along-side(BL)

kotori

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翌日、大学に休学届けを出した。

那波を探そうと思った。
会ってちゃんと話をして、それからどうするか考えよう。
そう決めた。

まずは皐月さんに、那波が行きそうな場所を訊いた。
友達や知り合いの家、クラブ、バー、居酒屋、昔のバイト先…。
いろんな場所をしらみつぶしに探してまわったけど、那波で行方を知ってる人はなかなか現れなかった。
でもほとんどの人が、もし連絡があったらすぐに教えると約束してくれた。

学校を辞めたなら、もうこの辺にはいない可能性もある。
でもこうして探していれば、どこかで会えるような気がした。

歩きながら、高く澄んだ青空を見上げる。
冷たい風に混じる、冬の匂い。
俺は那波の言葉を思いだしていた。

――このまま一緒にいたら、

――絶対おまえを傷つける

あいつは多分、わかってたんだ。
いつかこうなるって。

「………」

……バカだな、

空の色が、滲んだ。

なぁ、那波。
おまえは今、どこにいる?
どこで、何を思ってる?
俺はおまえに、会いたい。





 
那波の協力の甲斐あってか、野球が少しずつ楽しくなってきた頃だった。
近所の小学校のチームとの練習試合に、俺も出ることになった。
初めは試合に出れることが嬉しかったけど、それどころじゃなくなった。
最悪なことに勝敗を分けるかなり大事な場面で、俺に打順が回ってきたのだ。

――落ち着いて、球をよく見ろ

――おまえ最近すげえ上手くなったし、大丈夫だよ

監督やチームメイトはそう励ましてくれたけど、ただでさえ緊張していた俺は、もうすぐにでもその場を逃げだしたくて仕方なかった。

……無理だよ、そんなの…

自分にできるはずなんてない。
ちょっと前まで、球がバットに掠りもしなかったんだから。
怖かった。
自分のせいで負けてしまったら。
せっかくみんなでここまでやってきたのに、それを台無しにしてしまったら…。

――……っ

今、おなかが痛いって言ったら。
具合が悪くなったって言ったら、出なくて済むかな…。
臆病な俺は、ずるい事を考えた。
俺の次は那波だし、那波ならきっと…。
嘘は、よくないってわかってるけど。
でも負けるより、いいじゃないか。

――……あの、

監督のところへ行き、おそるおそる口を開いたその時。

――浩介、

ぽん、と肩に手を置かれた。
振り返ると、真剣な顔をした那波がいた。

――逃げんなよ?

――……!

目を見開いた。
なんで、わかったんだろう。

――……なな、

――大丈夫だって

那波は笑った。

――でも…

泣きそうになりながら俯く俺の頭を、ぽんぽんと叩きながら言う。

――もし上手くいかなくても、俺が絶対なんとかするから

――………

――な?

那波は、強くて。
どんな逆境もはねのけて、自分でチャンスを作って。
俺はいつも、そんな那波に憧れてた。
俺も強くなりたいって、思ってた。

……でも、

逃げたら、強くなれない。

――………

ぎゅっと拳を握りしめる。

――……わかった

そう呟くと、おしっと那波は言って俺の髪をくしゃくしゃとかき混ぜた。


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