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あの自然薯のお店に行ってから数週間、副社長と週に2.3回のペースで食事に行っている。しかも今週は週末も会う約束をしてしまった…。
「お待たせしましたぁ」
「ううん。行こっか」
そんな今日は津村ちゃんとランチに行く。
「どのお店にしよっか」
「それより、今日こそは教えてくださいね」
「あはは~」
「ほらっ、またそうやってはぐらかすんですからぁ」
副社長が営業部に私を迎えに来たのはあの一回だけにも関わらず、あれからずっとなにかあるのでは。と周りに勘ぐられている。
そりゃあね、あの仕事の鬼である副社長が私に対してタメ口で話しかけるわ、コーヒーを淹れただけでいい笑顔でお礼を言うわ…それを間近で見ている営業部のメンバーが気づかないはずないと思うし、私がそっちの立場でもなにかあるなってきっと思う。
「副社長と絶対なにかありますよね? 副社長がタメ口で話すのって佐伯さんだけじゃないですか」
「ないない。たまに帰るタイミングが一緒になるだけよ。タメ口は……ほら、同年代だから。あっ! このお店、ランチ営業始めたんだ。ねぇここでもいい?」
またはぐらかす~という津村ちゃんを置いて、ランチ営業を始めたイタリアンバルに入った。
「ここ初めて来ました。この辺にイタリアンのお店があるって、私知りませんでした」
「私は前に友達と夜に来たよ。料理も結構美味しかったから、ランチ始めてくれて嬉しい」
「オフィス街はランチも営業しないと勿体ないですもんねぇ」
良かった。話がそれた。
……そういえば風夏とこのお店に来たのと同じ日に、副社長も来ていたような話をふられたっけ。どこに座っていたんだろう? というか私、副社長の悪口ってほどでもないけど、風夏に散々愚痴ってたような気がする。
うわぁ……どこから聞こえていたのか今度聞いてみよう。
*
*
*
*
*
「そう言えばあのイタリアンバル、ランチ営業始めたみたいだな」
今日は家で録画しているドラマを見ながら晩ごはんを食べよう! と思っていたのに、週末のプランを考えようと誘われ、結局今日も副社長と食事に来ている。
「ご存知だったんですね」
「あぁ。真崎さんに行ってきたと聞いた」
日替わりで3種類のパスタから選べるランチメニューが私のお気に入り。それに独身一人暮らしの財布に優しいお手頃価格で、昨日は津村ちゃんと、今日は真崎さんと2日連続で通ってしまった。
「お弁当を作ろうとは思わないのか?」
「朝からそんな時間ありませんよ」
「前日に用意すればいいじゃないか」
それ言います? 残業もまだ普通にあるし、何なら週3ペースであなたに付き合って外食してるんですけど。
ついついジト目で見てしまう。
「俺のせいか」
「分かってるじゃないですか」
「なら今後は外食をやめて俺の家で食べるか。花音の手料理も食べてみたいし、お弁当分のおかずも一緒に作ってしまえばいいしな」
「ノーコメントです」
あんなオシャレな部屋に合う料理が作れるとは到底思えなし。
「そんな簡単に家に呼ぼうとしないでください」
「なら俺が花音の家に行こうか」
「……楽しそうで何よりです」
結局週末のプランを何一つ決めていないことに気付いたのは、寝る準備を終わらせ、ベッドに潜り込んだあとだった。
「お待たせしましたぁ」
「ううん。行こっか」
そんな今日は津村ちゃんとランチに行く。
「どのお店にしよっか」
「それより、今日こそは教えてくださいね」
「あはは~」
「ほらっ、またそうやってはぐらかすんですからぁ」
副社長が営業部に私を迎えに来たのはあの一回だけにも関わらず、あれからずっとなにかあるのでは。と周りに勘ぐられている。
そりゃあね、あの仕事の鬼である副社長が私に対してタメ口で話しかけるわ、コーヒーを淹れただけでいい笑顔でお礼を言うわ…それを間近で見ている営業部のメンバーが気づかないはずないと思うし、私がそっちの立場でもなにかあるなってきっと思う。
「副社長と絶対なにかありますよね? 副社長がタメ口で話すのって佐伯さんだけじゃないですか」
「ないない。たまに帰るタイミングが一緒になるだけよ。タメ口は……ほら、同年代だから。あっ! このお店、ランチ営業始めたんだ。ねぇここでもいい?」
またはぐらかす~という津村ちゃんを置いて、ランチ営業を始めたイタリアンバルに入った。
「ここ初めて来ました。この辺にイタリアンのお店があるって、私知りませんでした」
「私は前に友達と夜に来たよ。料理も結構美味しかったから、ランチ始めてくれて嬉しい」
「オフィス街はランチも営業しないと勿体ないですもんねぇ」
良かった。話がそれた。
……そういえば風夏とこのお店に来たのと同じ日に、副社長も来ていたような話をふられたっけ。どこに座っていたんだろう? というか私、副社長の悪口ってほどでもないけど、風夏に散々愚痴ってたような気がする。
うわぁ……どこから聞こえていたのか今度聞いてみよう。
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「そう言えばあのイタリアンバル、ランチ営業始めたみたいだな」
今日は家で録画しているドラマを見ながら晩ごはんを食べよう! と思っていたのに、週末のプランを考えようと誘われ、結局今日も副社長と食事に来ている。
「ご存知だったんですね」
「あぁ。真崎さんに行ってきたと聞いた」
日替わりで3種類のパスタから選べるランチメニューが私のお気に入り。それに独身一人暮らしの財布に優しいお手頃価格で、昨日は津村ちゃんと、今日は真崎さんと2日連続で通ってしまった。
「お弁当を作ろうとは思わないのか?」
「朝からそんな時間ありませんよ」
「前日に用意すればいいじゃないか」
それ言います? 残業もまだ普通にあるし、何なら週3ペースであなたに付き合って外食してるんですけど。
ついついジト目で見てしまう。
「俺のせいか」
「分かってるじゃないですか」
「なら今後は外食をやめて俺の家で食べるか。花音の手料理も食べてみたいし、お弁当分のおかずも一緒に作ってしまえばいいしな」
「ノーコメントです」
あんなオシャレな部屋に合う料理が作れるとは到底思えなし。
「そんな簡単に家に呼ぼうとしないでください」
「なら俺が花音の家に行こうか」
「……楽しそうで何よりです」
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