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第1章
18.
しおりを挟むちょうど日付が変わった頃。
疲れきった様子で、ミケが帰ってきた。
「おかえり…って、大丈夫か?」
「うん…」
ミケはコートも脱がずに、よろよろとソファーに座りこむ。
「ほら」
あたたかいお茶を渡すと、ありがとうとミケ。
「珍しいな、残業とか」
飯食うか?と訊くとミケはちらりとこちらを見て、いらないと答えた。
「今日のは絶対イケるのに」
「………」
「いやマジで」
「……じゃあ、食べる」
「おし。あっためるから、ちょっと待っとけ」
そして数分後。
隣りの部屋で着替えてきたミケは、テーブルの前に立ち尽くしていた。
「……あのさ、料理の本とか見ないの?」
「俺は何でもオリジナルが好きなんだよ」
いやそういう問題じゃないから、とミケ。
「……てゆうかこれ、何?」
「いいから食ってみろって。男の料理に見た目は関係ねぇし」
そう断言すると、ミケは渋々といった様子で箸を取った。
「………」
「………」
「……おいしい…」
「だろ?」
ふふん、と笑う。
見た目は確かにアレだけど、味には自信がある。
「……てゆうか…これ、味見した?」
「男の料理に味見なんか必要ねぇし」
「………」
ミケは何かを諦めた様子で料理を食べ始めた。
なんだかんだ言いながらも、俺が作る飯は全部食べてくれる。
その表情は、終始強張ってるような気もするけれど。
「どうしたんだよ、それ」
ふと、指先の絆創膏に気がついた。
「あ…ちょっとミスって」
ダンボールで切ったと聞いて、背筋がぞっとする。
「痛かったろ」
「まぁ…少しは」
「気をつけろよ」
そっと手を取ると、ミケはちょっと笑う。
「なに、」
「……海斗、俺よりも痛そうな顔してるから」
「そうか?」
「うん」
そのままその手にくちづけると、ミケはまたくすぐったそうに笑った。
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