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しおりを挟む俺はあとどれくらい、我慢できるだろう。
浩介と出会ったのは、まだガキの頃だった。
転校生だったあいつは大人しくて、いつもビクビクしていた。
同じクラスだったけど話した事はなくて(とゆうか浩介は誰とも喋ろうとしなかった)、だから俺は家が近所だって事も知らなかった。
ある日浩介の母親に、仲良くしてやってほしいと頼まれた。
遊ぶ仲間はいっぱいいた方が楽しいし、あいつだって一人じゃつまんないだろうと思って声をかけた。
だけど浩介はぐずりまくって、意地になった俺は半泣きのあいつを毎日無理矢理連れ出していた。
初めはあからさまに嫌がってた浩介も、慣れてきたら少しずつ笑うようになって。
そのうち自分からやってくるようになって、俺以外の奴とも打ち解けて話すようになった。
人見知りが激しくて、トロくて怖がりで、すぐに泣く。
そんな頼りないあいつを俺はなんとなく、ほっとけなくて。
気づいたら、いつも一緒にいた。
ずっとあの頃のままでいられたら、よかったのに。
そしたらこんな痛みを知ることは、なかったかもしれないのに。
でも俺たちは、少しずつ大人になって、
そして変わっていった。
変化に気づいたのは、中学に入ったばかりの頃。
――なあ、那波はどの子がいい?
昼休みの、何気ない会話。
机の上に開かれたグラビア雑誌には、水着姿の女の子が沢山載っていた。
――コレ
適当に指をさす。
――おまえ巨乳好き?
――ないよりある方がいいだろ、
本当は、どうでもよかったけど。
――里奈ちゃんはどうなんだよ
――さあ~?
その頃俺は、別のクラスの女子とつきあっていた。
別に好きとかそんなんじゃなかったけど、ただ告られたからなんとなく。
興味がなかったわけじゃないけど、なんだこんなもんかって感じで。
浩介といる時のほうが、ずっと楽しいと思った。
――あ、浩介
――なに?
教室に入ってきた浩介は、俺の前の席に座った。
黒くてやわらかい髪が揺れる。
――こんなかで、どの子が好み?
浩介はきょとんとした顔をした。
――どれって…わかんない
――え、なんで?
――だって、どういう子なのか知らないし
吹きだす俺の隣りで、クラスの奴は呆れた顔をする。
――どーゆう子って…そりゃ俺も知んないけど、見た目だよ見た目
――見た目って…
――顔とかカラダとか!
うーん、と本気で悩むところがかわいい。
――困ってんじゃん
そう助け舟をだそうとした時。
――……この子、かな
浩介が指差したのは、ページの隅っこ。
――……えええ?なんで?
――………
その子は顔がすげーかわいいってわけでもなければ、胸がデカいってわけでもなく。
なんか普通に近所に住んでそうなお姉さん、って感じだった。
――なんか、その辺にいそうな感じがいいなって
同じ事を考えてたことがわかって、また吹きだす。
――あ、そうだ。那波、これ
差し出されたのは、弁当箱。
――あ、サンキュ
――なんで、そんなにしょっちゅう忘れんだよ
――んー、ついうっかり?
嘘だった。
――おまえもうメシ、食ったの?
――まだだよ
――じゃあ一緒に食おーぜ
――いいけど…
クラスが離れて、一緒にいる時間が減った。
たまに一緒に帰ったり休みの日に遊んだりもしたけど、浩介は俺以外にも友達がいたし俺も里奈の事で忙しかった。
でも俺はもっと一緒にいたくて、そのために色んな嘘をついた。
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