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きみのとなり♯6
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しおりを挟む「……いやなんでおまえらが」
呼び出された公園で、冬馬と一緒にいる二人を見て顔が引きつった。
「どうもー」
吉河のわざとらしい笑顔が癪に触る。
「あ、あのすみません、突然…」
「……や、それはいいけど…。てか吉河!ニヤニヤすんな!」
「あーもう、大声ださないでくださいよ、冬馬さんビビってんじゃん」
……いや冬馬さんって
「……っ、フジ、」
「俺らは単なる通りすがりですから」
フジは澄ました顔でそんな事を言ってのける。
「嘘つけ、あきらかに待ち構えてただろーが。てか冬馬を巻き込むんじゃねーよ…」
「あっ、違うんです!お二人にはその、いろいろ相談にのって頂いて、」
慌てて説明する冬馬。
……てか、こいつらに相談って…ダメだもう嫌な予感しかしねー…
頭を抱える俺を余所に、吉河がねえねえ先輩と話しかけてくる。
「俺、話聞いて不覚にもきゅんとしましたよ!」
「……はぁ?」
「いや俺はね、やっぱちょっと女王様っ気があるのが好きなんだけどー。こう慎み深いってゆうか?健気な感じもねー、いいよねー」
わかるわかる、と一人勝手に納得して頷く吉河。
「なんの話だよ」
するとやれやれ、とフジ。
「先輩はどうしてこんな時だけ鈍感なんでしょうね」
「ケンカ売ってんのかてめえ」
「取り敢えず、ちゃんと話をした方がいいですよ」
そして二人は言いたいことを言うだけ言って、帰っていった。
「……冬馬、あのさ」
「ごめんなさい、僕っ…」
「え、」
いきなり謝ってきた冬馬は、堰を切ったように話しだした。
「あの…っ、あの時僕、大丈夫って思ったのに全然大丈夫じゃなくて、なんか途中からもうワケわかんなくなって、へ、変な声でちゃうしっ…」
「ちょ、落ち着け冬馬」
「だから後で、呆れられてたら、嫌われてたらどうしようって思って、怖くなって…っ」
「冬馬!」
びくっと冬馬の肩が震えた。
「ごめんな、」
俯く彼の、綺麗な黒髪に触れながら言う。
「不安になってたの、気づいてあげらんなくて」
「……!それは僕が勝手に…っ」
「俺もさ、途中からワケわかんなくなった」
好きすぎて、夢中になりすぎて。
相手の気持ちを思いやる余裕すらなくして。
「なんかすげーカッコわりぃな、俺」
「っ、そんなことっ」
「冬馬はさ、俺がカッコ悪かったら嫌いになるか?」
冬馬はきょとんとして俺を見た。
「……なりません!」
「俺もだよ」
ちょっと笑って言う。
「てか、そんなんで嫌いになるなら初めっから付きあったりしねーし」
「甲田さん…」
「俺さ、冬馬のことを全部知りたい」
良いところも嫌なところも。
変なところも、恥ずかしいところも、カッコ悪いところも、全部。
そう言うと、冬馬は小さく吹きだした。
「……欲張り、ですね」
「まぁな」
冬馬が笑った顔を、久しぶりに見た気がした。
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