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腐っても妹
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「お姉様。少しよろしいでしょうか」
いつものメンバーとカフェテリアで昼食をとっていると、メアリーが入ってきた。
「メアリー、許可なく入室するのは良くないですよ」
「妹が申し訳ありません。アルフレッド様、皆様」
「お姉様、一緒に来てくださいませ」
面倒ね…それにまだ昼食の途中なのに。でもこのまま無視もできな…
「アルフレッド様っ」
!!! あなた達、学園内でも共に過ごすようになったの? それに…
「見て下さい。制服、お揃いです」
特注品のブローチ以外は全く同じ制服をメアリーだけでなくルーシーも着用している。
「許可した覚えはないが」
「? 制服は組み合わせ自由ですよね? メアリーとお揃いにしたんです。…あっ! アルフレッド様も同じなんて嬉しいです。そのブローチ……もしかして私の色ですか? ピンク色っ」
「これはアメジストだ。どう見ても紫にしか見えないだろう」
アルフレッド様、怒りが隠しきれてない。う、嬉しい。
‥‥じゃなくて
「少し席を外します。メアリー、行きましょう」
「リリーナ、私も行くわ」
アルフレッド様もついて行きたそうに心配顔で見てきたけれど、ここは任せてほしい。
だからよかった…アマンダが付いてきてくれると言ってくれて。お兄様に言われているのもあるけれど、単純にメアリーやルーシーと3人で過ごすなんて避けたかったから。
*
*
*
「お姉様しか呼んでないのに何であなたも付いてくるのよ」
カフェテリア内にある、パーテーションで仕切られた席に移動した途端、メアリーが話しだした。
「それより、あなた達の仲が良かったなんて知らなかったわ」
カフェテリアでも勉強をしたり、本を読むことができる。その際に、個別空間になるようにと立てられただけのパーテーション。もちろん音を遮断するわけがない。メアリーはこれでも公爵令嬢なので心配ないけれど、ルーシーって普段から少し声が大きいのよね…。
「そのブローチ私達も欲しい。ねっ、メアリー。どうせこの女は教えてくれないだろうけど、どこで購入したか調べればわかるでしょう? 同じものをお願いね」
ほらやっぱり大きな声。それより前より更に口調が悪くなっていないかしら? 私なんて名前すら呼ばれなくなったわね。
お兄様の調べでは、ルーシーの家はそこまで裕福じゃなかった。だから制服を買い直す余裕なんてないはずで…まさかメアリーが準備するなんて思いもしなかったわ。
「あなたねぇ」
「いいの? そんな口を利いて。お願い、聞かないわよ」
よく分からないけれど、2人が純粋な友人関係でないことは理解したわ。
お邪魔みたいだし戻ろうかしら。
「待ちなさいよ!」
アマンダにアイコンタクトを送り席を立とうとしたらメアリーに引き止められた。
「ルーシー、あなたは少し黙っててちょうだい」
「ブローチの購入先を教えるつもりはなくてよ?」
調べたって分からないだろうけど。
「それよりも! お兄様に何したのよ」
「お兄様?」
「そうよっ! 最近お兄様の様子がおかしいのはお姉様のせいなんでしょう」
そうなのだ。あんなにも溺愛していたメアリーをお兄様は最近避けている。昔私が経験したのと同じ様子で、あの時のお兄様は私の扱いに困っていたのねと10年たって初めて気が付いたわよ。
「そうかしら? 変わらないと思うけれど」
メアリー以外にはね。
「でも…」
「何か言われたの」
「………制服を変えなさいって。それに前は聞いてくれたお願いも聞いてくれなくなったし、話しかけても忙しいってすぐに執務室に入ってしまうし」
「…………」
はぁぁ。私にとってメアリーはやっぱり腐っても妹なのね…。ムカつくけど! 嫌いだけど! こんな風に落ち込んでる姿を見せられると少し可哀想に思えてしまう。きっとルーシーには思わないであろう感情。
だからといって手を差し伸べるつもりはないのだけどね。
「制服を変えるようにと言われたのに、変えていないからじゃないかしら。それに、お兄様は今本当にお忙しいのよ。側近のお仕事以外に公爵家のお仕事もされているのだから」
あとあなた達の調査をね。
制服も変えてほしいし、これくらいのフォローはいいことにしよう。
いつものメンバーとカフェテリアで昼食をとっていると、メアリーが入ってきた。
「メアリー、許可なく入室するのは良くないですよ」
「妹が申し訳ありません。アルフレッド様、皆様」
「お姉様、一緒に来てくださいませ」
面倒ね…それにまだ昼食の途中なのに。でもこのまま無視もできな…
「アルフレッド様っ」
!!! あなた達、学園内でも共に過ごすようになったの? それに…
「見て下さい。制服、お揃いです」
特注品のブローチ以外は全く同じ制服をメアリーだけでなくルーシーも着用している。
「許可した覚えはないが」
「? 制服は組み合わせ自由ですよね? メアリーとお揃いにしたんです。…あっ! アルフレッド様も同じなんて嬉しいです。そのブローチ……もしかして私の色ですか? ピンク色っ」
「これはアメジストだ。どう見ても紫にしか見えないだろう」
アルフレッド様、怒りが隠しきれてない。う、嬉しい。
‥‥じゃなくて
「少し席を外します。メアリー、行きましょう」
「リリーナ、私も行くわ」
アルフレッド様もついて行きたそうに心配顔で見てきたけれど、ここは任せてほしい。
だからよかった…アマンダが付いてきてくれると言ってくれて。お兄様に言われているのもあるけれど、単純にメアリーやルーシーと3人で過ごすなんて避けたかったから。
*
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「お姉様しか呼んでないのに何であなたも付いてくるのよ」
カフェテリア内にある、パーテーションで仕切られた席に移動した途端、メアリーが話しだした。
「それより、あなた達の仲が良かったなんて知らなかったわ」
カフェテリアでも勉強をしたり、本を読むことができる。その際に、個別空間になるようにと立てられただけのパーテーション。もちろん音を遮断するわけがない。メアリーはこれでも公爵令嬢なので心配ないけれど、ルーシーって普段から少し声が大きいのよね…。
「そのブローチ私達も欲しい。ねっ、メアリー。どうせこの女は教えてくれないだろうけど、どこで購入したか調べればわかるでしょう? 同じものをお願いね」
ほらやっぱり大きな声。それより前より更に口調が悪くなっていないかしら? 私なんて名前すら呼ばれなくなったわね。
お兄様の調べでは、ルーシーの家はそこまで裕福じゃなかった。だから制服を買い直す余裕なんてないはずで…まさかメアリーが準備するなんて思いもしなかったわ。
「あなたねぇ」
「いいの? そんな口を利いて。お願い、聞かないわよ」
よく分からないけれど、2人が純粋な友人関係でないことは理解したわ。
お邪魔みたいだし戻ろうかしら。
「待ちなさいよ!」
アマンダにアイコンタクトを送り席を立とうとしたらメアリーに引き止められた。
「ルーシー、あなたは少し黙っててちょうだい」
「ブローチの購入先を教えるつもりはなくてよ?」
調べたって分からないだろうけど。
「それよりも! お兄様に何したのよ」
「お兄様?」
「そうよっ! 最近お兄様の様子がおかしいのはお姉様のせいなんでしょう」
そうなのだ。あんなにも溺愛していたメアリーをお兄様は最近避けている。昔私が経験したのと同じ様子で、あの時のお兄様は私の扱いに困っていたのねと10年たって初めて気が付いたわよ。
「そうかしら? 変わらないと思うけれど」
メアリー以外にはね。
「でも…」
「何か言われたの」
「………制服を変えなさいって。それに前は聞いてくれたお願いも聞いてくれなくなったし、話しかけても忙しいってすぐに執務室に入ってしまうし」
「…………」
はぁぁ。私にとってメアリーはやっぱり腐っても妹なのね…。ムカつくけど! 嫌いだけど! こんな風に落ち込んでる姿を見せられると少し可哀想に思えてしまう。きっとルーシーには思わないであろう感情。
だからといって手を差し伸べるつもりはないのだけどね。
「制服を変えるようにと言われたのに、変えていないからじゃないかしら。それに、お兄様は今本当にお忙しいのよ。側近のお仕事以外に公爵家のお仕事もされているのだから」
あとあなた達の調査をね。
制服も変えてほしいし、これくらいのフォローはいいことにしよう。
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