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しおりを挟む最近那波は、部屋に来る度にソレをする。
前ほどの緊張はないけど、恥ずかしさと戸惑いはなくならない。
「……あの子とも、こういう事…したんだ?」
乱れていく呼吸の中で何気なく呟いた言葉は、思いのほか嫌味っぽい響きだった。
「……あんま、いじめんなよ」
手を動かしながら、那波は困ったように笑う。
「……もう、終わったことだから」
「……う…」
ぶる、と身体が震えた。
「…あ、ぁ、那波っ…」
堰を切ったように溢れてくる熱いモノ。
もう話なんて出来そうになかった。
那波の肩にしがみついて、ぎゅっと目を閉じる。
射精した後のけだるさに包まれながら考えていたのは、さっき会った少年の事だった。
辺りは暗かったはずなのに、やけにはっきりと思い出すことができる。
……那波はどうして、あの子と別れたんだろ…
並みのアイドルには負けないくらい、綺麗な子だった。
……あの子はどう見たって、まだ那波のこと…
あの時彼はなんでおまえなんかに、という顔をしていた。
俺も、そう思う。
「……那波」
「んー?」
那波はキッチンで手を洗っていた。
「……あのさ、その…俺も、しようか?」
「何を?」
「……だからその…上手く出来るか、わかんないけど…」
自分で言いだしておきながら恥ずかしくなって口ごもっていると、那波は俺が言いたい事を察してくれた。
「なんで、突然」
「……なんか、いつもして貰ってばっかりだから…」
そう言うと、戻ってきた那波は笑って俺の頬に触れた。
「いいんだって、俺がしたくてしてるんだし。……なあ、もしかしてまだ祐希の事気にしてんの?」
「……そうじゃないけど」
……やっぱり、それもあるけど
隣りに座った那波に、ぎゅうっと抱きしめられた。
「……俺が好きなのは、浩介だよ?」
「………」
「信じられないかもしんないけど」
「……そうじゃないってば」
身体を離して、那波の顔をじっと見上げた。
……なにイラついてんだろ…
「……浩介?」
「……だから、俺もしたいっていうか」
そう口走ってからはっとした。
……なに言ってんの、俺…
顔がかあっと熱くなって、思わず顔を逸らす。
「………。ほんとに?」
「………う、ん」
「………」
嘘つき、と耳元で囁かれて、ドキッとした。
「わかりやすいんだよ、おまえ」
「………」
俺を抱きしめる腕に、一層力が入る。
「……俺は今おまえとこうしてるだけで、すげぇ幸せだから」
「……なな、み」
「無理すんな」
その言葉は、甘く俺の胸に響いた。
那波は俺の事を考えてくれている。
俺の心にまだためらいがある事に気づいてるから、変に思い詰めたり怖がらせたりしないように、気遣ってくれてる。
……普段は、自己中なくせにさ…
この部屋に泊まる時、那波が殆ど寝てない事に俺は気づいていた。
「……無理なんかしてない」
ぎゅ、と背中を抱きしめ返して呟く。
「……してない」
「………」
「……こ、浩介?そんなじっくり見なくても」
「うるさい。おまえだって見たじゃん」
「……そうだけど…」
てゆうか…こいつなんでこんなにデカいの?
なんか俺の方が恥ずかしくなってきた…。
いや俺のは普通だ(たぶん)!こいつのがデカすぎるだけだよ(たぶん)!
「………」
ごくっと息を飲みこむと、ぱくりとソレをくわえた。
「……!ちょっ、!」
なぜか慌てだす那波。
「……んん?」
「いやいきなり…口って…、」
「……はへ(だめ)?ほふはい(よくない)?」
「……だ…めじゃない…けど…てゆうかくわえたまま、喋んなよ…」
のっけからダメ出し…頑張れ俺…。
……つまり、自分がされたら気持ちがいいことをすればいいハズだ…
「………」
「………」
……結構、むずかしい…
手で擦りながら舌で舐めて、歯が当たらないように頬張って…ちょっと吸ってみたり…?
んんん?よくわからない…
……こいつ、いつもどうしてるんだ?
見上げると、那波は口を手で押さえたまま顔を逸らした。
「……っ!」
それからしばらく弄り続けて、一応硬くはなったけど…。
てゆうかでかいなマジで…これ以上、口に入んないし…。
とりあえずアイスを食べるみたいに口から出し入れしてみる。
ちらりと見上げると、那波と目が合った。
……なんか顔、赤い…?
「……っやば」
「……へ?」
ふと屹立したソレから口を離した瞬間。
「………」
「………」
……なんか、かかった…
「……っ!ごめん!」
那波が慌てて立ち上がって、なんとも情けない格好でティッシュを持ってくる。
「……あ、ちょっと待った」
「は?っておまえ何して、」
「……うえっ」
……まずっ!!
「こっ、浩介…」
「おまえこんなん、よく飲めたな…信じらんねえ…」
「い、いやあのね、」
「顔、洗ってくる」
「う…うん」
「あ、洗わない方がいい?」
「ええ?!いやいやいや是非洗って下さい!!」
「………」
「……ごめん」
「え?!なんで浩介が謝んの?!」
「……だってなんか、上手くできなかったし…」
「ああ、なんだ…びっくりした」
なぜか安心した様子の那波。
俺、そんなにびっくりするほど下手だったのか…。
……うーん…ちょっとショックかも…
「あのさ浩介……俺すげえ嬉しい」
……練習すれば上手くなるかな…
「その、まさか口でしてくれるとは思ってなかったってゆうか…」
……でもどうやって…アイスはすぐ溶けるし…
「……浩介?」
「ちくわ…」
「……は?」
「ズッキーニ…?」
「……おい」
「……う〇い棒!」
「………」
風呂に入ってベットに潜り込むと、いつものように抱きしめられた。
「……あったかい」
「……俺も」
那波の手が、髪を優しく撫でる。
……ああ、なんかわかった気がする…
さっきしなくていいって言われた時に感じた、苛立ちの原因。
……あの子は知ってるからだ…
俺が知らない、那波を。
コイビトとしての那波を。
それってやっぱり、ヤキモチなのか…?
「……浩介、」
「……え?」
顔をあげると、おでこに軽くキスされた。
「……何考えてんの」
「……何って…」
「おまえ考え事してる時、いつもどっか行っちゃうからさ」
そう言うと、那波は笑った。
「………。あのさ、那波」
「ん、」
「俺、那波が好きだよ」
「……え」
「……今、そういう事考えてた」
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