らない。
解体のおじさんも「あれは旨いんだけどな」と。知る人ぞ知る食材なんだとさ。
そんな話を聞いていると食べたくなってきたな。
「にゃぁ?」
と臭い人に向かって鳴いてみた。
「・・・そのホワイトレークシャークがあれば行ってくれるのか?」
「にゃごん」
次の日の朝、ハンターギルドの掲示板に緊急依頼が貼り出された。集まってきた臭い人達が「なんだこれ?」って顔で眺めている。
--------------------------------------------------
急募! ホワイトレイクシャーク
対象ランク:全ランク対象
報酬:金貨1枚
目的:収集
品目:ホワイトレイクシャークの肉
期日:可及的速やかに
依頼人:C級ハンター ガイル
条件:食用可能な状態であること
可能であれば活魚、もしくは、新鮮な状態が望ましい
内容:みーちゃんへ依頼を出すための報酬としてホワイトレイクシャークの肉が必要となりました。肉がないと依頼が出せないので可及的速やかに入手したい。
ワイトレイクシャークの肉以外は特に必要ありません。
--------------------------------------------------
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
14
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる