along-side(BL)

kotori

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子どもの頃、一度だけ那波に本気で怒った事がある。

いつものように一緒に遊んでいた時、那波がなんかの拍子で俺のおもちゃを壊してしまった。

――ごめん、とれた

一応そう謝られたけど、その悪びれないヘラッとした態度が許せなかった。
そのロボットのおもちゃは、転校する時に一番仲の良かった友達がくれた宝物だったから。
自分ではよく覚えてないけど、その時の俺はものすごい剣幕だったらしい。

――まじでビビったもん。普段はヤギみてえに大人しかったくせにさぁ

那波は驚きのあまり、どうすればいいのかわからなくなって泣いたらしい。
那波が人前で涙を見せるなどという貴重な場面を思い出せないなんて、勿体ないと今でも思う。

あの後どうやって仲直りしたのかは、よく覚えてないけど――。
右腕をセロハンテープでくっつけられたそのロボットのおもちゃは、今でも実家の押し入れのダンボールの中に眠っている。





 
梨香の事があってから、ちょうど一カ月が経った頃。
俺は、駅前で和田を待っていた。
街はすっかりクリスマスムードで、いろんな所にツリーやオーナメントが飾られている。

――浩介、今日ヒマ?

昼頃和田から連絡があって、特に予定はないけどと答えると強引に約束を取り付けられた。
なんなんだよと思いつつ言われた場所で待ち続けてるけど、彼は一向に現れない。
電話を入れても出ないので、那波にLINEを送った。

――今日、和田達と飲み会。たぶん遅くなる

なんだか恋人同士みたいで(実際そうなんだけど)、少し恥ずかしくなる。

……やっぱクリスマスとかって、一緒にすごしたりするのかな…

道行くカップルを眺めながらそんな事を考えていると、ちょっと離れた所に和田の姿を見つけた。

「………」
「あ、浩介、悪いな突然」

女の子と話していた彼をちょっと来い、と引っ張った。

「……合コンかよ…」
「いや、サークルの飲み会」
「……帰る。だいたい俺、サークル入ってないし」

知り合いならまだしも、見たところ全員初対面だ。
まぁまぁそう言うなよと和田。

「実は他の学校の子たちも呼んでて、そしたら男が足りなくなんだよ」
「しかも数あわせかよ…」
「頼む!大丈夫、おまえには彼女いるって言ってあるから」

やっぱ合コンじゃねーかと思いつつ、仕方がないので八時までと約束して店に入った。

チェーン店の居酒屋は、金曜日ということもあり大賑わいだった。
ビールで乾杯して、とりあえず自己紹介。
後はおのおので楽しむという感じ。
こういうのは、すごく苦手だ。
知らない人と何を話せばいいのかわからないし、そういう相手とお酒を飲んで騒ぐことの楽しさがいまいちわからない。
俺は、たまたま近くに座った子の話を聞く事に専念することにした。



八時をまわったところで、すっかりできあがっている和田に帰るな、と耳打ちする。

「え、ほんとに帰んの?もう次の店も予約してっけど」
「勘弁しろよ。彼女が超ヤキモチやきなんだよ」

溜め息混じりに言うと、和田はゲラゲラ笑った。

「なら仕方ないか、ごめんな無理言って。てか今度紹介しろよ、その子」
「そのうちな」

じゃあなと言って座敷を出ると、自分の靴を探す。
とその時、茶色いブーツが視界に入ってきた。

「遅くなりましたぁ」

ちょっと間延びした高い声。
顔を上げると、そこには白いコートを着た女の子が立っていた。


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