along-side(BL)

kotori

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いつだって、傍にいた。
子どもの頃も、大人になってからも、どんな時だって一番近くにいたんだ。
沙也香を好きになった時も、つきあってからも、那波はいつも相談にのってくれた。
デートの計画だって一緒に考えてくれた。

――大丈夫だって、きっと上手くいくから

そう励ましてくれた。



「それからあいつ、ヤケになったみたいに遊びだしてさ。もう、手当たり次第って感じで。さすがに見てらんなくて口出しして、殴り合いなんかして」

皐月さんはちょっと笑った。

「祐希とも、その頃だったな。あれはどっちかっていうと、祐希の方が勝手にくっついてまわってたって感じだったけど」

でもね、と煙草を揉み消しながら続ける。

「浩介が彼女と別れた後も、あいつ喜ぶどころかすげえ荒れてた。俺の前で、初めて泣いたんだ」
「………」
「……後悔してたんだと思うよ。自分がしたことに…たぶん、今でも」



あの頃。

彼女の事で一喜一憂する俺の隣りで、那波は何を思ったんだろう。
フラれて落ち込む俺と、どんな気持ちで一緒にいたんだろう。
気づいたら、涙が溢れていた。
そしたらもう、とまらなくなった。

……俺は那波の、何を見てたんだろう

どうして、気づいてあげられなかったんだろう。
ずっと想ってくれていたのに、ずっと苦しんでいたのに。
あんなに傍にいたのに。



「……皐月さん、俺…」

いつも自分のことしか考えられなくて、大切な人を傷つけている事にさえ、気づけなくて。

「俺…っ」

そのくせ自分が傷つくと、話も聞かずに責めて…。

……サイアクなのは、俺の方じゃん…



皐月さんは、泣いている俺の背中を優しく叩いてくれながら言った。

「……浩介が怒るのは当然だと俺は思うよ。相手の女の子も可哀想だし、あいつのやり方は間違ってた」
「……でも、」

そうさせたのが、俺だとしたら。
俺がそこまであいつを、追い詰めたんだとしたら。

「……一番大切なのはさ、これから浩介がどうしたいか、じゃない?」
「……俺、が?」
「そう。浩介は那波と、どうしたいの?」
「………」



また相談しに来てもいいかと尋ねると、皐月さんは勿論と言って笑った。

「浩介ならいつでも歓迎するよ」

とその時、ドアが開く音がした。

「……あぁ、うるさいのが来た」

まさか、と思って振り向くと、店の入り口には祐希が立っていた。

「あっ、てめえ!何してんだよここでっ」

祐希は俺を見るなり悪態を吐く。

「おまえな…制服で来んなって言ったろ?帰れ」
「……っ、なんで皐月って俺に冷たいの?こいつには超優しくするくせに!」

……お、俺?

「だって浩介かわいいもん。おまえかわいくないもん」
「な…っ」

絶句する祐希。
なんとなく空気を読んだ俺は、こっそり店を出ようとして捕まった。

「…言っとくけどっ、皐月は絶対渡さないからなっ」
「……え?」

ぎっと睨みつけられて、その言葉の意味を察した俺は思わず仰け反った。

……まさか、新しい彼氏って…

振り返ると、皐月さんは面白そうに笑っている。
今度は俺が絶句する番だった。





駅前の商店街は、年末だからか夜だというのに人で賑わっている。
俺は、ぼーっとしたままその中を歩いていた。

俺は那波と、どうしたいのか。
それはまだ、わからない。
だけど知りたいと思った。
那波が何を考えて、何を思っていたのか。

那波の口から、ちゃんと聞きたい。


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