along-side(BL)

kotori

文字の大きさ
21 / 54

5

しおりを挟む
 
次の日、学校の近くのコーヒーショップで梨香と会った。

「梨香…あのさ、」
「ほんとにごめん!あたしあの時、ほんとどうかしてた」

彼女は席に座るやいなや、手をあわせて言った。

「なんかイライラしてて、でもこうちゃんがあんまり優しいから、つい…」
「俺の方こそごめん。梨香が辛い時に、全然気づいてあげられなくて…」

俺が謝ると、違うよと彼女は首を振った。

「あたしが一人で勝手に悩んでただけで、こうちゃんはなんにも悪くないよ」
「梨香…」
「……昨日ね、和田に叱られたんだ」
「え?」

昨夜梨香のアパートに来た和田は、木下を殴ってきたと報告したらしい。

「びっくりして、何してんのよって怒ったの。そしたらあいつあたしよりデカい声で、おまえが何してんだよって」

コーヒーを一口飲んで、梨香はふふっと笑った。

「しっかりしろよ、おまえらしくねーよだって。で、マジメな顔して言うわけ。たまには俺や浩介を頼れって」
「………」

和田らしい、と思った。
彼はいつも思った事をストレートに伝えてくる。
そしてそのぶん、相手の気持ちもストレートに受け止めてくれる。

「だから、しっかりしろって言ったり頼れって言ったりどっちよって言った。そしたらどっちもだって、あいつ笑って言うんだもん…」

泣いちゃったよ、と梨香は照れくさそうに言う。

「俺も、梨香がもっと頼ってくれると嬉しい」
「……あたし、すっごいネチっこいよ?ほんとはすごくマイナス思考だし、酒グセ悪いし」
「いいよ。マイナス思考なら俺も負けないし、梨香の酒グセならもう充分知ってる」

そう言うと、梨香は笑った。
久しぶりに見た、いつもの彼女の笑顔だった。





店を出て学校に戻る途中、梨香がぽつりと言った。

「……ほんとはね、あたしちょっとこうちゃんに嫉妬してたんだよね」
「俺に?なんで?」
「こうちゃん、彼女できて幸せそうだったから。なんか、羨ましくて」

かつんかつんと響く、ヒールの音。

「………」

俺はちょっと考えて立ち止まった。
そして実はさと那波の事を打ち明けると、梨香はぽかんとした顔で俺を見た。

「……まじで?」
「まじで。そういうのって、やっぱ引く?」

すると彼女は今度はきょとんとして、なんでよと言った。

「だってこうちゃんは、こうちゃんじゃない」

やっぱり梨香は、大切な友達だ。
彼女の明るい笑顔を見ながら、彼女のことをもっとわかりたいと思った。
今まで苦手だからって、そういう事を疎かにしてきた気がする。
でも今は、もっともっとわかりたい。

大切な人達のことを、そして那波のことを。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

処理中です...