sweetly

kotori

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前編

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「……痛いか?」

覗きこむようにして見上げる顔。
心臓の音がバクンバクンと異常にうるさい。
自分の顔が赤くなっていくのがわかる。

「……お前さ、」

うっそやべぇなにこれ。こんなん、まるで…、
まるで…。

「今日合コンじゃなかったの?」
「………」

……あ、あぁぁぁぁああ!!

今何時?!とケータイを見ると着信三件とラインに一言。

『お前来ねーから他の奴呼んじゃった。てか、二度と誘わねーから(笑)』

……あぁぁぁぁ…

思わずしゃがみこんで頭を抱える。

「今から行けばいいだろ」
「……いや今から行っても余るし…それにこのカッコじゃ、女の子ドン引きっすよ…」

揉み合ったせいで汚れた制服。
シャツにはところどころ血が付いていた(主に返り血)。
はぁ、と力無く肩を落としていると、じゃあうちに来るかと藤村が言った。

「……え」
「手当てしてやる」





…とゆうわけで、突然のお宅訪問。

「……でも、いいんすか?いきなり…」

土産のひ●こも買ってないですが。
心の準備もまだなんですが。
しかもこんな格好だし。

「なにが、」
「……いや、なんか」

だってご両親にご挨拶だよ?初対面だよ?緊張しない男はいねえだろうよ!!

「いいよ。安心するだろうし」

……安心?

電車から降りて歩いて十五分。
閑静な住宅街に藤村邸はあった。

……でけえぇぇぇ!

なんだここは!!てかこいつ、ぼんぼんか!!
驚いている俺の前で、藤村がインターホンに向かって只今戻りましたと言う。
するとガチャンという音がして、門が開いた。
俺が広大な庭に目を奪われていると奴が振り返る。

「……なにしてんだよ、はやく来い」

だって!……セ●ム…セ●ム入ってるよ…!!

「おかえりなさい」

パタパタとスリッパの音をたてて玄関にでてきたその人を見て、俺はまたしてもど肝を抜かれた。

……ダレぇぇぇ?!

現れたのは、美人なおねーさん…としか言いようがない。
クルクルと巻かれた茶色い髪、家だというのにバッチリメイク、そして…そしてピンクのフリフリエプロンの下にはミニスカート…。
え、もうそのまま出勤できんじゃね?銀座とか六本木に…。

「あら、要くんのお友達?」
「いえ、ただの後輩です」

……そうです、どうせ俺は友達以下です…

「吉河です」
「吉河くん。どうぞあがって?」
「おじゃま、します…」

にっこりと微笑まれ…俺は緊張でもたつきながら靴を脱いだ。

……まさか母親じゃないよな?年齢的にありえねーよな?世の中のお母さんは家ん中で香水とかつけないよな?わかんないけども

……てか、巨乳…

「あら、ケガしてるの?!大変、手当てしないと」
「僕がやりますから大丈夫です」

上に行きます、と藤村。

……僕って、

つい吹き出しそうになって睨まれた。
てゆうかなんで敬語?

「じゃあ、後で飲み物もっていくわね。吉河くん、ジュースでいい?」
「あ、はい…」

ううう失礼だとわかっていても、つい見てしまう!!だって男の子だから!!
思わず胸元をガン見していた俺は、先に廊下を歩いていたはずの藤村の冷たい視線で我に返った…。


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