nesessary(BL)

kotori

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皐月の部屋に住むようになって、二カ月が経った。
あれからすぐ、皐月は母さんと会って話をしてくれた。

――おまえはなんにも心配するな

俺はその場にいなかったから二人がどんな話をしたのかは知らないけど。
でもその言葉どうり、俺は皐月と一緒にいられるようになった。

一緒に暮らすようになったといってもお互いの生活は今までと変わらないから、一緒にいられる時間はあんまりない。
でもそれでも俺は、信じられないくらい幸せだった。
こんな日がくるなんて、夢にも思わなかった。





……要は、皐月より早く部屋に帰ればいいんだよな…

授業中、ぼーっと黒板を眺めながら考えた。
皐月は俺が働くことに反対した。

――なんか欲しいものでもあんのか?

――……そんなんじゃ、ないけど

じゃあやめとけ、と皐月は煙草を吸いながら笑った。

――どうせそのうち嫌でも働くことになるんだから、今のうちに遊んどけ

「………」

最近、皐月が仕事を探している事を知った。
この間部屋の掃除をしていて、雑誌の間に挟まっていたハローワークの求人広告を見つけた。

皐月が今の仕事を気に入っていることは知ってる。
でもやっぱり収入的に、キツいのかもしれない。
人を養うことがどんなに大変な事なのかは、母さんを見ていてなんとなくわかっていた。
皐月が俺の為にそこまでしてくれようとしていた事は、すごく嬉しい。

……でも、

負担になんて、なりたくない。
もう大切な人の人生を、自分の為に犠牲になんてしてほしくない。

……そんなの、耐えられない…




 
「まだ起きてたのかよ」

皐月は最近、わりと早い時間に帰ってきた。
前みたいに仕事の後に飲みに行かなくなったからだ。

「何してんの」
「……テスト勉強」
「勉強?おまえが?」

皐月はまじまじと俺を見た。

「……期末、近いし。ごはん、食べる?」
「いい。店で食った」
「………」

……あそこ、酒のつまみしかないじゃん

「いいから、続けろよ」

皐月は冷蔵庫からビールを出しながら言う。

「なんなら俺が、教えてやろうか?」
「……いい」
「おまえなんだよその目は。言っとくけどな、俺教えるの相当うまいぜ?」

俺の反応が不服だったのか、皐月は頼んでもないのにわからなかった問題の解き方を教えてくれた。
自分で言うだけの事はあって、本当にわかりやすい。

「……皐月って実は頭いいの?」
「数学は得意」

皐月は笑いながら、那波と一緒にすんなよ?と言う。

「数学以外は?」
「浩介に教えてもらえ」

……絶対やだし



それからしばらく真面目に勉強したけど、やっぱり眠くなってきた。
皐月の声をぼんやりと聞きながら逃れようのない睡魔と戦っていると、いきなり顎を掴まれた。

「……ッ」

唇を優しく噛まれて、怯んだ瞬間に割り込んでくる舌。
それは口内を丹念に撫で回すと、俺の舌を捕まえた。

「……ん、ぅ…」

皐月はたまに荒々しくて、いやらしいキスをする。
されるがままになるのが悔しくて懸命に応じようとすると、それが愉しいのか舌の動きは更に執拗になる。

「目、覚めたか?」

長いキスの後、皐月はそっと俺の頬に触れた。

「……覚めたけど…なんか変な気分になっちゃったじゃん…」

乱れた呼吸を整えながらそう言うと、皐月はにやりと笑って火照りの抜けない俺の身体に触れた。


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