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きみのとなり♯6
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しおりを挟む「あー腹へったー。なー、なんか食いに行かね?」
「あ、ごめん。今日は…」
「そっか」
じゃあまた今度な、と村くんは言った。
いつもの、帰り道。
最近悩んでる事がある。
それが顔にでてるのか、村くんは心配してくれてるみたいだけど。
……相談なんて、できないよ
そう、今回は内容が内容だけに…。
「………」
駅に向かう途中、通りがかったス〇バの前で溜め息を吐いたその時だった。
「……あ、」
「……え?」
俯いていた顔をあげると、見覚えのある人物が目の前に立っていた。
……このひと確か、藤村さんの…
色を抜いた髪、ピアスだらけの耳、着崩された制服。
その派手な容貌は、強く印象に残っていた。
「あー…えっと…、前に、」
「あ…、はい」
つい萎縮してしまう僕をまじまじと眺めながら、彼はううんと唸った。
「……なんだっけ、生徒会の…」
「甲田先輩。いい加減覚えろよ」
コーヒーを手に現れた藤村さんが呆れたように言うと、彼は思い出したように手を打った。
「そうそう、コウダ先輩の!」
「こんにちは。今日は先輩と一緒じゃないんですね」
「……あ、はい」
藤村さんは相変わらず綺麗だ。
顔立ちとかもそうだけど、立ち振舞いになんてゆうか…品がある。
「あ、俺吉河っていいまーす。吉河季一!」
「えと、倉田です…」
ぺこりと頭を下げる。
「………」
「………」
てゆうか、なんで呼び止められたんだろう…。
「……あの、じゃあ…」
お邪魔してすみません、とそそくさとその場を去ろうとしたその時。
「あの!なんか悩み事っすか?」
驚いて彼を見た。
「……え、」
「や、なんとなく」
「おい、」
いきなりすみませんと藤村さんは言い、ほら行くぞと彼を促す。
「……あ、あの!」
思わず呼び止めると、二人は揃って振り返った。
……な、なんかこの二人、迫力ある…
「あ、あの、ちょっとお訊きしたいことが…」
思いきってそう切りだした僕に、なんですか?と藤村さんは笑顔を浮かべた。
「……あの、お二人はその、おつきあいをされていると…」
すると二人は即座に言った。
「違います」
「はい!おつきあいされてます!」
「おい!」
「いいじゃん別に!この人学校違うし!」
「黙ればか」
「……あのっ、それでこんな事を訊くのも、どうかとは思うんですが…他に訊けるような人がいなくてっ…」
「……どうかしたんですか?」
ぶつぶつ文句をこぼす吉河さんを無視して、藤村さんが言う。
「………。こえ、なんですけど…」
「……声?」
二人は目を丸くした。
「いやむしろ、出してくれるほうが俺は嬉しいけど」
「おい」
事情を説明した後、そう言い切った彼を藤村さんがたしなめる。
「でも…恥ずかしいし…」
それに女の子だったらともかく、男のそれはどうなんだ。
「そこがいいんじゃん!要とか超意地っ張りだからさー、いっつもぎりぎりまで我慢してんの。けど途中で堪えらんなくなって、顔真っ赤にしてさー!もうそれ思い出しただけで勃つし…ってえええ!」
修練されたまわし蹴りは見事に決まった。
「あいつの事は気にしないで」
藤村さんはさわやかな笑顔で言う。
白目剥いてるけど…大丈夫かな…。
「それで?」
「……あ、えと…気持ち悪く、ないかなって…」
とうとう一線を越えてしまったあの日。
緊張したし怖かったけど、嬉しかった。
だけど後になって思いかえせば、不安で仕方なくなって。
「まぁ、先輩がどう思ったかはわからないけど…」
「………」
「でも先輩は、そんな事で恋人を嫌いになるようなひとじゃないと思うけど」
だよな、といつの間にか復活していた吉河さんが笑って言った。
「それにさ、大概の男は好きなひとが感じてくれてるってわかったら、嬉しいと思うよ」
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