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9.いちごエクレア①
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「あっ! そうだ日向」
「うん?」
「去年さ、映画コラボしたエクレア覚えてるか?」
「覚えてるけど?」
いちごのエクレアな。あの後他の店舗で探したけど人気商品だったみたいで手に入らなかったんだよ。それがどうしたんだと思っていたら、どこかから戻ってきた宇都宮が会話に参加しだした。
「もしかしていちごのエクレア?」
「そう。宇都宮もあの映画観たのか? 意外だな」
「観てない。でも女子の間ですごい人気の映画だったから、探してる子多かったなって」
「へぇ」
何となく深くは聞きたくない。
「へぇって日向ちゃん、つめた~い」
呼び捨てはできないからって最近はちゃん付けでも呼んでくる。日向って名前、女子っぽいからそんな風に呼ばれたくないのに。
「日向ちゃんって言うな」
「言うな」
「いや、光琉はこえーよ」
岩清水って呼んだり、日向ちゃんって呼んだり、宇都宮の使い分けポイントが分からない。
「それで一樹、エクレアがどうしたんだ?」
「人気だったから季節商品として毎年販売されることになったみたいでさ。結局あの日は日向食べれずじゃん? 気になってるかなって」
「まじ!? 今日の帰りに寄らないと!」
同じコンビニが学校の近くにもあるから、まずはそっちに寄って残ってるか確認して…。
「もう落とすなよ~」
「落とさねーよ」
あの時は急に声をかけられたからで…あれ? なんか大事なこと忘れてるような?
「そういえば去年、暖が他中学の生徒に声をかけ、持っていた食べ物を台無しにしたことがありましたよね」
「あー、弁償するって言ったのに逃げられた…って、あれもしかして日向ちゃんと日比野?」
「絶対俺達だ! 日向が落としたのも声かけられて驚いたからだったし。なんだよ~俺ら1年前に既に会ってたのかよ~」
………早く立ち去らなければと感じたのは宇都宮、お前のせいか! きっとアルファが近づいたことに本能が…待てよ?
「もしかして光琉もいた?」
「いたよ」
っ!! 何で俺忘れてたんだろう。あの時もバニラの匂いがしたんだった! ちょっと待て。もしかして塾も同じところに通ってた? 確かアルファクラスの授業が前日にあった気がする。
「台無しにしちゃってごめんね日向ちゃん」
いや俺の方がごめん。一瞬宇都宮のせいにしたけど俺が焦って帰ったのは光琉のせいだ。
「あれ買ったの俺だけどな」
「日比野の奢り? なんで?」
もしかして俺がバニラ好きになったのは、すれ違いとはいえずっと光琉が近くにいたから…?
「日向!? 何で急に真っ赤になってるの? 日向?」
やばいやばい。恥ずい。それって無意識に番を求めてたってことじゃん。
「日向? おーい」
あっ! 俺がバニラ好きだって一樹知ってる! 光琉にバレたら……気持ち悪いって思われるかもしれない。
「今度は真っ青だよ。日向大丈夫?」
「本当だ。日向大丈夫か?」
「おい日比野。日向に何したんだ」
「えっ俺!? ちょ、待て待て。俺何もしてないから」
ここはバニラ好きは隠していちご好きってことにしよう。うん、俺いちご好きだったからいちごスイーツに詳しいし、誤魔化せるはずだ。
「日向助けてくれっ」
「えっ? 何? 一樹」
全然話聞いてなかったや。
「えーっと、なんだっけ?」
「何で日比野の奢りだったの?」
ん? 何の話だ?
「あぁ、エクレアのことか。一樹、甘いの苦手なくせに写真を撮りたいがために買ったから。俺は消費要員」
「日向は甘いものが好きなの?」
一樹のことはもういいのか?
「別に違うけど。食べれるだけだし」
「最近の日向はバニ…「あーー!!」」
「うん?」
「去年さ、映画コラボしたエクレア覚えてるか?」
「覚えてるけど?」
いちごのエクレアな。あの後他の店舗で探したけど人気商品だったみたいで手に入らなかったんだよ。それがどうしたんだと思っていたら、どこかから戻ってきた宇都宮が会話に参加しだした。
「もしかしていちごのエクレア?」
「そう。宇都宮もあの映画観たのか? 意外だな」
「観てない。でも女子の間ですごい人気の映画だったから、探してる子多かったなって」
「へぇ」
何となく深くは聞きたくない。
「へぇって日向ちゃん、つめた~い」
呼び捨てはできないからって最近はちゃん付けでも呼んでくる。日向って名前、女子っぽいからそんな風に呼ばれたくないのに。
「日向ちゃんって言うな」
「言うな」
「いや、光琉はこえーよ」
岩清水って呼んだり、日向ちゃんって呼んだり、宇都宮の使い分けポイントが分からない。
「それで一樹、エクレアがどうしたんだ?」
「人気だったから季節商品として毎年販売されることになったみたいでさ。結局あの日は日向食べれずじゃん? 気になってるかなって」
「まじ!? 今日の帰りに寄らないと!」
同じコンビニが学校の近くにもあるから、まずはそっちに寄って残ってるか確認して…。
「もう落とすなよ~」
「落とさねーよ」
あの時は急に声をかけられたからで…あれ? なんか大事なこと忘れてるような?
「そういえば去年、暖が他中学の生徒に声をかけ、持っていた食べ物を台無しにしたことがありましたよね」
「あー、弁償するって言ったのに逃げられた…って、あれもしかして日向ちゃんと日比野?」
「絶対俺達だ! 日向が落としたのも声かけられて驚いたからだったし。なんだよ~俺ら1年前に既に会ってたのかよ~」
………早く立ち去らなければと感じたのは宇都宮、お前のせいか! きっとアルファが近づいたことに本能が…待てよ?
「もしかして光琉もいた?」
「いたよ」
っ!! 何で俺忘れてたんだろう。あの時もバニラの匂いがしたんだった! ちょっと待て。もしかして塾も同じところに通ってた? 確かアルファクラスの授業が前日にあった気がする。
「台無しにしちゃってごめんね日向ちゃん」
いや俺の方がごめん。一瞬宇都宮のせいにしたけど俺が焦って帰ったのは光琉のせいだ。
「あれ買ったの俺だけどな」
「日比野の奢り? なんで?」
もしかして俺がバニラ好きになったのは、すれ違いとはいえずっと光琉が近くにいたから…?
「日向!? 何で急に真っ赤になってるの? 日向?」
やばいやばい。恥ずい。それって無意識に番を求めてたってことじゃん。
「日向? おーい」
あっ! 俺がバニラ好きだって一樹知ってる! 光琉にバレたら……気持ち悪いって思われるかもしれない。
「今度は真っ青だよ。日向大丈夫?」
「本当だ。日向大丈夫か?」
「おい日比野。日向に何したんだ」
「えっ俺!? ちょ、待て待て。俺何もしてないから」
ここはバニラ好きは隠していちご好きってことにしよう。うん、俺いちご好きだったからいちごスイーツに詳しいし、誤魔化せるはずだ。
「日向助けてくれっ」
「えっ? 何? 一樹」
全然話聞いてなかったや。
「えーっと、なんだっけ?」
「何で日比野の奢りだったの?」
ん? 何の話だ?
「あぁ、エクレアのことか。一樹、甘いの苦手なくせに写真を撮りたいがために買ったから。俺は消費要員」
「日向は甘いものが好きなの?」
一樹のことはもういいのか?
「別に違うけど。食べれるだけだし」
「最近の日向はバニ…「あーー!!」」
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