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第1章
19.
しおりを挟むなんでこの子はあたしを選んだんだろうって、いつも思う。
裸のままベットに横たわり、わりと筋肉がついている背中を眺める。
あたしは彼の歳の頃、十も歳が離れた相手と寝ることなんて考えた事もなかった。
友達のなかには年上が好きな子や不倫してた子もいたけど、自分には縁がない話だと思ってたし。
「……なに、」
視線に気づいたのか、彼が振り返る。
別に、と素っ気なく返すとサイドテーブルの煙草に手を伸ばしかけてやめた。
「今日、泊まってっていい?」
裕太はいつも、断られる事は微塵も想定してないような言い方をする。
それを図々しいと思いながらも、あたしはダメとは言わない。
「あたし、明日早いんだけど」
「わかってるって」
つきあいだしてしばらく経った頃、彼は突然仕事を辞めた。
理由を訊くと、合わなかったから、だそうだ。
――なんてゆうか、全然楽しいって思えなかったんだよ
言われたことやって、周りに気を遣って、納得できないのに謝って、その繰り返し。
――でも、仕事ってそんなもんじゃないの?
不満なんて幾らでもある。
どんな仕事だってきっとそうだ。
だけどそれでも一生懸命働いて、その中でやりがいや楽しさを模索していく。
説教くさくならないように、気をつけて話したつもりだ。
だけど返ってきたのはそうかもね、の一言だった。
――でもまぁ、なんとかすっから
そして半年が経ち、彼は未だにフリーターだ。
実家住まいだし、バイトを幾つか掛け持ちしてるみたいだから金銭的には困ってないようだけど。
これからどうするつもりなのかは、はっきりしない。
その余裕は、若さゆえか。
――あんたと一緒なら、なんだって出来るような気がする
前にそんな事を言ってたけど。
結局彼は、自分の事しか考えてない。
「………」
小さく溜息を吐いて、ベットから出る。
雑誌やグラスなんかが乱雑に置かれたテーブルの上で、携帯のランプが静かに点滅していた。
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